透過電子顕微鏡 基本用語集

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データ更新:2005-05-16

 「透過電子顕微鏡用語辞典
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結晶等 (結晶構造、材料試料)

  1. 理論
  2. 照射系
  3. レンズ系
  4. 試料室
  5. 検出系
  6. 真空系
  7. 分光分析
  8. 結晶等
  9. 試料等
  10. 画像処理
用 語 説 明

異方性
anisotropy

物質の物理的性質が、結晶の方位により異なること。→等方性

映進面
glide plane

空間群の対称要素の一つ。結晶のある平面(鏡映面)に関する鏡映操作を行なった後に、その鏡映面に平行で結晶の単位胞の長さの 1/2 または 1/4 の並進操作を引き続き行ったとき、元の結晶と一致する場合、この平面を映進面という。→空間群、螺旋軸

介在物
inclusion

固体内に捕らえられた不純物粒子。

回転軸
rotation axis

結晶点群の対称要素の一つ。ある直線を軸として、結晶全体を一定角度、回転させても、回転前の結晶と一致するとき、この軸を回転軸という。→点群、回反軸、鏡映面、反転中心

回反軸
rotation-inversion axis

結晶点群の対称要素の一つ。ある直線を軸として、結晶全体を一定角度、回転させた後に反転操作が行なわれたとき、操作前の結晶と一致する場合、この軸を回反軸という。→点群、回転軸、鏡映面、反転中心

界面
interface

二相間の境界面をいい、結晶相の場合には特定の結晶面をとることが多い。材料科学においては、金属における粒界や、半導体、セラミックスの多層膜の界面(境界面)の分析が重要である。→境界

化学的配列秩序/無秩序
chemical order/disorder

化合物や合金を構成する各元素の配列に関する秩序。例えば、単位胞あたり二個の原子(A、B)を含む二元化合物の場合、各原子が ABAB と交互に規則正しく配列しているとき化学的配列秩序があるといい、ランダムに配列していると無秩序な配列という。無秩序な配列は、構成原子の化学的性質が互いに似ている場合に起こる。高温の無秩序状態から低温の秩序状態に相転移することがある。

規則・不規則構造
ordered and disordered structure

たとえば Cu3Au の高温相では CuとAu は区別なく不規則に面心立方構造の格子点を占める。低温相では原点を Au が占めるとすると Cu は残りの 3 つの面心位置を規則正しく占める。このように外的条件(温度)が変わったときに構成原子が規則的に配列したり不規則的になる構造をいう。構造の規則 ・ 不規則化は合金ばかりでなく無機化合物でも起こる。規則化が起こると新しい回折斑点が回折図形に現れる。→長距離秩序度、短距離秩序度

逆位相境界
anti-phase boundary

結晶中で原子の配列に関する位相が 180 度(半周期)ずれている境界。二元合金の規則相で頻繁に現れる。

鏡映面
mirror plane

結晶点群の対称要素の一つ。結晶全体が、ある平面に対して鏡映対称の関係にあるとき、この平面を鏡映面という。→点群、回転軸、回反軸、反転中心

境界
boundary

結晶において、ある境界面を境に結晶方位や位相が異なっているとき、また、境界面を境に異なる組成や構造を持つ結晶が接する場合の境界面を指す。積層欠陥、双晶境界、反転分域境界、反位相境界、粒界、多層膜境界などがある。→積層欠陥、双晶、反転分域境界、粒界

強磁性体
ferromagnetic material

磁気モーメントを持つ原子から成り、隣り合う磁気モーメントが互いに平行になっているために、外部磁場をかけなくても自発的に強い磁化を示す物質。多結晶質の場合、磁場中に入れると磁場の向きに強く磁化され、磁場を取り去っても残留磁気があり、ヒステリシスを示す。→常磁性体、反磁性体、反強磁性体,磁区

強誘電体
ferroelectric material

自発的な電気分極があり、分極が互いに同じ向きを向いており、外部電場がなくても強い電気分極を示す物質。多結晶質の場合、電場中に入れると電場の向きに強く電気分極が現れ、電場を取り去っても残留電気分極があり、ヒステリシスを示す。→常誘電体、反強誘電体、分域

キラリティー (対掌性)
chirality

右手と左手の関係のように、ある構造とその鏡像の関係にある構造が回転操作によって互いに重ね合わせることができない構造として存在することを言う。 このような構造は鏡映対称および中心対称を含まない点群に属す結晶の場合に生ずる。

金属
metal

イオンが、それを取り巻く自由電子(結晶全体にわたって動ける電子)の場を通して結合している物質。その結晶構造は面心立方、体心立方か最密六方構造である。良好な導電性、熱伝導性、光の反射性を示し、展性、延性に富む。→誘電体

金属間化合物
intermetallic compound

2種類以上の金属元素から構成される化合物。

空間群
space group

結晶の対称性において、点群(1 点のまわりに存在しうる対称性の全ての組み合わせ)の対称操作に並進成分を加えた螺旋軸と映進面とを対称要素として作られる群を空間群といい、230 種類ある。→螺旋軸、映進面、点群、収束電子回折(CBED)、禁制反射、消滅則

空間格子
space lattice

単位格子(平行 6 面体)が空間的に周期的に配列したものをいう。空間格子は、その格子定数の違いによって 7 つの結晶系に分けられる。単位格子にはその内部に格子点を持つものも可能で、単純、面心、体心、底心格子がある。これらを組み合わせると14種類になり、これをブラヴェ格子という。単純格子以外は禁制反射を引き起こす。→単位胞、格子定数、禁制反射、消滅則

結晶構造
crystal structure

原子、分子が周期的に配列したものを結晶という。結晶の一周期(単位胞)内の原子配列がわかれば、結晶全体の構造がわかる。したがって、単位胞の構造を結晶構造という。透過電子顕微鏡による結晶構造の詳細な解析には収束電子回折を用いる。→単位胞、格子定数、収束電子回折(CBED)

結晶成長
crystal growth

結晶性物質の融液からの凝固、蒸気からの凝固、溶液からの析出などによって、単結晶あるいは多結晶が形成され成長すること。→単結晶、多結晶

結晶方位
crystal orientation

結晶の方向を、結晶の面指数で表したもの。透過電子顕微鏡による観察の際には、結晶を特定の方位(特に低次の指数で表される方位)を入射電子線の方向に合わせることが行われる。菊池図形を使うと、結晶方位を容易に精度よく合わせることができる。→菊池図形

原子面
atomic plane

原子が面状に積み重なったものとして結晶を考えるとき、原子で作られる面を原子面という。完全結晶においては、幾種類かの原子面が周期的に積み重なっている。→格子面、積層欠陥

合金
alloy

金属間化合物あるいは金属相の混合物として、2種類以上の元素を含む金属性物質。→金属間化合物

格子欠陥
lattice defect

結晶における格子の乱れのこと。完全結晶において原子は規則正しい結晶格子を作って配列しているが、実際の結晶には配列の乱れ(構造の乱れ)が存在する。格子欠陥は、その形状から面欠陥、線欠陥、点欠陥に分類される。→積層欠陥、転位、点欠陥

格子定数
lattice parameter (constant)

原子配列の周期性の単位である単位格子を規定する量。単位格子の三つの次元方向への長さ a,b,c と、相互の角度 α,β,γ のこと。→単位胞、結晶構造

格子面
lattice plane

結晶では、等価な原子面が互いに平行に等間隔で重なっているので、結晶は原子で作られる面の集合体とみなされる。このような 1 組の面の集合を(結晶)格子面といい、面と面の間隔を面間隔という。結晶では、方位の異なる格子面が幾組もある。→原子面

混晶
compound crystal

二種類以上の物質が(特にイオン結晶や半導体の場合に)混合して均一な構造を持つ結晶のこと。各原子は等価な格子点上で不規則に配列している。

磁区
magnetic domain

強磁性体で、原子の磁化の方向が一つの方向にそろっている領域のこと。→強磁性体

磁性体
magnetic material

磁界中に入れると磁化する物質。磁化のされ方によって、強磁性体、常磁性体、反磁性体、反強磁性体に分類される。→強磁性体、常磁性体、反磁性体、反強磁性体

実空間
real space

実際に感知できる空間。透過電子顕微鏡では、観察しようとする物体の位置とその像が形成される位置(像空間)が実空間である。→逆空間

実格子
real lattice

実空間において無限に(規則正しく)並んだ点の集まりで、各点で見る周りの環境がいつも等しい点の集合。それぞれの格子点に同じ構造単位を与えたものが結晶である。実格子は、逆格子を考えるときの基礎となる。→実空間、逆格子

磁壁
magnetic domain wall

→ブロッホ壁、ネール壁

準結晶
quasicrystal

周期性のない新しい秩序構造の結晶。周期性はないが、原子間の結合の方位は一定であり、長距離にわたる秩序が存在するので、アモルファス(非晶質)とは全く異なる。準結晶は金属(アルミニウム)と 2 つの強磁性を示す遷移金属からなる合金に多く見い出されている。

常磁性体
paramagnetic material

磁界中に入れると磁界の方向に磁化され、磁界を取り去ると磁化がなくなる物質。→強磁性体、反磁性体、反強磁性体

晶帯軸
zone axis

結晶において、ある方向に平行な面の群を晶帯といい、その方向を晶帯軸という。

常誘電体
paraelectric material

電場をかけると誘電分極が生じ、電場を取り去ると分極が 0 になる物質。電子が原子核に対して変位する電子分極、正イオンが負イオンに対して変位するイオン分極、永久双極子モーメントを持つ分子が電場によってその方向を変える配向分極がある。比誘電率や誘電損失は小さい。(フォノンの零点振動のために絶対零度付近でも強誘電相へ転移せず常誘電状態にとどまる物質を量子常誘電体という。)→強誘電体、反強誘電体

析出物
precipitate

過飽和固溶体の中で過剰に溶解していた原子が母結晶から別れて、新しい安定な相として生じたもの。過飽和度の小さいときは相を形成せず、結晶粒界や転位へ原子として集まる。

積層欠陥
stacking fault

面状の格子欠陥(面欠陥)の一種。完全結晶を(幾種類かの)原子面が周期的に積み重なって作られていると考えるとき、この積み重ねの規則性(順序)に狂いが生じたときの面をいう。→境界、格子欠陥、原子面

双晶
twins

二つの隣り合った結晶が、ある特定の面または軸について対称の関係にあるとき、それら二つの結晶のことを言う。→境界

相転移
phase transformation

温度、圧力、磁場などの変化によって物質が異なる状態、構造に移る現象。固体の融解、液体の気化などの第 1 種相転移(自由エネルギーの温度に関する 1 階微分が不連続になる転移)と、鉄などの強磁性体がキュリー温度で常磁性に変わったり、合金の原子配列の秩序−無秩序転移などの第 2 種相転移(自由エネルギーの温度に関する 2 階微分が不連続になる転移)がある。→化学的配列秩序/無秩序

滞留時間
residence time

特定の化合物、元素などが 1 つの系内に滞留している平均時間。あるいは、反応物がプロセス用容器に滞留したり、触媒に接触している時間をいう。

多結晶
polycrystal

結晶方位の異なった結晶粒で構成される結晶。→単結晶

単位胞
unit cell

結晶の周期性の最小単位。単位胞の大きさと形は6個の格子定数(a、b、c、α、β、γ)で定義される。→結晶構造、格子定数

短距離秩序度
short-range order parameter

二元合金の場合、A 原子の周りの B 原子の存在する確率。規則相で現れる反射位置に現れる散漫散乱の強度から測ることができる。→長距離秩序度、規則 ・ 不規則構造

単結晶
single crystal

結晶中の全ての場所で結晶方位がそろっている結晶。大きな単結晶は特定の成長条件下で得られる。→多結晶

置換
substitution

結晶や分子中の原子または原子団が、他の原子または原子団と置き換えられること。

置換原子
substitutional atom

結晶中で許されている原子位置に、本来入るべき原子に代って入る他の原子(溶質原子)のこと。

中心対称
centro-symmetry

結晶がある点に関して点対称になっていること。

長距離秩序度
long-range order parameter

不規則相から規則相へ相転移したとき、原子の規則配列が発達していく度合い。規則相で新たに現れる反射の強度変化を測ることから規則度が測られる。→短距離秩序度、規則 ・ 不規則構造

長周期構造
long period structure
たとえば CuAu I では規則格子が 5 個並び逆位相のずれを介して再び規則格子が 5 個並び、元の格子の 10 倍の単位の構造が作られる。このような長い周期の構造を長周期構造という。この相は規則相と不規則相の間のわずかな温度範囲に出現する。電子回折図形には規則相の反射が分裂して、10 倍の周期に対応する位置に回折斑点が現れる。長周期構造は金属間化合物や SiC にも表れる。→規則 ・ 不規則構造、逆位相境界

超格子
superlattice

基本的な結晶構造に重なった形で形成され、基本構造より長い周期を持つ秩序構造。温度変化による相転移によって低温相で形成されることがある。人工的な超格子は分子線エピタキシ(MBE)法などによって、異結晶を積層させた長周期の多層構造として作られる。量子井戸レーザダイオード、高温超伝導材料、磁気材料などに利用されている。

転位
dislocation

線状の格子欠陥(線欠陥)の一種。結晶内でのある領域がすべり(ずれ)を起こしたとき、すべりを起こした領域と起こしていない領域との境界線を転位または転位線という。転位には螺旋転位と刀状転位がある。螺旋転位では、転位線の周りで格子に沿って一回りすると元の格子点に戻らず、螺旋のように、一格子分だけずれたところにくる。このずれをバーガースベクトルといい、転位を特徴づける量である。刃状転位では、転位線の上または下(左または右)に一枚余分な原子面がある。結晶の塑性は転位の運動と増殖によって説明される。→格子欠陥、ウィークビーム法、部分転位、積層欠陥

転位ループ
dislocation loop

過飽和の点欠陥(空孔、格子間原子)が平板状に集まると、その縁に閉じた転位ができる。これを転位ループという。空孔型の場合、上下の面が潰れると、積層欠陥ができる。転位ループが空孔型か格子間原子型かは、転位像が転位の内側にできるか外側にできるかをブラッグ条件からのはずれ量の正負に対して調べることから決められる。

点群
point group

結晶の対称性において、ある 1 点のまわりに存在しうる対称性の全ての組み合わせを点群という。対称性の操作(対称要素)には回転、回反、鏡映、反転があり、8 個の対称要素のすべての組み合わのうちで独立なものは 32 種類である。→回転軸、回反軸、鏡映面、反転中心、空間群、収束電子回折(CBED)

点欠陥
point defect

原子サイズの欠陥のこと。特に、格子点に原子がいない場合を(原子)空孔(vacancy)という。格子点でないところに原子が入り込んだ場合を格子間原子(interstitial)という。空孔は熱平衡状態で存在し、原子の拡散に重要な役割を果たす。格子間原子は不純物原子であることもあるが、高エネルギー粒子を照射すると格子点の原子が弾き飛ばされてできる。後者の場合、格子間原子は動きやすいので、空孔と再結合して消えることが起こりやすい。

等方性
isotropy

物質の物理的性質が、結晶の方位によって変わらないこと。→異方性

ネール壁
Neel wall

互いに 180°磁極の向きが変わる磁区の境界の構造の一種。試料が薄膜のときに現れる磁壁構造で、薄膜に平行な磁化が磁壁内で薄膜面内で回転して隣の磁区につながる。磁壁を含む二つの磁区からの電子回折図形を見ると、二つの磁区からの回折斑点の間に磁壁部分からのアーク状のディフューズな強度が表れる。→ブロッホ壁、ローレンツ電子顕微鏡法

バーガースベクトル
Burgers vector

→転位

反位相境界
anti-phase domain boundary

→逆位相境界

反強磁性体 
antiferromagnetic material

磁場中に入れると磁場が弱いうちは常磁性体のように磁場の向きに磁化され、磁場が強くなると強磁性体のように磁場の向きに非常に強く磁化される物質。磁場の変化に対してダブルヒステリシスを示す。磁気モーメントを持つ原子から成るが、隣り合う磁気モーメントが互いに反平行であるために全体として磁化がゼロになっている。→強磁性体、常磁性体、反磁性体

反強誘電体
antiferroelectric material

電場中に入れると電場が弱いうちは常誘電体のように電場の向きに分極が現れ、電場が強くなると強誘電体のように電場の向きに非常に強い分極が現れる物質。電場の変化に対してダブルヒステリシスを示す。結晶中の 2 つの部分格子が反対方向(反平行)の誘電分極を持ち、それらが打ち消しあうために結晶全体としての自発的な分極がゼロになっている物質のこと。→強誘電体、常誘電体

反磁性体
diamagnetic material

磁界中に入れると磁界の向きと反対方向に磁化される物質。磁界を取り去ると元に戻る。→強磁性体、常磁性体、反強磁性体

反転中心
inversion center

結晶点群の対称要素のひとつ。座標(x、y、z)にある点を座標(-x、-y、-z)に移す操作を反転操作というが、結晶にこの操作を行ったときに操作前の結晶の一致するとき、この操作を行う点を反転中心という。→点群、回転軸、回反軸、鏡映面

反転分域境界
inversion domain boundary

二つの隣り合った結晶が反転操作によって互いに重なる関係にあるときの境界。→境界

非晶質
amorphous

固体中の原子、分子の配列が不規則、無秩序なものを非晶質という。

不完全転位
imperfect dislocation

→部分転位

複合結晶
composite crystal

2 つあるいはそれ以上の、互いに不整合な(整数比で表せない)周期を持つ構造から成る結晶。→不整合構造

不純物
impurity

純粋物質中の異物。半導体に微量の不純物を入れると、電子を伝導帯に与えたり、電子を価電子帯から受け取ったりする不純物に特有のエネルギー準位をバンドギャップ中に作る。

不純物原子
impurity atom

結晶を構成する一定の組成の原子とは異なる種類の混入原子。格子欠陥の一種である点欠陥の原因となる。→点欠陥

不整合構造
incommensurate structure

相転移の結果生じる構造の周期が、相転移前の基本構造における周期の簡単な整数倍では表せない構造をいう。→超格子、相転移

部分転位
partial dislocation

(完全)転位のバーガースベクトル b の大きさは格子点から格子点までの長さであるが、原子が移動するとき格子点ではない準安定な位置 b1 が存在することがある。このとき、完全転位は b=b1+b2 に分解することがある。これらの b1、b2 を部分転位という。転位のエネルギーはバーガースベクトルの 2 乗に比例するので分解(拡張)は可能であるが、二つの部分転位の間に積層欠陥が導入されるので、積層欠陥の面エネルギーの大きさによって拡張が起こるかどうかや拡張の距離が決まる。拡張の距離が短い場合、ウィークビーム法での観察が有効である。→転位、積層欠陥

ブロッホ壁
Bloch wall

互いに 180°磁極の向きが変わる磁区の境界の構造の一種。磁壁に平行な面内で磁化が徐々に回転して隣の磁区につながる。厚さ 100nm 以上のバルク試料でとる磁壁構造。磁壁の厚さは鉄で 50nm 程度。磁壁を含む二つの磁区からの電子回折図形を見ると、二つの磁区からの回折斑点を結ぶ直線上に磁壁部分からのディフューズな強度が現れる。→ネール壁、ローレンツ電子顕微鏡法

分域
ferroelectric domain

電場がなくても、自発的な誘電分極がある強誘電体において、分極の方向がそろっている領域のこと。→強誘電体

変位
displacement

ここでは原子変位の意味で、転位や積層欠陥での格子点から原子が移動すること、あるいは相転移に伴って構造変化が起こったときの原子の移動を指す。

変形
deformation

応力、温度、化学的変化などによる収縮膨張によって生ずる物体の形状または寸法の変化。

偏析
segregation 

金属や合金中の不純物あるいは成分元素の分布が不均一になる現象。合金の凝固の際しばしば起きる。

変調結晶
modulated crystal

通常の結晶に、その結晶の周期の非整数倍の波長を持つ原子変位や組成変化が加わったものをいう。変調のない構造による反射のまわりに衛星反射が現れる。変調を表す波が横波か縦波かで衛星反射の出方が異なる。→不整合構造、超格子、相転移

ミラー指数
Miller index

結晶の格子面を指定する三つの指数 h,k,l 。 格子面が結晶軸と交わる座標 u,v,w と結晶軸の長さ a,b,c との比 a/u,b/v,c/w で与えられる。これらの比が分数になるときは整数化したものを使う。→格子面

誘電体
dielectric material

絶縁体と同義語。自由電子がなく、全ての電子が原子や分子によって束縛されている物質。これに電場をかけると、自由電子がないので電流は流れないが、誘電分極により誘電体の表と裏の面に正負の電荷が発生する。→強誘電体、常誘電体、反強誘電体、金属

誘電率
dielectric constant

誘電体に電圧を加えたとき、分極のしやすさの程度を示す量。物質に電気を溜める容易さを表す量。

螺旋軸
screw axis

空間群の対称要素の一つ。ある直線を軸として、結晶全体を一定角度、回転させた後に、その軸に平行で結晶の単位胞の 1/2、1/3、1/4、1/6 の並進操作をひき続き行ったとき、元の結晶と一致する場合、この軸を螺旋軸という。→空間群、映進面

粒界
grain boundary

多結晶固体における各結晶粒どうしの境界のこと。結晶粒界ともいう。→境界

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