使ってみようESRシリーズⅤ ESR条件調整法 ステップ2 マイクロ波パワー決定

  • 概要

ER060008

ESRで測定できる試料は大変広範囲に亘ります。けれども、実際にそれぞれの試料を測定する場合、具体的にどのようにすれば情報が得られるのか、分からないケースがあるでしょう。
本シリーズでは、ESRの測定フローと各ステップで注意すべきことをご紹介します。
5回目は最適マイクロ波パワーの決定です。

 
 

ステップ2. マイクロ波パワーの決定法

ステップ1.の暫定条件で得られた信号のうち、最大の1本のみが測定できるように、レコーダー上で測定開始位置を設定します。
FAシリーズでは、測定画面で部分測定領域 の設定が可能です。

  1. 暫定条件で掃引し、信号強度(図1:ピークの山から谷の高さ) を読み取って記録します。
  2. 1.の2倍のマイクロ波パワーを設定して掃引し、信号強度を読み取って記録します。
  3. 更にマイクロ波パワーを倍々に設定し、信号強度のマイクロ波依存性を図2のように調べます。
図1 信号強度の読み取り
図1 信号強度の読み取り
図2 信号強度のマイクロ波パワー依存性
図2 信号強度のマイクロ波パワー依存性

図2に示したように、信号強度は√パワーに比例して増強しますが、ある値以上のパワーで直線性がくずれ、比例しなくなります(マイクロ波の飽和)。これは試料の特性の一つですから、飽和するパワーは試料によって異なります。新しい試料を測定する場合には必ずパワー依存性を確認してください。図の直線性が保たれている範囲(図2各試料のカーブの矢印で示した値以下)内の値であればいいので、信号強度を確認しながら最適値を決定してください。
この測定で直線性が認められない場合は、ここで設定した最低パワーで既に飽和している可能性があります。パワーを1/2 ずつに低下させて測定し、パワー依存性を確認してください。信号が小さくなりますので適宜増幅率を上げて測定し、直線性のある範囲を把握してパワーを決定してください。

図3 石英中E’スペクトルのパワー依存性
図3 石英中 E'スペクトルのパワー依存性
 

図3に石英中E’の例を示しました。0.002~0.01mW はパワー依存性に直線性がある範囲で正しい波形が得られますが、0.2mW では信号強度に減衰が見られています。更に1mWではパターンが異常(位相の逆転)になっています。これは極めて特殊な例で、単純にマイクロ波の飽和が位相の逆転の原因ではありませんが、不適切なマイクロ波パワーで測定を行うと、信号がブロードになったり波形に異常が生じることもあり、正確なスペクトルが測定できなくなりますので注意してください。
次はアプリケーションノートER-06009ステップ3変調磁場の設定へ移ります。

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