ESRとは、”Electron Spin Resonance“の頭文字をとったもので 電子スピンの磁気共鳴のことをいい 最近は、”Electron Paramagnetic Resonance”を 略してEPR、電子常磁性共鳴と同義語として扱われています。

ESR は、電子そのものの”振舞”(動作)を観察して、電子の置かれている 環境を同定することで、様々な現象を解明する方法です。 ESRを測定することによって不対電子の存在、その量、種類、性質、周囲の環境、挙動など についての情報が得られます。

ESR(電子スピン共鳴)装置は試料の形状 (液体、気体、固体) に影響されることなく 非破壊で、選択的にフリ-ラジカルを測定できる唯一の手段です。 理学系・医薬学系、農工学系の基礎研究の分野で活躍してきましたが 半導体、塗料工場の生産ラインや、癌診断を初めとする臨床医学分野での活躍も今後一層期待されています。

ESR装置の構成

ESR装置の構成

電子スピン共鳴(ESR)の原理

ESR装置は、測定しようとする物質中の不対電子の動作を、静磁場やマイクロ波を使って観察し、その周辺物質の状態を調べる装置です。これがESRの簡単な原理です。

電子スピン共鳴(ESR)の原理

ESRは、磁場中の不対電子によるマイクロ波の吸収を観測する

ESRから分かること

ESRを測定することによって不対電子の存在、その量、種類、周囲の環境、挙動などについて情報が得られます

  • 電子が占有する軌道順位を反映するg値
  • 横緩和時間と関係する線幅
  • 縦緩和時間と関係する飽和特性
  • 不対電子の数
  • 電子と核との相互作用である超微粒子構造(hyperfine structure :hfs)
  • 電子と電子の相互作用である微粒子構造(fine structure:fs)
  • 電子感の交換を反映する交換相互作用

ESRの応用分野

ESRを測定することによって不対電子の存在、その量、種類、周囲の環境、挙動などについて情報が得られます

  • 磁性物質、超伝導体などの電子状態
  • 半導体の格子欠陥、不純物(ドーパント)の電子状態
  • ガラス、アモルファス物質の構造
  • 触媒反応の追跡、電荷状態の変化
  • 光触媒反応性および光化学反応機構
  • 高分子の重合過程(光重合、グラフト重合)のラジカル
  • 高分子の分解(光分解、放射能分解、熱分解、化学分解)
  • 生体内での加齢や疾患に関る活性酸素ラジカル
  • 油脂(食用オイル、石油など)の酸化劣化
  • 放射線照射された食品の検知
  • 格子欠陥による地質や化石の年代測定