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考古鉱物学:低真空走査型電子顕微鏡(LV−SEM)

日本電子News Vol.44, 2012 飯塚 義之
中央研究院 地球科學研究所

先史時代に利器や装飾品として使われた石器や玉器の石材の同定および原岩・原石の産地の研究は、当時の文化や人的、物的な交流を探る上で貴重な情報をもたらす。本研究では導電性の低い物質の表面観察に有用な低真空走査型電子顕微鏡(LV−SEM)と、非破壊で鉱物の化学分析が可能なエネルギー分散型X 線スペクトルメーター(EDS)を用いて先史時代の玉器表面の観察と石材分析を試みた。一方で、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)を利用し、東アジアから環太平洋地域に産するネフライトの鉱物学的研究を行った。SEM − EDS による玉器遺物の非破壊分析によって、台湾と東南アジア各地の先史時代の遺跡から出土した緑色の玉器のほとんどは、トレモラ閃石からアクチノ閃石を主たる構成鉱物とするネフライトで製作されており、その多くに亜鉛を含有することを特徴とするクロムスピネルが随伴していることがわかった。これらの鉱物学的特徴は台湾東部に産するネフライトに一致し、かつ東南アジアや中国に分布する他のネフライトとは非調和的であった。
これまでの分析によって東南アジアの新石器時代から鉄器時代の遺跡から出土した緑色玉器の多くは台湾ネフライトで製作されたものであると考えるに矛盾なく、さらにこれら玉器の出土遺跡はオーストロネシアン(南島 ・Austronesian)語族の分布範囲にほぼ重複していることがわかってきた。本研究によって、東南アジア先史時代におけるネフライトの物流から、現代において世界で最も広範囲に分布するオーストロネシアン語族の新石器時代における移動、あるいは移住の初期段階、その後の金属時代における南シナ海周辺地域間の交流を検討する上で重要な物的証拠が得られている。
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