電子プローブマイクロアナライザとは

微小部電子像観察から元素分析・構造解析までオールマイティーな表面分析装置

物質がどんな元素から構成されているかを、その物質の表面に電子線を照射して、そこから発生する特性X線を計測して分析する装置が、電子プローブマイクロアナライザ(以下、EPMA と略します)です。

EPMAは1951年、フランスのキャスタン博士の学位論文によって 装置として考案発表されました。今日のEPMA は、電子光学技術、X線分光計測技術、システム制御・データ処理技術などが集大成されオールマイティーな表面分析装置として、世界中で活躍しています。サブミクロン領域の元素分析から10cm角程度の大きさまでをカバーする観察・分析・画像解析の装置にまで発展しました。

JXA-8530F フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA)

鉄鋼、鉱物、半導体、セラミックス、繊維、医科歯科材料、医学、生物など非常に広範囲な基礎研究や応用研究および品質管理などに使用されています。

装置のしくみ

EPMAの構造は?

EPMAの構造断面図を右図に示します。

電子銃から放出された電子は、一定の加速電圧で加速された後、電子レンズによって絞られます。この電子が試料にあたると試料からX線が発生します。このX線を分光素子で分光する事により試料の組成を調べることができます。この分光器を波長分散形X線分光器(WDS)とよびます。

どんな信号を測定するのか?

加速電子が試料に当たると、X線の他にも、いろいろな情報をもった粒子や電磁波が飛び出してきます。EPMAでは、特性X線、二次電子、反射電子などの信号をそれぞれの検出器で検出して、試料の分析場所探しや分析に利用しています。

分光器のWDSとEDSはどう違うの?

特性X線の分光器には、WDSのほかにも、エネルギー分散形X線分光器(EDS)を用いる方法があります。WDSとEDSには、分光方法の違いから左の図ような特徴の違いがあります。

X線の発生とその検出原理

特性X線の発生のメカニズムは?

右のモデルは、特性X線発生の様子を示したものです。

加速された電子が原子核の周りにある電子を追い出します。生じた空の場所に、より高いエネルギー準位にある外殻の電子が落ち込みます。そのとき、エネルギー差に相当する波長のX線が放出されます。

ある元素のエネルギー準位は、その元素によって決まっているので放出されたX線の波長、またはエネルギーを調べることにより、その物質がどのような元素から構成されているかが分かります。

ブラッグ反射って何?

X 線が分光素子によって反射(回折)されると、『ブラッグの法則 nλ=2dsinθ』を満足する波長を持つX 線のみが反射されます。波長分散形のX線分光器(WDS)は、この性質を利用して、X線の波長を測定しています。

波長分散形X線分光器とは?

波長分散形X線分光器では、ブラッグの法則を満たすように、試料表面、分光結晶、X線検出器が、ローランド円と呼ばれる一つの円周上に位置するように作られています。1種類の分光結晶では、全元素の分析はできないので、通常、一つの装置に複数の分光素子を取り付けています。

EPMAの分析例

像観察(二次電子像と反射電子像)とは?

分析の第一歩は、分析場所を探すことから始まります。これに都合のよいのが二次電子像と反射電子像です。 特に反射電子像は、試料の大まかな組成分布を知ることができるのでEPMA分析に便利です。反射電子組成像において、信号量が多くて明るい所は暗い所より原子番号の大きい元素から構成されています。

定性分析ではどこまでわかるのか?

この例は、セラミックの定性分析(どんな元素が存在するのか)の結果です。検出したX線の波長からどんな元素が含まれているかが分かります。このセラミックの場合、Al, Si, Fe, Zr, Snが含まれていることがわかります。

面分析とは?

これは、上の定性分析で検出されたSn, Siの面分析(どの場所に元素が分布しているか?)の結果を示しています。この面分析は、カラーバーの上の赤色が濃いほど分析元素の濃度が高いことを意味しています。SnとSiでは、明らかに分布濃度に差があることが分かります。