使ってみようESRシリーズ ~Ⅶ ESR測定条件調整 ステップ4. 掃引時間、時定数の設定

  • 概要

ER070001

ESRで測定できる試料は大変広範囲に亘ります。けれども、実際にそれぞれの試料を測定する場合、具体的にどのようにすれば情報が得られるのか、分からないケースがあるでしょう。本シリーズでは、ESRの測定フローと各ステップで注意すべきことをご紹介します。7回目は掃引時間と時定数の選択です。

ESR測定フロー

ESR測定フロー

ステップ4.掃引時間(測定速度)と時定数の選択法

適切な変調磁場の設定ができたら、次はステップ4.掃引時間と時定数の選択です。
掃引時間と時定数の設定は、バランスが大切で、不適切な組み合わせを選択すると、見かけの分解能が低下したり感度が下がることもありますので注意が必要です。
時定数が小さいほど信号情報は正確にスペクトルに反映されます。しかし、同時にノイズが大きくなりますのでS/N が低下します。S/N の良いスペクトルを得るには時定数をある程度大きく設定する必要がありますが、掃引時間が不十分な場合スペクトルが歪むため正しい測定が出来ない恐れがあります。
図1~3に掃引時間30secで、時定数を変更した場合のカーボンのスペクトルを示しました。

図1 Time Constant:0.01sec

図2 Time Constant:0.1sec

図3 Time Constant:1sec

図4 図1~3の比較


図4に図1~3を重ねて表示しました。
時定数が最小の0.01sec の場合は波形に表示できましたが、ノイズが大きくS/Nの悪いスペクトルです。
時定数を0.1sec にするとノイズは軽減されました。
更に長く1secにすると、ピークトップおよび信号の中心がずれることが示されました。
これは正確な線幅やg値を得られなくなることにつながります。
特に、構造解析を目的とする測定の場合、正しい解釈をする妨げとなりますので注意が必要です。

図5 時定数が分裂に及ぼす影響






図5にシャープな分裂を与えるペリレンの例を示しました。いずれも掃引時間を2minとし、時定数を変更して得られたスペクトルを比較しました。
時定数0.01sec-0.1secではS/N比が異なりますが、同等の分裂が得られています。
しかし、1secでは全く異なるパターンを示しました。同時に信号強度が低下し、かなり感度の良くない結果となりました。
時定数を1secとすると、S/Nが向上しますが、この場合は掃引時間を長く設定することが必要になります。
0.01, 0.1sec でのスペクトルと比較して、同等の分裂が得られる掃引時間を検討してください。
このように、正しいスペクトルを得るためには、試料ごとに掃引時間と時定数の調整をすることが大切ですのでご注意ください。

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