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Combi PAL GC/QMSを用いた電力用変圧器の劣化診断 [GC-QMS Application]

MSTips No.190

電力用変圧器は絶縁油と絶縁材料から構成されている。これら構成材料は長時間の運転中に温度、酸素および水などの影響を受けて劣化が進行する。その中でも、交換できない絶縁紙の劣化は変圧器の寿命に大きく影響するものの1つとされている。セルロースから構成されている絶縁紙は巻線の導体被覆として使用されており、経年的に熱劣化を起こす。フルフラールはその分解生成物として知られている。フルフラール生成量と変圧器劣化度の指標値との関係が研究されており、0.002 mg/g未満の場合が正常値、0.002 mg/g ~ 0.0034 mg/gが要注意範囲、0.0034 mg/g超過の場合が危険値とされている1)。それにより、フルフラール濃度の定期的な測定は、停電や機器の損傷などトラブル防止、および電力用変圧器の余寿命の概略的な算出に繋がる。
また、電力用変圧器の絶縁油には鉱油が一般に使用されているが、近年から環境への負荷低減、安全性を考慮して植物油が使用・実用化されつつある。
今回、エーエムアール社製シングルマグネットミキサー(SMM) を装着したSPME用 Combi PAL (CTC Analytics社製)を用いて、植物系絶縁油である大豆油にフルフラールを添加した模擬サンプルの気相部分をサンプリングし、測定した。本定量分析を検討し、良好な結果が得られたので報告する。
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