• 概要

NM200007

等級の低い廉価な試料管の中には、反りが大きかったり、肉厚の均一度が低かったり、歪みが大きかったりするものがあり、分解能に悪影響を及ぼすことがあります。 低磁場装置では、使い捨て試料管などの等級の低い試料管を用いても分解能には比較的影響はありませんが、高磁場装置では影響が顕著に現れることもあります。 また、使い捨て試料管の場合、公称値に比して試料管が太いためにサンプルホルダに挿入できなかったり、反対に細いためにサンプルホルダにセットしても緩かったりすることもあります。

等級の低い試料管の限界

使い捨て試料管が分解能に及ぼす影響を見るために、400 MHzと600 MHzの装置で測定して比較しました。 サンプル溶液はあらかじめ調製し、使い捨て試料管10本に分注しました。 グラジエントシムは磁場補正の反復回数を2回で行いました。
400 MHzの装置では、10本中1本の分解能が上がりませんでした(図A)。 一方、この10本のサンプルを600 MHzの装置で測定したところ、10本中4本で良い分解能が得られましたが、5本はあまり良い分解能ではなく、1本は分解能の悪い結果となりました(図B)。 同じ等級の試料管でも、分解能が上がるものと上がらないものがあります。 また、400 MHzの装置で分解能が上がったからといって、600 MHzの装置でも上がるというわけではありません。 試料管の歪みから生じる静磁場の歪みは磁場強度に比例します。 磁場強度が大きくなるにつれ、試料管の歪みが分解能へ及ぼす影響が大きくなることに注意する必要があります。

同一サンプル10本の分解能

同一サンプル10本の分解能
(A)400 MHz装置での分解能調整の結果(B)600 MHz装置での分解能調整の結果

良い分解能が得られなかった場合、磁場補正の反復回数を多くしたりグラジエントシミング後にオートシムやFIDシムによる磁場補正を追加したりすることで分解能を改善できる場合もありますが、改善できない場合もあります。 すなわち、装置の磁場強度に応じた精度の高い試料管を用いることが、安定して分解能の良いデータを得ることにつながります。 磁場強度に対して適切でない試料管を用いると、分解能が確実に上がるとは言えなくなります。
同一試料について400MHzの装置では分解能の良いデータが得られたのにそれより高磁場の装置では分解能が上がらない、という場合、上述のように試料管の等級が関係している可能性もあるのでご注意ください。 ただし、等級の低い試料管だからといって、必ずしも分解能が悪くなるわけでもありません。 一旦試料調製してしまうと、試料管の等級が不明になってしまいがちです。 分解能が上がらない原因として試料管の等級が疑われる場合は、試料管の変更を検討することをお勧めします。  

傷の付いた試料管を用いた場合の分解能

精度の高い試料管であっても、傷が付いてしまうと磁化率が局所的に歪み、分解能が上がらない原因になります。 下図中央のスペクトルは、傷の付いた試料管で測定したデータです。 グラジエントシム条件は傷なしの場合(下図左)と同一ですが、分解能が上がりませんでした。 Gradient Shim Toolを使ってシミングすると、磁場補正時の磁場マップ(下図下段)を見ることができます。 この図から、傷のあるところでは磁場マップが歪んでいるのがわかります。 磁場補正の結果が収束するまで反復回数を増やしても、分解能は改善しませんでした(下図右)。 試料管に傷が付いてしまったら、基本的には試料管を交換することを強くお勧めします。 常に良い分解能を得るためには、精度の低い試料管や傷の付いた試料管を、精度の高い試料管と混ぜないように注意することが重要です。

傷が分解能に与える影響

傷が分解能に与える影響
(左)傷なし試料管、磁場補正反復回数 2 (中)左のデータを測定後に試料管に傷を付けた。磁場補正反復回数は傷なしの時と同じ2回。
(右)中央のデータと同一サンプル。 磁場補正反復回数を自動収束で判定し回数を増やした。

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