使ってみようESRシリーズⅥ ESR条件調整法 ステップ3 変調磁場の設定

  • 概要

ER060009

ESRで測定できる試料は大変広範囲に亘ります。けれども、実際にそれぞれの試料を測定する場合、具体的にどのようにすれば情報が得られるのか、分からないケースがあるでしょう。本シリーズでは、ESRの測定フローと各ステップで注意すべきことをご紹介します。
6回目は変調磁場幅の最適化です。


ステップ3. 変調磁場の設定法

適切なマイクロ波パワーの設定ができたら、次はステップ3変調磁場の設定へ移ります。
磁場変調はESRに特徴的な機構で、これによりスペクトルは単純な吸収波形から微分波形に変換されます。その結果、分解能やS/N比が向上するというメリットがあります。しかし、不適切な変調幅を選択すると、かえって分解能が低下したり感度が下がることもありますので、注意が必要です。

次の操作で適切な変調幅を求めます。
  1. ステップ2.で求めたマイクロ波パワーで暫定掃引し、信号強度(図1:ピークの山から谷の高さ) を読み取って記録します。
  2. 1.の2倍の変調磁場幅を設定して掃引し、信号強度を読み取って記録します。
  3. 更に変調磁場を倍々(あるいは半分)に変更し、信号強度の変化を図2のように調べます。
図1 信号強度の読み取り
図1 信号強度の読み取り
図2 信号強度の変調磁場依存性
図2 信号強度の変調磁場依存性

操作は、ステップ2.のマイクロ波パワーの設定法と似ていますが、ここでは横軸に変調磁場幅の値をそのままプロットします。図2に示したように、信号強度は変調磁場の値に比例して増強しますが、ある値以上で直線性がくずれ、比例しなくなります(over-modulation)。これは試料の特性の一つですから、飽和する変調幅は試料によって異なります。新しい試料を測定する場合には必ず変調磁場の依存性を確認してください。図の直線性が保たれている範囲(図2各試料のカーブの矢印で示した値以下)内の値であればいいので、信号強度を確認しながら最適値を決定してください。

図3 脱酸素したTEMPOL溶液スペクトルの磁場変調幅による差
図3 脱酸素したTEMPOL溶液スペクトルの磁場変調幅による差

図3には、脱酸素処理したTEMPOL溶液を変調磁場を変えて測定した例を示しました。脱酸素化してあるためTEMPOLは本来の分裂を示すはずですが、変調磁場が大きいと微細分裂が得られません。正しいスペクトルを得るために、必ずover-modulation の値を確認してください。
次は、アプリケーションノートER-06010ステップ4掃引速度(測定速度)と時定数の設定です。

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