• 概要

NM100008

NMRは分子を構成する原子の数をスペクトルから読み取ることができます。従って、基準物質と測定対象物質の信号の積分強度比より定量することが可能です。 定量NMR(quantitative NMR:qNMR)では測定対象物質そのものの標準品を必要とせずに定量分析を行うことが可能ですので、他の定量分析よりも測定対象物質の範囲や応用が広がります。
このアプリケーションノートでは韃靼そば中の機能性成分であるクエルセチンを韃靼そば抽出液から直接qNMRで分析した例をご紹介します。

測定対象物:クエルセチン

韃靼そばには主成分として機能性物質ルチンが多く含まれており、健康食品として注目されている。しかしながら市販の韃靼そばめん中にはルチン分解酵素が存在すえるため、ほとんどルチンは検出されずクエルセチンが主成分として検出される。
ルチンやクエルセチンは代表的なフラボノイドの一種

クエルセチン
クエルセチン
図1 韃靼そばのqNMRスペクトル JNM-ECA600
図1 韃靼そばのqNMRスペクトル JNM-ECA600

研究方法:韃靼そば抽出液中のクエルセチンを、HPLC及びqNMRで定量分析する。

図2 市販試薬ルチン、市販試薬クエルセチン、韃靼そばのqNMRスペクトル
図2 市販試薬ルチン、市販試薬クエルセチン、韃靼そばのqNMRスペクトル

表1 測定条件(JNM-ECA600  パラメータ)
パラメータ名
観測核 1H
観測範囲 -5ppm~15ppm
データポイント数 32K
デジタルフィルタ ON(8倍)
繰り返し時間 60秒
フリップ角 90°
積算回数 8回
測定温度 25℃
スピニング OFF

NMRスペクトルを比較すると、クエルセチンとルチンの6,8,5’,6’位に由来するシグナルはほぼ完全に重なること、韃靼そばのNMRスペクトルより6,8,5’,6’位には微量のルチンとともに他のフラボノイド配糖体などに由来する信号が確認されたので、解析には2’位を使用した。

まとめ

  1. qNMRにより韃靼そば中のクエルセチン純度を測定することができた。
  2. qNMRにより得られた値を標準品の純度として、LCで定量分析を行った結果、qNMRにより直接得られた分析結果とほぼ一致した。
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qNMRは正確な純度が値づけられた、定量用標準品が手に入らない場合において有効な分析法であるが、感度の点においてはクロマトグラフ法より低い。しかし、qNMRを用いて使用する標準品の値付をして、クロマトグラフによる分析を行うなど、組み合わせることにより、それぞれの弱点を補完することでより信頼性の高い定量分析へつながる可能性が確認された。

図3 韃靼そば中のクエルセチン定量分析結果比較
図3 韃靼そば中のクエルセチン定量分析結果比較
* LC分析での標準として使用したクエルセチン試薬はqNMRより求めた純度で補正した。

参考文献

N.Sugimoto, A.Tada, T. Suematsu et al. , Jpn.J.Food Chem.Safety, 17(3),179-184

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