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滋賀医科大学医学部附属病院 検査部 既存の検査システムにも、「CLALISリンクPlus」

~複数の分析装置を効率的に運用、長期間のログ保存も~

複数台ある生化学分析装置の能力を引き出し、効率的な運用を目指して滋賀医科大学医学部附属病院検査部では2014年末に機器更新と併せて「CLALISリンクPlus」を導入した。既存の検査システムがあっても、接続を工夫することでCLALISと同様の機能を使うことができるシステムだ。機器や試薬管理が効率的に行えるようになったことに加え、長期間の管理記録の保存もでき、新しい運用に手応えを感じている。

病院概要

鹿児島大学病院

「信頼と満足を追求する<全人的医療>」を理念に掲げる滋賀医科大学医学部附属病院 (612 床) 。2013 年度の1日平均外来患者数は1309.7人、平均入院患者数は539.0人に上る。京都や大阪のベッドタウンとして人口が増加傾向にある大津市に位置していることもあり近年、同院を受診する患者数は増加傾向にある。検査件数も増加しており、検査部に所属する32人のスタッフが日々、同院の診療を支えている。

件数増、検査は「止められない」

同院検査部では2014年末に分析機器・検査システムの更新を行った。生化学検査部門では従来のBioMajesty™シリーズのJCA-BM2250 (2 台) 、JCA-BM6010 (1 台) の3台構成を変更し、同シリーズの「JCA-BM6070」を選定、4 台構成とした。
主任技師の椿野悦子氏は「検査部全体での検査件数はもちろん、生化学・免疫学検査の検体数が急増している」と指摘。08年に1日平均780検体ほどだったが、現在は1日平均900検体に増加し多い日では1000検体を超える。また、診察前検査のニーズも高く「処理能力を強化し、止まらない検査の実現を考えました」と、4台構成に変更した理由を説明する。分析機を増やし検体の処理能力は上がったが、それでも毎週月曜の午前中は最大限の処理能力で対応せざるを得ないほどだ。
現在、以前のメイン機 (BM2250) で測定していた生化学一般をBM6070の1・2号機で、BM6010で実施していた特殊項目と尿化学の測定を3・4号機で行っている。複数台での運用は、トラブル時のリスク回避策にもなり、片方にトラブルが発生しても、検査が止まることはない。
同じ分析機を選定したことで管理画面や消耗品も同じであることから日常の機器管理もしやすいという。
また、これまで時間外・夜間休日も含めて特殊項目・尿化学検査はBM6010がフル稼働していたが、定時メンテナンス中は検査を中断していた。「診療側も状況を理解してくれているのですが、それでも結果催促の連絡が来て、スタッフにとっては心理的な負担にもなっていました」と椿野氏。BM6070 の3・4 号機の運用に変えてからは検査を止めることがなくなり、TATも50数分から40数分へ短くなった。「TATの短縮は診療側へのサービスにもなり、ひいてはスタッフの心理的負担感の減少にもつながっています」とする。

既存のシステムに後付け可能「CLALISリンクPlus」

BM6070の導入で処理能力が上がり、検査がメンテナンスのために止まることはなくなった。その上で、主任技師の湯本浩史氏は「複数のBM6070を効率よく管理し、その能力を最大限引き出して、有効に使いたいという思いがありました」とする。
念頭にあったのは日本電子が提供する臨床検査情報処理システム「JCS-50L CLALIS」の管理機能だ。複数台のBMシリーズと連携し、システムログや分析データなどを取得し保存することができる。
しかし、同検査部は他社システムでの更新が決まっていた。
「BM6070本体のデータ保存期間は限られていて、長期間の記録を見ることはできません」と湯本氏。記録を振り返りながら機器の管理や検査過程・結果の確認をしたいと考えた時に、本体のデータ保存期間だけでは足りないと感じていた。
そこで俎上に載ったのが、既存の検査システムに後付けで接続できる「CLALISリンクPlus」だ。検査システムとBMを通常通りにつないだ上で、BMとCLALISリンクPlusをLANケーブルで接続。検査システムから分岐ケーブルを介して依頼情報をCLALISリンクPlusに集積する (図) 。万が一、CLALISリンクPlusが停止しても、検査分析業務に影響を与えない工夫がなされている。
最大4台のBMシリーズ (対象機種はBM6010、BM6050、BM6070、BM9130) を接続でき、200 万件のデータを保存することができる。
試薬ロット情報やタイムコースとともに検査結果が記録されトレーサビリティが確保されるとともに、キャリブレーションの成否などを自動記録する。不確かさの計算、さらにQCデータから装置機種間差を計算し、1画面で比較・確認を行うことが可能だ。
試薬についても試薬管理台帳を備え、装置から試薬バーコードの情報を取得することで自動的に記帳され、入力する手間を省き、ミスを防ぐ。

CLALISリンクPlus

CLALISリンクPlus

一元管理の安心と有用さ

検査件数の増加に対応して、分析機器を増やしても、生化学・免疫学検査を担当するスタッフは5名 (技師4 名・検査補助1 名) のままだ。宿直や休日勤務、NST (栄養サポートチーム) などの診療支援にも加わっており、マンパワーに余裕はない。「検査件数、分析装置の台数が増えてもスタッフは増えません。省力化が必須です」と椿野氏と湯本氏は声をそろえる。
CLALISリンクPlusの導入によって、1箇所で装置4台分の試薬残量や検査状況、装置のシステムログを確認することができるようになった。「情報が1箇所に集積されているメリットは大きい」と椿野氏。また、検査件数を時間ごとにカウントでき、検査の見通しを立てることもできるようになった。
4台全体での管理だけではなく、1号機と2号機といった機器ごとの比較も可能だ。1画面に機種ごとのデータを重ね合わせて表示することもでき、機種間差が一目で分かる。湯本氏は「機器管理が容易になった」とし、運用の手応えを感じている。

CLALISリンクPlusとJCM-BM6070

CLALISリンクPlusとJCM-BM6070

ISO 15189取得も視野に入れ

臨床研究中核病院の検査室に対して第三者評価が要件化される。臨床研究中核病院だけでなく、臨床研究や治験を実施する医療機関の検査室で行う検査の質を担保するため、第三者評価の取得が推奨されている。
同部でも今後、ISO 15189の取得を視野に入れている。ISO取得に向けては手順書や各種の記録の整備が必要になるが、湯本氏はISO活動でもCLALISリンクPlusは有用だと考えている。「キャリブレーションの実施や試薬ロットの管理など、CLALISリンクPlusで記録が残せる。記録をつける上でのヒューマンエラーもない」とした上で、「保存できる期間も長いので、その点でも有用だ」とした。
椿野氏は「検査システムとは別の機器システムとして、LISとは違う良さを出していきたい」として、新たに加わったシステムへの期待感を示した。

滋賀医科大学医学部附属病院 検査室の皆さん

検査室の皆さん

(The Medical & Test Journal 2015年3月21日 第1302号掲載)

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