EI/FI/FD共用イオン源を用いた石油試料のGCxGC/EI、GCxGC/FI測定 [GC-TOFMS Application]
MSTips No.225 日本電子株式会社 MS事業ユニット
EI/FI/FD共用イオン源は、1つのイオン源で異なる3つのイオン化法での測定 (GC/EI、GC/FI、FD)を行うことが可能なオプションイオン源である。イオン化モードの変更は専用プローブ( EI用リペラープローブ、FI/FD用エミッタープローブ)を交換するだけでよく、イオン源の交換は不要である。専用プローブはイオン源を大気開放することなく交換できるため、イオン化モード変更における装置のダウンタイムは極めて少ない。このユニークなEI/FI/FD共用イオン源は、従来機種のAccuTOF GCvシリーズと最新機種JMS-T200GC AccuTOF GCxで使用可能となっている。
Fig.1にEI/FI/FD共用イオン源、Fig.2にEI用リペラープローブ及びFI/FD用エミッタープローブを示す。 EI/FI/FD共用イオン源にはEI用フィラメントとFI/FD用カソードが搭載されており、レンズ部分などは共通部品となっているため、イオン化モードに応じたプローブを交換装着することにより、イオン源を大気開放することなくイオン化モードを変更できる。この共用イオン源を用いることで、GC/EI測定、GC/FI測定、FD測定を順次行うことが可能である。
本MSTipsでは、 EI/FI/FD共用イオン源を用いたGCxGC/EI測定及びGCxGC/FI測定例について紹介する。
【Fig.1 EI/FI/FD combination ion source】 | 【Fig.2 EI repeller probe (upper) and FI/FD emitter probe (lower)】 |
測定方法
Table1に測定条件を示す。テストサンプルは市販の軽油試料をヘキサンで100倍希釈したものを用いた。
結果
Fig.3にGCxGC/EI TICクロマトグラムを、Fig.4にGCxGC/FI TICクロマトグラムを示す。GCxGCの高分離能により、軽油試料中の数多くの成分を分離して検出することが出来ている。幾つかの炭化水素化合物のEI及びFIマススペクトルをFig.5及びFig.6に示す。FIマススペクトルでは、分子イオンをベースピークとして観測できており、その質量精度は極めて高かった。
EI/FI/FD共用イオン源を用いることで、ハードイオン化法であるEIと、ソフトイオン化法であるFIのデータを、イオン源交換することなく、連続的に取得することが可能である。AccuTOF GCxでは、複数のイオン化法で得られた元素組成情報を組み合わせることで、信頼性の高い定性分析を行うことができる。
【Fig.3 GCxGC/EI TIC 2D chromatogram】 | 【Fig.4 GCxGC/FI TIC 2D chromatogram 】 |
【Fig.5 EI mass spectra】 | 【Fig.6 FI mass spectra】 |
【Table2 Accurate mass measurement results for EI mass spectra】 | 【Table3 Accurate mass measurement results for FI mass spectra】 |
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