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FT-IRの利点

FT-IRは分散型IRに比べて、次のような利点があります。

 

1.明るい分光計だから高感度(Optical Throughput Advantage)

これは同じ分解能を持つ分散型IRと比べると、スリットが100倍程度大きいことによる利点です。

 
同じ分解能を持つ分散型IRと比較
 

2.短時間で測定可能(Multiplex Advantage)

これは同時に全波数の光を検知することによる利点です。また、これはFT-IRが高感度であることの第2の理由にもなっています。分散型IRでは1回のグレーティング走査に数分かかるのに対し、FT-IRの移動鏡走査は数秒程度で終ります。

言い換えれば、分散型IRの測定時間をかければ何回も測定ができてしまうことになります。実際の測定ではこのことを利用して同じ測定を何回か繰り返し、データを積算するのが普通です。積算を行うとノイズを少なくすることができるので、さらにS/Nの高いスペクトルデータを得ることができます。

なお、このノイズ低減効果はn回積算で√n倍となります。測定時間が短いことによるもう1つの利点は、ある決まった時間内に多くのスペクトルデータを取込めることです。これは化学反応による試料の構造変化の追跡や分離分析装置(ガスクロマトグラフなど)との組合わせで連続的にデータを取込まなければならないような 測定の際に効果を発揮します。

 

3.波数(横軸)の精度が高い(Connes Advantage)

干渉計の移動鏡の移動距離の計測には通常、He−Neレーザが使用されています。ガスレーザはその発振波長が7桁以上の安定度を持っており、それで移動鏡の移動距離、すなわち、2光束間の光路差を計測しているので、 スペクトルの波数も7桁以上の精度となります。

これは僅かなピークシフトや差スペクトルによる微小ピークの検出等に有効な利点と言えるでしょう。

 

4.高分解能化が容易

分散型IRではスリット幅を狭くすることにより分解能を向上させるので、高分解能にすると感度低下を招くことになります。
FT-IRでは干渉計でつくられる2光束間の光路差を大きくすれば接近した波数の違いを検出できるようになりますので、 移動鏡の移動距離を大きくするだけで分解能を向上させることができます。厳密に言うと高分解能化には干渉計への斜入射光をカットしなければならず、入射孔を小さくする必要が生じますが、 それでも分散型IRのスリット幅と比べれば非常に大きく、極端な感度低下にはなりません。

 
高分解能化が容易
 

5.コンピュータによる各種データ処理が可能

FT−IRはフーリエ変換を行わなければならないので、コンピュータが付き物です。それなら、様々なデータ処理もコンピュータにやらせてしまおうということで、各種ソフトウェアが充実しています。代表的な処理に以下のようなものがあります。

 
  • スペクトル波形処理(ベースライン補正,スムージング,波形分離など)
  • 差スペクトル計算
  • 定量計算(ピーク強度計算,検量線作成,未知濃度定量)
  • ライブラリサーチ(既知スペクトルとの波形照合による検索)
 

6.測定波数域の拡大が容易

分散型では遠赤外や近赤外への拡張ができないものがほとんどであり、できても感度の点から実用になりません。FT-IRは光源,半透鏡,検知器などの各ユニットを交換することにより比較的容易に測定波数域を拡げることができます。

 
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