収差補正TEMの新たな用途を切り拓く次世代STEM検出器"4DCanvas"を販売開始

2017/07/26

日本電子株式会社(代表取締役社長 栗原権右衛門) は、収差補正TEMの新たな用途を切り拓く次世代STEM検出器"4DCanvas"(ピクセル型STEM検出器)を開発し、2017年7月より販売を開始しました。

開発の背景

近年の透過電子顕微鏡(TEM)では、高輝度電子銃や球面収差補正装置(Csコレクタ)の開発により、サブÅの極微小な電子線プローブを使った原子分解能の走査透過電子顕微鏡法(STEM)が一般化しており、観察目的に応じて多種多様なSTEM検出器が用意されております。

当社はこのほど、新たなSTEM検出器として、試料を透過した電子のすべてを2次元のパターンとして取り込む事が可能な"4DCanvas"(ピクセル型STEM検出器)を開発しました。

"4DCanvas"は、高感度かつ低ノイズで高速画像取り込みも可能な264×264画素の直接露光CCDセンサーを採用し、試料を透過した電子による回折パターンを取得することが可能です。この検出器は264×264個に細かく分割された高感度の多チャンネルSTEM検出器と言い換えることができます。

この検出器で得られるデータの次元は、STEM像で2次元(2D)、検出器面上で2次元(2D)回折パターンの計4次元(4D)となります。"4DCanvas"という名称はこのデータの次元にちなんでつけられました。

"4DCanvas"を用いることで実現可能なイメージング法や使い方を以下に示します。

  • 透過ビームの位置シフトを捉えることによって磁場/電場ベクトルの可視化が可能。
  • 検出器面上で任意の形の検出器を定義できるので任意形状に分割検出したSTEM像の合成が可能であり、位相差コントラスト像などの高コントラスト像の取得が可能。
  • タイコグラフィーにより透過電子の波動場を再構成できるので、高効率で位相コントラストを抽出することができる。さらに位相を回折面上で補正できるので、4次元のデータを一度取得してしまえば、後処理で光学セクショニングによるZスライス像や非点収差の収差補正等が可能。

"4DCanvas"の応用は、これだけではなく、工夫次第でまだまだ大きな可能性を秘めています。"4DCanvas"は皆様がキャンバス上へ画を描く様に自由自在に新しいSTEM検出、解析を行うプラットフォームを提供します。
当社フラッグシップモデルの一つJEM-ARM200F "NEOARM"デモ機で、この"4DCanvas"をご覧になることができます。

主な特長

  • JEOL製ピクセル型STEM検出器
    直接露光型のCCDを用いているため、読み出し速度が速くSTEM像を高速で取得可能です。S/N比は300:1と高く、量子効率もほぼ100%のためロードーズイメージングに最適です。また、TEM用としても高速高感度直接露光カメラとしての機能を有しております。
  • 他の検出器との同時装着
    "4DCanvas"はADF検出器(高角度散乱暗視野STEM検出器)と同時にデータ取得が可能であり双方を比較することが可能です。また、リトラクト方式であるため、他のカメラとの共存装着が可能であり、また、EELS(電子線エネルギー損失分光装置)の装着の妨げにもなりません。
  • 高速STEM検出を実現
    "4DCanvas"は以下の毎秒1,000フレーム以上の高速STEM検出を実現しました。
    取得後の再構築が可能であるためフレキシブルな回折パターンの解析が可能です。
    256x256画素のSTEM像取得時間:
    フルフレーム 264×264 pixels時:64秒(1,000fps)
    1×2ビニング 264×132 pixels時:32秒(2,000fpd)
    1×4ビニング 264×66   pixels時:16秒(4,000fps)
  • 幅広いエネルギー領域に対応
    "4DCanvas"は30kV程度の低加速から200~300kVの高加速電圧まで高い感度で電子線を検出できます。従って試料に最適な加速電圧でSTEM検出が可能ですので、電子線に敏感な試料への応用が可能です。
  • 最新鋭透過電子顕微鏡へ装着可能
    "4DCanvas"は当社のフラッグシップモデルであるJEM-ARM300FおよびJEM-ARM200Fへの装着が可能です。両機種共に収差補正と高安定性を兼ね備えており、4次元データの高安定な取得が可能です。
    ※現時点で装着可能な機種はJEM-ARM200FおよびJEM-ARM300Fです。JEM-F200に関しては将来的に装着が可能です。
  • ソフトウェア
    "4DCanvas"は得られた4次元データから各種合成STEM像を作成するソフトウェアを有します。
    検出器面上での所望領域から得られるSTEM像の合成を行うことができます。
    また、各電子線位置におけるビームシフト量を計算し、電場・磁場の方向と強度を可視化できます。
4DCanvas
デモのご依頼、および価格は、当社営業所 までお問い合わせください。