北海道立小児総合保健センター検査部 カンファレンス参画で医師と患者情報を共有

  • 概要

生理検査の予約制撤廃も志向

【導入事例】北海道立小児総合保健センターを訪問しました。

1. 病院概要

北海道立小児総合保健センター(小樽市)の検査部は、病棟カンファレンスに毎日参画し、患者情報の収集とともに、医師、看護部門との積極的な情報交換に努めています。最近では、小児特有の症状の急速な変化を的確に捉えるため、臨床側から要望されていた各種ウイルス検査も院内での緊急対応項目に加えました。今後の課題は脳波検査の予約制の撤廃です。患者中心の医療提供体制を臨床側とともに追求する構えです。

同センターは、高度で専門的な診断・治療を行う道内唯一のこども病院です。1977年の開設以来、診療体制は(1)紹介制予約診療 (2)チーム医療による統合診療 (3)1患者1カルテ方式-をとっています。

運用病床は105床で、ICU5床、新生児病棟30床(うちNICU6床)、乳児病棟、幼児病棟が各35床です。東北6県に相当する面積をもつ北海道全域から訪れる外来患者は1日平均約55人で、大学病院などの医療機関からの紹介が8割を占めます。平均在院日数は約27日、病床利用率は約78%です。

現在、同センターは、道立肢体不自由児総合療育センター(札幌市)と一体的に整備する方向で検討が進められています。今年3月に策定された整備構想によると、新施設の機能には周産期医療や小児がんの集学的医療などが掲げられています。小児科を標榜する医療機関の激減や、未熟児が生まれる確率が高まるなど、同センターへの期待は高まるばかりです。

2. BM1250で微量検体から多項目測定を実現

検査部(部長1人、病理医1人、臨床検査技師10人)は、技師が輪番制で病棟とICUのカンファレンスに毎日参画します。カンファレンスで得られた患者情報などは、毎朝のミーティングで報告され、全スタッフの共通認識にします。やはり、こども病院とあって「サンプルを"1滴追加して下さい"ですら言いづらい」(老克敏主任技師)のだそうです。

日常から臨床側と臨床側と密なコンタクトをとり、時系列の検査データを評価する力を養っておけば、再検が容易にできないなか、パニック値が出た場合にも迅速に対応できるとみています。

同部が行う検査は1日平均約50検体です。このうち新生児の検体が3分の1を占め、キャピラリーを使って採血されるケースも2~3件あります。従来使っていたのは、主に動物実験で使われる微量生化学自動分析装置で、その後継機として同部が選んだのが、日本電子製のBioMajesty™(JCA-BM1250)です。

BM1250に決めたのは、「分析に必要な検体量が1番少なかったから」と老主任技師は言います。BMシリーズの特長である検体前希釈機構で、最大5625倍希釈ができ、しかも反応液量80μlからの分析が可能です。同部は、元血清50μlを5倍希釈した後,21項目を分析しています。

生化学検査の実施科は10項目以上は175点のマルメですが、老主任技師は、「子どもは臨床症状を十分訴えない。採算を度外視してでも検査項目はある程度必要だ。」と話しています。“微量検体から多項目測定"しなければならないという、小児医療特有の検査ニーズに最もマッチしたのが、BM1250でした。

3. 各種ウイルス検査を迅速報告

また、操作の簡便さもポイントになりました。同部は技師全員が順番で、夜間・休日の急患に対応するオンコール体制をとっています。ルーチン検査と緊急検査は同じ分析機を使うため、誰でも確実に操作できる必要がありました。

老主任技師は「声を大にして言いたい。」と前置き、「成人でも採血量は少ない程よいはず。にもかかわらず、検査のスピードばかりを競い、採血量に注目した分析機がない。」と現在の開発スタンスに懸念を示しました。

BM1250の導入がきっかけで同部は、院内で新たにRS、アデノ、ロタ、マイコプラズマ、インフルエンザの各ウイルス検査を始めました。小児の感染症チェックに必須で、検査依頼の多いCRPを従来の専用分析機からBM1250に移し変えたことに伴う省力化で実現しました。

加えて、免疫検査担当の2人は午後、脳波検査へシフトすることも可能になりました。このため午後の脳波検査は3人体制となり、生理検査の強化にもつながりました。もちろん、CRPの測定データは、専用分析機とBM1250で良好な相関が得られています。将来的には、ほかの免疫項目もBM1250に移したいといっています。

4. 新生児データの基準値づくりを提案

老主任技師が次に目指すのは、脳波検査の予約制をやめ、検査ニーズに応じて柔軟に対応できる体制だといいます。迅速検査と称し、検体検査が報告時間を競ってきたことに疑問を投げかけながら「検査は治療のタイミングに合っていないと意味がない。」と強調しています。同部の技師を3グループに分け、1グループ3人で生理検査を含めた一通りの検査を行える体制作りに意欲を示しました。

また、全国の小児専門医療機関が連携し、現在示されていない新生児(生後1か月まで)の検査データの基準値を作ることを提案しました。未熟児データも共有化したいと話しています。

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