• 概要

ER160010

活性酸素種(ROS)の中でも、一重項酸素(1O2)は反応性が極めて高いことが知られており、生体防御の観点から注目されています。図1に示したように、1O2は分子軌道の電子スピンが反平行状態にありラジカルではありません。しかし、検出試薬;TMPDを使用すると、図2に示したように1O2により酸化されTMPDが生成します。これをESRで測定することにより、間接的に1O2をESRで評価できます。この反応はスピントラップではありませんが、TMPDを用いることで他のROSと同様のプロトコールで1O2に対する抗酸化能を評価1)することが可能です。以下で、ESRによる1O2消去活性の評価を行う例をご紹介します。

1O2の生成試薬として、リボフラビン(Rf)を使用しました。図2に示したように、検出試薬TMPDと共に光照射(>400nm)すると、励起されたRf が溶存酸素(3O2)を1O2に変換します。これによりTMPDがTMPD に酸化されます。 TMPDのESRスペクトルを図3に示しました。標準ラジカルとして多用されるTEMPOLと比較すると、非常にシャープな信号を与えることが特徴です。3本の信号の内、最も低磁場側の信号強度を求めてTMPD量の指標とします。

酸素分子の2p軌道の電子配置
図1 酸素分子の2p軌道の電子配置2)
1Σgは溶液中で極めて不安定で直ちに1Δgに変換するので、通常の化学反応に関与するのは1Δg酸素だけといわれる。
1O2により生成するTMPD・
図2 1O2により生成するTMPD
TMPD・のESRスペクトル
図3 TMPDのESRスペクトル
1O2消去剤の一つとして知られるNaN3を標準物質3)として用い、無添加(Control)および異なる濃度(0.78mM, 3.13mM)のNaN3 を添加した例を図4に示しました。 NaN3の用量依存的に信号が減少しました。これらの信号強度を計測して検量線を作成し、1O2の消去活性を求めることができます。活性値は、NaN3濃度相当値として求めることができます。評価プロトコールを下に示しました。
NaN3による1O2の消去
図4 NaN3による1O2の消去
NaN3による1O2の消去 評価プロトコール
1O2消去能の比較

図5 1O2消去能の比較

図5に液体状食品の1O2消去能の例を示しました。いずれの試料も無作為に選択した銘柄の試料です。他のROSの消去能と同様に、原材料や製法により1O2消去能も異なるものと予想されます。

食品だけでなく化粧品やヘアケア製品等でも、1O2消去能という機能性は注目されていますので、こうした製品の開発や評価にも有用と考えられます。

参考資料

このページの印刷用PDFはこちら
クリックすると別ウィンドウが開きます。

PDF 594KB

カテゴリーからアプリケーションを探す SEARCH APPLICATIONS

関連製品 RELATED PRODUCT