愛知県 公立陶生病院 システム化によって業務の効率化、ストレスの軽減を図る

  • 概要

高速シングルマルチの導入で分析装置を集約

【導入事例】愛知県公立陶生病院 を訪問しました。

1. 病院概要

愛知県 ・ 公立陶生病院

愛知県瀬戸市の公立陶生病院(716床)は、今年 1 月に臨床検査システムと検査機器を更新、検体集中時にも検査報告が遅れることのない余裕を持った検体機器を導入するとともに、臨床検査部内のどの端末からも検査データが確認できる検査システムを構築した。

(左から)尾関室長、平田技師長、庄田副技師長

2. 臨床検査部主導で システムを構築

今年 1 月に導入されたシステムは、生化学、免疫血清、尿一般、血液学部門。これら検査はワンフロア化されており、採血室にも隣接することから、採血後、すぐに検査を行うことが可能だ。臨床検査部の平田毅技師長は、「すでに検査機器は更新時期を過ぎており、臨床検査部が主導となってシステムを構築した」という。

新しい機器・システムを導入した臨床検査部

今回、新しいシステムを導入するに当たって目標とされたのは、「患者サービスの向上」だ。庄田副技師長は、「平成 5 年から診察前検査は実施しており、今回は甲状腺検査、薬物検査、感染症検査、腫瘍マーカー(検診)といった項目の拡大を考えている」という。しかし、月曜日の朝などは、外来患者と病棟からの検査が重なって検査結果が遅れがちになる。同検査部では、従来、検体集中時の生化学検査は、採血後、報告までに 1 時間程度要し、検査技師にとっても迅速に検査結果を報告するためにかなりの負担があった。

3. 高速シングルマルチを 3 台導入

今回、生化学 ・ 免疫血清検査は、JCA-BM2250 (日本電子)3 台と免疫血清検査装置、さらに検体前処理装置を検体搬送システムで連結。検査情報は日本電子の検査システム CLALIS で管理されている。検体は分注後、リアルタイムで測定される。これによって患者受付後、採血業務を経て検査結果が得られるまでの時間は約 45 分で、従来のシステムと比べ、大きく短縮されたわけではない。しかし、平田技師長は、「検体が集中しても遅れることのない検査体制が構築された」という。従来、一度に検体が集中した際には、検査技師が張り付いて効率的に報告できるように検体の流れを調整することもあった。

4. どの端末でも 検体の状況を把握

新システムでは、システム上でリアルタイムに検体の進捗状況の把握が可能となり、至急検査の見落とし防止が出来る。また、瞬時に過去のデータを呼び出して、時系列に検査データをみることも可能だ。輸血製剤管理室の尾関高史室長は、「日当直の際にも、生化学・血清検査はシステムにまかせ、その分、生理検査や輸血検査など人手のかかる検査に重点を置き、その時々にシステムを通して検体検査の進捗状況を確認している」という。

人員面でも 2 人が他部門に移行し、細菌検査部門、生理検査部門が増強された。尾関室長は、「検査データを迅速に報告するために、今まで検査技師がカバーしている面が大きかった。新しいシステムによって検査報告の遅延がなくなり、ヒューマンエラーも減った」と説明。新しいシステムの導入がスタッフのストレス軽減につながった。

5. 検査受付業務を効率化

新しいシステムの特長としては、さらに

(1)検査受付業務の効率化

(2)検体の到着確認業務の軽減

(3)高性能分析装置の導入による分析装置の集約化

などがあげられる。検査の受付は、患者の診察券から、生理検査の有無を含めた検査の受付票がリアルタイムに印刷される。検体技師の誘導によって患者は迷うことなく必要な検査が全て受けられる。

また、従来、検体が臨床検査部に届くと、バーコードで全ての検体の受付(到着確認)が行われていた。新しいシステムでは、検体搬送上にバーコード読み取り装置があるため、到着確認業務が軽減された。さらに、自動分注装置によって子検体もバーコード管理が可能になったことで、検体の並び替えなどの作業が省略できるようになり、業務が効率化された。

6. 検査機器を集約化

高速シングルマルチ(JCA-BM 2250×3)の導入は、分析装置の集約化にも貢献した。試薬は電解質を除いて 48 項目載せることができるため、臨床検査部では、CRP や免疫グロブリンなどの特殊免疫、さらにジゴキシンやテオフィリンといった血中薬物測定も行っている。同じ機種を 3 台設置することによって、検体集中時やメンテナンスなどの際に、どの機種にも切替が可能。機種間差を気にすることなく運用が可能だ。

JCA-BM2250 は高速シングルマルチ方式を採用、試薬ロスが従来に比べて大幅に軽減された。また、日本電子独自の検体前希釈ユニットによってサンプル量が軽減、採決量や採血本数の減少となることから患者に優しい検査が可能になった。試薬コストも低レベルに抑えることができ、試薬選定時のコスト管理も容易だという。

7. 生理検査の予約管理も可能に

新しい検査システムには、生理検査の予約確認が含まれるため、患者が臨床検査部で受付すると、生理検査室に設置された PC に患者受付情報がリアルタイムで表示される。患者さんの待合状況や呼出順番を把握できるようになり、患者サービスにつながった。臨床検査部としては、今後、細菌検査や輸血検査なども一元管理できるシステム化の構築を図っていきたいと考えている。

THE MEDICAL & TEST JOURNAL 第 902 号(平成 16 年 9 月 1 日) 15ページから転載しております

関連製品 RELATED PRODUCT