分析

  • EBSD
    electron backscatter diffraction

    後方散乱電子回折を利用して、結晶性試料の方位解析をする方法。60~70゜に傾斜した試料に電子プローブを照射すると、側方に置いた蛍光スクリーン上に電子回折パターンが得られる。この電子回折パターンをテレビカメラで取り込み、方位解析を行いながら、電子プローブで試料表面を走査すると、各点の方位情報が得られる。これを利用して方位分布、相分布などの結晶方位解析を行うことができる。解析領域、空間分解能は電子プローブ径にも依存するが、数十nmである。

    EBSD

  • EBSP
    electron backscatter diffraction pattern

    EBSDで得られた電子回折パターン。EBSDと同義語に使われることもある。

  • EDS検出器
    EDS detector

    EDSで用いられる検出器。一般には、Si(Li)検出器やシリコンドリフト検出器などの半導体検出器が用いられている。EDS検出器に入射したX線はそのエネルギーに比例した数の電子-正孔対を作るので、これを電流として取り出し、測定することで入射したX線のエネルギーを知ることができる。なお、入射X線により発生する熱を測定してX線のエネルギーを知るマイクロカロリメトリー検出器が開発されている。

  • K-レシオ
    k-ratio

    同一条件で測定した、標準試料のX線強度に対する未知試料のX線強度の比。相対強度と同義語。

  • KLMマーカー
    KLM marker

    EDSの機能の一つ。ピークを同定するためにスペクトル上に表示される線状のマーカーで、特性X線(K線、L線、M線)のエネルギー値を意味する。

  • P-B比 (P/B)
    P-B ratio,peak-to-background ratio

    スペクトルのバックグラウンド強度(B)に対する、ピーク強度(P)の比。これに対して(P-B)/BをL-B比と言う場合がある。

    P-B比

  • ROI
    region of interest

    元素マッピングを行うには、特定元素のX線ピークに対して、ある程度のエネルギー幅を持った領域を指定し、この領域に入るエネルギーを持つX線の数を信号として、画像化する。この領域をROI(ロイ)と言う。

  • Si(Li)検出器
    Si(Li) detector

    シリコン単結晶にリチウムをドリフトさせたPIN接合を使ったEDS検出器。検出器に入射したX線はそのエネルギーに比例した数の電子-正孔対を作るので、これを電流として取り出し測定することで、入射したX線のエネルギーを知ることができる。多くの場合、リチウムの拡散を防ぐためと電気ノイズを押さえるために液体窒素で冷却して用いる。EDS検出器と言うと、通常これを意味する。

    Si(Li)検出器

  • UTW検出器
    UTW detector,ultra-thin window detector

    EDS検出器の一種。検出器前の真空隔壁としてポリマーの薄膜が使われているため、ベリリウム膜を使用したものと違って、低エネルギーのX線の吸収が少なくB以上の元素が検出できる。

  • X線像
    X-ray image

    特性X線を使った元素分析の一方法。特定のエネルギーを持つ特性X線の計数率を信号として電子プローブを走査することで、各点からのX線放出量の違いを画像化したもの。X線像という言葉は使われなくなっており、元素マッピングと呼ばれることが多い。

  • ZAF補正
    ZAF correction

    定量分析を行うときの補正法の一つ。相対強度の値に、原子番号補正(atomic number、Z)、吸収補正(absorption、A)、蛍光補正(fluorescence、F)を施して真の濃度を求める方法。標準試料として純粋試料あるいは化合物のいずれかを使用でき、またあらゆる分析条件、元素に適用できるために、現在最も一般的に利用されている。ザフ補正と読む。

  • φ(ρz)法 (ファイローゼット法)
    Φ(ρz) method

    定量分析における補正法の一つ。ZAF補正に比べて、X線発生量の深さ分布を、より実際的なものにしたことと、原子番号効果、吸収効果をまとめて扱うことで誤差を小さくしているため、軽元素領域での定量分析で精度の高い結果が得られる。

  • ウィンドウレス検出器
    windowless detector

    EDS検出器の一種。通常検出器前に置かれるベリリウム膜の真空隔壁が無いため、真空隔壁によるX線の吸収が少なく、B以上の元素が検出できる。試料室を大気にするようなときは、検出器の前にあるゲート弁を閉じ、検出器に霜が付かないようにする。最近はあまり使われなくなっている。

  • エスケープピーク
    escape peak

    EDSのスペクトルに現れるゴーストピークの一種。EDSの場合、入射したX線により、検出器のSiが励起され、本来の特性X線ピークの計数が減ると同時に、SiのX線エネルギー(1.74keV)に相当する低いエネルギー位置にゴーストピークが現れる現象。

  • エネルギーアナライザ
    energy analyzer

    試料から放出される種々の電子のエネルギーを分光し、スペクトルを取得するための装置。複数の電極と検出器で構成され、電極の電圧を変えることで検出器に入射する電子のエネルギーを変え、スペクトルを作る。

  • エネルギー分解能 (スペクトル分解能)
    energy resolution,spectrum resolution

    X線分光器などのエネルギーアナライザの性能を表す用語。スペクトル中に現れるピークの半値幅で表すが、どの位接近したエネルギーが分離観測できるかを意味する。X線分光器の場合はFeのKa線付近のピークにより定義され、EDSでは130eV程度、WDSでは10eV程度が得られている。

  • エネルギー分散X線分光法
    energy dispersive X-ray spectrometry (EDS,EDX)

    エネルギー分散形X線分光器を使ったX線分光法。分析元素範囲はB~Uである。全元素範囲の同時分析ができる、分析時のプローブ電流が小さくて済むなどの特長もあるが、エネルギー分解能、検出限界などではWDSの方が有利である。SEMでの元素分析は、ほとんどがこの方法による。

  • エネルギー分散形X線分光器
    energy dispersive X-ray spectrometer (EDS,EDX)

    X線をエネルギーで弁別し、スペクトルを得る分光器。一般には、半導体を使ったEDS検出器が用いられており、分析元素範囲はB~Uである。EDS検出器、多重波高分析器、パーソナルコンピュータなどでシステムが構成されているが、WDSに比べて、検出器の取り付けに幾何学的な制限が少ないので多くのSEMに取り付けられている。全元素範囲の同時分析ができる、分析時のプローブ電流が小さくて済むなどの特長もあるが、エネルギー分解能、検出限界などではWDSの方が有利である。

    EDS

  • オージェ電子分光法
    Auger electron spectroscopy (AES)

    電子線により励起されて試料から放出されるオージェ電子のエネルギーを測定することによって、試料表面に局在する元素の分析を行う手法。オージェ電子はエネルギーが小さいため、表面敏感であり、極表面の数nm深さの分析が可能である。従って、試料は超高真空の雰囲気に置かなければならない。

  • 回折格子
    diffraction grating

    平面あるいは凹面のガラス基板に数百nm~数µmピッチの周期的な凹凸を付けたもの、あるいはそれをレプリカにしたもの。回折現象を利用して光の分光を行うもので、カソードルミネッセンス分光器に使われる。

  • 吸収補正
    absorption correction

    ZAF補正における補正項の一つ。試料中で発生した特性X線は、試料による吸収を受けるために強度が減衰する。この吸収の割合は、試料を構成している元素の種類や濃度により異なり、これを、吸収効果(absorption effect)と言うが、これに対する補正を吸収補正と言う。

  • クリフ・ロリマー補正
    Cliff-Lorimer correction

    STEMによる薄膜試料のEDS分析で使われる定量補正法。バルク試料で必要なZAF補正が薄膜試料では無視できるとしている。標準試料を使わない代わりに、加速電圧やX線の検出効率に依存するk因子(k-factor)と呼ばれるパラメータを、予め測定しておく必要がある。薄膜近似が成り立つ場合にのみ使用できる方法であるから、低加速電圧STEMでの適用には、試料が十分薄い領域を選ぶなどの注意が必要である。

  • 蛍光補正
    fluorescence correction

    ZAF補正における補正項の一つ。入射電子により励起されたX線が、他の元素を励起し特性X線を放出する現象を蛍光励起(fluorescence excitation)と言うが、標準試料と未知試料では、組成が異なるために蛍光励起量が異なる。これを、蛍光励起効果(fluorescence excitation effect)と言い、これに対する補正を蛍光補正と言う。

  • 計数率
    counting rate

    1秒間に検出器に入射する、あるいは計数されるX線の数。単位はcps(counts per second)。

  • 検出感度
    detection sensitivity

    検出限界と同義語。また、ある検出器で検出できる元素あるいは化合物の最小量(detector sensitivity)として、検出器の性能を意味する場合がある。

  • 検出限界
    detection limit

    ある測定法で検出できる元素あるいは化合物の最小量。絶対量で表現する場合と濃度で表現する場合がある。測定法の性能を意味する。

  • 検出効率
    detection efficiency

    試料から放出された電子や電磁波の内、検出されて信号となる割合。

  • 検出立体角
    detection solid angle

    試料上の電子線入射点から検出器を見込んだ立体角。数値が大きいほど検出効率が高いことを意味する。なお、二次電子、反射電子の場合は、対物レンズの磁界や検出器の電界の影響を受けるため、単純な幾何学的な立体角とは異なる。

  • 検量線法
    calibration-curve method

    定量分析の基本的な手法。元素濃度とX線強度が一定の関係を持つことを利用してX線強度から元素濃度を直接求めるもので、補正計算を必要としない。比較的似たような成分を持つ複数の試料を標準試料として検量線を作り、原則的には内挿法によって未知試料の濃度を求める。測定条件は同一でなければならない。標準試料としては、未知試料と組成が似ているだけでなく、均一な濃度と同じような表面を持つことが要求されることから、適用可能な試料はある程度限定される。

  • 原子番号補正
    atomic-number correction

    ZAF補正における補正項の一つ。入射電子の侵入深さや反射電子の発生率は、試料の平均原子番号に依存するため、入射電子の特性X線に対する発生寄与率が異なる。これを、原子番号効果(atomic number effect)と言い、これに対する補正を原子番号補正と言う。

  • 元素マッピング
    elemental mapping

    特性X線を用いた元素分析の一方法。特定のエネルギーのX線の計数率を信号として電子プローブを走査することで、各点からのX線放出量の違いを画像化したもの。エネルギーが接近したX線を指定したり、P-B比が悪いところでこれを行うと、元素の分布とは異なる結果が得られることがあるので、注意が必要である。正しい元素マッピングを行うには一点ごとに定量分析を行いながら、その結果を画像化するような定量マッピングを採用する必要がある。下図は三宅島の溶岩から得られた元素マップの例である。画像の色は、右下端のカラーバー(X線の計数)に従っており、黒、青から赤、白と計数が増加することを意味する。

    元素マップ

  • コリメータ
    collimator

    試料上の電子線入射点以外からの散乱X線を遮蔽するように、EDS検出器の直前に置かれた絞り。

  • ゴーストピーク
    ghost peak

    EDS検出器あるいはWDS検出器の検出機構に起因する偽のピーク。

  • サムピーク
    sum peak

    EDSのスペクトルで観察されるゴーストピークの一種。短い間隔で2個のX線が検出器に入射すると、2個のX線として分離計測することができず、1個のX線として計測される。その結果、2個のX線のエネルギーを加算したエネルギーを持つピークとして観察される。これを、サムピークと言う。

  • 散布図
    scatter diagram

    定量マッピングから得られたデータの表示方法。化合物の元素濃度を軸にして、ある濃度比を持つデータの頻度分布を示した図。これを利用して相マップを得ることができる。
    下図は亜鉛鋼板から得られた散布図で、横軸はZnの濃度、縦軸はFeの濃度を示す。赤色で示されたクラスタは鋼板、青色で示されたクラスタは亜鉛めっき層であるが、水色および黄色のクラスタは、間にできた2種類の金属間化合物層に対応する。

    散布図

  • シリコンドリフト検出器
    silicon-drift detector (SDD)

    EDS検出器の一種。通常のSi(Li)検出器に比べて数十倍高い計数率で測定ができるため、プローブ電流を大きくして短時間で分析を行うことができる。したがって、熱電子銃、あるいはショットキー電子銃を搭載したSEMとの組み合わせが有効である。エネルギー分解能は、Si(Li)検出器とほぼ同程度が得られるが、低エネルギーX線の感度は低い。液体窒素冷却は不要で、ペルチェ冷却での動作が可能である。この結果、電源投入後、使用可能になるまでの時間も短い。

  • 状態分析 (化学状態分析)
    chemical state analysis,state analysis

    電子線照射による信号発生領域の化学結合状態を調べる分析法。元素を調べる組成分析に対比して使われる用語。特性X線を利用した場合、WDSでは可能であるが、EDSではエネルギー分解能が低いため状態分析はほとんど不可能である。カソードルミネッセンスを使うと可能となる場合がある。

  • スタンダードレス法 (簡易定量法)
    standard-less correction

    定量分析で使われる補正法の一つ。定量分析は、一定条件で取得した標準試料のスペクトルと未知試料のスペクトルを比較することで結果を出すものであるが、標準試料を使わず、未知試料のスペクトルのピーク強度比に補正計算を行って、合計濃度が100%になるように近似する定量補正法をスタンダードレス法と呼ぶ。この中には、ある条件で予め取り込んだ標準試料のスペクトルを利用する方法もある。定性分析で含有元素を調べるので、未知試料分析の場合、元素の見落としが少ない。また、標準試料を揃えておく必要が無いので分析は簡単で迅速であるが、誤差は大きくなる。

  • スペクトルイメージング (スペクトルマッピング)
    spectrum imaging,spectrum mapping

    EDSにおけるデータの保存・表示方法の一つ。試料表面を2次元的に走査しながら、各画素毎にスペクトルを収集することで、試料上の位置とスペクトルを関係づけた形でデータを保存する。データ収集後、任意の点のスペクトルを表示したり、任意のX線エネルギーの元素マッピングや線分析を行ったり、定量マッピングを行うことができる。

  • 線分析
    line analysis

    元素分析の表示法の一つ。SEM像の上で指定した直線上の元素分布を示すが、注目する特性X線のP-B比が十分でないとき、特性X線のエネルギーが接近しているときは正しい分布を示さないことがあるので注意が必要である。

  • 相対強度
    relative intensity

    同一条件で測定した、標準試料のX線強度に対する未知試料のX線強度の比。K-レシオと同義語。A元素の相対強度KAは標準試料のX線強度をIAstd、未知試料のX線強度をIAunk、標準試料中のA元素の質量濃度をCAstdとすると次式で表される。

    KA式

  • 相分析
    phase analysis

    定量マッピングの結果から、元素の組成比を解析し、化合物の分布を表示する方法。

  • 多重波高分析器
    multi-channel pulse-height analyzer,multi-channel PHA (MCA)

    複数のチャンネルを持った波高分析器。EDSの計測系に使われるが、EDS検出器の出力パルスをX線のエネルギー毎に計数するのに使われる。すなわち、出力パルスの電圧はX線エネルギーによって異なるので、チャンネル毎の閾値が少しずつ違う複数の波高分析器を並べておけば、X線エネルギー毎の計数ができ、スペクトルデータが得られることになる。

  • 縦形分光器
    vertical spectrometer

    WDSの一種で、ローランド円と電子プローブが同一平面内にあるように配置された分光器。試料の高さがずれると分光条件が外れることから、高さ合わせ用の光学顕微鏡が必須である。複数の分光器を、お互いの干渉が無い状態で電子光学系の周囲に配置できるので、主としてEPMAの分光器として使われる。

  • 定性分析
    qualitative analysis

    元素分析において、試料から放出された特性X線のエネルギー値または波長から、元素を同定する分析。

  • 定量分析
    quantitative analysis

    元素分析において、分析領域中の元素あるいは化合物の量を定量的に扱う分析方法。重量%または原子量%で表示する。分析領域は数百nm~数µmの大きさを持っているので、測定結果はその中の平均濃度を意味することに注意が必要である。実際には、標準試料と未知試料からのX線強度を比較して分析を行うが、検量線を用いる方法と、相対強度に対して補正計算を行う方法がある。

  • 定量補正
    quantitative correction

    定量分析を行うとき、入射電子の試料中への拡散、X線の吸収、蛍光励起などを考慮して、相対強度に補正係数を掛け合わせて元素の質量濃度を求めること。

  • 定量マッピング
    quantitative X-ray mapping,quantitative elemental mapping

    元素分析の一方法で、マッピングを行う際に一点毎に定量分析を行い、元素濃度の2次元的な分布を得る方法。通常行われる元素マッピングでは、微量元素の場合、特性X線のP-B比が十分でなく、得られたマッピングは必ずしも正しい元素の分布を示さないことがある。このような場合、正しい元素分布を得るには、定量マッピングを行う必要がある。

  • 点分析
    point analysis

    試料上の一点に電子プローブを照射して定性分析、定量分析を行う方法。電子プローブの径がどんなに小さくても、試料中での電子の拡がりのために分析領域がある程度の大きさを持つことに注意を要する。

  • デッドタイム
    dead time

    EDS検出器における不感時間。X線のパルスを電気信号に変換する時に若干の時間を要するため、数え落としが生ずる。X線の計数率が高くなるとデッドタイムは大きくなり、波形の劣化が起きたり、ゴーストピークが発生する。

  • 電子プローブマイクロアナリシス
    electron probe microanalysis (EPMA)

    電子プローブマイクロアナライザを使った分析法。

  • 取り出し角
    take-off angle

    試料表面とX線検出器のなす角度。一般のSEMにおいては30~40゜程度であり、この角度が大きくなるとX線の試料中での減衰量が小さくなり、角度が小さくなると減衰量が大きくなる。所定の作動距離以外で分析を行ったり、試料表面が傾いた状態で分析を行うと、取り出し角が初期設定値と異なるため定量分析の精度が悪くなる。

    取り出し角

  • 薄膜分析
    thin-film analysis

    元素分析の空間分解能を上げるための一方法。薄膜試料を使うことで試料中での電子の拡散を小さくすることができるので、空間分解能を膜厚あるいはそれ以上にすることが可能である。
    下図は、鉄のバルク試料(左)と100nm厚の薄膜試料(右)に30keVの電子が入射したときの、X線発生領域を比較したモンテカルロシミュレーションの結果である。X線発生領域は、バルク試料の場合約 2μmであるが、薄膜試料の場合は約 50nmと極めて小さな値となる。X線発生領域が小さくなるので計数率は低くなり、検出器には検出効率を上げるための工夫が必要である。定量分析ではクリフ・ロリマー補正が使われるが、精度は低くなる。

    薄膜分析

  • 波高分析器
    pulse height analyzer (PHA)

    X線検出器の出力パルスの内、設定した電圧範囲に入るものだけを計数する装置。

  • 波長分解能
    wavelength resolution

    WDSを使って分光したときのスペクトル分解能。波長とエネルギーは対応することからエネルギー分解能と同義語である。

  • 波長分散X線分光法
    wavelength-dispersive X-ray spectrometry (WDS,WDX)

    波長分散形X線分光器を用いた分析法。EDSに比べて、エネルギー分解能が高い、検出感度が高い、などの特長を持つが、複数元素の同時分析ができない、大きなプローブ電流が必要である、などの弱点もある。

  • 波長分散形X線分光器
    wavelength-dispersive X-ray spectrometer (WDS,WDX)

    結晶によるX線の回折現象を利用して波長スペクトルを得る分光器。EDSに比べて、エネルギー分解能が高い、検出感度が高い、などの特長を持つが、複数元素の同時分析ができない、大きなプローブ電流が必要である、などの弱点もある。
    下図は、分光器の原理を示す模式図である。試料上のX線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器はローランド円と呼ばれる一定の半径の円上を移動し、分光結晶は一定の取り出し角を保ったまま直線上を移動する。分光結晶で回折を起こしたX線は検出器に入射するが、分光結晶の移動に伴ってブラッグ角が変化するので検出されるX線の波長が変化する。

    波長分散分光器

  • 非分散形X線分光器
    non-dispersive X-ray spectrometer (NDS)

    エネルギー分散形X線分光器の古い呼び方。最近は使われなくなった用語である。

  • 標準試料
    reference specimen,standard specimen,reference material

    特性X線を用いた定量分析を行うときに用いる、元素濃度がわかっている試料。安定であることのほか、表面が平坦であること、均一な組成を持つこと、などが要求される。

  • 表面分析
    surface analysis

    固体表面の形態観察、元素分析、あるいは状態分析を行うこと。SEMの場合、電子プローブを使うので、電子プローブ径あるいは試料中での電子の拡散領域で決まる局所分析となる。

  • 分光結晶
    analyzing crystal

    結晶でのX線の回折現象を利用して分光を行うための結晶。WDSに使われるが、広い波長範囲をカバーするためには、結晶面間隔が異なる複数の分光結晶を備える必要がある。

  • 分析領域 (解析領域)
    analysis area,analysis volume

    特性X線、オージェ電子、カソードルミネッセンスなどの分析信号発生領域。EBSDなどでは解析領域という用語が使われる。入射した電子が試料内部で拡散するため、分析領域は電子プローブ径に比べて大きくなるのが普通であるが、分析に使う信号の発生機構も大きく影響する。平面的な領域を意味する場合と分析深さを意味する場合がある。特性X線の場合、平面的な領域、分析深さとも数百nm~数µmであるが、オージェ電子の場合、平面的な領域は数十nm、分析深さは数nmとなる。

    分析領域

  • プローブトラッキング
    probe tracking

    高倍率で元素マッピングを行うようなとき、長時間のデータ収集となるため、電子プローブの照射位置がずれてしまうことがある。これを防ぐために、分析中の照射位置のずれを検出して、そのずれを補正しながらデータ収集を行う機能。

  • ベリリウム膜付き検出器
    beryllium-window detector

    EDS検出器の一種。検出器前にある真空隔壁として7~10µm厚のベリリウムの薄膜が使われている。このため、Naより軽い元素のX線は吸収が大きく、ほとんど検出できない。最も古くから使われてきたEDS検出器である。

  • マイクロカロリメトリー検出器
    microcalorimetry detector

    EDS検出器の一種。極低温に保たれた熱吸収体にX線が入射すると微量の熱を発生するが、X線のエネルギーにより温度上昇が異なるため、これを検出することでX線のエネルギーを測定するEDS検出器で、現在開発段階にある。WDS並のエネルギー分解能を持っているが、計数率と受光面積が極めて小さいので、実用分析に利用するためには、検出立体角を大きくするような工夫が必要である。

  • マッピング
    mapping

    電子プローブを試料上で2次元的に走査し、試料からの情報を取得したり、得られた結果を2次元的に表示すること。元素の2次元的な分布、あるいは結晶方位の2次元的な分布を知るために使われる。

  • 面分析
    area analysis

    ある程度広い領域の定性分析、定量分析を行うもので、平均的な値を得るための方法。点分析に対比して使われる用語で、画面内の特定な点を選ぶのではなく、画面内を2次元的に走査しながら分析を行う。なお、元素マッピングを面分析と言う場合がある。

  • 横形分光器
    horizontal spectrometer,inclined spectrometer

    WDSの一種。ローランド円が水平面から30゜程度傾いた状態で配置されているのが特徴である。このため、試料の高さがわずかにずれても分光条件を満たすことから、高さ合わせ用の光学顕微鏡が不要であり手軽に扱えるので、SEMに取り付けられるのはこの形式が多い。

  • ローランド円
    Rowland circle

    WDSで分光する波長を変える場合には、分光結晶を動かして行うが、この時、X線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器はいつも一定の半径を持つ円の上に乗ったまま動く必要がある。この円をローランド円と言う。

    波長分散分光器