• 概要

ER170004

アプリケーションノートER-150004で、耐熱性樹脂ポリアミドイミド(PAI)の高温劣化評価の例をご紹介しました。段階的に樹脂を昇温し測定するという、一過性の熱負荷応答を調べたものでした。今回、低温領域での熱応答性が異なるPAIを入手し、熱劣化に伴うラジカル種の変化を検討しましたのでご紹介します。

以下のように評価を行いました。

  • 試料:市販のPAI(耐熱温度;250°C)直径3mmの棒状試料を10mmに切断
  • 装置:JES-X320 + 400°C-VT(温度可変装置)
  • 測定:試料を室温で測定後、200あるいは350°Cで80分間加熱し測定。その後室温測定

結果を図1、2に示しました。既に報告したように、PAI は室温でも2種類のラジカル(-CO·および窒素由来ラジカル)を含んでおり、加熱により-CO·ラジカルが増加しました。
両図で表示のMnマーカーは同量ですが、図2でその強度が小さいことは、350°Cで生成したラジカル量が多いことを意味しています。

200°C加熱後では、冷却によりラジカル量はほぼ初期に戻りましたが、350°C加熱では、冷却後もラジカル量は初期よりかなり多くなりました。PAI は一旦350°Cに加熱すると、新たに比較的安定なラジカルが生成することが分かりました。
主ラジカルのg値は、加熱前および200°C加熱では2.004(C-O·)でしたが、350°C加熱によりg=2.003(C·)に変化しました。図のスペクトル上では、表示の線の幅程度の変化ですが、ここで観測されたg値の変化は樹脂が変性したことを示しています。

PAI中ラジカルの加熱による変化(200℃)

図1 PAI中ラジカルの加熱による変化(200°C)

PAI中ラジカルの加熱による変化(350℃)

図2 PAI中ラジカルの加熱による変化 (350°C)

このように、ESRを用いて樹脂の熱劣化をラジカル生成の観点から評価することにより、劣化メカニズムに関する新たな情報が得られると期待されます。400°C-VTによる熱劣化の評価をご検討いただいてはいかがでしょうか。

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