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赤外分光光度計で何がわかるの?

Q.赤外線を物質にあてると何が起こるのでしょう。
A.「分子の振動・回転運動」です。

Q.その現象はどんなかたちでとらえられるのでしょうか。
A.「特定波数(波長)域の光エネルギー吸収」です。

Q.それを知ることでどんなことがわかるのでしょうか。
A.「化合物を構成する元素の種類と結合状態(原子団)およびその量」です。すなわち「物質の定性・定量
分析」ができるのです。

 

原子団とは? 化合物の分子内に含まれるある特定の原子の一団(部分構造)のことを言います。有機化合物では共通の反応性を示す原子団を特に官能基と呼びます。

例) −OH , −COOH , −NO2 , >C=O , >C=C< , −C≡C− 定性分析その試料は何からできているのかを調べる化学分析のことで、定量分析 その試料中のある成分がどのくらい含まれているのかを調べる化学分析のことを指します。

 

1.赤外吸収のメカニズム

物質を構成している分子はそれぞれ特有の振動をしています。
例えば、水(H2O)には次のような3つの振動パターンがあります(この振動パターンのことを振動モードと呼ぶ)。O原子とH原子がバネで結ばれていると考えるとわかりやすいでしょう。

 
赤外吸収のメカニズム
 

このような分子振動のエネルギーと同等のエネルギーを持つ電磁波がちょうど赤外線の波数(波長)域の光なのです。振動に必要なエネルギーは原子の重さと結合の強さで決り(フックの法則に従う)、物質に(連続)赤外光をあてると、 その振動モードの振動数に応じた特定の波数域の光だけが吸収されます。

このことを逆に利用して、赤外吸収の見られる波数を調べることにより、その原子の種類と結合状態を知ることができるのです。いくつかの原子の結合からなる原子団・官能基、さらにそれらが集まった分子に至っても、その構造に基づく特有の振動パターンが 赤外吸収に反映するので、スペクトル波形からそれらを特定することが可能なわけです。

 

2.スペクトルを読む(具体例)

キシレン(xylene)の赤外吸収スペクトルを示しましょう。この物質にはメチル基の置換位置により3つの異性体があります。吸収ピークの波数位置から以下のような分子構造に関する情報を得ることができ、 スペクトル全体の波形からは物質そのものが推定できることになります。このような異性体でも区別ができる点に注目してください。

 
スペクトルを読む スペクトルを読む
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3.スペクトルの表し方について

赤外分光法では、使用する装置のクセ(装置関数;光源の分光放射強度や検知器の分光感度特性、あるいは使用する測定ユニットの分光透過率特性など)をキャンセルするために吸収スペクトルを透過率、 あるいは吸光度(透過率スペクトルの対数をとって負の数値に変換したもの)で示すのが普通です。すなわち、比率測定となるので、このようなスペクトルを得るためにはリファレンス(参照)スペクトルが必要です。言い換えると何か試料のスペクトルを得るときには、必ずバックグラウンド(BG)が必要になります。

たとえば、装置チェックによく用いられるポリスチレンフィルムでは、試料室に何も入れない状態でまずBG測定を行い、 その後でフィルムを試料室にセットして試料測定を行い、先に測定されたBGスペクトルで割り算して規格化されたデータが求められます。

 
スペクトルの表し方について スペクトルの表し方について
スペクトルの表し方について スペクトルの表し方について
スペクトルの表し方について スペクトルの表し方について
 

透過率スペクトルは波形の比較やピーク位置の検出など、主に定性分析に利用され、吸光度スペクトルは差スペクトル計算やピーク強度の評価など、 主に定量分析に利用されます。

 
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