鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 臨床検査システム CLALISで業務効率化

  • 概要

~ISO15189認定の維持に貢献~

鹿児島大学病院検査部は、信頼性の高い臨床検査を目指してISO15189:2007を2012年3月に取得し、第1回サーベイランスを経て、検査システムと機器の更新のタイミングを迎えた。検査システムの維持管理を長年担ってきた松下昌風技師長は、ISO15189認証の維持と業務効率の改善に加え、新たな検査システムの構築を若手に任せることにした。新たに導入した臨床検査システム「CLALIS」の選定と立ち上げで中心的な役割を果たした佐藤香奈子主任、中村政敏技師らに話を聞いた。

病院概要

鹿児島大学病院

鹿児島大学病院(鹿児島市)は全720床。1日平均外来患者数は837人(2011年度、医科)、1日平均入院患者数は510.1人(同)。6つの先進医療を実施し、県内唯一の特定機能病院として「医療人の育成及び医学・歯学の研究の充実と発展に貢献すると共に、常に患者さん本位の原点に立った、質の高い医療を提供します」を理念に診療に当たっている。検査部は橋口照人部長、松下昌風技師長の下、日々の診療を支えている。
12年にISO15189:2007の認証を取得。13年2月には第1回サーベイランスも行われ、ISO15189維持に向けた活動を続けている。 ISO活動を行う中で、手書き書類の煩雑さや記載ミス、記載漏れが課題になった。それまで同検査部では多くの書式をExcelで作成しており、必要に応じてプリントアウトし、手書きで記録・押印するシステムとなっていた。中村技師は「記載ミスや記載漏れもあり、手書きで記録・押印するのは煩雑な作業だった」と話す。佐藤主任も「試薬のロットの使い始めや、どのロットでキャリブレーションをしたのかなど、手書きでは書き損じもあった」と振り返る。 検査システムの更新時期が13年5月に迫り、書式のシステム化、検査システムへの組み込みがコンセプトの一つとなった。

記載・報告の漏れが解消

こうした中、13年5月、臨床検査システムとして「JCS-50L CLALIS」を導入し、運用を開始した。従来は、緊急連絡値は別途準備した一覧表でチェックしており緊急連絡値を見つけると電話連絡した旨などの対応を手書きで残していた。業務の負荷などによって記載漏れや報告漏れもあったが、CLALISによってまずここが改善した。「CLALISメッセンジャーという仕組みで緊急連絡値はポップアップと音で通知されます。結果登録も普通の結果とは色が変わるので緊急連絡値だと分かります。電話連絡などは付加コメントとして臨床側にも伝わるようにしています」。中村技師は、緊急連絡値を認識できるようになり対応記録簿にも記載漏れがなくなったと説明する。 試薬やキャリブレーターのロット番号なども、CLALIS上で自動登録・コメント追加したものを印刷して管理帳簿とすることにより、記載ミス・漏れがなくなった。

解析画像は自動でPDFに

従来システムでは不十分だった院内の上位システムとの連携も、CLALISの導入で改善されている。 これまでフローサイトメトリー関連
検査の解析データは、データごとにプリントアウトした上で、患者名や病棟などの必要事項を記入し、スキャナーで読み込ませて上位システムへデータを飛ばしていた。現在は、解析システムと連携しているCLALISを活用することで、プリントアウトとスキャニングを省略でき、解析データは自動でPDF化され上位システムに飛ぶようになっている。血液検査を担当する政元いずみ副技師長は記載ミスがなくなったとしてCLALIS導入によるシステム化は有用と評価する。

「止まらない」生化学検査を

検査システムと同時に生化学分析機器も更新した。CLALISとの連携も踏まえてBioMajesty™( 搬送接続でJCA-BM6070×3台、スタンドアローンでJCA-BM6010×1台)を導入した。佐藤主任は、「以前の装置も3台あったが、1台でもコントロールが外れるなどの不調があると、直列の運用であったため、ルーティンが開始できない」と、検査が滞る要因にもなっていたと振り返った。また、当直帯は別の機器を使用していたため、検査データの整合性の面も気に掛かっていた。 「検査を止めたくなかった」と佐藤主任。新たに導入したBM6070では3台を並列に運用できる構成としリスク分散を図った。また夜間休日の当直機運用を廃し、メインラインのBM6070を1台動かすことで当直機との機種間差に気を遣うこともなくなった。「並列で運用しているので順繰りにメンテナンスもでき、TATも短縮しました。TATが短くなったことで『結果はまだか』といった診療からの問い合わせも減りました」と、新たな運用による手応えを感じている。 CLALISについて、佐藤主任や政元副技師長はポップアップ機能をさらに充実させたい意向だ。また、中村技師は「不確かさの管理」やISOで要求されている機種間差のシステム化にも取り組んでいきたい考えで「今後、システムをより良いものにして、臨床に貢献していきたい」と展望する。

鹿児島大学病院検査部の皆さん

検査室の皆さん

(The Medical & Test Journal 2014年3月21日 第1265号掲載)

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