• 概要

IB2020-05

アルゴンのブロードイオンビームを使用するCP (クロスセクションポリッシャ™) とガリウムの集束イオンビームを使用するFIBは、共に断面試料が作製できる試料作製装置である。しかし、使用するイオンビームや試料作製手法の違いから、作製される断面試料の特長も大きく異なる。
試料にユニバーサルプリント基板 (Fig.1) を用いて、CPとFIBでそれぞれ断面試料を作製し、それらの特長を説明する。

Fig.1 ユニバーサルプリント基板

Fig.1 ユニバーサルプリント基板

左:ユニバーサル基板の全体写真、右:スルーホール部の拡大写真

クロスセクションポリッシャ™(CP)

クロスセクションポリッシャ™(CP) はブロードなArイオンビームを試料に照射し加工を行う断面試料作製装置である。
加工原理は、試料表面に遮蔽板を設置し、イオンビームを照射することにより、遮蔽板から突出た試料部を加工するものである。数 mmの幅を持つ断面試料が作製可能で、研磨や切断が困難な複合材料においても良好な断面試料が作製できる。

CPによるスルーホールの断面試料作製

クロスセクションポリッシャ™(CP) を用いて、ユニバーサルプリント基板のスルーホール部で断面試料を作製した。
Fig.2の点線の位置で断面試料作製を行った。試料作製時間は約15時間であった。
作製した断面のSEM観察像をFig.3に示す。幅 1.8 mm、深さ 1.5 mmの広範囲の断面が作製できており、また、めっき、ガラスファイバーやエポキシ樹脂の複合材料で平滑な断面が作製できたことが分かる。


Fig.2 スルーホール部の表面画像
Fig.3 CPで作製した断面のSEM像 (反射電子組成像)

Fig.3 CPで作製した断面のSEM像 (反射電子組成像)

集束イオンビーム (FIB)

集束イオンビーム (FIB) はGaイオンビームを細く集束させ試料表面上の任意の領域を走査することにより、その領域の走査イオン顕微鏡 (SIM) 像観察と数十 nmレベルの位置精度の加工が行える装置である。
SIM像により試料作製位置が指定でき、試料作製する領域のみミリング加工を行うため、狙った位置で短時間に断面試料が作製できる。

FIBによるめっき異常部の断面試料作製

FIBを用いて、ユニバーサルプリント基板のめっきの膨れ異常部 (Fig.4) と凹み異常部 (Fig.7) で断面試料を作製した。
それぞれ、Fig.4とFig.7の点線の位置で断面試料作製を行った。試料作製時間はどちらも約20分であった。
作製した断面のSIM像をFig.5, 6 と Fig.8, 9 に示す。どちらも断面試料も異常部の位置で正確に作製できた。また、めっきの膨れ異常は銅めっきの剥がれが原因であり、めっきの凹み異常は銅めっきの凹みが原因であることが分かった。

Fig.4
めっき膨れ異常部の表面画像 (SIM像)

点線の位置で断面試料を作製した。

Fig.5
作製した断面試料 (SIM像)

断面試料のサイズ:幅60μm、深さ20μm
試料作製時間:20分

Fig.6
断面観察像 (SIM像)

異常部で正確に断面が作製できており、銅めっきの剥がれが異常の原因であることが分かった。

Fig.7
めっき凹み異常部の表面画像 (SIM像)

点線の位置で断面試料を作製した。

Fig.8
作製した断面試料 (SIM像)

断面試料のサイズ:幅60μm、深さ20μm
試料作製時間:20分

Fig.9
断面観察像 (SIM像)

異常部で正確に断面が作製できており、銅めっきの凹みが異常の原因であることが分かった。

CPとFIBによる断面試料の特徴比較

CPとFIBの断面試料作製における特長をTable.1 にまとめた。
ユニバーサルプリント基板の断面試料作製の事例のように、CPは広範囲の断面試料作製に、FIBは特定の位置の断面試料作製に優れている。
CPは試料の構造解析に、FIBは試料の欠陥解析などに有効である。

Table.1 断面試料作製におけるCPとFIBの特徴

装置 イオン源 最大加工幅 加工位置精度 主な用途
CP Ar 8 mm※1 3 μm程度※2 構造解析などに有効
FIB Ga 数100 μm 10 nm程度 欠陥解析などに有効

※1 広域加工ホルダー (IB-11730LMH) を使用した場合。
※2 精密加工位置合わせ顕微鏡 TYPE2を使用した場合。

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