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サムピーク除去ソフトウェア:蛍光X線分析装置JSXシリーズ

蛍光X線分析装置では、強大なピークのエネルギー値を加算した位置にサムピークと言われるゴーストピークが現れます。
金属試料や土壌試料はもちろん、ほとんどのケースでサムピークが発生しますが分析初心者ではそれに気付かず、誤定性や誤定量の原因になります。
サムピーク除去ソフトを利用すると、誰でも簡単にサムピークを判別・除去できます。サムピークを除去したスペクトルを利用することにより定量精度が向上します。

1.概要

蛍光X線分析装置では、計数率が高いとピークを足し合わせた位置にサムピークが現れます。
サムピークは時として、誤定性や誤定量の原因になります。
金属試料や土壌試料を測定すると、ほとんどのケースでサムピークが発生します。しかし分析初心者ではでなかなかサムピークと気付かず、誤定性や誤定量をしているケースが多く見かけられます。
サムピーク除去ソフトは、サムピーク量を推測して除去を行うソフトウエアです。このソフトウエアを利用することで、初心者でもサムピークだと簡単に判断できます。また、サムピークを除去したスペクトルで定量も行えるので、サムピークの影響を受けている分析では重要なツールになります。

2.サムピーク発生例

ステンレス鋼を測定したときのサムピークの発生例を示します。(図1参照)
Feが多く含有しており、Cr,Niが続いて含有しています。そのため、『Cr+Fe』『Fe+Fe』『Fe+Ni』等のサムピークが現れます。
サムピーク除去ソフトを使用するとサムピーク部分が除去されたスペクトルを表示できます。

画像をクリックすると拡大します。
ステンレス鋼のサムピーク発生例
図1 ステンレス鋼のサムピーク発生例

3.サムピーク除去ソフト適用例

●鉄鋼中のPb測定例(検量線)
Fe試料中のPbを測定する際は、FeサムピークがPbと隣接するためサムピークの影響を考慮する必要があります。
図2に示すスペクトルは、Pbを含有した鉄鋼のスペクトルです。

画像をクリックすると拡大します。
鉄鋼のスペクトル
図2 鉄鋼のスペクトル

この試料を検量線法で分析した場合、Pb濃度が基準濃度より遙かに大きな値になってしまいますが、サムピーク除去ソフトを利用することで、このようなケースでも分析が可能です。

表1 鉄鋼中のPb測定結果 単位:ppm

基準濃度 サムピーク除去なし分析値 サムピーク除去あり分析値
950 5834 940

●ステンレス鋼(Ti含有)の測定例(FP法)
図に示すように、Tiを多く含有しているステンレス鋼では、『Ti+Ti』と『Cr+Fe』のサムピークがHgのLαとLβの両方に重なるため、サムピーク除去後のデータがなければ、Hgが含有しているように見えます。また、FP法による定量値でも、サムピークの除去ソフトを使用していないときはHgの分析値が大きく算出されてしまいます。(表2参照)

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Ti含有ステンレス鋼スペクトル
図3 Ti含有ステンレス鋼スペクトル

表2 FP法測定結果 単位:%

  基準濃度 サムピーク除去なし分析値 サムピーク除去あり分析値
Cr 19.81 19.8276 19.8054
Fe 38.8 39.4223 39.4999
Co 0.41  0.3439 0.3438
Ni 34.1 33.8653 34.0987
Cu 3.26  3.0909 3.1183
Nb 0.51  0.5144 0.5191
Mo 2.1  2.1364 2.1401
Hg 0 0.3360 0.0130

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