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大気圧電子顕微鏡(ASEM)による水中免疫電顕法

日本電子News Vol.43, 2011 佐藤 主税
産業技術総合研究所
バイオメディカル研究部門 構造生理研究グループ

大気圧電子顕微鏡ASEMは、電子線透過SiN薄膜で電顕カラム中の真空と、サンプルとを隔離することによって、液体・気体中のサンプルをそのまま観察する。ASEMの走査電子顕微鏡は倒立しており、底部の電子銃からの電子線ビームは、ASEM dish底の薄膜越しにサンプルを走査する。サンプルから発した後方散乱電子は膜を起えて検出される。加速電圧30kVで細胞の底部2−3 µmの厚さが見え、細胞内部で複雑に立体分布する分子の観察に有利である。分解能は8 nmである。本電子顕微鏡は、開放型dishで培養した細胞を水溶液中で観察できるため抗原性が良く保護され、免疫電顕において特に利点を発揮する。抗体ラベルには、これまでの複雑なサンプル調整が不要であり、dish内の培養液を固定液・抗体溶液と交換してゆくだけで2~3時間程でできる。ASEM dishの上からは光学顕微鏡で常に同じ視野を観察でき、SEM観察への導入ガイドとしてだけでなく、correlative microscopeとして蛍光情報との相関観察ができる。分子の共局在から複合体形成を分析したり、遺伝子導入を蛍光マーカーで検出するなど、様々に用いられている。ASEM dishにはpoly-Llysineなどによる様々なコーティングが可能で、2~3mLの培養液が入れられ安定な培養環境を実現している。神経初代培養細胞など多様な細胞を培養できる。気体・液体中のサンプルをそのまま観察できるASEMは、様々な実験が組め、多条件のサンプルを高スループット・高分解能で比較することができる。基礎生物研究のみならず、癌の術中迅速診断や病原菌の特定などにも応用でき、さらにはバイオ分野のみならず、高分子化学、材料科学、物性研究など様々の分野への応用が期待される。

続きは、日本電子News Vol.43のPDFファイルをご覧ください。

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