固体高分子試料の13C MASスペクトル分解能に対する1Hデカップリング強度の効果

  • 概要

NM130015

固体高分子試料に対する1Hデカップルド13C MASスペクトル(CPMAS、DDMASスペクトル)が高い分解能で得られると、13C共鳴線の線形-肩(shoulder)や分裂(splitting)-から、高分子のtacticityの分布や試料の不均一性などの情報が得られます。下図はシンジオタクティック ポリプロピレンに対する13C CPMAS スペクトルであり、(a) は1Hデカップリング 磁場強度n1 が 116 kHz(90 ゚パルス幅がtw=2.16 ms)、(b)は n1が 80.6 kHz(tw=3.10 ms)で測定した結果です。

シンジオタクティック ポリプロピレンに対する13C CPMAS スペクトル

図より明らかに、強い1Hデカップリング照射を行なうことによって分解能が向上します。たとえば(a)において、outer CH2および CH3に対して はっきりとした肩が確認され、またCHのsplittingからアモルファス成分と結晶成分の違いが明確になっています。 直接結合した13C-1H間の双極子相互作用nCH は20kHz程度であり、これを平均化する1H-13C異種核デカップリングは、強度n1が80kHzでも120kHzでも、nCHを十分平均化して除去します。しかしながら、多くの有機固体試料では13C、1Hに加えて「第3の核」としての1Hが13C共鳴線の分解能を低下させます。 模式的な例としてCH2系を考えると、大きさが nCH=20kHzの2つの13C-1H双極子相互作用に加えて、nHH=20kHzの1H-1H双極子相互作用が存在します。1H-1H双極子相互作用は多重パルスなどで完全には除去できず、1H化学シフト異方性との高次の交差摂動項を通じて 13C共鳴線の分解能を低下させます。一方、1H-1H双極子相互作用をそのまま放置すれば、いわゆる「セルフデカップリング現象」により自ら除去されますが、MASの下ではその効果が限定的になります。TPPMデカップリングは MASにより減少した1H-1H双極子相互作用をある程度復活させ、セルフデカップリングにより13C共鳴線の分解能を向上させています。

参考文献

P. Hodgkinson, Prog. NMR Spect., 46, 197-222 (2005).

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