• 概要

ER180008

熱による塗料のESR信号の変化-1

試料は、市販のHALS配合の塗料(塗装用)を用いて、220°Cにて加熱しながらESR測定を行いました。図1に加熱時間ごとのESR信号を示します。加熱開始から約2分でg=2.006付近にニトロキシドラジカルに由来するESR信号が観測されました。アプリケーションノートER180007 の室温での結果と比べて、220°Cにて対称的なESR信号として観測されているのは、昇温により試料の運動性が向上したためと考えられます。このニトロキシドラジカルのESR信号は時間とともに徐々に大きくなり、やがて減衰する傾向が観測されました。ニトロキシドラジカルの信号が減衰するにつれて、g=2.003付近にカーボンラジカルのESR信号が観測されました。加熱により試料は黒く変色することが確認されました。
図2は、ニトロキシドラジカルのESR信号強度(赤線)を縦軸に、加熱時間を横軸に示しました。ニトロキシドラジカルのESR信号強度は、カーボンラジカルの信号と重ならない低磁場側のピークを用いました。図2より、ニトロキシドラジカルのESR信号は、加熱から約16分付近で最大になり、それ以降は徐々に減少し、約240分以降では、ほぼ消失していることがわかります。図3は、カーボンラジカルのESR信号強度(青線)を縦軸に、加熱時間を横軸に示しました。カーボンラジカルのESR信号強度は、ニトロキシドラジカルの中央の信号と一部重なるため、ベースラインから下側の成分のみを評価しました。図3より、カーボンラジカルのESR信号は加熱から約40分付近から観測されはじめ、それ以降は徐々に大きくなっていることがわかります。つまり、加熱開始から約16分を過ぎるとHALSによる劣化防止機能が徐々に低下し、約40分以降は塗料自体の劣化が進行している可能性があります。この様な実験を行うことで、試料の耐熱性や長時間の熱負荷による劣化評価を行うことが可能と考えられます。

加熱によるESR信号の変化

図1. 加熱によるESR信号の変化

ニトロキシラジカルのESR信号の加熱時間による変化

図2. ニトロキシドラジカルのESR信号の加熱時間による変化

カーボンラジカルのESR信号の加熱時間による変化

図3. カーボンラジカルのESR信号の加熱時間による変化

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