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  • CRT(ブラウン管)

    cathode ray tube,Braun tube

    [目次:装置]

    陰極線管の略語。ブラウン管とも呼ばれ、SEM像の表示に使われてきたが、生産量の減少と共に液晶ディスプレーに置き換わりつつある。液晶ディスプレーに比べてダイナミックレンジが広く、階調も多いので、微妙なコントラストの表現には向いている。

  • DMSO凍結割断法

    freeze fracturing method using DMSO

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する凍結割断法の最も代表的な方法。脱水後の試料を50%ジメチルスルフオキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)に浸漬し、液体窒素で冷却した金属上で凍結割断する。凍結割断法としては、他に、アルコール凍結割断、樹脂凍結割断などの手法が用いられる。

  • EBIC像

    EBIC image,electron-beam induced current image

    [目次:理論]

    電子プローブで試料上を走査したときの、電子線誘起電流の変化を可視化したSEM像。半導体デバイスの動作状態の確認、材料の結晶欠陥の観察などに使われる。

  • EBSD

    electron backscatter diffraction

    [目次:分析]

    後方散乱電子回折を利用して、結晶性試料の方位解析をする方法。60~70゜に傾斜した試料に電子プローブを照射すると、側方に置いた蛍光スクリーン上に電子回折パターンが得られる。この電子回折パターンをテレビカメラで取り込み、方位解析を行いながら、電子プローブで試料表面を走査すると、各点の方位情報が得られる。これを利用して方位分布、相分布などの結晶方位解析を行うことができる。解析領域、空間分解能は電子プローブ径にも依存するが、数十nmである。

    EBSD

  • EBSP

    electron backscatter diffraction pattern

    [目次:分析]

    EBSDで得られた電子回折パターン。EBSDと同義語に使われることもある。

  • ECC像

    ECCI ECC image,electron-channeling contrast image

    [目次:理論]

    電子チャンネリングコントラスト(ECC)像。結晶性試料のSEM像を観察すると、場所ごとの結晶方位の違いがコントラストを生じる。これを利用して、結晶方位の分布や転位の観察を行うことができる。回折条件を変える(試料を傾斜したり、加速電圧を変える)とコントラストが変わるのが特徴である。
    下図は試料を傾斜して得られた2枚のECC像を交互に表示したものである。観察には一般に反射電子像が使われるが、試料によって、あるいはプローブ電流が多いときは、二次電子像で観察されることもある。

    ECC像

  • EDS検出器

    EDS detector

    [目次:分析]

    EDSで用いられる検出器。一般には、Si(Li)検出器やシリコンドリフト検出器などの半導体検出器が用いられている。EDS検出器に入射したX線はそのエネルギーに比例した数の電子-正孔対を作るので、これを電流として取り出し、測定することで入射したX線のエネルギーを知ることができる。なお、入射X線により発生する熱を測定してX線のエネルギーを知るマイクロカロリメトリー検出器が開発されている。

  • ESD

    environmental secondary electron detector

    [目次:装置]

    環境制御形SEMで使われている二次電子検出器。数百Vに保たれた捕集電極が検出器として用いられるが、試料から放出された二次電子が、捕集電極で加速されるときに周囲のガス分子に衝突して起きる、ガス増幅を利用している。

  • ET検出器

    ET detector,Everhart-Thornley detector

    [目次:装置]

    Everhart と Thornley によって開発された二次電子検出器。高電圧が印加されたシンチレータに、二次電子を加速衝突させて光に変換し、光電子増倍管で再び電気信号に変える。シンチレータの前には補助電極(コレクタ)が置かれており、捕集効率が変えられるようになっている。現在のSEMで使われている二次電子検出器の基本形である。

    ET検出器

  • E×B検出器(イークロスビー検出器)

    E×B detector,E cross B detector

    [目次:装置]

    インレンズ形対物レンズあるいはシュノーケル形対物レンズと組み合わせて使われる二次電子検出器の一種。低加速電圧では、二次電子検出器の強い電界により電子プローブが偏向を受け、軸ずれを起こしやすいが、直交方向に磁界を掛けることでこの偏向を防ぐことができる。電界(E)と磁界(B)を直交させることからE×Bと呼ばれる。構造的には、エネルギーアナライザの一つであるWien フィルタと同じである。

  • FESEM

    field-emission SEM

    [目次:装置]

    電界放出電子銃を搭載したSEMの略称。すなわち、汎用形FESEM、分析FESEM、超高分解能FESEMなどの総称。

  • HAADF

    high-angle annular dark field

    [目次:理論]

    STEM暗視野法の一つ。大きな角度に散乱された透過電子を、円環状の検出器で検出し画像化すると、原子番号の2乗に比例したコントラスト(Zコントラスト)を得ることができる。この方法をHAADF(ハーディフ)と呼び、200kVクラスの加速電圧を持つSTEMでは、原子オーダーの解像力で組成情報を得ることができる。

  • K-レシオ

    k-ratio

    [目次:分析]

    同一条件で測定した、標準試料のX線強度に対する未知試料のX線強度の比。相対強度と同義語。

  • KLMマーカー

    KLM marker

    [目次:分析]

    EDSの機能の一つ。ピークを同定するためにスペクトル上に表示される線状のマーカーで、特性X線(K線、L線、M線)のエネルギー値を意味する。

  • LVSEM

    low-voltage scanning electron microscopy

    [目次:理論]

    低加速電圧観察法の略語。試料の表面層だけを観察するために、数kV以下の加速電圧を使う観察法。

  • LaB6陰極(六ホウ化ランタン陰極)

    LaB6 cathode,lanthanum hexaboride cathode

    [目次:装置]

    熱電子銃の陰極として六ホウ化ランタン(LaB6)を使用したもの。タングステンフィラメントに比べて高い輝度が得られるが、LaB6は活性が高いため、1桁程度高い真空が必要である。

  • ODO法(オスミウム浸軟法)

    ODO method,osmium-DMSO-osmium method,osmium maceration method

    [目次:試料作製]

    生物試料の断面観察に用いられる代表的な方法。オスミウム固定後、DMSO凍結割断を行った生物組織を、低濃度の四酸化オスミウム水溶液に浸漬し、細胞質を溶出して細胞内構造を剖出する。処理過程で使用される薬剤から付けられた名前である。

  • Oリング

    O ring

    [目次:装置]

    断面が円形をしたリング状のゴム製真空シール部品。部品同士の隙間を塞ぐ形で真空と大気の境界部に用いる。一方が可動部品の場合は、真空グリースを薄く塗布する。SEM用としては、フッ素ゴムのOリングが使われるが、それ自身からのガス放出があることやガスが透過するため、超高真空用としては使えない。

  • P-B比(P/B)

    P-B ratio,peak-to-background ratio

    [目次:分析]

    スペクトルのバックグラウンド強度(B)に対する、ピーク強度(P)の比。これに対して(P-B)/BをL-B比と言う場合がある。

    P-B比

  • P-Nコントラスト

    P-N contrast

    [目次:理論]

    p-n接合では、空乏層を挟んでp領域は負に帯電し、n領域は正に帯電している。したがって、二次電子像で観察すると電位コントラストによって、p領域は明るく、n領域は暗く見える。これを、P-Nコントラストと言う。

  • PC-SEM

    PC-controlled SEM

    [目次:装置]

    パーソナルコンピュータで制御するSEM。1990年代後半に商品化されたが、現在は、市販されているSEMのほとんどがパーソナルコンピュータで制御されており、死語となりつつある。

  • ROI

    region of interest

    [目次:分析]

    元素マッピングを行うには、特定元素のX線ピークに対して、ある程度のエネルギー幅を持った領域を指定し、この領域に入るエネルギーを持つX線の数を信号として、画像化する。この領域をROI(ロイ)と言う。

  • SE1

    [目次:理論]

    一次電子により直接励起されて、真空中に放出される二次電子。真の二次電子とも言われ、試料表面付近の情報を持ち、入射電子プローブの直径に近い領域からのみ放出される。

    SE1

  • SE2

    [目次:理論]

    反射電子が試料から放出されるとき、表面付近で励起した二次電子。加速電圧が高い場合、反射電子は拡がりを持つので、発生領域は電子プローブ径に比べるとかなり大きくなると同時に試料内部の情報を持つ。SE2の放出率は、反射電子の放出率に比例するので、試料の原子番号に依存する。

    SE2

  • SE3

    [目次:理論]

    試料から放出された反射電子が、対物レンズなどSEM本体の構造物を衝撃したときに発生する二次電子。

    SE3

  • SEMラマン装置

    SEM-Raman combined system

    [目次:装置]

    ラマン分光装置をEDS付きのSEMに組み込むことで、SEMによる形態観察、EDSによる組成分析、ラマン分光による状態分析を可能にした複合システム。

  • SIM像(走査イオン顕微鏡像)

    SIM image,scanning ion microscope image

    [目次:理論]

    走査イオン顕微鏡像の略語。集束イオンビームで試料を走査したとき放出される二次電子を信号として、可視化した像。組成コントラスト、結晶方位コントラストがSEM像に比べて強く現れる。またイオンと試料の相互作用は電子に比べて大きいため表面の情報が強く現れるが、イオンビーム径が大きいため、解像力はSEM像に比べて低い。SIM像(シム像)の組成コントラストはSEMの反射電子像とは違って、原子番号が小さいほど明るくなる。SIM像の結晶方位コントラストは電子チャンネリングコントラストと違って、加速電圧を変えてもほとんど変わらない。ただし、試料を傾斜するとコントラストが変わる。イオン照射による試料表面のエッチングが起こるので、長時間の観察はむずかしい。

  • STEM像(透過電子像)

    STEM image,transmitted electron image

    [目次:理論]

    STEM(ステム)で得られた像。薄膜試料を透過した電子を検出して、得られたものであるが、散乱吸収コントラスト、回折コントラスト、位相コントラストなどTEMで得られるコントラストは全て得られる。

  • Si(Li)検出器

    Si(Li) detector

    [目次:分析]

    シリコン単結晶にリチウムをドリフトさせたPIN接合を使ったEDS検出器。検出器に入射したX線はそのエネルギーに比例した数の電子-正孔対を作るので、これを電流として取り出し測定することで、入射したX線のエネルギーを知ることができる。多くの場合、リチウムの拡散を防ぐためと電気ノイズを押さえるために液体窒素で冷却して用いる。EDS検出器と言うと、通常これを意味する。

    Si(Li)検出器

  • TEM/SEM

    TEM with SEM function

    [目次:装置]

    SEM機能を付加したTEMの略語。テムセムと読む。

  • TTL検出器

    TTL detector,through-the-lens detector

    [目次:装置]

    インレンズ形対物レンズ、あるいはシュノーケル形対物レンズなどの、強励磁対物レンズと組み合わせて使う二次電子検出器。これらの強励磁対物レンズでは、従来の二次電子検出器のように、対物レンズ下方、試料側方に配置する方法では、試料から放出された二次電子は、対物レンズの漏洩磁界にトラップされてしまい、ほとんど検出されない。これを解決するために考えられた方法で、二次電子は対物レンズの磁界で拘束されたまま光軸に沿って上方に導かれ、検出器に入射する。検出のメカニズムから等方的な照明となり、立体感が少ない像となる。
    下図に示すのはシュノーケル形対物レンズと組み合わせた例である。

    TTL検出器

  • UTW検出器

    UTW detector,ultra-thin window detector

    [目次:分析]

    EDS検出器の一種。検出器前の真空隔壁としてポリマーの薄膜が使われているため、ベリリウム膜を使用したものと違って、低エネルギーのX線の吸収が少なくB以上の元素が検出できる。

  • VP-SEM

    variable pressure SEM

    [目次:装置]

    低真空SEMと同義語。試料環境の圧力が変えられることを前面に出した呼び方。

  • WEB-SEM

    [目次:装置]

    インターネットSEMとほぼ同義語。webブラウザを介して操作できることから付けられた商品名。

  • XMA

    X-ray microanalyzer

    [目次:装置]

    X線マイクロアナライザの略語。電子プローブマイクロアナライザと同義語であるが、最近では使われることが少なくなった用語である。

  • X線

    X-ray

    [目次:理論]

    100eV~数百keVのエネルギー(10nm~数pmの波長)を持つ電磁波の一種。連続的なエネルギー分布を持つ連続X線と、元素に特有なエネルギーを持つ特性X線があり、特性X線は元素分析に利用される。

  • X線マイクロアナライザ

    X-ray microanalyzer,electron probe microanalyzer

    [目次:装置]

    電子プローブマイクロアナライザと同義語。最近では使われることが少なくなった用語である。

  • X線像

    X-ray image

    [目次:分析]

    特性X線を使った元素分析の一方法。特定のエネルギーを持つ特性X線の計数率を信号として電子プローブを走査することで、各点からのX線放出量の違いを画像化したもの。X線像という言葉は使われなくなっており、元素マッピングと呼ばれることが多い。

  • YAG検出器

    YAG detector

    [目次:装置]

    YAG結晶を使ったシンチレータ形の反射電子検出器。反射電子をYAG結晶で光に変換し、光電子増倍管で再び電気信号にする。半導体検出器に比べて応答が速く、速い走査速度で反射電子組成像が観察できる。

  • Y軸変調

    Y modulation

    [目次:観察手法]

    SEM像の表示方法の一つ。画像の明るさは一定のまま、検出された信号量の多少に応じて、画像の表示位置を画面の垂直方向にずらす方法。輝度変調に比べると、信号量の変化をより定量的に表示することができる。

  • ZAF補正

    ZAF correction

    [目次:分析]

    定量分析を行うときの補正法の一つ。相対強度の値に、原子番号補正(atomic number、Z)、吸収補正(absorption、A)、蛍光補正(fluorescence、F)を施して真の濃度を求める方法。標準試料として純粋試料あるいは化合物のいずれかを使用でき、またあらゆる分析条件、元素に適用できるために、現在最も一般的に利用されている。ザフ補正と読む。

  • ZrO/Wエミッタ

    ZrO/W emitter

    [目次:装置]

    ショットキー電子銃で使われるエミッタ。W<100>単結晶のエミッタ先端部を仕事関数の低いZrOで被覆してある。ZrO層は加熱によって蒸発するが、これを補うためにエミッタの根本の方にはジルコン溜めがあり、先端部にジルコンを供給する構造となっている。

    ZrO/Wエミッタ

  • Zコントラスト

    Z contrast

    [目次:理論]

    原子番号(Z)コントラスト。STEMの暗視野観察の際、十分大きな散乱角の透過電子のみを取り込んで像を作ると、組成の違いによるコントラストを得ることができる。これをZコントラストと言い、原子番号の2乗に比例する量である。

  • t-ブチルアルコール凍結乾燥

    t-butyl-alcohol freeze drying

    [目次:試料作製]

    凍結乾燥法の一種。脱水した試料をt-ブチルアルコールで置換し、凍結した後、真空容器の中で排気すると、凍結乾燥を行うことができる。t-ブチルアルコールは凝固点が約300K(25℃)と高いので、冷蔵庫や冷凍庫で試料を凍結することが出来、手軽に扱えるのが利点である。

  • φ(ρz)法(ファイローゼット法)

    Φ(ρz) method

    [目次:分析]

    定量分析における補正法の一つ。ZAF補正に比べて、X線発生量の深さ分布を、より実際的なものにしたことと、原子番号効果、吸収効果をまとめて扱うことで誤差を小さくしているため、軽元素領域での定量分析で精度の高い結果が得られる。

  • アウトレンズ形対物レンズ(汎用形対物レンズ)

    out-lens objective lens,conventional objective lens

    [目次:装置]

    汎用SEM、あるいはEPMA、SAMなどの分析装置で使われる対物レンズ。内側のヨーク部分にレンズギャップが設けられており、試料はポールピースの外側に置かれていることからこう呼ばれる。レンズと試料の間の距離が短くできないことから収差は小さくできないが、試料周辺の空間は大きく、試料傾斜などの自由度は大きい。

    アウトレンズ対物レンズ

  • アウトレンズ検出器

    out-lens detector

    [目次:装置]

    アウトレンズ形対物レンズと組み合わされて使われる二次電子検出器。対物レンズと試料の間に配置されており、光軸に関して非対称な配置となるため、方向性を持った照明効果が得られる。通常はET検出器がそのまま使われており、作動距離が短くなると検出感度が低下する。

    アウトレンズ検出器

  • アクアダッグ

    Aquadag

    [目次:試料作製]

    導電性ペーストの商品名。水をベースとしてコロイド状のグラファイトを分散したもの。

  • アクセスポート(ポート)

    access port

    [目次:装置]

    種々の付属装置を取り付けるために、試料室に設けられた開口部。

  • アクティブ磁気シールド(アクティブ磁場キャンセラ)

    active magnetic shield,active magnetic field canceller

    [目次:その他]

    磁気センサーで磁場変動を検出し、周囲に置いた磁界発生コイルに流す電流を調整すると、磁気センサーが置いてある場所の磁場変動を打ち消すことが可能である。このようなシステムをアクティブ磁気シールドと呼ぶ。磁場変動の種類によっては高透磁率の素材を使った磁気シールドより手軽に設置することが可能である。

  • アクティブ除振装置

    active vibration isolator

    [目次:その他]

    SEMは床からの振動を防ぐために、金属バネあるいは空気バネの様な除振装置を使っているが、床振動の周波数によってはこれらのバネの共振周波数と一致して、かえって増幅されてしまい、大きな像揺れを引き起こす。アクティブ除振装置は、センサーで検出した振動を打ち消すような動きをアクチュエータで与えることで、共振を抑えるシステムである。

  • アナグリフステレオ

    anaglyph stereo

    [目次:観察手法]

    ステレオ画像の観察方法の一つ。SEMで撮影されたステレオペア画像の1枚を緑色に色付けし、もう1枚を赤色に色付けする。この2枚の画像を一個所に重ねて表示し、緑と赤のフィルタを左右の眼の前に置いて観察すると、左右の画像を分離でき、ステレオ視が可能である。フィルタは緑と赤でなくても補色関係にあるものであればよい。SEM画像は本来単色であり、パーソナルコンピュータの画像処理ソフトでも簡単に色つけができるので、この方法は手軽で最適なステレオ観察法である。

    アナグリフステレオ

  • アナログ走査

    analog scanning

    [目次:装置]

    電子プローブの水平方向の走査を、一様な傾斜を持つアナログの走査信号波形で行う方式。従来のSEMで長い間使われてきたもので、電子プローブ位置の制御はやや不正確になるほか、走査速度を変えたときの位置ずれや歪みが起きやすい。取り込んだ画像を拡大したときは、単純なボケになるので、アーティファクトは少ない。垂直方向は、走査線が離散的になるため、実質的にデジタル走査となり、この方向にアーティファクトを生じる場合がある。なお、アナログ走査であっても、信号をデジタル的に取得することでデジタル画像にすることが可能である。

  • アニュラー半導体検出器

    annular semiconnductor detector

    [目次:装置]

    アニュラー半導体検出器とは反射電子の検出を目的とした環状型の半導体検出器。
    応用例として、図に示すように、検出器の素子を内周から外周に向けてリング状に分割することによって、試料から放出した反射電子の検出角度を切り替えられるようにした構造の検出器も存在する。この場合、内周の素子を使うと組成情報が多く、外周の素子を使うと凹凸情報が多くなる。また、STEM検出器にも同様の構造のものがある。

    アニュラー半導体検出器

  • アニュラー半導体ペア検出器

    annular semiconductor pair detector

    [目次:装置]

    アニュラー (環状の) 半導体検出器で、一般には対物レンズの下端に装着されて反射電子の検出に用いられる。
    入射電子は検出器中央の穴を通るように作られている。一般的に検出器は2分割もしくは4分割され、対向する素子の信号を加算・減算することで、組成像と凹凸像に分けることができる。
    図は、表面は平滑であるが組成の違いがある試料と、組成は均一であるが凹凸がある試料に対してアニュラー半導体ペア検出器を使って組成像と凹凸像を得る原理を示す。

    アニュラー半導体ペア検出器

  • 油回転ポンプ(回転ポンプ)

    RP oil rotary pump,rotary pump

    [目次:装置]

    可動翼を付けた回転体を油の中で回し、気体をかき出すようにして圧縮排気するポンプ。可動翼とステータあるいは回転体とステータの隙間を油でシールしている。動作圧力範囲は10-1Pa~大気圧程度であり、大気からの粗引きや高真空用のポンプの補助用として用いる。

  • 油拡散ポンプ(拡散ポンプ)

    DP oil diffusion pump,diffusion pump

    [目次:装置]

    金属円筒内に置かれたノズルから油蒸気を噴き出させ、そのエネルギーで気体分子を圧縮排気するポンプ。油を高温の蒸気にするためのヒーターと、金属円筒を冷却するための水が必要である。動作圧力範囲は10-5~10-1Pa程度であり、排気口側に油回転ポンプが繋がれている。

  • アライメントコイル

    alignment coil

    [目次:装置]

    軸合わせを行うための偏向コイル。通常、直交する2組のコイルがセットになっており、2次元的な偏向によって軸合わせを行うことができる。

  • 粗引き

    rough pumping

    [目次:装置]

    大気圧から高真空まで順次真空を上げていく排気システムにおいて、主排気ポンプによる高真空排気を行う前に、補助ポンプを使って大気圧から低真空の間を排気する操作。

  • アルコール凍結割断法

    freeze fracturing method using alcohol

    [目次:試料作製]

    凍結割断法の一種。脱水後の試料を100%エタノールに浸漬し、液体窒素で凍結した後、割断する。

  • 暗視野像

    dark field image

    [目次:理論]

    STEM像あるいはTEM像の一つで、試料を透過した電子の内、散乱・回折した電子線を検出して作った像。明視野像のコントラストとは逆で、非晶質試料の場合は(厚さ×密度)積が大きい部分が明るくなり、結晶性試料の場合は回折条件を満足した部分が明るくなる。下図に示すSTEMの暗視野法では、通常、環状の検出器を用いるため、TEMでの暗視野法と違って、特定の回折波のみを選択することはできない。

    暗視野像

  • アンダーフォーカス(不足焦点)

    under focus

    [目次:理論]

    焦点が外れている状態の一つで、試料面より下方に焦点が合っていることをいう。対物レンズを強励磁にするか、試料を下方に移動することで試料面に焦点が合うようになる。

  • アーティファクト(人工産物)

    artifact

    [目次:その他]

    試料作製あるいは観察段階で人為的に生じた偽の構造。

  • イオンエッチング

    ion etching

    [目次:試料作製]

    イオン衝撃によるスパッタ現象を利用して、試料表面のエッチングをする方法。表面の汚れを取ったり、スパッタ速度の違いを利用して凹凸のコントラストを付けるのに用いられる。

  • イオン化

    ionization

    [目次:理論]

    中性の原子や分子に電子が衝突したときに、電子を失ってプラスイオンとなったり、電子をもらってマイナスイオンとなる現象。

  • イオン研磨

    ion polishing

    [目次:試料作製]

    イオンビームを使って試料を研磨すること。イオンビームを試料にごく浅い角度で照射したときのスパッタリング現象を利用して、平滑な平面を作製する技術。クロスセクションポリッシャーはこの技術を利用している。

  • イオンスパッタ装置(イオンコーター,スパッタコーター)

    ion sputtering device,ion coater,sputter coater

    [目次:試料作製]

    最も多く使われているコーティング装置。コーティングしたい金属を陰極(ターゲット)として、数Paの低真空中で放電させると、生成されたプラスイオンが陰極に入射して、ターゲット材料をスパッタする。この結果、ターゲット材料の金属で試料表面がコーティングされる。ターゲット金属としては、金、白金、金パラジウム、白金パラジウムなどが使われる。スパッタされた金属がターゲットと試料の周辺に残留する空気分子で散乱されるため、凹凸がある試料に対しても比較的一様なコーティング膜ができる。最近では、磁界中でのペニング放電を利用したマグネトロンスパッタ装置が多く使われている。アルゴンガスを導入するとコーティング速度を上げることができる。コーティングだけでなく、ターゲットを取り外して使うことで、イオンエッチング、あるいは親水化処理などが可能な装置もある。

    イオンスパッタ装置

  • イオンビームスパッタ装置

    ion-beam sputter coater

    [目次:試料作製]

    ペニング形イオン銃から放出されたブロードイオンビームをターゲットに照射し、スパッタされた金属を試料にコーティングする装置。ターゲットと試料は高真空中に置かれるため、均一なコーティング膜を作るには、試料の回転傾斜機構かジンバル機構が必要である。通常のスパッタ装置と違って、タングステン、クロムといった酸化しやすい金属のスパッタができるほか、スパッタ速度の制御も比較的容易である。

    イオンビームスパッタ装置

  • イオンミリング

    ion milling

    [目次:試料作製]

    イオンビームを使った試料作製方法の一種。本来イオンビームを使った加工を意味するが、電子顕微鏡の試料作製の場合、予備的に薄くした試料の表面すれすれにアルゴンイオンビームを入射させ、STEMあるいはTEM用の薄膜試料を作る方法を意味する。

  • 鋳型法

    injection replication method,casting method

    [目次:試料作製]

    血管のように、中空の構造を持った試料、あるいは空洞の内壁を観察する場合の試料作製法。試料に樹脂を流し込み、硬化させた後、元の試料を溶解する。出来上がった鋳型を観察するが、凹凸は反転するので注意が必要である。血管鋳型法、リンパ管鋳型法といった方法がある。

  • 異常コントラスト

    anomalous contrast

    [目次:理論]

    非導電性試料を観察したときに二次電子像にしばしば生じる、試料の表面形態に依存しないコントラスト。試料が観察時に帯電したために起きる現象で、試料から放出された二次電子が帯電による局部的な電界によって偏向され、検出器にうまく入らないために起きる、一種の軌道コントラストである。走査速度を速くすると帯電量が減少するので、これを利用して異常コントラストの発生を抑制することができる。
    下図は無コーティングの濾紙表面を観察したもので、特に画面中央に表面形態と無関係な明るさのムラが見られる。

    異常コントラスト像

  • 位相コントラスト

    phase contrast

    [目次:理論]

    STEM像あるいはTEM像のコントラストの一つ。非常に薄い試料の場合、透過して散乱された電子線は位相のズレを生じるので、散乱されずに透過した電子線、あるいは空間を通ってきた電子線との干渉によってコントラストを生じる。これを、位相コントラストと言う。位相コントラストを得るには、検出器の角度を十分小さくする必要があるが、低加速STEMでは、一般に検出器の角度が大きくなり、位相コントラストを得るのは難しい。

  • 一次電子

    primary electron

    [目次:理論]

    入射電子と同義語。この用語は二次電子や反射電子などの試料から二次的に放出される電子に対比する意味で使われる。

    Same meaning as “incident electron.” This term is used to distinguish electrons secondarily emitted from a specimen such as secondary electrons and backscattered electrons.

  • イメージシフト(ファインシフト)

    image shift,fine shift

    [目次:装置]

    微細な視野選択を行うための電磁的視野移動機構。通常は試料ステージを使って機械的に試料を移動し、観察視野を選択するが、機械的精度の関係で微細な視野移動は難しい。このようなときに、電子プローブを偏向して行うのがイメージシフトである。微細な調整は得意であるが、最大移動量は汎用形SEMでは数十µm、超高分解能SEMでは数µmである。

  • 色収差

    chromatic aberration

    [目次:理論]

    レンズに入射する電子のエネルギーのばらつきのために起きる収差。すなわち、光軸上の一点から放出された電子のエネルギー(速度)がばらついていると、レンズに入射したときの屈折率が違うため、光軸上の異なった場所に集束し、半径 r の拡がりを持つ。この拡がりは、r=CcαΔE/Eとなり、電子のエネルギー(加速電圧 E )に反比例し、エネルギーのばらつき(ΔE)に比例する。比例係数は色収差係数(chromatic aberration coefficient)と呼ばれ、Ccで表される。ここでαは開き角である。SEMは加速電圧が低いので、電子銃から放出された電子のエネルギーのばらつきが問題であり、とくに低加速電圧での影響が大きい。なお、色収差という言葉は、エネルギーの違いが波長の違いを意味することから、光学レンズにならって名付けられたものである。

    色収差

  • 陰極(カソード)

    cathode

    [目次:装置]

    電子銃の構成要素の一つ。陽極に対してマイナスの電圧が与えられていることからこう呼ばれる。電子の放出源であり、熱電子銃の場合は、その形状からフィラメントと呼ばれることが多く、電界放出電子銃あるいはショットキー電子銃の場合はエミッタと呼ばれることが多い。

  • 陰極レンズ

    cathode lens

    [目次:装置]

    減速法の一つであるリターディング法では、試料ステージにマイナスの電圧を掛けるが、これにより試料と対物レンズの間に静電レンズが形成される。このレンズを陰極レンズと呼ぶ。元々は試料から放出される熱電子、光電子を結像するエミッション顕微鏡の初段レンズとして使われたもので、試料が陰極であったことから名前が付けられたものである。

  • インスタントフィルム

    instant film

    [目次:その他]

    撮影後1分程度で写真が出来上がる写真フィルムシステム。ネガシート、現像液、ポジ写真シートが一つのパッケージになっており、暗室作業も必要ない。ポラロイド社で開発されたことから“ポラロイド”が代名詞となっている。通常はポジ写真シートのみを扱うので、写真は1枚しか得られないが、ネガシートを使って焼き増しができるタイプもある。短時間で結果が得られることと暗室作業が無いことからある時期多用されたが、画像をデジタル化して扱うようになってからは使用量が低下している。

  • インターネットSEM

    internet SEM

    [目次:装置]

    PC-SEMのネットワーク機能を生かしてインターネットに接続し、遠隔操作を可能にしたSEM。画像を見ながらの操作になるので回線の速度が問題になる。

  • インターロック

    interlock

    [目次:装置]

    連動して動作する安全機構。一般には、ある操作をしようとすると、安全のため、関連する部分の状態を確認して、その操作の実行を許可したり、禁止したりする機構を言う。例えば、鏡筒部が十分な高真空になっていないと、電子線が発生できない様な機構を言う。

  • インレンズFE電子銃

    in-lens FE electron gun

    [目次:装置]

    集束レンズの磁場中にエミッタが位置するような電界放出電子銃。電界放出電子銃から放出される電子は大きな角度で分布するため、有効に利用するには、集束レンズを出来るだけ電子銃に近い位置に配置されるのが望ましい。実際には、シュノーケル形対物レンズを倒立させたような集束レンズを使うことで、レンズ磁場中にエミッタを置くような構造を取ることができる。

  • インレンズ形対物レンズ

    in-lens objective lens

    [目次:装置]

    超高分解能SEMで使われる対物レンズの一種。TEMの対物レンズと同じような構造をしており、試料はポールピースの中に置かれていることから、このように呼ばれる。レンズ中に試料が置かれることで収差が小さくできるが、試料周辺の空間は小さく、取り扱える試料の大きさは数mm径である。試料は強磁界の中に置かれるので、バルク状の磁性材料の観察は難しい。二次電子の検出にはTTL検出器が用いられる。試料ステージもTEMとほぼ同様の構造を持っており、サイドエントリータイプのゴニオメータと試料ホルダの組み合わせとなっている。試料ステージが軽量であることから床振動の影響も比較的小さい。

    インレンズ対物レンズ

  • ウィンドウレス検出器

    windowless detector

    [目次:分析]

    EDS検出器の一種。通常検出器前に置かれるベリリウム膜の真空隔壁が無いため、真空隔壁によるX線の吸収が少なく、B以上の元素が検出できる。試料室を大気にするようなときは、検出器の前にあるゲート弁を閉じ、検出器に霜が付かないようにする。

  • ウェーネルト電極(ウェーネルト円筒)

    Wehnelt electrode,Wehnelt cylinder

    [目次:装置]

    熱電子銃の構成要素の一つ。陰極と陽極の間に置かれた電極で、陰極に対してマイナスのバイアス電圧が与えられており、放出電子の量を制御するのに使われる。陰極、ウェーネルト電極、陽極の三つで作られるレンズ作用により、クロスオーバーを形成する役目もある。

    熱電子銃

  • ウォブラ(ワブラ)

    wobbler

    [目次:装置]

    レンズの焦点距離を周期的に変動させる機能で、軸合わせを容易にするために使われる。目標物を視野の中心に置いてウォブラを動作させたとき、軸が合っていると、像がぼけるだけで、目標物は等方的な動きをする(下図 左)が、軸がずれていると、方向性を持った動きとなる(下図 右)。これを利用して正確な軸合わせをすることが可能である。

    ウォブラ1ウォブラ2

  • ウルトラミクロトーム

    ultramicrotome

    [目次:試料作製]

    SEMやTEM用の薄膜試料を作製する装置。ガラスナイフ、サファイアナイフ、ダイヤモンドナイフなどを使って、かんなで削るようにして厚さ数10nm~数100nmの薄膜試料を作る。樹脂包埋した生物試料や高分子試料などの柔らかい試料の切削を得意とする。金属のような硬い試料の薄膜作製に使うこともある。特にSEMでは、切り出した切片の観察だけでなく、切削して露出した試料面(数100µm角~数mm角程度の広さ)の観察にも利用される。

  • エアロック試料交換

    airlock specimen exchange

    [目次:装置]

    試料交換を行うとき、エアロック機構を通して試料交換を行う方法。すなわち、一旦試料を試料交換室に入れて予備排気を行い、ある程度の真空にした後、仕切り弁を開けて試料室に導入する。試料室を大気にすることなく試料交換ができるので、短時間で交換作業ができるだけでなく、試料室に多量の空気を持ち込まずに済むため、良い環境で安定して試料を観察することができる。エアロック機構を用いるため導入できる試料寸法が制限されることがあるが、FESEMでは一般にこの方法が用いられる。

  • エイリアシング

    aliasing

    [目次:理論]

    SEM像の中にある構造の周期が、画素の大きさや走査線の間隔に近くなると、偽の周期として観察される現象。SEM像の中の構造が、画素の大きさや走査線の間隔の2倍以上の周期を持っていない限り、偽の周期を生じてしまうので、構造に応じて高い倍率を選ぶ必要がある。また、低倍率像に記録された細かい構造をあとから拡大して観察する場合は注意が必要である。下図は、周期Tの波形を、ほぼ1T/3と2T/3の周期で観測したときの結果を示しているが、2T/3では元の波形とは異なる周期が観測されている。

    エイリアシング

  • 液体金属イオン源

    LMIS liquid-metal ion source

    [目次:装置]

    集束イオンビーム装置のイオン源。液体金属のガリウムをタングステンの針先にコーティングしたエミッタを陽極として、引出電極にマイナスの高電圧を掛け、ガリウムイオンビームを放出させる。寿命は1000時間程度である。

    LMIS

  • 液体窒素バッフル

    liquid-nitrogen baffle

    [目次:装置]

    油拡散ポンプの真上に置いた、液体窒素で冷却された邪魔板。油拡散ポンプからの油分子の逆拡散を防止するのが目的であるが、通常使われている水冷バッフルより高い効果が得られる。

  • エスケープピーク

    escape peak

    [目次:分析]

    EDSのスペクトルに現れるゴーストピークの一種。EDSの場合、入射したX線により、検出器のSiが励起され、本来の特性X線ピークの計数が減ると同時に、SiのX線エネルギー(1.74keV)に相当する低いエネルギー位置にゴーストピークが現れる現象。

  • エッジ効果

    edge effect

    [目次:理論]

    試料表面に微細な突起やステップ状の構造があると、突起の先端やエッジ部分が、ある幅を持って明るくなる現象。明るい部分の幅は加速電圧が高いほど広くなる。原因は、試料中での入射電子の拡散によって側面から二次電子が放出されるためで、加速電圧が高いほど入射電子の拡散が大きくなるためである。
    下図のSEM像は、アルミニウムの破断面を加速電圧15kV(左)と3kV(右)で撮影したものである。加速電圧が高いとエッジ状の部分が幅広く明るく見える。

    エッジ効果

    下図左の高加速電圧の場合は、電子プローブの照射位置が試料エッジから離れていても、大きな拡散領域が側面からの二次電子脱出可能深さに達するので二次電子が側面から放出される。一方、右の低加速電圧では、電子プローブが試料エッジに近づかなければ側面からの二次電子放出は無い。この結果電子プローブを走査すると、二次電子放出量は高加速電圧ではなだらかな立ち上がりとなり、低加速電圧では急峻な立ち上がりとなる。
    エッジ効果

  • エッチング

    etching

    [目次:試料作製]

    断面観察の時に、組成の違い、結晶方位の違いなどによる腐食速度の違いを利用して、試料の組織を浮き出させる化学処理。化学的な方法の他、イオンによるスパッタ速度の違いを利用する場合もある。

  • エネルギーアナライザ

    energy analyzer

    [目次:分析]

    試料から放出される種々の電子のエネルギーを分光し、スペクトルを取得するための装置。複数の電極と検出器で構成され、電極の電圧を変えることで検出器に入射する電子のエネルギーを変え、スペクトルを作る。

  • エネルギー幅

    energy spread,energy width

    [目次:理論]

    電子が持つエネルギーのばらつき。SEMの場合は、電子銃から放出される電子、あるいは電子プローブ内の電子に対して言うのが普通である。これは、電子プローブ径が、特に低加速電圧でエネルギー幅の影響を受けるからである。陰極からの電子放出のメカニズムによってエネルギー幅は異なり、陰極温度が高いほどエネルギー幅は広くなる。

  • エネルギーフィルタ

    energy filter

    [目次:装置]

    特定のエネルギーを持った二次電子あるいは反射電子のみを透過させたり、遮断するための、複数の電極で構成されたフィルタ。市販のSEMでは、TTL検出器と組み合わせることで二次電子のエネルギー選別を行い、帯電の影響を軽減したり、組成の情報を引き出す目的に使われることがある。

  • エネルギー分解能(スペクトル分解能)

    energy resolution,spectrum resolution

    [目次:分析]

    X線分光器などのエネルギーアナライザの性能を表す用語。スペクトル中に現れるピークの半値幅で表すが、どの位接近したエネルギーが分離観測できるかを意味する。X線分光器の場合はFeのKa線付近のピークにより定義され、EDSでは130eV程度、WDSでは10eV程度が得られている。

  • エネルギー分散X線分光法

    EDS,EDX energy dispersive X-ray spectrometry

    [目次:分析]

    エネルギー分散形X線分光器を使ったX線分光法。分析元素範囲はB~Uである。全元素範囲の同時分析ができる、分析時のプローブ電流が小さくて済むなどの特長もあるが、エネルギー分解能、検出限界などではWDSの方が有利である。SEMでの元素分析は、ほとんどがこの方法による。

  • エネルギー分散形X線分光器

    EDS,EDX energy dispersive X-ray spectrometer

    [目次:分析]

    X線をエネルギーで弁別し、スペクトルを得る分光器。一般には、半導体を使ったEDS検出器が用いられており、分析元素範囲はB~Uである。EDS検出器、多重波高分析器、パーソナルコンピュータなどでシステムが構成されているが、WDSに比べて、検出器の取り付けに幾何学的な制限が少ないので多くのSEMに取り付けられている。全元素範囲の同時分析ができる、分析時のプローブ電流が小さくて済むなどの特長もあるが、エネルギー分解能、検出限界などではWDSの方が有利である。

    EDS

  • エミッション電流

    emission current

    [目次:装置]

    電子銃から放出される電子電流。この電流のごく一部が対物レンズ絞りを通過してプローブ電流となる。

  • エミッションノイズ(チップノイズ)

    emission noise,chip noise

    [目次:装置]

    電子銃から放出される電子電流量の変動によって、画像に生じる明るさの変動。ゆっくりした走査速度だと、スジ状あるいは帯状の明るさ変化として現れる。電界放出電子銃では、エミッタの電子放出領域が小さいこと、吸着ガス分子の影響を受けやすいことなどから、エミッションノイズが大きく、これを補償するノイズキャンセラと呼ばれるシステムが必要であるが、熱電子銃やショットキー電子銃では無視できる。

  • エミッタ

    emitter

    [目次:装置]

    電子の放出源すなわち陰極。一般に、電界放出電子銃あるいはショットキー電子銃の陰極に対して使われることが多い。なお、集束イオンビーム装置の場合は、イオンの放出源がエミッタであり、陽極となる。

  • エメリー紙

    emery paper

    [目次:試料作製]

    紙又は布の上に、アルミナ系の砥粒をバインダーに混ぜて塗り、固めた研磨紙。最近は、炭化ケイ素の砥粒を塗った研磨紙もエメリー紙と呼ばれることが多い。研磨砥粒の大きさによってクラス分けされており、番号が大きいほど砥粒が細かいことを意味する。

  • 遠隔操作SEM

    remote-controlled SEM

    [目次:装置]

    LANあるいはインターネットなどのネットワークを介して、遠隔操作ができるようにしたSEM。ネットワークを介して転送された画像を観察しながら操作することになるため、通信速度が操作性の決め手になる。

  • 凹凸コントラスト

    topographic contrast

    [目次:理論]

    試料表面の凹凸に依存する像コントラスト。一般的な試料のSEM像はこのコントラストによる。

  • 凹凸像

    topographic image

    [目次:理論]

    光軸に関して対称に置いた二つの検出器で反射電子を検出する場合、検出器の出力の差を信号としてSEM像を作ると、組成情報を打ち消して凹凸情報のみを得ることができる。これを凹凸像と言う。比較的低角度の一方向から照明を当てたような像になるため、二次電子像では見にくいなだらかな凹凸でも高いコントラストで観察することができるのが特長である。ただし、反射電子を使うことから解像力はある程度低くなる。
    下図は、凹凸像を得るための検出器で出力A-出力Bの信号を用いることで検出器Aの方向から光を当てたようなコントラストの像を得ることができる。なお、出力A+出力Bを信号として像を作ると組成像を得ることができる。

    反射電子検出器

  • オスミウム固定

    osmium fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する化学固定の一種。四酸化オスミウムの水溶液あるいは蒸気を使った化学固定法。生体膜成分のリン脂質を良く固定するが、過度の固定ではタンパク質の破壊や溶解を起こす。

  • オスミウムコーター(プラズマCVD装置)

    osmium coater,plasma CVD equipment

    [目次:試料作製]

    オスミウム雰囲気中でのグロー放電を利用して、四酸化オスミウム蒸気を分解し、金属オスミウムの薄い被膜を試料にコーティングする装置。凹凸が比較的激しい試料でも一様な膜厚のコーティングができる、膜の粒状性が極めて細かく高倍率観察に適する、などの特長を持つ。イオンスパッタ装置と似た構造を持つ装置であるが、四酸化オスミウムは毒性があるので、排出ガスの処理に注意する必要がある。

  • オスミウム染色

    osmium staining

    [目次:試料作製]

    試料の特定部位にオスミウムを沈着させて、組織を見やすくする方法。高分子試料を、四酸化オスミウムの水溶液に浸漬したり、蒸気雰囲気中に置くことで、オスミウムを沈着させる。ゴムなど二重結合を持つ部分が染まる。観察には反射電子像を用いることが多い。

  • 親指サイズSEM

    finger-sized SEM

    [目次:装置]

    三好らが開発中の超小形SEM。鏡筒としては、セラミックスの円筒の中にショットキー電子銃と静電形対物レンズ、偏向器などの光学系部品を収め、長さ50mm、直径20mm程度の大きさにしている。加速電圧は1kV程度である。

  • オリフィス

    orifice

    [目次:装置]

    差動排気を行うときに、圧力差を作るための絞り。圧力差を持った室を接続すると、差圧に応じたガス分子の流れが生じるが、間にオリフィスを置くと、流れに対する抵抗となって働くため、圧力差を保つことができる。例えば、低真空SEMでは、電子光学系と試料室間にオリフィスを置くことで、4~5桁程度の圧力差を作っている。

  • オングストローム

    angstrom

    [目次:その他]

    長さの単位。記号はÅで表し、1Å=0.1nmである。SI単位系ではないため、使用頻度は極めて少なくなっている。

  • オージェ電子

    Auger electron

    [目次:理論]

    入射電子によって高いエネルギー準位に励起された原子が、低いエネルギー準位に遷移するときに、差のエネルギー(マイナス結合エネルギー)を持った電子が放出される。これをオージェ電子と言い、元素に特有なエネルギーを持つ。特性X線の励起とよく似た過程であるが、軽元素では、特性X線の放出よりオージェ電子の放出の確率が高い。

  • オージェ電子分光法

    AES Auger electron spectroscopy

    [目次:分析]

    電子線により励起されて試料から放出されるオージェ電子のエネルギーを測定することによって、試料表面に局在する元素の分析を行う手法。オージェ電子はエネルギーが小さいため、表面敏感であり、極表面の数nm深さの分析が可能である。従って、試料は超高真空の雰囲気に置かなければならない。

  • オートフォーカス(自動焦点合わせ)

    automatic focusing

    [目次:装置]

    自動的に焦点を合わせる機能。カメラのオートフォーカスと同様に、画像信号の鮮鋭度を検出するコントラスト検出方式が使われている。

  • オーバーフォーカス(過焦点)

    over focus

    [目次:理論]

    焦点が外れている状態の一つで、試料面より上方に焦点が合っていることをいう。対物レンズを弱励磁にするか、試料を上方に移動することで試料面に焦点が合うようになる。

  • 加圧凍結

    high-pressure freezing

    [目次:試料作製]

    凍結試料作製法の一つで、高圧力下で試料を凍結する方法。生物組織などの含水試料を凍結する際、氷晶を作らないようにするには氷晶防止剤を使ったり、急速凍結を行うが、高圧力下では氷晶形成の速度が遅いため、これを利用して氷晶による損傷を少なくしようとするものである。実際には数百MPa程度の圧力下において、液体窒素温度で凍結を行う。

  • 界浸レンズ

    immersion lens

    [目次:装置]

    静電レンズの内、レンズの両側の電位すなわち屈折率が異なるレンズ。光学レンズの油浸レンズに対応させて名付けられたものである。電子銃は一種の界浸レンズであるが、減速法で対物レンズ下部に減速電極を置いたものを界浸レンズと呼ぶことがある。

  • 回折格子

    diffraction grating

    [目次:分析]

    平面あるいは凹面のガラス基板に数百nm~数µmピッチの周期的な凹凸を付けたもの、あるいはそれをレプリカにしたもの。回折現象を利用して光の分光を行うもので、カソードルミネッセンス分光器に使われる。

  • 回折コントラスト

    diffraction contrast

    [目次:理論]

    結晶性の薄膜試料をSTEMあるいはTEMで観察したときに得られるコントラスト。結晶方位の違いにより回折条件が違う部分があると、コントラストを生じるので、結晶粒、結晶粒界のほか、局部的な結晶の歪み、格子欠陥などを観察することができる。試料傾斜をするとコントラストが変わるのが特徴である。
    下図にSTEMおよびTEMでの回折コントラストの形成原理を示す。STEMではコントラスト絞りで、TEMでは対物絞りで回折波が遮られることで形像に寄与せずコントラストを生じる。

    回折コントラスト

  • 回折収差

    diffraction aberration

    [目次:理論]

    電子の回折現象に起因する収差。レンズに入射する電子線の角度を制限したときに大きくなる。電子線の波長を λ、レンズの開き角を αとすると、回折収差によるボケの半径 rはr=0.6λ/sinαとなる。SEMは加速電圧が低いため波長が長いので、影響が大きい。

    回折収差

  • 回折波

    diffracted wave

    [目次:理論]

    電子線が結晶性試料を透過するとき、あるいは反射するときにブラッグ条件を満足して回折を起こしたもの。

  • 解像力

    resolution

    [目次:理論]

    SEM像のシャープさを表す量。どの位小さなものが見分けられるかを意味する。本来、画像の上で識別できる二点間の最小距離を言うが、SEMでは、慣用的に二つの物体の隙間を測定している。分解能がその装置を理想的な条件で使ったときに得られる値であるのに対して、解像力は実際に得られた画像上での値であり、試料、装置の状態、倍率などの撮影条件などによって数値は異なる。ただし、分解能と解像力は混同して使われることが多い。

  • 階調

    gradation

    [目次:理論]

    SEM像の一番明るいところから一番暗いところまで、明るさを段階的に分けたもの。SEM像の場合、モノクロ画像であるから、8ビット(256階調)まであれば十分といわれる。

  • 回転傾斜機構

    rotation-tilt mechanism

    [目次:試料作製]

    真空蒸着装置あるいはイオンスパッタ装置に組み込んで使う、試料の回転・傾斜機構。高真空でコーティングする場合や、入り組んだ構造を持った試料にコーティングする場合、なるべく均一な厚さで連続した膜を作るために使われる。比較的回り込みが良いスパッタコーティングの場合でも、薄くて均一なコーティングをするには、回転傾斜機構を使うのが望ましい。

  • 化学エッチング

    chemical etching

    [目次:試料作製]

    化学薬品を使って試料表面を腐食すること。結晶方位の違い、組成の違いなどによるエッチング速度の違いを利用して、試料表面に凹凸を付けるために用いられる。試料の内部構造を見る場合は、断面を作り、機械研磨した後に、化学エッチングを行うことで、内部組織を観察することが多い。

  • 化学研磨

    chemical polishing

    [目次:試料作製]

    化学薬品を使って試料表面を鏡面状に仕上げる方法。機械研磨をした試料の表面の加工層を取り除いたり、表面の酸化膜を取り除くのに使われる。機械研磨とは裏腹であり、適用できる試料は限られる。

  • 化学固定

    chemical fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する固定法の一つ。細胞や組織中のタンパク質や脂質を、グルタ-ルアルデヒド、パラホルムアルデヒドあるいは四酸化オスミウムなどの固定剤を使って凝固させ、安定にする固定法。

  • 化学消化法

    chemical digestion method

    [目次:試料作製]

    化学固定した生物試料を酸やアルカリで処理することで、細胞間質や細胞質を除去し、目的の構造を剖出する方法。

  • 化学的機械研磨

    CMP chemical-mechanical polishing

    [目次:試料作製]

    アルミナ、シリカ、ジルコニアなどの砥粒を反応性の溶媒に懸濁した研磨剤を使うことで、機械的な研磨と化学的な研磨を同時に行う方法。極めて平滑な研磨面が得られると同時に、研磨面表層の加工歪みも小さいので、ECC像を得るときやEBSDのための試料作製に使われる。

  • 拡散領域

    diffusion area,scattering area

    [目次:理論]

    試料に入射した電子が、エネルギーを失って吸収されるまでに拡がる領域。その大きさは、入射電子エネルギー、試料の原子番号、原子量、密度によって異なるが、概略入射電子エネルギーの1.7乗に比例し、密度に反比例すると考えればよい。

  • 仮想光源(虚光源)

    virtual source

    [目次:装置]

    電界放出電子銃のエミッタ先端の曲率半径は100~200nm程度であるが、この表面から放出された電子は、エミッタ内部の直径5~10nmの光源から放出されたような軌道をとる。この見かけ上の光源を仮想光源と言う。仮想光源は、事実上の電子源として考えることができるが、電界放出電子銃の輝度が高いのは、この電子源が極めて小さいことが大きな理由であり、明るい像が得られる理由でもある。ショットキー電子銃の場合、仮想光源は若干大きくなる。

    仮想光源

  • 加速電圧

    accelerating voltage,acceleration energy,high tension

    [目次:装置]

    電子銃の陰極と陽極の間に掛けられた電圧。現在使われているSEMでは、この電圧は数百V~30kVであり、陰極から放出された電子は、この電圧で加速されて電子銃から放出される。したがって、試料に入射する電子が持つエネルギーの意味でも使用される。ただし、減速法の場合は加速電圧と試料に入射する電子のエネルギー(入射電圧)とは異なる値となる。

  • 加速電圧依存性

    accelerating-voltage dependence

    [目次:理論]

    種々の現象が加速電圧と密接な関係を持つこと。例えば、解像力、試料中への電子の侵入深さ、外部磁場変動の像への影響の度合い、などは加速電圧依存性を持つ量である。ちなみに、解像力は高加速電圧では加速電圧の平方根に反比例し、低加速電圧では加速電圧に反比例する。試料中での電子の拡がりは加速電圧の1.7乗に比例し、外部磁場の影響は加速電圧の平方根に反比例する。

  • 加速電極

    accelerating electrode

    [目次:装置]

    電子銃から放出される電子線に所定のエネルギーを与えるための電極。熱電子銃の場合は陽極が加速電極を意味するが、FE電子銃の場合は、電界放出をさせるための引出電極と加速電極の二つの陽極がある。

  • カソードルミネッセンス

    CL cathodoluminescence

    [目次:理論]

    入射電子により、試料を構成する原子の価電子帯の電子が励起され、生成された正孔と電子が再結合するときに放出される光。分光することにより状態分析を行ったり、強度の違いを可視化することでSEM像を作ることができる。発光現象の研究のほか、格子欠陥を観察したり、不純物のエネルギー準位、試料の歪み量などを調べることができる。エネルギー分解能は数meV、検出感度は高く、試料によってはppmオーダーの濃度変化を反映する場合もある。空間分解能は半導体では電子・正孔対の拡がりで決まり、バルク試料では1µm程度である。有機物では電子プローブ径で決まる。

  • カソードルミネッセンス分光器

    cathodoluminescence spectrometer

    [目次:装置]

    カソードルミネッセンスの波長を分光するための分光器。回折格子による光の回折現象を利用して分光する。

  • 可動絞り

    movable aperture,variable aperture

    [目次:装置]

    真空外から孔径の切替、位置調整が可能な絞り。SEMの場合、このような機能が必要な絞りは、対物レンズ絞りだけであるから、可動絞りと言うと一般に対物レンズ絞りを意味する。

  • 加熱形FE電子銃

    thermal type field-emission electron gun,thermal type FE electron gun

    [目次:装置]

    ショットキー電子銃の別名と考えてよいが、多少曖昧な表現である。

  • 可搬形SEM

    portable SEM

    [目次:装置]

    通常使われているSEMは寸法・重量が大きく、機械的に安定な設置が必要なことから、移動はできない。これに対して、ある程度性能や機能を限定して小形化し、キャスターを付けるといったことで、簡単に移動できるSEMを言う。

  • 下部磁極片

    lower pole piece

    [目次:装置]

    対物レンズの外側ヨークにつながるポールピース。アウトレンズ形対物レンズの場合、試料室に露出しているのは下部磁極片であり、この頂角と外径は試料の傾斜範囲に大きな影響を与える。なお、先端部と試料の間の距離が作動距離となる。

    下部磁極片

  • 下方検出器

    lower detector

    [目次:装置]

    シュノーケル形対物レンズで使われる検出器の一種。二次電子の検出に使われるTTL形検出器が上方検出器と呼ばれるのに対して、対物レンズ下方の空間に置かれていることから、下方検出器と呼ばれる。下方検出器は、主として、低角度で試料から放出された反射電子を検出するが、作動距離が長いときや、対物レンズがオフとなる低倍率モードでは、二次電子も検出する。低角度の反射電子が信号となることから、照明効果が強く、凹凸感が強く現れるのが特徴である。
    下図に、上方検出器および下方検出器の配置を示す。上方検出器はエネルギーの小さな二次電子(緑色)を検出し、下方検出器は反射電子(赤色)を検出する。

    下方検出器

  • カラー蛍光SEM

    color fluorescence SEM

    [目次:装置]

    小池らによって開発されたもので、試料から放出されるカソードルミネッセンスを波長領域で分け、カラー画像として表示するSEM。実際には、検出したカソードルミネッセンスを、ダイクロイックミラー(三原色のフィルタ)を通してR、G、Bのカラー信号に分離し、画像上で再合成するシステムとなっている。

  • カラーSEM

    natural color SEM

    [目次:装置]

    光学顕微鏡で撮影した画像と、同一視野、同一倍率のSEM像を重ねて表示するようにしたSEM。SEM像に欠如する色情報を光学顕微鏡によるカラー画像で補い、光学顕微鏡の解像力の不足をSEMの解像力である程度補うことが可能となっている。

  • 環境制御形SEM

    ESEM environmental scanning electron microscope

    [目次:装置]

    低真空SEMの一種。一般の低真空SEMと違って、試料室の圧力が数千Paまで高められるようにしてある。蒸気圧の低い物質では室温で液滴が観察された例もある。圧力が高いので、二次電子の検出にはガス増幅を利用した検出器(ESD)が使われる。

  • 観察用CRT

    CRT for observation

    [目次:装置]

    SEM像を観察するのに用いられるCRT。SEM像を写真フィルムに記録するタイプのSEMでは、観察用と撮影用の2種類のCRTを備えているのが普通である。観察用のCRTとしては残光性のものが使われており、焦点合わせなどの遅い走査速度で行う調整や観察にも都合の良い特性が備えられている。なお、SEM像をデジタル画像データとして扱う最近のSEMでは、画像メモリーに記憶されたデータを表示しているため、残光性の必要は無くなっており、観察用CRTという表現も無くなっている。

  • 緩衝液

    buffer solution

    [目次:試料作製]

    少量の酸あるいはアルカリが加えられてもpHが変化しない液。生物試料の処理過程において、組織や細胞が変形しないようにpHや浸透圧を生体に合わせて調整する必要があるため、固定剤を溶解するときや組織の洗浄などに用いられる。リン酸緩衝液、カコジル酸緩衝液などがある。

  • 乾燥

    drying

    [目次:試料作製]

    エタノールなどで脱水した生物試料を、SEMに入れられるように乾燥する処理過程。乾燥時の表面張力の影響を最小限に抑えるため、臨界点乾燥あるいは凍結乾燥といった方法が使われる。

  • 灌流固定

    perfusion fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する化学固定の一方法。仮死状態の動物に、血管系を介して固定液を注入して固定する。臓器や組織を短時間で均一に固定することができるのが特長である。

  • カーボンコーター

    carbon coater

    [目次:試料作製]

    カーボン蒸着専用の真空蒸着装置。油回転ポンプのみの排気を行うのが普通であり、低真空下でのコーティングのため蒸着粒子が散乱され、凹凸が激しい試料でも比較的一様な被膜ができる。高真空でのカーボン蒸着に比べて膜質は若干劣る。

  • カーボン蒸着

    carbon deposition

    [目次:試料作製]

    カーボンを真空中で高温に加熱することで蒸発させ、試料表面に被膜を作る方法。試料のコーティングに用いられるほか、微粒子を観察する際の試料支持薄膜作製用としても用いられる。コーティング用としては、カーボンは、二次電子放出率がやや小さいが、原子番号が小さく、回り込みが良いので、非導電性試料を反射電子で観察する場合あるいは元素分析を行う場合によく使われる。低真空下で蒸着する、いわゆるカーボンコーターに比べて、高真空の真空蒸着装置を使ったカーボン蒸着の方が膜質は良い。

  • カーボンテープ

    carbon tape

    [目次:試料作製]

    カーボン粒子を粘着層にフィラーとして混ぜた両面粘着テープ。観察用試料を試料台に固定したり、非導電性試料の導通を取るのに用いる。導電性ペーストで固定する場合に比べて手軽に扱えるが、しっかり固定できないため高倍率では試料が動くことがある。また、ガス放出が若干多い。

  • カーボンペースト

    carbon paste

    [目次:試料作製]

    樹脂にフィラーとしてカーボン粒子を加えた導電性ペースト。コロイド状のグラファイト粒子を使った水溶性のペーストもある。

  • カーボン棒

    carbon rod

    [目次:試料作製]

    カーボン蒸着用の材料。一方を鋭く尖らせた2本のカーボン棒を接触させて通電し、その接触抵抗による発熱を利用してカーボンを蒸発させるときに用いられる。

  • カーボン膜

    carbon supporting film,carbon film

    [目次:試料作製]

    カーボン蒸着を利用して作った薄膜。粉体試料を観察するような場合、STEMモードでは電子が透過する様な試料支持膜として、カーボン膜が用いられる。一方、微粒子の二次電子像を高加速電圧で観察する場合にも、カーボン膜を用いると背景が暗くなるので、微細構造がコントラスト良く観察できる。

  • 外乱

    external disturbance

    [目次:その他]

    SEMの性能に影響を与える、静磁場変動、交流磁場、床振動、音響、気圧変動など、設置環境に起因する要因。

  • ガウス像

    Gaussian image

    [目次:理論]

    光軸に近い軌道でレンズに入射した電子線は、レンズの収差の影響を受けることなく像を作る。すなわち、一点から放出された電子線は一点に像を結ぶ。これをガウス像と言う。

  • ガス増幅

    gas amplification

    [目次:装置]

    ある圧力に保たれたガス雰囲気に電界が掛かると、電子が電界で加速されるときにガス分子と衝突して、ガス分子を電離させる。この現象が次々起きると電子雪崩によって増幅作用が生じ、これをガス増幅と言う。X線の検出に用いられるガスフロー計数管はこれを利用したものであるが、低真空SEMの検出器でもこの考え方を利用したものがある。

  • 画素

    picture element,pixel

    [目次:理論]

    デジタルSEMの画像を構成する最小単位で、画像そのものの解像力を意味する。100万画素程度の精細度で記録されるのが普通であるが、部分的に拡大するような場合は400万画素程度での記録が可能である。

  • 画像処理

    image processing

    [目次:観察手法]

    オリジナルのSEM像から何らかの情報を得るために施す処理。コントラストの調整、スムージング、二値化、といった処理がよく使われる。

  • 画像積算

    image integration

    [目次:観察手法]

    高速走査のSEM像を複数加算することで、ノイズを減らして表示したり記録する方法。視野探し、焦点合わせといった動きを伴った調整や、動的な観察を行う場合は、リカーシブフィルタを使うが、静止状態を表示したり、記録する場合は、個々のSEM像の重みが一定な単純積算を行う。積算回数を多くするとノイズは少なくなるが、データ取得中に像が動くと、画像は一方向にぼけてしまう。

  • ガラスナイフ

    glass knife

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで使われるナイフの一種。厚板ガラスにガラス切りで傷を付けた後、力を加えて割り、鋭利な刃を作るが、専用の作製装置もある。半世紀以上使われてきたものであるが、最近ではダイヤモンドナイフなどが多く使われるようになっている。ガラスナイフは安価で使い捨てができることから、粗削りに使われることが多い。

  • ガンマ補正

    gamma correction

    [目次:装置]

    画像信号の増幅器では、入力信号と出力信号は直線関係にある。これを曲線にすることで画像の明るい部分を抑えながら暗い部分を増幅したり、暗い部分を抑えながら明るい部分を増幅することができる。これをガンマ補正と言う。従来は非線形な特性をもった増幅器を使っていたが、最近では画像処理でこのような処理を行うのが普通である。

  • 機械研磨

    mechanical polishing

    [目次:試料作製]

    試料の断面作製をするときに一般に使われる方法。準備研磨と仕上げ研磨(琢磨)に分けられる。準備研磨において、粗さの異なるエメリー紙、ラッピングシートを段階的に使って平滑な断面を得た後、仕上げ研磨(琢磨)では、アルミナやダイヤモンドペーストを用いて、微細な条痕を取り除いて鏡面状態に仕上げる。

  • 菊池パターン

    Kikuchi pattern

    [目次:理論]

    厚い試料をSTEMやTEMで観察したとき、あるいはEBSDでバルク試料に電子線が入射したときに得られる電子回折パターン。入射電子が試料中で非弾性散乱を受けた後、結晶面で回折を起こすことで形成されるもので、結晶面に対応したバンドから構成される。パターンと元の結晶は次のように対応する。バンドの幅は結晶面間隔に、パターン上の距離は結晶での角度に対応し、どちらも加速電圧に依存する。バンド同士のなす角度は結晶面のなす角度に対応するが、加速電圧には無関係である。

    菊地パターン

  • 輝度

    brightness

    [目次:理論]

    電子線の明るさと平行性を同時に表す量。単位面積(S)・単位立体角(Ω)当たりの電子電流量(I)で表し、単位はA/cm2srである。電子銃の性能を表すのに用いられる。

    輝度

  • 軌道コントラスト

    trajectory contrast

    [目次:理論]

    試料から放出された二次電子、反射電子などが、試料近傍の電界あるいは磁界の影響で軌道が変わると検出器への入射量が変わる。これによって出来た像コントラストを軌道コントラストと言う。帯電の影響による不安定な異常コントラスト、磁性試料を観察したときの磁区コントラストは軌道コントラストによるものである。

  • 輝度変調

    brightness modulation

    [目次:装置]

    SEM像の表示方法の一つ。通常の画像表示法として使われているもので、検出された信号量に応じて表示画像の明るさを変える方法を言う。

  • 吸収電子

    absorbed electron

    [目次:理論]

    試料に入射した電子が、散乱過程でそのエネルギーを失って試料に吸収されたもの。

  • 吸収電流(試料電流)

    absorbed electron current,specimen current

    [目次:理論]

    導電性の試料に入射した電子が、吸収電子としてアースに流れたもの。これを信号として可視化したSEM像を吸収電流像(absorbed electron current image)と言い、反射電子組成像とは相補的なコントラストを持つ。なお、照射電流の一部は二次電子や反射電子として試料から放出されるため、照射電流と吸収電流は異なる値となる。

  • 吸収補正

    absorption correction

    [目次:分析]

    ZAF補正における補正項の一つ。試料中で発生した特性X線は、試料による吸収を受けるために強度が減衰する。この吸収の割合は、試料を構成している元素の種類や濃度により異なり、これを、吸収効果(absorption effect)と言うが、これに対する補正を吸収補正と言う。

  • 急速凍結

    rapid freezing

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する固定法の一つ。生物組織を凍結する場合、凍結速度が遅いと、細胞内に氷晶ができ、微細構造を破壊する。これを防ぐための方法が急速凍結であり、液体プロパンやスラッシュ窒素に試料を投入する方法、液体窒素で冷却した金属ブロックに試料を圧着する方法などが用いられる。

  • 球面収差

    spherical aberration

    [目次:理論]

    レンズへの電子線の入射角の違いから生じる収差。光軸上の一点から出た電子線がレンズに入射するとき、理想的には光軸上の一点に集まるが、実際には大きな角度で入射したものは光軸付近のものに比べてより大きく屈折されるため、一点に集まらず拡がりを持つ。この拡がりの半径 rは、r=Csα3で表され、入射角の3乗に比例する量である。比例係数は球面収差係数(spherical aberration coefficient)と呼ばれる。球面収差を小さくするために小さな絞りを入れてレンズの中心部だけ使うと、回折収差のために点電子源の像はある大きさを持つことになり、これがSEMの分解能を決めることになる。

    球面収差

  • 鏡筒

    optical column,column

    [目次:装置]

    電子プローブの形成と走査を行う部分。電子銃、レンズ系、走査コイルなどから構成されており、電子光学系と同じ意味であるが、鏡筒と言うと機械的な構造物を意味する場合が多い。

  • 強励磁

    strong excitation

    [目次:装置]

    磁界レンズのコイルに流す電流を多くすることで光軸上の磁界を強くし、レンズ作用を強くすること。これによりレンズの焦点距離は短くなる。

  • 強励磁対物レンズ

    strongly excited objective lens

    [目次:装置]

    インレンズ形対物レンズあるいはシュノーケル形対物レンズのように光軸上の磁界分布を急峻にし、且つ磁界強度も高くした対物レンズ。焦点距離が短く、収差が小さいのが特徴で、超高分解能SEMに使われている。

  • キルヒホッフの法則

    Kirchhoff's law,Kirchhoff's current law

    [目次:理論]

    試料に流れ込む電流と流れ出す電流の総和は0であるとする法則。導電性試料では必ず成り立ち、非導電性試料では一般に成り立たないため帯電が起きる。

    キルヒホッフの法則

  • 近軸電子線

    paraxial ray

    [目次:理論]

    レンズに入射した電子線の内、光軸とのなす角度が極めて小さいもの。種々の収差の影響を受けにくい理想的な電子線である。

  • 擬菊池パターン

    pseudo-Kikuchi pattern

    [目次:理論]

    電子チャンネリングパターンの別表現。TEMなどで得られる菊池パターンに類似していることから付けられた名前である。

  • 銀ペースト

    silver paste

    [目次:試料作製]

    銀粒子を樹脂中に混合した導電性のペースト。試料の取り付け、導電処理などに用いる。

  • 空間分解能

    spatial resolution

    [目次:理論]

    位置的に接近した2点を独立した2点として見分ける能力。SEMの分解能といった場合、空間分解能を意味する。

  • クライオステージ

    cryo stage

    [目次:装置]

    液体窒素や液体ヘリウムを媒体として、それぞれ -180°C程度、-260°C程度に冷却することができる試料ステージ。クライオSEM法で使用する。

  • クライオSEM法

    cryo-SEM, Cryo Scanning Electron Microscopy

    [目次:観察手法]

    生物、食品、化粧品など、水や油を含む試料を凍結した状態でSEM観察する方法。
    通常のSEMでは真空環境下で観察を行うため、試料内の水や油の気化により形状が変化する。クライオSEM法では、試料が凍結されたままなので、形状変化を防いで観察することができる。観察前に、前処理室にて試料表面の霜取り、割断、エッチング、導電性コーティングを行うこともある。
    また、ポリマーのように電子線照射による熱ダメージを受けやすい試料を低温に保つことによって、形状変化を防ぐ使い方もある。

  • クライオミクロトーム

    cryo microtome

    [目次:試料作製]

    凍結した試料から薄膜や断面の作製を行うためのミクロトーム。

  • クリフ・ロリマー補正

    Cliff-Lorimer correction

    [目次:分析]

    STEMによる薄膜試料のEDS分析で使われる定量補正法。バルク試料で必要なZAF補正が薄膜試料では無視できるとしている。標準試料を使わない代わりに、加速電圧やX線の検出効率に依存するk因子(k-factor)と呼ばれるパラメータを、予め測定しておく必要がある。薄膜近似が成り立つ場合にのみ使用できる方法であるから、低加速電圧STEMでの適用には、試料が十分薄い領域を選ぶなどの注意が必要である。

  • クロスオーバー

    crossover

    [目次:装置]

    電子源から放出された電子線が、レンズを通って集束し実像を作ったとき、これをクロスオーバーと言う。電子の軌道が交差することから名付けられたものである。熱電子銃の三つの電極で作られるクロスオーバーは、15~20µmの直径で最小の断面を持ち、電子光学系の実質的な光源である。

    熱電子銃

  • クロスセクションポリシャ

    CP Cross Section Polisher

    [目次:試料作製]

    アルゴンイオンビームを使った試料断面作製装置の商品名。試料直上にスパッタリング速度の遅い遮蔽板を置き、その上からアルゴンのブロードイオンビームを照射してエッチングを行うことで、遮蔽板の端面に沿った研磨断面を作る。これにより、数百µm領域の、広く、しかも加工歪みの少ない断面が得られる。加工位置精度は10µm程度である。下図は、研磨開始時(左)および研磨終了時(中央)の試料断面の様子を示し、右は矢印方向から見た加工断面のSEM像である。

    CP

  • X-SEM

    cross-sectional scanning electron microscopy

    [目次:観察手法]

    試料の断面形状を正確に把握し、内部構造や基板表面に積層された薄膜の成膜状況を知る目的で、断面試料を作製し、SEM観察すること。TEMを用いたこのような観察手法はX-TEMと呼ばれている。

  • クールステージ

    cool stage

    [目次:装置]

    ペルチェ素子を使って250K程度まで冷却できるようにした試料ステージ。低真空SEMに組み込むことで、含水試料の水分の蒸発をある程度抑えて観察することができる。

  • 蛍光補正

    fluorescence correction

    [目次:分析]

    ZAF補正における補正項の一つ。入射電子により励起されたX線が、他の元素を励起し特性X線を放出する現象を蛍光励起(fluorescence excitation)と言うが、標準試料と未知試料では、組成が異なるために蛍光励起量が異なる。これを、蛍光励起効果(fluorescence excitation effect)と言い、これに対する補正を蛍光補正と言う。

  • 計数率

    counting rate

    [目次:分析]

    1秒間に検出器に入射する、あるいは計数されるX線の数。単位はcps(counts per second)。

  • 欠陥レビューSEM(ディフェクトレビューSEM,レビューSEM,ウェハー検査SEM)

    defect review SEM,review SEM,wafer inspection SEM

    [目次:装置]

    半導体製造ラインなどで生じた各種欠陥のレビューや分類を行うSEM。光学式の欠陥検査装置とリンクすることで、ウエハ表面の欠陥を効率よく自動的に検出し、微小欠陥、異物の形状をより詳しく観察したり、成分を分析することができる。SEM像、欠陥の分類データ、元素分析データなどを自動的に出力する機能を持つ。

  • 検出感度

    detection sensitivity

    [目次:分析]

    検出限界と同義語。また、ある検出器で検出できる元素あるいは化合物の最小量(detector sensitivity)として、検出器の性能を意味する場合がある。

  • 検出限界

    detection limit

    [目次:分析]

    ある測定法で検出できる元素あるいは化合物の最小量。絶対量で表現する場合と濃度で表現する場合がある。測定法の性能を意味する。

  • 検出効率

    detection efficiency

    [目次:分析]

    試料から放出された電子や電磁波の内、検出されて信号となる割合。

  • 検出立体角

    detection solid angle

    [目次:分析]

    試料上の電子線入射点から検出器を見込んだ立体角。数値が大きいほど検出効率が高いことを意味する。なお、二次電子、反射電子の場合は、対物レンズの磁界や検出器の電界の影響を受けるため、単純な幾何学的な立体角とは異なる。

  • 懸濁法

    suspension method

    [目次:試料作製]

    粉体試料の分散法の一つ。有機溶媒あるいは水などの分散媒に試料を懸濁し、必要に応じて超音波を照射して分散を行う。分散媒と試料が反応しないことが必要であり、また、試料に付着していた汚れが分散媒に溶け出して、観察時にコンタミネーションを引き起こすことがあるので注意が必要である。

  • 検量線法

    calibration-curve method

    [目次:分析]

    定量分析の基本的な手法。元素濃度とX線強度が一定の関係を持つことを利用してX線強度から元素濃度を直接求めるもので、補正計算を必要としない。比較的似たような成分を持つ複数の試料を標準試料として検量線を作り、原則的には内挿法によって未知試料の濃度を求める。測定条件は同一でなければならない。標準試料としては、未知試料と組成が似ているだけでなく、均一な濃度と同じような表面を持つことが要求されることから、適用可能な試料はある程度限定される。

  • 原子番号補正

    atomic-number correction

    [目次:分析]

    ZAF補正における補正項の一つ。入射電子の侵入深さや反射電子の発生率は、試料の平均原子番号に依存するため、入射電子の特性X線に対する発生寄与率が異なる。これを、原子番号効果(atomic number effect)と言い、これに対する補正を原子番号補正と言う。

  • 減速法

    deceleration optics

    [目次:装置]

    低加速電圧で高解像力を得る、あるいは、FESEMで数百V以下のSEM像を得る場合に使われる方法。比較的高加速電圧の電子線を対物レンズ付近で減速し、所定の入射電圧を得るものである。下図左のように対物レンズと試料の間に減速電極を置き減速電界を作る方法と、右のように試料ステージに減速電圧を掛け減速電界を作る方法がある。いずれの方法でも、加速電圧と減速電圧の差が電子の試料に対する入射電圧となる。

    減速法

  • 元素マッピング

    elemental mapping

    [目次:分析]

    特性X線を用いた元素分析の一方法。特定のエネルギーのX線の計数率を信号として電子プローブを走査することで、各点からのX線放出量の違いを画像化したもの。エネルギーが接近したX線を指定したり、P-B比が悪いところでこれを行うと、元素の分布とは異なる結果が得られることがあるので、注意が必要である。正しい元素マッピングを行うには一点ごとに定量分析を行いながら、その結果を画像化するような定量マッピングを採用する必要がある。下図は三宅島の溶岩から得られた元素マップの例である。画像の色は、右下端のカラーバー(X線の計数)に従っており、黒、青から赤、白と計数が増加することを意味する。

    元素マップ

  • 高加速電圧観察

    high-voltage observation

    [目次:観察手法]

    試料の内部構造を見る目的で、比較的高い加速電圧、例えば十数kV以上で試料を観察すること。また、導電性基板表面に非導電性被膜がある試料では、被膜を透過するような高加速電圧を使うことで、帯電無しで観察することが可能である。さらに積極的に200kV程度の高加速電圧を使う観察が行われることもあり、専用装置が半導体試料の無コーティング観察などの目的で開発されている。

  • 光軸

    optical axis

    [目次:装置]

    レンズの中心となる軸。ポールピースや電極の材質、工作精度、使用中に起きた鏡筒内の汚れなどのため、機械的な軸と異なる。光軸に斜めに入射する電子線、光軸から離れて入射する電子線はなんらかの収差を受ける。

  • 光電子増倍管(フォトマル)

    PMT photo-multiplier tube

    [目次:装置]

    二次電子検出器の構成要素の一つ。シンチレータでの微弱な発光を検出し電気信号として出力する機能を持つ。光電子増倍管そのものは、光電面と電子増幅部から構成され、入射した光によって光電面から放出された光電子が、電子増幅部で二次電子増幅され、電気信号として出力される。

  • 後方散乱電子(背面散乱電子)

    BE,BSE backscattered electron

    [目次:理論]

    試料に入射した電子の内、試料内で散乱されて再び試料表面から真空に放出されたもの。反射電子とも呼ばれるが、そのエネルギーは比較的高く、入射電子エネルギーをピークにして、連続的に分布する。

  • 後方散乱電子回折

    electron backscatter diffraction

    [目次:理論]

    バルク状の結晶試料に電子線が入射したとき、後方散乱電子により菊池パターンが形成される現象。SEMにおけるEBSDの場合は、この後方散乱電子回折を利用した結晶方位解析の手法を意味する。

  • 固定

    fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料の処理過程で形態変化が起きないように、最初に細胞や組織を安定化する処理。タンパク質や脂質を、薬品で化学的に固定する方法と、水分を急速凍結で物理的に固定する方法がある。

  • 固定剤

    fixative

    [目次:試料作製]

    化学固定を行うときに用いられる処理剤。グルタ-ルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、四酸化オスミウムなどが代表的な固定剤であり、これらの水溶液を目的に応じて使い分ける。アルデヒド系の固定剤は、主としてタンパクを固定し、四酸化オスミウムは、主としてリン脂質を固定する。この他、四酸化ルテニウム、アクロレインなどが用いられる。

  • 固定絞り

    fixed aperture

    [目次:装置]

    レンズ系の絞りの内、可動式ではなく固定されているものの名称。一般に孔径が大きく、分解能に関する限り重要度は若干低い。

  • 固定法

    fixation method

    [目次:試料作製]

    生物組織や細胞を化学固定する時の実際の手法。最も一般的に用いられているのは、摘出した組織を直接固定液に浸漬する浸漬固定であるが、血管系を介して固定液を注入して固定する灌流固定、試料を固定液の蒸気に曝すことで処理する蒸気固定などがある。

  • コリメータ

    collimator

    [目次:分析]

    試料上の電子線入射点以外からの散乱X線を遮蔽するように、EDS検出器の直前に置かれた絞り。

  • コレクタ

    collector

    [目次:装置]

    二次電子検出器の電極の一つ。シンチレータの前に置かれており、±数百Vの電圧を印加することで、二次電子の検出効率を変えることができる。SEM像の明るさが変わるだけでなく、検出される二次電子と反射電子の割合が変わり照明効果の度合いが変わるので、像の凹凸感も変わる。プローブ電流を非常に大きくしたときは、マイナスの電圧を掛けることで、シンチレータに入射する電子を減らし、シンチレータを保護する役目も持っている。

    コレクタ

  • コロイド金

    colloidal gold

    [目次:試料作製]

    金をコロイド状にした粒子。免疫SEMの標識として、直径10nm~20nmのものが多く使われるが、試料表面構造と区別するため、観察モードとしては反射電子組成像がよく使われる。

  • コロイドSEM法

    colloid-SEM method

    [目次:観察手法]

    磁区観察法の一つ。磁性試料の表面に磁性粒子を分散させたコロイド溶液を滴下すると、磁性粒子は磁壁付近に付着するので、この分布をSEMで観察する方法である。光学顕微鏡で使われてきた方法であるが、SEMを使うことで高い解像力が得られる。最近では気相成長させた超微粒子を用いる方法も開発されており、数十nmの解像力が得られる。

  • コントラスト

    contrast

    [目次:理論]

    SEM像の明暗の差。対象物が観察できるためには、単に解像力だけではなく、ある程度のコントラストが必要である。SEMで観察されるコントラストには、試料表面の凹凸に起因するもののほか、組成、結晶性、磁性、電位などによるものがある。

  • コントラスト付け

    contrast enhancement

    [目次:試料作製]

    断面試料を観察するための試料処理法。試料の内部構造を観察しようとして平滑な断面を作ると、内部形態に対応した原子番号・密度の違い、結晶方位の違い、などが無いと、SEM像のコントラストが生じない。したがって、エッチングで内部形態に対応した凹凸を作ったり、染色により特定の部位に重金属を付着させる、といった方法でコントラストを付けなければならない。これを、コントラスト付けと呼び、高分子試料でよく使われる。

  • コーティング(金属コーティング)

    coating,metal coating

    [目次:試料作製]

    非導電性試料を観察するとき、導電性を与えるためにイオンスパッタや真空蒸着などを用いて試料表面に金属の薄い膜を作る操作。電子線照射による熱損傷を低減する目的で使われることもある。

  • 5軸ステージ

    5-axis stage

    [目次:装置]

    水平移動(X、Y)、上下移動(Z)、傾斜(T)、回転(R)の五つの動作を行うことができる試料ステージ。ほとんどのSEMの試料ステージはこの構造を採用している。

  • ゴニオメータ

    goniometer

    [目次:装置]

    試料を傾斜する機構。傾斜機構を備えた試料ステージそのものを言うこともある。

  • ゴーストピーク

    ghost peak

    [目次:分析]

    EDS検出器あるいはWDS検出器の検出機構に起因する偽のピーク。

  • 最小錯乱円

    minimum confusion circle,circle of least confusion

    [目次:理論]

    収差の無いレンズの場合、光軸上の点電子源から出た電子線は光軸上の一点に集束するが、収差がある場合、光軸との角度が異なる電子線は光軸上の異なる場所に像を作り、電子線は有限な太さを持つことになる。場所によりその太さは異なるが、最小の径を持つ断面を最小錯乱円と言う。下図は球面収差の場合であるが、最小錯乱円の半径はr=1/4Csα3となる。Csは球面収差係数、αは開き角である。

    最小錯乱円

  • 再付着(リデポジション,リデポ)

    redeposition

    [目次:試料作製]

    集束イオンビームその他イオンビームを使った試料断面作製の際に、イオンビームでスパッタされた試料が、断面あるいは隙間などに付着する現象。

  • 載物

    mounting

    [目次:試料作製]

    試料を試料台に載せて固定すること。

  • 撮影用CRT

    CRT for photographing

    [目次:装置]

    SEM像を記録するのに用いるCRT。SEM像を写真フィルムに記録するタイプのSEMでは、観察用と撮影用の2種類のCRTを備えているのが普通である。撮影用のCRTとしては非残光性で解像力の高いものが使われる。

  • 作動距離(ワーキングディスタンス)

    WD working distance

    [目次:装置]

    対物レンズ下面と試料の距離。作動距離が短くなるとレンズの収差が小さくなって解像力が高くなるが、焦点深度は浅くなる。また、空間が小さくなるので試料の傾斜といった操作が難しくなる。

    作動距離

  • 差動排気

    differential pumping

    [目次:装置]

    低真空SEMのように、電子光学系と試料室に大きな圧力差があるときには、間にオリフィスを入れて別々な排気系で排気することで、圧力差を保って使用することができる。これを差動排気と言う。

  • サファイアナイフ

    sapphire knife

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで使われる、刃先がサファイアで出来たナイフ。硬度は、ダイヤモンドナイフより若干低く、ガラスナイフよりかなり高い。

  • サプレッサ

    suppressor

    [目次:装置]

    ショットキー電子銃のエミッタと引出電極の間に置かれた電極。エミッタに対してマイナスの電位が与えられており、エミッタから放出される熱電子が電子線に混入しないように抑制する作用を持つ。

  • サムピーク

    sum peak

    [目次:分析]

    EDSのスペクトルで観察されるゴーストピークの一種。短い間隔で2個のX線が検出器に入射すると、2個のX線として分離計測することができず、1個のX線として計測される。その結果、2個のX線のエネルギーを加算したエネルギーを持つピークとして観察される。これを、サムピークと言う。

  • 三次元計測SEM

    3D-SEM three dimensional SEM

    [目次:装置]

    SEMは凹凸のある試料を観察することが多いが、焦点深度が深いため一枚のSEM像から高さを知ることは、不可能といって良い。これに対して、複数の検出器を置き、その出力を演算することで高さを測定できるSEMがある。これを3次元計測SEMと言い、試料表面の3次元的な表示をしたり、表面の粗さを統計的に求める機能を備えている。

  • 散布図

    scatter diagram

    [目次:分析]

    定量マッピングから得られたデータの表示方法。化合物の元素濃度を軸にして、ある濃度比を持つデータの頻度分布を示した図。これを利用して相マップを得ることができる。
    下図は亜鉛鋼板から得られた散布図で、横軸はZnの濃度、縦軸はFeの濃度を示す。赤色で示されたクラスタは鋼板、青色で示されたクラスタは亜鉛めっき層であるが、水色および黄色のクラスタは、間にできた2種類の金属間化合物層に対応する。

    散布図

  • 散乱吸収コントラスト

    scattering-absorption contrast

    [目次:理論]

    STEM像あるいはTEM像のコントラストの一つ。非晶質試料を観察したときに見られるもので、薄膜状試料の中に(厚さ×密度)積の違いがあると、透過した電子線に散乱強度の違いを生じる。検出器の取り込み角を適当に選ぶことで、この違いをコントラストとして得ることができる。
    下図にSTEMおよびTEMでの散乱吸収コントラストの形成原理を示す。(厚さ×密度)積が大きな領域で散乱された波はSTEMではコントラスト絞りで、TEMでは対物レンズ絞りで遮られることで形像に寄与せずコントラストを生じる。

    散乱吸収コントラスト

  • 仕切り弁(エアロック弁,ゲート弁)

    airlock valve,gate valve,isolation valve

    [目次:装置]

    二つの部屋の真空隔壁として用いられる真空弁。電子光学系と試料室、電子銃室とレンズ系、試料室と試料交換室のように、一方を真空に保ったままもう一方を大気圧にする必要がある場合に、用いられる。手動で開閉するものと真空動作に伴って自動的に開閉するものがある。

  • 絞り

    aperture

    [目次:装置]

    レンズの収差を小さくする目的で、近軸電子線のみが通過できるように、金属の薄板に円形の開口部を設けたもの。収差を小さくするために孔径を小さくするとプローブ電流は減少する。真空外から動かすことができる可動絞りと、動かすことのできない固定絞りがある。

  • 写真フィルム

    photographic film

    [目次:その他]

    SEM像を記録するためのフィルム。AgBrなどのハロゲン銀粒子をゼラチンと混ぜ、フィルムベースに塗布したもので、銀塩フィルムとも呼ばれる。長い間使われてきたが、近年インスタントフィルムが使われるようになり、さらにデジタル記録が行われるようになってから、使用量は極めて少なくなっている。

  • 集光ミラー

    focusing mirror

    [目次:装置]

    カソードルミネッセンスを検出するとき、集光効率を上げるために使う鏡。電子プローブが通過する開口を持った、放物面鏡あるいは楕円面鏡を試料上に置き、焦点に電子プローブの照射点が来るように配置する。

    集光ミラー

  • 収差

    aberration

    [目次:理論]

    理想的なレンズでは、一点から放出されてレンズに入射する電子線は像面の一点に集束する。しかし実際のレンズでは一点には集束せず、拡がりを持つ。これを収差と言う。

  • 収差補正

    aberration correction

    [目次:装置]

    レンズの組み合わせにより、収差を補正し、理想的なレンズに近づけること。回転対称な磁界レンズでは凸レンズしか出来ないため単純なレンズの組み合わせでは収差補正を行うことができず、四極子レンズあるいは八極子レンズといった非回転対称な特殊レンズの組み合わせで行う。商品化されているものは数少ないが、球面収差および色収差の補正が行われている。

  • 集束イオンビーム

    FIB focused ion beam

    [目次:試料作製]

    数keV~30keVのエネルギーを持った細いガリウムイオンビーム。SEM用の断面試料作製あるいはTEM、STEM用の薄膜試料作製に多用される。なお、FIBと言った場合、集束イオンビーム装置そのものを意味する場合もある。

  • 集束イオンビーム装置

    FIB system,focused ion beam system

    [目次:試料作製]

    集束イオンビームを利用して試料を加工したり、観察する装置。ガリウムを使った液体金属イオン源から放出されたイオンビームをレンズ系で縮小し、集束イオンビームを作製する。基本的な構造はSEMと似ているが、イオン源はプラスの高電圧に保たれており、数keV~30keVのエネルギーを持ったイオンビームが試料に照射される。イオンは磁界の作用を受けにくいので、静電レンズが使われており、イオンビームの走査やブランキングも静電偏向板で行われる。二次電子検出器が備えられており、イオンで励起された二次電子を信号とした走査イオン像(SIM像)を得ることができる。イオンビーム径は最小10nm程度であるが、SIM像を観察しながら、100nm程度の位置精度で加工を行うことができる。化合物ガスの導入口を備え、イオンビームとの反応による選択的な成膜(デポ)を可能にしている。

    FIB 装置

  • 集束レンズ(コンデンサレンズ)

    CL condenser lens

    [目次:装置]

    電子銃と対物レンズの間に置かれたレンズ。電子プローブ径とプローブ電流の制御に用いられる。下図に示したように、励磁を変えると、電子源の像の大きさが変わると同時に対物絞りでカットされる電子の量も変わる。この結果、電子プローブ径とプローブ電流を変化させることができる。熱電子銃およびショットキー電子銃の場合は、広範囲のプローブ電流の制御を行うため、一般に2段集束レンズ系が使われる。熱電子銃の場合はクロスオーバーを1/1000程度に縮小する必要があるため、縮小率が大きいが、ショットキー電子銃の場合は電子源が元々小さいため縮小率は小さい。一方、FE電子銃の場合は主としてプローブ電流の制御に用いられるが、プローブ電流の可変範囲が小さいため一般に1段の集束レンズが使われる。

    集束レンズ

  • シュノーケル形対物レンズ

    snorkel objective lens

    [目次:装置]

    超高分解能SEM用の対物レンズの一種。ヨークの開口部を、光軸に沿った部分ではなく試料側に作ると、対物レンズ下部の空間にレンズ磁界を作ることができる。その中に試料を置くようにすると、対物レンズの収差を小さくすることができるが、インレンズ形対物レンズと違って、大きな試料を扱うことができる。作動距離を短くすれば高解像力が得られ、作動距離を長くすれば、試料の大角度傾斜が可能である。セミインレンズ形対物レンズとも呼ばれるが、二次電子の検出にはTTL検出器が用いられる。なお語源は、最初に作られたレンズが、平面状の外側ヨークに対して、内側ヨークがダイビングで使われるシュノーケルのように突き出していたことによる。内側ヨークの上部空間に試料を置くというのが、元々のアイディアであり、現在のものは上下が逆転している。

    シュノーケル形対物レンズ

  • 照射電流

    illumination current,incident beam current,probe current

    [目次:装置]

    試料に照射されるプローブ電流。

  • 照射量

    illumination dose,dose

    [目次:理論]

    試料上に照射される電子の量。プローブ電流と照射時間の積であるが、全電荷量を言う場合と、単位面積当たりの電荷量を言う場合がある。また、電荷量の代わりに電子の数で表現する場合もある。

  • 焦点合わせ

    focusing

    [目次:装置]

    電子プローブを試料表面に集束すること。通常対物レンズの励磁を変えることで行うが、ラフな焦点合わせであれば、試料ステージを使って、試料を上下することで行うことも可能である。

  • 焦点深度

    depth of focus

    [目次:理論]

    試料上のある点に焦点を合わせたとき、奥行きのある試料だと焦点が外れる点ができるが、焦点がずれていてもボケを感じない範囲を焦点深度と言う。電子プローブの開き角が小さいほど焦点深度は深くなり、観察倍率が高くなるほど焦点深度は浅くなる。SEMは光学顕微鏡に比べると一般に数十倍焦点深度は深い。
    下図は、対物レンズ絞りの径を変えたときの焦点深度の違いを示すものである。絞りの径が小さいとレンズの開き角αが小さく、一定のボケδを生じるための焦点はずれ量が大きく(焦点深度が深く)なる。対物レンズ絞りの径だけでなく、作動距離も焦点深度に大きな影響を与える。なお、焦点深度DOFは、倍率をMとすると、中低倍率ではDOF=δ/αMで表される。

    焦点深度

  • 照明効果

    illumination effect

    [目次:理論]

    SEM像は、検出器方向から光を当てたようなコントラストを持っており、これを照明効果と言う。これは、試料から放出されて検出器に入る二次電子、反射電子の軌道を逆進するような光で照明されるように見えることから起きることである。アウトレンズ検出器、下方検出器では照明効果は強く現れるが、TTL検出器の場合は一様な照明となり、照明効果は弱い。

    照明効果

  • ショットキー電子銃(SE電子銃)

    Schottky-emission electron gun,SE electron gun

    [目次:装置]

    ショットキー放出を利用した電子銃。陰極としてはZrO/Wエミッタが使われる。熱電子銃と比べて輝度が高く、電子源も小さい。電界放出電子銃と比較すると、陰極が1800Kという高温度に加熱されているため、電流安定度が高いこと、大きなプローブ電流が得られること、動作圧力が若干高くても良いこと、などの優位性を持つ。これらのことから、高分解能観察と分析機能を両立させたいときに用いられる。低加速電圧観察では、電界放出電子銃がやや優れているが、これは、放出電子のエネルギー幅が関係している。加熱形FE電子銃と呼ばれることもある。
    下図にショットキー電子銃の構造を示す。引出電極に印加された引出電圧によって所定の電流の電子を放出させ、加速電極に印加された加速電圧によって所定のエネルギーの電子線を得るものである。サプレッサはエミッタから放出される熱電子を抑制するための電極である。

    SE電子銃

  • ショットキー放出

    Schottky emission

    [目次:理論]

    金属表面に107V/cm程度の強電界が掛かると、ポテンシャル障壁が真空との境界で傾斜を持つ。この結果、障壁上端部は低くなり、通常の熱電子放出より低い温度で電子放出が起きる。これをショットキー放出と言う。

    SE放出

  • シリアルブロックフェイス走査電子顕微鏡法

    Serial Block Face Scanning Electron Microscopy

    [目次:観察手法]

    SEMを用いて試料内部の構造を三次元再構築する手法の一つ。主に、樹脂包埋した生物試料や高分子材料といったソフトマテリアルに対して用いられる。SEMの試料室内に組み込んだウルトラミクロトームによって試料ブロック表面を数十から200nm程度の厚さで切削し、それにより現れた面のSEM観察を行う。切削と観察を繰り返し行い、深さ方向に二次元像を数十枚から数千枚取得する。そしてそれらの像を積み重ねることで三次元像を再構築する。

  • シリコンドリフト検出器

    SDD silicon-drift detector

    [目次:分析]

    EDS検出器の一種。通常のSi(Li)検出器に比べて数十倍高い計数率で測定ができるため、プローブ電流を大きくして短時間で分析を行うことができる。したがって、熱電子銃、あるいはショットキー電子銃を搭載したSEMとの組み合わせが有効である。エネルギー分解能は、Si(Li)検出器とほぼ同程度が得られるが、低エネルギーX線の感度は低い。液体窒素冷却は不要で、ペルチェ冷却での動作が可能である。この結果、電源投入後、使用可能になるまでの時間も短い。

  • 試料汚染(コンタミネーション)

    specimen contamination,contamination

    [目次:理論]

    観察中に電子線照射によって試料表面に汚れが付着する現象。高倍率で観察した後倍率を下げると、高倍率での観察領域に対応した黒い(場合によっては白い)長方形の跡が付くが、スポットモードにすると照射点には白い円形の跡が付く。試料室中の炭化水素系の残留ガス分子が電子線照射によって解離し、試料表面にカーボンの堆積物ができると考えられている。試料が“焼ける”と言われるのは試料汚染の場合が多い。なお、試料そのものが汚れていて汚染源となる場合もある。
    下図左はスポットモードでの試料汚染堆積物の生成のメカニズム、下図右は試料汚染によって中央部が黒くなった様子を示す。

    試料汚染試料汚染(像)

  • 試料汚染防止装置(液体窒素トラップ,コールドトラップ,冷却トラップ)

    anti-contamination device,liquid-nitrogen trap,cold trap

    [目次:装置]

    観察や分析時の試料汚染を減少させるための装置。試料近傍に置かれた金属板を液体窒素で冷却すると、周囲にある炭化水素系ガス分子を吸着し、試料汚染を減少させることができる。金属板は、なるべく試料を包み込むような構造が望ましいが、SEMの場合、比較的大きな試料を自由に扱うことを優先させるため、平板状の構造となってしまい、効果が若干低下する。デュワーの液体窒素が蒸発し、金属板の温度が上がると試料汚染が急激に増加するので、一定の時間間隔で液体窒素を補給することが重要である。

  • 試料加熱ステージ

    specimen heating stage,heating stage,hot stage

    [目次:装置]

    試料を高温に加熱したときの形態変化を観察するための試料ステージ。試料温度を上げると熱電子が放出され像コントラストを落とすが、熱電子は二次電子よりエネルギーが小さいため、試料上方にグリッドを置いてマイナスの電圧を掛け、熱電子を追い返すような構造となっている。さらに高温度にした場合は、光に対する対策も必要となる。実際に使用する際は、加熱時の試料のドリフトに注意する必要がある。

    試料加熱装置

  • 試料交換室

    specimen-exchange chamber,airlock chamber

    [目次:装置]

    試料交換をするとき、試料室を大気圧にすることなく試料を出し入れするために設けられて空間。試料室側、大気圧側に仕切り弁があり、試料交換室は予備排気できるようになっている。

  • 試料交換棒

    specimen exchanging rod

    [目次:装置]

    試料交換の時、試料を出し入れするときに使う棒。試料ホルダが先端に取り付けられるようになっている。

  • 試料支持膜(支持膜)

    specimen supporting film,supporting film

    [目次:試料作製]

    粉体試料や超薄切片をSTEMやTEMで観察するときに試料を載せる、高分子あるいはカーボンの極めて薄い膜。微粒子の二次電子像を高加速電圧で観察する場合にも、試料支持膜に載せると背景が暗くなり、微細構造がコントラスト良く観察できるのでしばしば使われる。

  • 試料室

    specimen chamber

    [目次:装置]

    観察対象の試料を置くための空間。鏡筒、試料ステージ、試料交換室、検出器などが取り付けられている他、EDSなどの付属装置を取り付けるための予備ポートが設けられている。試料移動のために広い空間が必要であり、鏡筒を安定に支えるためにも、肉厚の壁で強固に作られている。

  • 試料ステージ

    specimen stage

    [目次:装置]

    試料の安定な支持と、試料の水平移動、上下移動、回転、傾斜などの動作がスムーズに行えるようにしたユニット。傾斜機構を持っていることからゴニオメータあるいはゴニオメータステージと呼ばれることもある。試料の支持機構と移動機能のみを持っているので、試料に外力を加えたり、温度変化を与える場合、通常は試料ステージ全体を交換する。

    試料ステージ

  • 試料損傷(電子線損傷)

    specimen damage,electron-beam damage,irradiation damage

    [目次:理論]

    観察中に電子線照射によって試料が変形したり、観察している場所が凹んでしまう現象。一般に熱に弱い試料を高倍率で観察するときに起きやすい。SEMでの試料損傷は熱損傷が主な原因と考えられるので、観察時の加速電圧を下げたり、プローブ電流を減らす等によって、損傷の度合いを小さくすることができる。試料を冷やしたり、金属コーティングをする、といった工夫が行われる場合もあるが、同一視野を長時間観察しない、倍率を上げすぎないといった注意も必要である。下図は2種類の試料損傷の例である。上の半透膜の場合、中心部を高倍率で長時間観察していたため熱損傷により観察部位がくぼんでいる(b)。下のハロゲン銀粒子では、電子線の感光作用のため結晶成長が起きている(d)。

    試料ステージ

  • 試料台

    specimen stub,specimen mount

    [目次:装置]

    試料を安定に保持するために用いられる金属あるいはカーボンの台。比較的小さな試料や粉体状の試料は試料ホルダに直接取り付けるのが難しいため、試料を一旦試料台に固定した後、試料ホルダに取り付ける。

  • 試料ドリフト

    specimen drift

    [目次:装置]

    温度変化などによって、観察中の試料がゆっくり動くこと。試料の取り付け方が悪い場合には、かなり大きな試料ドリフトを起こすので載物には注意が必要である。なお、非導電性試料を観察した場合は、試料の帯電によって像のドリフトを起こすことがある。

  • 試料引張ステージ

    specimen tensile stage

    [目次:装置]

    引っ張り応力を加えたときの、試料の変形を観察するための試料ステージ。

  • 試料ホルダ

    specimen holder

    [目次:装置]

    試料台を機械的に保持して、試料ステージに装着するための部品。試料の形状、大きさによっては試料を直接保持する機構を持っているものもある。

  • 試料冷却ステージ

    specimen cooling stage,cooling stage,cold stage

    [目次:装置]

    低温下での試料の表面形態を観察するための試料ステージ。試料損傷を抑制したり、カソードルミネッセンス分析でエネルギー分解能を上げるといったことにも使われる。液体窒素で冷却するもの、液体ヘリウムで冷却するもの、ペルチェ素子を使って冷却するものなどがある。試料ステージの温度は、液体窒素では80K程度、液体ヘリウムを使った場合は5~15Kまで冷却することができるが、ペルチェ冷却では250K程度が限界である。試料を冷却すると、試料表面に霜が付いたり、試料汚染が起こる可能性があるので、試料汚染防止装置を併用するのが望ましい。

  • 真空グリース

    vacuum grease

    [目次:装置]

    真空中あるいは真空と大気の間にある部品の摺動部の潤滑に用いるグリース。Oリングと他の部品の摺動部に塗布するが、Oリングが単純に部品同士の隙間を塞ぐように使われているところには使わない。目的に応じて多くの種類があるが、装置に付属したあるいは指定されたグリースを使う必要がある。

  • 真空計

    vacuum gauge

    [目次:装置]

    真空圧力を測定するための計器。自動排気のシーケンスを制御する場合にはピラニ真空計やペニング真空計が用いられるが、スパッタイオンポンプは超高真空用の真空計としても使えるので、電子銃部の真空モニターあるいは高電圧印加のインターロック用として用いられる。

  • 真空蒸着

    vacuum evaporation

    [目次:試料作製]

    真空中で金、金パラジウム、白金パラジウム、アルミニウム、カーボンなどの材料を蒸発あるいは昇華させて、試料表面に薄いコーティングをする技術。蒸着時の真空圧力は10-3~10-2Pa程度で、残留ガス分子による蒸着金属原子の散乱が少ないため、一様な膜厚のコーティングをするためには試料の回転・傾斜を行う必要がある。

  • 真空蒸着装置

    vacuum evaporator

    [目次:試料作製]

    真空蒸着を行うための装置。真空隔壁としては内部が見えるようにガラス製のベルジャーが使われ、内部には蒸着源を支えるための電極棒、試料表面をカバーするシャッタなどが置かれている。排気系としては油拡散ポンプが使われるのが普通であるが、ターボ分子ポンプが使われる場合もある。

  • 真空排気系

    evacuation system

    [目次:装置]

    鏡筒、試料室などを真空排気するための真空ポンプシステム。低真空用ポンプ、高真空用ポンプ、真空計、制御回路などで構成され、起動後、粗引き、本引きまで自動的に動作する。また、真空弁の誤作動などに対応したインターロック機構が設けられている。なお、FESEMでは、電子銃室用として独立したスパッタイオンポンプが用いられており、連続運転されている。

  • 真空ポンプ

    vacuum pump

    [目次:装置]

    電子光学系、試料室などを真空排気するためのポンプ。低真空用としては油回転ポンプ、高真空用としては油拡散ポンプやターボ分子ポンプ、超高真空用としてはスパッタイオンポンプなどが用いられる。

  • 親水化処理

    hydrophilic treatment

    [目次:試料作製]

    スライドグラス、カーボン板、カーボン支持膜などの疎水性基板の表面を水に濡れやすくする処理。実際には、イオンスパッタ装置のターゲットを外した状態で放電させ、放電領域のそばに基板を置くことで親水性にすることができる。界面活性剤で親水化することも可能である。

  • 浸漬固定

    immersion fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する化学固定の一方法。切り出した生物組織を直接固定液に浸漬して固定するもので、最も一般的に用いられる。固定液の浸透を良くするために組織片は出来るだけ小さく切り出すが、表面と深部で固定状態が異なるので、固定を促進するためにマイクロウェーブを照射するような方法も使われている。

  • シンチレータ

    scintillator

    [目次:装置]

    二次電子あるいは反射電子を検出するために検出器先端に取り付けられた発光体で、電子を光に変換する機能を持つ。YAG結晶のようにそれ自身が発光するものやガラス基板に発光物質を塗布したものがある二次電子を検出する場合は、二次電子の収集と発光エネルギーを二次電子に与えるために、10kV程度の高電圧が印加されているが、表面には帯電を防ぐために薄い金属コーティングが施されている。

  • 侵入深さ

    penetration depth

    [目次:理論]

    試料中に入射した電子が、エネルギーを失って吸収されるまでに侵入する深さ。その深さは、入射電子エネルギー、試料の原子番号、原子量、密度によって異なるが、重金属の場合、侵入深さは横方向の拡がりよりもやや小さな値となる。

  • ジェントルビームモード

    Gentle Beam mode

    [目次:装置]

    減速法に対して名付けられた名前で、略称はGBモード。数百V以下の極低加速電圧で観察ができるので、試料にやさしいという意味で付けられたもの。

  • 磁界レンズ

    magnetic lens

    [目次:装置]

    回転対称な磁界の電子線に対する集束作用を利用したレンズ。コイルに直流の電流を流して作られた磁力線を、透磁率の高い材料で出来た枠(磁路、ヨーク)に閉じこめ、枠の一部に切り欠きを作ることで、磁力線を空間に漏洩させ、回転対称な磁界を作る。切り欠き部分はポールピースと呼ばれる。SEMで使われているレンズのほとんどがこのタイプである。磁界中で電子はらせん運動をするので、レンズの励磁を変えると像は回転するが、この現象は対物レンズで焦点合わせをするようなときに観察されることがある。

    磁界レンズ

  • 磁気コントラスト

    magnetic contrast

    [目次:理論]

    磁性体試料を観察したときに観察されるコントラスト。試料に入射した電子あるいは試料から放出される二次電子が磁界により偏向されて軌道が変わり、形成されるコントラストである。

  • 磁気シールド(パッシブ磁気シールド)

    magnetic shield,passive magnetic shield

    [目次:その他]

    外部磁界変動による像の揺れ、歪みなどを軽減するために電子光学系や試料室を透磁率の高い材料で囲むこと。磁力線はシールド材の中を流れるので、それに囲まれた部分の磁力線は減少し、影響が少なくなる。この方法はパッシブ磁気シールドと呼ばれることがある。

  • 軸合わせ(光軸合わせ,アライメント)

    optical-axis alignment,axis alignment,alignment

    [目次:装置]

    レンズの光軸に一致するように電子線を入射させる操作。SEMでは一般に、電子銃から放出された電子線を集束レンズの光軸に一致させる操作と、集束レンズから出射された電子線を対物レンズの光軸に一致させる操作を行う。前者は明るい像を得るためであり、後者は高い解像力を得るためである。

  • 磁区観察

    magnetic domain observation

    [目次:観察手法]

    通常のSEMで観察される磁区コントラスト、あるいはスピン偏極SEMで観察される磁区コントラストを利用して行う観察法。試料に磁界を印加しながら観察することも可能である。

  • 磁区コントラストI(タイプI 磁区コントラスト)

    type-I magnetic domain contrast

    [目次:理論]

    二次電子モードで得られる磁気コントラスト。試料外部に大きな漏洩磁界を生じるような垂直磁区を持つ磁性試料を観察したときに生じる。試料から放出された二次電子が、この漏洩磁界により偏向され、検出器に入射したりしなかったりするために明るさの違いを生じる。これを磁区コントラスト I またはタイプ I 磁区コントラストと言う。磁壁の部分で明るさが逆転するが、漏洩磁界がブロードな分布をするため、解像力は高々数~数十µmである。試料を回転するとコントラストは変化し、180゜回転するとコントラストは逆転する。
    下図は、画面上向きの磁束を持つ試料に対して、画面手前から電子線を入射させた場合である。Aの磁壁付近で放出された二次電子は漏洩磁場によって検出器に向くローレンツ力を受けるため、より多く検出されて明るくなり、Bの磁壁付近では反対向きのローレンツ力を受けるため暗くなる。

    磁区コントラスト1

  • 磁区コントラストII(タイプII 磁区コントラスト)

    type-II magnetic domain contrast

    [目次:理論]

    反射電子モードで得られる磁気コントラストの一つ。面内磁界があると、試料に入射した電子は、ローレンツ力により偏向されるが、磁束の方向によって、より表面に近づく向きと、より内部に向かう向きの電子ができる。この結果、試料表面から真空中に放出される反射電子の量に違いができ、コントラストを生じる。これを磁区コントラスト II あるいはタイプ II 磁区コントラストと言う。解像力は数百nm~数µmとなる。観察時には試料を45゜程度に傾斜し、反射電子検出器で検出する。磁束の方向が傾斜軸に垂直な場合はコントラストが生ぜず、傾斜軸と平行な場合はコントラストが最大となる。傾斜面内で試料を回転するとコントラストは変化し、180゜回転するとコントラストは逆転する。

    磁区コントラスト2

  • 自動欠陥分類

    ADC automatic defect classification

    [目次:その他]

    欠陥レビューSEMの機能の一つ。自動欠陥レビューによって得られたSEM 像をもとにして、自動的に欠陥を分類することができる。

  • 自動欠陥レビュー

    ADR automatic defect review

    [目次:その他]

    欠陥レビューSEMの機能の一つ。半導体などの製造ラインで生じた欠陥を自動的に認識し SEM像取得を行うことができる。

  • 自動コントラスト輝度調整(オートコントラストブライトネス)

    automatic contrast-brightness control

    [目次:装置]

    SEM像の明るさ、コントラストを適正なレベルに自動的に調整する機能。

  • 自動軸調整

    automatic axis alignment

    [目次:装置]

    電子光学系の光学軸を自動的に調整する機能。現在市販の装置で実用化されているのは、電子銃の軸合わせを自動的に行って、最大輝度が得られるようにする機能である。

  • 自動非点補正(オートスティグマ)

    automatic astigmatism correction

    [目次:装置]

    非点補正を自動的に行う機能。実際には、直交する2方向に電子プローブを走査したときの画像信号の鮮鋭度を検出し、コントラストが最大になるように非点補正装置を動作させる。

  • 磁壁コントラスト

    magnetic domain-wall contrast

    [目次:理論]

    反射電子モードで得られる磁気コントラストの一つ。面内磁界があるような試料を水平に置いて観察すると、磁壁に入射した電子は、磁壁の両側でローレンツ力により偏向され、表面に向かう量が多くなるところと、試料内部に向かう量が多くなるところができる。この結果、反射電子が多くなる磁壁と、反射電子が少なくなる磁壁が交互に現れる。試料の直上に置いた反射電子検出器で信号を検出すると、磁壁は白または黒のコントラストを生じる。これを磁壁コントラストと言う。下図に示すように、左の磁壁では入射電子が表面に向かう方に偏向されるため反射電子放出量が多くなって明るくなり、右の磁壁では内部に向かうため暗くなる。通常の磁区コントラスト II を観察している場合でも磁束の方向が傾斜軸と垂直な場合は現れ、平行な場合でもよく見ると白黒の磁壁コントラストが現れることがある。

    磁壁コントラスト2

  • 弱励磁

    weak excitation

    [目次:装置]

    磁界レンズのコイルに流す電流を減らすことでレンズ磁界を弱くし、レンズ作用を弱くすること。これによりレンズの焦点距離は長くなる。

  • ジャストフォーカス(正焦点)

    just focus

    [目次:理論]

    試料面に焦点が合っている状態。

  • 樹脂凍結割断法

    freeze fracturing method using resin

    [目次:試料作製]

    凍結割断法の一種。脱水後の試料をエポキシ樹脂モノマーに浸漬し、液体窒素中で凍結し、割断する方法。

  • 樹脂包埋

    embedding in resin

    [目次:試料作製]

    試料作製時に試料を安定に保持するため樹脂に埋め込むこと。超ミクロトームで超薄切片を作ったり、断面を作るとき、樹脂凍結割断をするとき、あるいは金属・鉱物試料などの機械研磨をするときに行う。

  • 蒸気固定

    vapour fixation

    [目次:試料作製]

    試料を固定剤の蒸気に曝すことで処理する固定法。カビや乾燥した試料、エマルジョンなど浸漬固定が難しい試料に対して行われる。

  • 状態分析(化学状態分析)

    chemical state analysis,state analysis

    [目次:分析]

    電子線照射による信号発生領域の化学結合状態を調べる分析法。元素を調べる組成分析に対比して使われる用語。特性X線を利用した場合、WDSでは可能であるが、EDSではエネルギー分解能が低いため状態分析はほとんど不可能である。カソードルミネッセンスを使うと可能となる場合がある。

  • 蒸着金粒子

    evaporated gold particle

    [目次:装置]

    解像力など、装置の状態を確認するために使われる、カーボン基板の上に金を厚く蒸着した試料。一般には、鏡面研磨したカーボン基板を高温に加熱しながら金を蒸着して作る。安定なこと、コントラストが良いことなどの理由で都合がよい。磁気テープの上に金を蒸着する場合もある。下図は、蒸着金粒子の二次電子像であるが、二次電子放出量の違いのためにカーボン基板は暗く、金粒子は明るく観察される。

    蒸着金粒子

  • 蒸着源

    evaporation source

    [目次:試料作製]

    真空蒸着を行うときの蒸着材料。材料そのものを意味したり、あるいは、その保持材を含めて言うことが多い。カーボンの場合は材料そのものを成形して用い、金、金パラジウム、白金パラジウム、アルミニウム等の場合は、タングステン線をV形あるいはバスケット形にして保持する。

  • 上方検出器

    upper detector

    [目次:装置]

    シュノーケル形対物レンズで使われるTTL検出器の別名。この対物レンズでは、レンズ下方空間にも検出器が置かれていることが多く、これが下方検出器と呼ばれることに対して、TTL検出器は対物レンズの上方に置かれていることから、命名されたものである。

    上方検出器

  • ジンバル機構

    gimbal mechanism

    [目次:試料作製]

    直交する二つの傾斜軸を組み合わせることで任意の方向に傾斜できる機構。例えば、このような機構の上に試料を載せてコーティングを行うことで、方向性のない均一な厚さのコーティング膜を作ることができる。

  • スキャンローテーション(ラスターローテーション)

    scan rotation,raster rotation

    [目次:装置]

    電子プローブの走査方向を変えることで、SEM像を画面上で回転させる機能。試料ステージの回転とは異なり、画面の中心に対して回転をするので視野ズレは起きない。また、試料の回転を行った場合と違って、試料に対する観察方向、検出器の照明方向は変わらない。

  • スケールマーカー(ミクロンマーカー)

    scale marker,micron marker

    [目次:装置]

    SEM像の中に表示される長さの基準スケール。目的物の大きさを測定するため、あるいはSEM像の倍率を計算するために用いられる。

  • スタンダードレス法(簡易定量法)

    standard-less correction

    [目次:分析]

    定量分析で使われる補正法の一つ。定量分析は、一定条件で取得した標準試料のスペクトルと未知試料のスペクトルを比較することで結果を出すものであるが、標準試料を使わず、未知試料のスペクトルのピーク強度比に補正計算を行って、合計濃度が100%になるように近似する定量補正法をスタンダードレス法と呼ぶ。この中には、ある条件で予め取り込んだ標準試料のスペクトルを利用する方法もある。定性分析で含有元素を調べるので、未知試料分析の場合、元素の見落としが少ない。また、標準試料を揃えておく必要が無いので分析は簡単で迅速であるが、誤差は大きくなる。

  • ステレオ観察

    stereoscopic observation

    [目次:観察手法]

    試料の傾斜角度を変えて撮影した2枚のSEM像を両目で見ることで、立体視をする方法。傾斜角度が大きくなると凹凸感が強調されるが、通常は、5~10゜程度がよく使われる。画像を観察する場合は、2枚のSEM像を左右に並べて見たり、それぞれの像に色づけして重ねて表示し、色フィルタを通して見る方法がある。色づけには、赤とシアン(青)、赤と緑などが使われる。

    ステレオ観察

  • ステレオ計測(立体計測)

    stereoscopic analysis

    [目次:観察手法]

    ステレオ観察用に撮影された、2枚のSEM像内の視差を利用して、高さを測定する方法。画面全体のデータを取り込んで各点の高さを求め、3次元表示を行うパーソナルコンピュータ用のソフトウェアもできているほか、測定精度を上げるため、3枚以上のSEM像を使う方法も発表されている。

    ステレオ計測

  • ストロボSEM

    stroboscopic SEM

    [目次:装置]

    試料上で起きる周期現象を観察するため、その周期に合わせてパルス状の電子プローブを間欠的に照射したり、信号の取り込みを間欠的に行う機能を持つSEM。電位コントラストと組み合わせてデバイスの動作を観察するのに多く用いられる。

  • ストロボ像モード

    stroboscopic imaging mode

    [目次:観察手法]

    ストロボSEMの観察モードの一つ。周期現象の特定の位相で、電子プローブを照射したり、信号を取り込みながらSEM像を作るもので、その位相での現象を静止像として得ることができる。

  • ストロボ波形モード

    stroboscopic waveform mode

    [目次:観察手法]

    ストロボSEMの観察モードの一つ。試料上の選択した個所に電子プローブを止めたまま、照射する位相を1周期毎に少しずつずらしていくと、オシロスコープの時間軸を拡大するような感じで、周期現象の動作波形を観測することができる。電子プローブを連続的に照射したまま、信号の取り込みを1周期毎にずらしても同様のことができる。
    下図は、周期Tを持つ動作波形を観察するのにT+ΔTの周期で電子プローブを照射した場合を示したもので、T/ΔTの周期を持つ波形として観測される。

    波形モード

  • スパッタイオンポンプ(イオンポンプ)

    SIP sputter ion pump,ion pump

    [目次:装置]

    チタンのゲッター作用を利用した真空ポンプ。チタン板を陰極として放電を起こすと、イオンスパッタにより常に新しい活性面が露出されると同時に、周囲にもチタンがスパッタされる。これらによる吸着作用を利用して排気する。また、不活性ガスもイオン化されて陰極に捕集されるので、排気できるのが特長である。動作圧力は10-9~10-3Pa程度であるが、放電電流から圧力を知ることができる。安定な放電を持続するため電極は強い磁界中に置かれている。

  • スパッタリング

    sputtering

    [目次:試料作製]

    イオンが固体表面を衝撃したとき、固体を構成する原子をはじき飛ばす現象。これを利用して、試料の加工をしたり、試料のコーティングを行う。

  • スピン偏極SEM(スピンSEM)

    spin-polarized SEM,spin SEM

    [目次:装置]

    磁性体試料の場合、二次電子はスピン磁気モーメントの情報を持って放出される。これを検出することで磁化情報をSEM像とするのがスピン偏極SEMである。情報深さは1nm程度と極めて浅いため、試料表面は清浄にする必要があり、超高真空の試料室が使われる。検出効率が極めて低いため画像を作るには長時間が必要であるが、ほかの磁区観察法に比べて高い解像力が得られる。

  • スペクトルイメージング(スペクトルマッピング)

    spectrum imaging,spectrum mapping

    [目次:分析]

    EDSにおけるデータの保存・表示方法の一つ。試料表面を2次元的に走査しながら、各画素毎にスペクトルを収集することで、試料上の位置とスペクトルを関係づけた形でデータを保存する。データ収集後、任意の点のスペクトルを表示したり、任意のX線エネルギーの元素マッピングや線分析を行ったり、定量マッピングを行うことができる。

  • スポットサイズ

    spot size

    [目次:装置]

    試料上に照射された電子プローブの直径。

  • スラッシュ窒素

    slush nitrogen

    [目次:試料作製]

    液体窒素を断熱容器に入れて、真空チェンバー内で油回転ポンプで間欠的に減圧すると液体窒素中にザラメ状の固体窒素が分散した状態ができる。これをスラッシュ窒素と言い、窒素の融点付近の約63Kが得られる。試料を入れたときのバブリングがほとんど起きないため、急速凍結ができる。

  • ズームコンデンサレンズ

    zoom-condenser lens system

    [目次:装置]

    集束レンズの励磁を変えると、試料に照射される電流(プローブ電流)を変えることができるが、同時に焦点がずれる。集束レンズを2段構成にして、第1集束レンズによる焦点ズレを第2集束レンズで補正すれば、焦点ズレを最小限に抑えることができる。これをズームコンデンサレンズと呼ぶ。

  • 制限視野電子チャンネリングパターン

    SAECP selected-area electron channeling pattern

    [目次:理論]

    電子チャンネリングパターンを得るためにビームロッキングを行った時起きる電子線の動きを補正するため、補助レンズと駆動回路を設けてロッキング領域を数~10µm程度に小さくする方法。

  • 静電界磁界複合レンズ

    magnetic/electrostatic compound objective lens

    [目次:装置]

    磁界レンズと静電レンズが同じ空間に作られたレンズ。減速法では対物レンズの磁界と減速電界が重畳された複合レンズとなっており、収差が小さく抑えられている。

  • 静電レンズ

    electrostatic lens

    [目次:装置]

    回転対称な静電界の電子線に対する集束作用を利用したレンズ。高エネルギーの電子に対して焦点距離の短いレンズを作るのは難しいが、磁界レンズと違ってヒステリシスが無いため焦点距離の制御が正確にできる特長を持っている。各種電子銃の電極は静電レンズを形成しており、電極間に印加される電圧によって、クロスオーバーの形成、仮想光源の移動といった現象が起きる。また、減速法では対物レンズ付近に静電レンズができる。なお、集束イオンビーム装置の光学系ではイオンに対するレンズ作用が強い静電レンズが使われている。

    静電レンズ

  • セミインレンズ形対物レンズ

    semi-in-lens objective lens

    [目次:装置]

    シュノーケル形対物レンズの別名。アウトレンズ形対物レンズとインレンズ形対物レンズの中間的な存在という意味から付けられた名称である。

  • 染色

    staining

    [目次:試料作製]

    コントラスト付けの方法の一つ。試料の特定の部位に重金属を付着させて反射電子組成像で観察すると、その部位が明るく見えることから染色と呼ぶ。高分子試料では、オスミウム染色やルテニウム染色が使われるが、オスミウムは二重結合を染め、ルテニウムは非晶質部分を染めると言われている。超薄切片をSTEMやTEMで観察する場合も、染色を行う。

  • 選択エッチング

    selective etching

    [目次:試料作製]

    スパッタ速度の違いを利用したエッチング。イオンビームを高い角度で試料に照射すると、結晶方位によるスパッタ速度の違いが顕著になるため、これを利用して断面試料に凹凸を付け、組織を観察することができる。

  • 選択的定電位電解エッチング法(SPEED法)

    selective potentiostatic etching by electrolytic dissolution method,SPPED method

    [目次:試料作製]

    金属組織を観察するときに使われるエッチング法の一つ。非水溶媒電解液中で定電位の電解エッチングを行うものであるが、電気量を正確に制御することで、試料表面あるいは界面を再現性よくエッチングすることができる。ミクロ的な金属組織の観察や、組織と対応した析出物の観察ができるので、SEMの特長を生かした粒界や破面などの3次元的な解析に適する。

  • 線分析

    line analysis

    [目次:分析]

    元素分析の表示法の一つ。SEM像の上で指定した直線上の元素分布を示すが、注目する特性X線のP-B比が十分でないとき、特性X線のエネルギーが接近しているときは正しい分布を示さないことがあるので注意が必要である。

  • 走査

    scanning

    [目次:理論]

    試料上の各点からの情報を時系列信号にするため、電子プローブで試料表面をなでるように動かすこと。1次元の走査線を垂直方向に並べることで、ラスターを作り、2次元の画像を形成する。

  • 走査オージェ顕微鏡

    SAM scanning Auger microscope

    [目次:装置]

    電子プローブを使って微小領域のオージェ電子分光を行う装置。SEMの機能とオージェ分光装置の機能を備えている。ショットキー電子銃を搭載した装置では、横方向10nm程度、深さ方向数nmと極めて小さい分析領域が得られる。

  • 走査形LEEM

    SLEEM scanning low-energy electron microscope,scanning LEEM

    [目次:装置]

    数百eV以下の低エネルギーの電子プローブで結晶性試料を走査し、表面で弾性散乱した電子を検出して、像を作るSEM。形像に寄与するコントラストは回折コントラストである。減速法による陰極レンズが使われる一方、表面現象を扱うため試料は超高真空中に置かれる。

  • 操作系

    operation system

    [目次:装置]

    観察条件の設定、倍率変化、焦点合わせ、明るさ、コントラストなどの画像調整、画像の記録などの操作を行う部分。関連した電源も含めて言う。

  • 走査コイル

    scanning coil

    [目次:装置]

    電子プローブの走査を行うための一種の偏向コイル。通常の偏向コイルに比べて周波数応答が速くなければならないので、構造が工夫されている。

  • 走査線

    scanning line

    [目次:装置]

    電子プローブの走査によって描かれた一本の線。

  • 走査線数

    number of scanning line

    [目次:装置]

    ある領域内に描かれた走査線の数。通常のSEM像の場合は一画面は1000本程度の走査線で作られる。ある時間内に描かれた走査線の数を言う場合もある。

  • 走査速度

    scanning speed

    [目次:観察手法]

    電子プローブを走査する速度。1秒当たりのフレーム数や1フレームを走査するのに掛かる時間で表す。走査速度が速ければ応答が速いので種々の操作に便利であるが、S/Nの悪いざらついた画像となるので、像の記録には通常50~100秒程度の遅い走査速度や高速走査速度の積算が用いられる。

  • 走査電子顕微鏡

    SEM scanning electron microscope

    [目次:装置]

    細い電子プローブで試料表面を走査したとき、電子プローブの照射点から放出される種々の電子、電磁波を検出して画像化する装置。電子プローブを作り走査する電子光学系、信号を検出する検出器、試料を保持する試料ステージ、画像を表示・記録するためのモニター・記録系、種々の操作をするための操作系、鏡筒や試料室を真空にするための真空排気系などから構成される。

    走査電子顕微鏡

  • 走査電子顕微鏡学

    SEM scanning electron microscopy

    [目次:その他]

    走査電子顕微鏡の電子光学系、検出器、形像コントラストなどを理論的に扱ったり、走査電子顕微鏡の使い方、試料作製法などを扱う学問。

  • 走査電子顕微鏡法

    SEM scanning electron microscopy

    [目次:観察手法]

    走査電子顕微鏡を使った観察法。

  • 走査透過電子顕微鏡

    STEM scanning transmission electron microscope

    [目次:装置]

    薄膜試料を透過した電子を検出して、走査像を得る装置。散乱吸収コントラスト、回折コントラスト、位相コントラストなどTEMで得られるコントラストは全て得られるが、位相コントラストを得るのは検出角の関係で難しい。

  • 走査透過電子顕微鏡法

    STEM scanning transmission electron microscopy

    [目次:観察手法]

    走査透過電子顕微鏡を使った観察法。

  • 走査反射電子顕微鏡(走査電子回折顕微鏡)

    SREM scanning reflection electron microscope,scanning electron diffraction microscope

    [目次:装置]

    試料表面での結晶成長を観察するためのSEM。結晶性試料の表面に浅い角度で電子プローブを入射させたときに起きる電子回折の特定の反射の強度を、像信号として利用する。電子回折パターンを観察するための蛍光スクリーンと特定の回折スポットを選択するための絞り(あるいは検出器)などが必要である。また、結晶成長をさせるための蒸着源が備えられている。像は回折コントラストで形成されるが、表面現象を扱うため超高真空の試料室が必要である。EBSDでは結晶方位分布が得られるのに対して、SREMでは局部的な回折条件の変化や単原子ステップなど単原子レベルの表面の微細構造を観察することができる。

    走査反射電子顕微鏡

  • 相対強度

    relative intensity

    [目次:分析]

    同一条件で測定した、標準試料のX線強度に対する未知試料のX線強度の比。K-レシオと同義語。A元素の相対強度KAは標準試料のX線強度をIAstd、未知試料のX線強度をIAunk、標準試料中のA元素の質量濃度をCAstdとすると次式で表される。

    KA式

  • 相反定理

    reciprocity theorem

    [目次:理論]

    可逆定理とも呼ばれ、光線逆進の原理を説明する定理。これによれば、TEMでの照射系と結像系の関係は、STEMでの検出系と照射系の関係と同じである。すなわち、TEMでの照射電子線の開き角はSTEMでの検出器の開き角に相当し、TEMでの対物レンズの開き角はSTEMでの対物レンズの開き角(電子プローブの開き角)に相当する。

    相反定理

  • 相分析

    phase analysis

    [目次:分析]

    定量マッピングの結果から、元素の組成比を解析し、化合物の分布を表示する方法。

  • 測長SEM

    CD-SEM critical dimension SEM

    [目次:装置]

    SEMの持つ、観察、分析、測長などの機能の内、測長機能に特化して作り上げられた装置。とくに半導体の製造ラインでプロセスの寸法管理に用いられ、数百nm幅のパターン幅の自動測定を行う。非導電性試料を扱うことになるので1kV以下の低加速電圧が使われるが、これにより試料の損傷も防いでいる。パターンのエッジを自動的に検出して測定を行うが、測定精度を上げるために、標準マイクロスケールといった倍率標準試料を用いて較正を行う。

  • 組織化学SEM法

    histochemical scanning electron microscopy

    [目次:観察手法]

    細胞や組織内の特定の物質の局在を調べる方法。SEMでは検出したい部位に重金属を付着させて、反射電子組成像で観察する方法が多く使われる。

  • 組成コントラスト

    compositional contrast

    [目次:理論]

    原子番号および密度の違いが明るさの違いとなって現れるコントラスト。STEM像やTEM像の散乱吸収コントラストとは逆で、(原子番号×密度)積が大きいほど明るくなる。高分子試料の超ミクロトーム断面のように平坦な非晶質試料の場合、組成コントラストが主となる。

  • 組成像

    compositional image

    [目次:理論]

    組成コントラストで形成された像。一般には反射電子検出器を使うことが多いが、低加速電圧と二次電子に対するエネルギーフィルタを組み合わせても得られる。

  • 帯電現象(チャージアップ)

    charging phenomenon,charging

    [目次:理論]

    非導電性試料を観察したときに起きる現象。帯電の影響によって試料に入射する電子プローブが偏向されて像が歪んだり、試料から放出されて検出器に入射する二次電子の軌道が変わることで、不安定な異常コントラストが起きることがある。

  • 帯電防止剤

    antistatic agent

    [目次:試料作製]

    界面活性剤の働きで帯電を防止するスプレー。衣類の静電気防止スプレーと同じ作用をするもので、低倍率では有効であるが、表面に薄い被膜ができるので高倍率では微細構造が隠れてしまう。

  • 対物レンズ

    OL objective lens

    [目次:装置]

    試料の直前に置かれた最終段の電子プローブ形成レンズ。このレンズの収差が電子プローブ径すなわち解像力を決めるので、非常に重要なレンズである。操作上では焦点合わせに使われる。目的に合わせてアウトレンズ形、シュノーケル形、インレンズ形の三種類のレンズが用いられる。下図に示すのは最も多く使われているアウトレンズ形対物レンズである。

    アウトレンズ対物

  • 対物レンズ絞り

    objective-lens aperture,OL aperture

    [目次:装置]

    対物レンズに入射する電子線の内、光軸近傍の電子線だけを通して、それ以外を遮蔽する目的で使用される絞り。孔径が小さい絞りを使うと球面収差や色収差が小さくなり、電子プローブ径は小さくなると同時に焦点深度も深くなるが、プローブ電流は少なくなる。ただし、孔径が小さすぎると回折収差が大きくなり、電子プローブ径は大きくなるので、最適な孔径がある。孔径が大きい絞りを使うとプローブ電流は多くなるが、収差のため電子プローブ径は大きくなり、焦点深度も浅くなる。絞り孔径の切替だけではなく、軸合わせのための位置調整ができるようになっている。

  • 多重波高分析器

    MCA multi-channel pulse-height analyzer,multi-channel PHA

    [目次:分析]

    複数のチャンネルを持った波高分析器。EDSの計測系に使われるが、EDS検出器の出力パルスをX線のエネルギー毎に計数するのに使われる。すなわち、出力パルスの電圧はX線エネルギーによって異なるので、チャンネル毎の閾値が少しずつ違う複数の波高分析器を並べておけば、X線エネルギー毎の計数ができ、スペクトルデータが得られることになる。

  • 縦形分光器

    vertical spectrometer

    [目次:分析]

    WDSの一種で、ローランド円と電子プローブが同一平面内にあるように配置された分光器。試料の高さがずれると分光条件が外れることから、高さ合わせ用の光学顕微鏡が必須である。複数の分光器を、お互いの干渉が無い状態で電子光学系の周囲に配置できるので、主としてEPMAの分光器として使われる。

  • タングステンフィラメント(Wフィラメント,フィラメント)

    W filament,tungsten filament,filament

    [目次:装置]

    熱電子銃の陰極として使われるタングステン線。直径約0.1mmのタングステン線をV形にして支柱に取り付けてあり、通電加熱することによって2800K程度の高温にして、熱電子を放出させる。SEMだけでなく電子光学機器の電子源として最も多く使われている陰極である。

  • タンニン・オスミウム法

    tannin-osmium conductive staining method

    [目次:試料作製]

    生物試料に対する導電染色の代表的方法。オスミウム固定を行うと、組織にオスミウムが沈着することから、ある程度導電性を増すが、さらに導電性を増すために、タンニン酸処理とオスミウム処理を追加する方法。この他に、チオカルボヒドラジド・オスミウム法、タンニン-フェロシアン化オスミウム法、ルテニウム法といった導電染色法が利用される。

  • ターゲット金属

    target metal

    [目次:試料作製]

    イオンスパッタ装置あるいはイオンビームスパッタ装置を使って、試料表面に金属コーティングを行うときの金属材料。イオンスパッタ装置では白金、白金パラジウム、金パラジウム、金など、イオンビームスパッタ装置ではそれに加えてカーボン、クロムなどが使われる。

  • ターボ分子ポンプ(ターボモレキュラーポンプ)

    TMP turbo molecular pump

    [目次:装置]

    円筒の周囲に多数の金属翼を斜めに取り付け、その円筒を高速回転させることで気体を圧縮し、排気するポンプ。動作圧力は10-7~1Pa程度であるが、油分子に対する圧縮率が高いので、オイルフリーな環境が作りやすい。油拡散ポンプと違って、冷却水が要らない、予備加熱の時間が要らない、などの利点がある。

  • ダイオードスパッタ

    diode sputtering

    [目次:試料作製]

    陽極とターゲット金属(陰極)の間に高電圧を掛けて行われる、2極形の最も単純なスパッタ機構。

  • ダイナミックフォーカス

    dynamic focus

    [目次:装置]

    電子プローブの走査と同期して、フォーカスを少しずつ変えることで、フォーカス面を傾ける機能。平面状の試料を大きく傾斜すると、傾斜方向に焦点深度以上のフォーカスずれが起きるので、これに対する補正手段として使われる。
    下図にダイナミックフォーカスの動作原理図を示す。左はダイナミックフォーカスが行われていない状態で、フォーカス面と試料表面が一致していないため焦点ずれが起きている。右は電子プローブの走査に同期してダイナミックフォーカスコイルの強さを変えることでフォーカス面と試料表面を一致させており、常に焦点が合った状態に保たれていることを示している。

    DFC

  • ダイヤモンドナイフ

    diamond knife

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで使われる、刃先がダイヤモンドで出来たナイフ。ガラスナイフに比べて硬度が高いので、硬い工業材料の切削にも使える。天然ダイヤモンドを使ったもの、人工ダイヤモンドを使ったものがある。

  • 脱出深さ

    escape depth

    [目次:理論]

    入射電子によって試料内部で励起された、二次電子、オージェ電子などが吸収されることなく試料表面に到達し、真空中に放出される深さ。電子の運動エネルギーに依存し、70eV程度のエネルギーのものが最も吸収されやすい。

  • 脱水

    dehydration

    [目次:試料作製]

    試料作製過程の一つ。固定が終わった生物試料を乾燥する前に試料中の水分を有機溶媒と置換する操作を言う。実際には、変形を防ぐため、50%程度から100%までの濃度の異なるエタノール中に順次浸漬し、置換することで脱水を行う。

  • 脱ガス

    degas

    [目次:その他]

    ガス放出の多い試料を観察・分析する前に、予め真空排気装置の中に置いたり、加熱することで、ガス放出を促すこと。

  • 弾性散乱

    elastic scattering

    [目次:理論]

    試料に入射した電子が、試料との間でエネルギーの授受を行うことなく、散乱される現象。

  • 断面観察

    cross-sectional observation

    [目次:観察手法]

    試料断面を観察することで、試料の内部構造や基板表面に積層された薄膜の成膜状況を観察すること。断面を作製するには、割断、機械研磨、超ミクロトームによる切削のほかイオンビーム加工が用いられる。試料によっては断面を作製した後、適当な方法でコントラスト付けを行う必要がある。

  • チャンネリング

    channeling

    [目次:理論]

    エネルギーを持った荷電粒子が結晶性試料中に入射したとき、特定の方位に沿ってより深く侵入する現象。

  • チャンネリングコントラスト

    channeling contrast

    [目次:理論]

    結晶性試料を観察したとき、結晶方位の違いによってSEM像やSIM像に生じるコントラスト。電子やイオンのチャンネリングにより、結晶方位の違いで試料への侵入深さが変わり、結果として反射電子や二次電子の放出量が変わるために生じるコントラストである。電子線の場合、エネルギーを変えても、入射方位を変えてもコントラストが変わるが、イオンビームの場合、入射方位依存性は持つもののエネルギー依存性は、ほとんど持たない。

  • チャージバランス

    charge balance

    [目次:理論]

    無コーティングの非導電性試料を観察するときに、加速電圧、試料傾斜角などの観察条件を選ぶことで帯電を防ぐ操作。下図に示すように、流れ込む電子と流れ出す電子の総和が0であれば帯電が起きないので、二次電子放出率のエネルギー依存性や入射角依存性を利用して条件を設定する。実際には、試料表面の凹凸(部分的な入射角の違い)、部分的な組成の違いによる二次電子放出率の違いがあるため、平坦で一様な組成の試料以外では完全にチャージバランスを取ることは出来ない。

    チャージバランス

  • 超高真空SEM

    UHVSEM ultra-high vacuum SEM

    [目次:装置]

    試料の極表面を観察する目的で試料室を10-7Pa程度の超高真空に保ったSEM。走査反射電子顕微鏡、走査オージェ顕微鏡などは、このカテゴリーに属す装置である。

  • 超高分解能FESEM(超高分解能SEM)

    ultra-high resolution FESEM,ultra-high resolution SEM

    [目次:装置]

    FE電子銃とインレンズ形対物レンズあるいはシュノーケル形対物レンズのような低収差の対物レンズを組み合わせたSEM。1nm以上の分解能が得られる。

  • 超低加速電圧観察

    ultra-low voltage observation

    [目次:観察手法]

    試料の極表面を観察したり、試料の電子線損傷を減らす目的で行われる観察法。通常の低加速電圧観察と明確な区分けはないが、一般には、500V程度より低い加速電圧を使った観察を言う。

  • 超薄切片

    thin section

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで数十~数百nm厚に薄く切った試料片。観察時にはメッシュで支持する。

  • ティルト補正

    tilt compensation,tilt correction

    [目次:装置]

    平坦な試料を傾斜して観察すると、画面上の長さが傾斜方向では短く見える。これを補正して、試料面を垂直な方向から見たようにする機能。この補正を行うために、傾斜方向の電子プローブの走査幅を圧縮するので、SEM像は実際には歪んでいる。凹凸のある試料に対してこの機能を適用すると、逆に像が歪んでしまうので使ってはいけない。

  • 低加速STEM

    low-voltage STEM

    [目次:観察手法]

    SEMの付属機能としてSTEM観察ができるようにしたもので、最高加速電圧30kV程度のSTEM。なお、STEMと言うと、通常は専用機あるいはTEMの付属機能としてのSTEMを意味するが、これらは100~200kVの加速電圧を使っている。

  • 低加速電圧観察

    LVSEM low-voltage observation,low-voltage scanning electron microscopy

    [目次:観察手法]

    数kVより低い加速電圧を使った観察。熱電子銃SEMでは5kV程度まで低加速電圧として扱うが、FESEMでは1~2kV以下を意味することが多い。目的は、表面観察、非導電性試料の観察、試料損傷の低減などである。

  • 低真空SEM

    LVSEM low-vacuum SEM,Natural SEM,Wet SEM

    [目次:装置]

    試料室の圧力を数十~数百Paまで上げられるようにしたSEM。残留ガス分子と電子の衝突によって出来るプラスイオンを利用して帯電を中和し、非導電性試料を無コーティング観察することができる。このほか、ガス放出が非常に多い試料の観察、含水試料の簡易凍結観察などにも用いられる。電子光学系と試料室の間にはオリフィスを置いて、差動排気を行うほか、通常の二次電子検出器だと放電を起こす可能性があるので、反射電子検出器やガス増幅を用いた特殊な二次電子検出器(ESD)を用いる。Natural SEM、Wet SEMといった商品名で呼ばれることもある。

    低真空SEM

  • 定性分析

    qualitative analysis

    [目次:分析]

    元素分析において、試料から放出された特性X線のエネルギー値または波長から、元素を同定する分析。

  • 定量分析

    quantitative analysis

    [目次:分析]

    元素分析において、分析領域中の元素あるいは化合物の量を定量的に扱う分析方法。重量%または原子量%で表示する。分析領域は数百nm~数µmの大きさを持っているので、測定結果はその中の平均濃度を意味することに注意が必要である。実際には、標準試料と未知試料からのX線強度を比較して分析を行うが、検量線を用いる方法と、相対強度に対して補正計算を行う方法がある。

  • 定量補正

    quantitative correction

    [目次:分析]

    定量分析を行うとき、入射電子の試料中への拡散、X線の吸収、蛍光励起などを考慮して、相対強度に補正係数を掛け合わせて元素の質量濃度を求めること。

  • 定量マッピング

    quantitative X-ray mapping,quantitative elemental mapping

    [目次:分析]

    元素分析の一方法で、マッピングを行う際に一点毎に定量分析を行い、元素濃度の2次元的な分布を得る方法。通常行われる元素マッピングでは、微量元素の場合、特性X線のP-B比が十分でなく、得られたマッピングは必ずしも正しい元素の分布を示さないことがある。このような場合、正しい元素分布を得るには、定量マッピングを行う必要がある。

  • 点分析

    point analysis

    [目次:分析]

    試料上の一点に電子プローブを照射して定性分析、定量分析を行う方法。電子プローブの径がどんなに小さくても、試料中での電子の拡がりのために分析領域がある程度の大きさを持つことに注意を要する。

  • デコレーション

    decoration

    [目次:試料作製]

    試料表面に、ごく薄い金属コーティングをするとき、一様な厚さの膜ができず、ステップ状の構造、鋭い端部などに、コーティング粒子が選択的に付着する現象。この現象を利用すると、微細な表面構造が見やすくなることがある。

  • デコンタミネーション

    decontamination

    [目次:装置]

    試料表面に付着した試料汚染堆積物が、電子線照射によって除去される現象。試料周辺に残留する酸素ガスと汚染堆積物との反応によるものと考えられ、試料室に若干の真空漏れがある状況で高い電子流密度の電子線照射を行ったときに起きやすい。この現象を利用して試料表面にガスを吹き付けて試料汚染を防ぐ方法がある。

  • デジタルSEM

    digital SEM

    [目次:装置]

    電子光学系、信号系などをデジタル制御するSEM。現在市販されているSEMは、全てデジタルSEMに属する。

  • デジタル走査

    digital scanning

    [目次:装置]

    電子プローブの水平方向の走査を、デジタル制御されたステップ状の走査信号波形で行う方式。走査速度を変えても画像の位置ずれや歪みが起きにくい、EDSや電子線描画のように電子プローブ位置を外部制御しようとした時、照射位置や走査方向を自由に制御できる、といったメリットがある。一方、画像の解像力に比べて、ステップ数が粗いとサンプリング数が少なくなり、アーティファクトが生じることがあるので、取り込んだ画像を拡大するような場合は注意が必要である。

  • デッドタイム

    dead time

    [目次:分析]

    EDS検出器における不感時間。X線のパルスを電気信号に変換する時に若干の時間を要するため、数え落としが生ずる。X線の計数率が高くなるとデッドタイムは大きくなり、波形の劣化が起きたり、ゴーストピークが発生する。

  • デポ

    deposition

    [目次:試料作製]

    デポジションの略語。FIBで試料を加工する時に、イオンビームによるエッチングを防ぐために加工部周辺の表面に行う、金属あるいはカーボンの成膜を言う。実際にはガスを導入し、FIBとの反応を利用して成膜を行う。

  • デュアルビームFIB

    dual-beam FIB

    [目次:装置]

    SEMの電子光学系とFIBのイオン光学系を一つの試料室に配し、FIB加工した断面をそのままSEMで観察できるようにしたシステム。通常SEMとFIBの光学系はお互いに60゜傾いている。

  • デュアルマグニフィケーション(異種倍率同時表示)

    dual-magnification display

    [目次:装置]

    SEM像を得るとき、奇数番目の走査線と偶数番目の走査線で走査幅を変え、それぞれに対応する2枚の画像として並べて表示することで、異なる倍率の画像を得ることができる。これをデュアルマグニフィケーションと言う。それぞれの画像は走査線の数が半分になるため、粗い感じになる。なお、最近のSEMでは、カメラのデジタルズームと同様に、一方に画像処理で拡大した像を表示するものもある。

  • 電位コントラスト(電圧コントラスト)

    voltage contrast

    [目次:理論]

    試料上の電位差(電圧)によって、二次電子の検出効率が変わり生じるコントラスト。電位が高いと二次電子検出器との間の電界が弱くなるため二次電子の検出効率が落ちて暗くなり、電位が低いと二次電子検出器との間の電界が強くなるため明るくなる。これを利用して、LSIなどの回路の動作状態を確認することができる。一方、この電位コントラストは、非導電性試料を観察したときの帯電による異常コントラストの一因ともなる。

  • 電位分布像

    voltage contrast image

    [目次:理論]

    電位コントラストを可視化したSEM像。電位が高い部分が暗く、電位が低い部分が明るくなるので、LSIの回路の動作状態の確認などに使われる。下図はアルミ配線の電位分布像で、灰色のアース電位の部分に対して、マイナス電位の配線が明るくなっている。

    電位分布像

  • 電解研磨

    electrolytic polishing

    [目次:試料作製]

    平滑な研磨を行うための試料作製法。電解液中に試料と電極を入れ、試料を陽極として通電すると、試料の凸部には電界が集中することで加工速度が上がり、表面が平滑になる。機械研磨と違って研磨面に加工歪みが入らないので、試料の結晶情報を得たい場合などに有効な手段である。試料は導電性であることが必要であり、また試料に適した電解液と研磨条件が要求される。

  • 電界放出

    field emission

    [目次:理論]

    金属表面に強電界が掛かると、真空との境界でポテンシャル障壁が傾斜を持つが、電界が108V/cm近くになると障壁が極めて薄くなり、トンネル効果で電子が真空中に放出される。これを電界放出と言う。放出電子のエネルギーのばらつきは小さく、0.3eV程度である。

    電界放出

  • 電界放出電子銃(FE電子銃)

    FEG field-emission electron gun,FE electron gun

    [目次:装置]

    電界放出現象を利用した電子銃。エミッタとしては通常、W<310>単結晶が用いられるが、強電界を作るためにその先端は100nm程度の曲率半径に仕上げられている。電子源の大きさは5~10nmと小さいため輝度が極めて高いのが特長であり、高分解能SEM用の電子銃として多く用いられる。放出電子のエネルギー幅が小さいことから、低加速電圧でも高分解能が得やすい。欠点としては、室温で動作するためガス吸着によって放出電流が不安定になりやすく、超高真空が必要であること、放出電子によってイオン化された残留ガス分子の衝撃で陰極表面が荒れて最終的には陰極が破壊される可能性があること、などがある。これを防ぐために時々フラッシングという陰極の瞬間的な加熱を行う。陰極からの電子の放出角は、熱電子銃、ショットキー電子銃に比べて大きいため、集束レンズの収差の影響を受けやすく、プローブ電流はあまり大きくできない。
    下図に電界放出電子銃の構造を示す。引出電極に印加された引出電圧によって所定の電流の電子を放出させ、加速電極に印加された加速電圧によって所定のエネルギーの電子線を得る。

    電界放出電子銃

  • 電子回折

    electron diffraction

    [目次:理論]

    結晶性試料に電子線を照射すると、散乱した電子は一様な分布にならず、ブラッグ条件を満たす特定の方向に強度を持つような分布をする。これを電子回折と呼び、電子の波動性によるものである。散乱方向にスクリーンを置くと、回折パターンが観察できるが、SEMの場合はバルク試料での非弾性散乱の結果、バンドで構成された菊池パターンが観察される。

  • 電子源

    electron source

    [目次:装置]

    光学顕微鏡の光源に相当する電子の放出源。電子は電子銃の陰極から放出されるが、近傍にあるウェーネルト円筒、引出電極などの影響を受けて、軌道が変わるので、あたかも別な位置にある電子源から放出されるように見える。すなわち、電子光学的な電子源は、熱電子銃の場合はクロスオーバーであり、電界放出電子銃の場合は仮想光源である。

  • 電子光学系

    electron optical system

    [目次:装置]

    電子プローブを作り、走査する機能を持つ部分。電子銃、集束レンズ、対物レンズ、非点補正装置、偏向系などから構成される。鏡筒と同義語であるが、鏡筒が構造物そのものを意味するのに対して、電子光学系は機能的な意味を持つことが多い。

  • 電子銃

    electron gun

    [目次:装置]

    電子の放出源。所定の電流量の電子を所定のエネルギーを持った電子線として放出する役目を持つ。電子放出のメカニズムから、熱電子銃、電界放出電子銃、ショットキー電子銃の三種がある。性能を表す量として輝度が使われる。

  • 電子線

    electron beam

    [目次:装置]

    電子銃から放出されるエネルギーを持った電子の流れ。

  • 電子線描画(電子線リソグラフィー)

    electron-beam lithography,EB lithography,EB writing

    [目次:その他]

    レジストを塗布した基板上に電子プローブを照射し、電子線損傷を利用して微細パターンを描く技術。パターンを描くためには、電子プローブをXY単独に走査する機能、ビームブランキング機能が必要である。電子プローブだけで描画できる領域は小さいので、大きなパターンを描くには試料ステージの移動も併用する。

  • 電子線誘起電流

    EBIC electron-beam induced current

    [目次:理論]

    p-n接合に電子プローブを照射すると電子-正孔対が出来るが、空乏層の電界によって電子はn領域へ、正孔はp領域に移動し、p-n接合の両端に電圧が発生する。これを電子線誘起電圧(electron-beam induced voltage)と言い、外部に回路を接続したとき流れる電流を電子線誘起電流と言う。結晶欠陥があると、電子や正孔はトラップされるため電流を生じない。これらの電流を画像にすると、p-n接合や結晶欠陥を像として観察できる。解像力は試料に入射した電子の拡散領域で決まる。EBICはイービックと読む。

    電位分布

  • 電子チャンネリング

    electron channeling

    [目次:理論]

    結晶性試料に電子が入射すると、結晶格子面と入射電子の角度によって侵入深さが変わり、ブラッグ角の前後では大きく変化する。この現象を電子チャンネリングと言う。
    下図は、結晶性試料に入射する電子プローブの角度を変えたときの電子の試料への進入深さを示したもので、ブラッグ角(θB)の前後で深さが大きく変わることがわかる。

    電子チャンネリング

  • 電子チャンネリングコントラスト

    ECC electron channeling contrast

    [目次:理論]

    電子チャンネリングが起きたことによって、反射電子放出量が変わって得られるコントラスト。電子チャンネリングにより入射電子が深く侵入すると、反射電子放出量は減り、侵入深さが浅いと反射電子放出量が多くなる。この結果、得られる反射電子像にコントラストを生じる。これを利用して結晶粒の方位分布を観察したり、転位を見ることができる。電子チャンネリングコントラストは、凹凸あるいは組成の違いによるコントラストに比べて微弱なため、観察するためには凹凸がほとんど無いこと、組成が一様であることなどが必要である。また、表面から数十nm以下で生じるコントラストであるため、表面に加工層などがあると観察できない。
    下図左は、電子チャンネリングコントラストを生じるメカニズムを示し、右図はその例を示す。

    電子チャンネリングコントラストECC像

  • 電子チャンネリングパターン

    ECP electron channeling pattern

    [目次:理論]

    結晶性試料に対してビームロッキングを行ったとき観察される擬菊池パターンまたはその観察法。入射電子線の平行性が十分でなければならないため、電子線の太さは数µmとなる。さらに、入射角を変えるときに対物レンズの球面収差の影響で入射電子線が移動するので、パターンが得られる領域(ロッキング領域と言う)は、数十µmとなる。

  • 電子ビームテスタ(EBテスタ)

    electron-beam tester,EB tester

    [目次:装置]

    LSIの電気特性を試験するためのLSIテスタと、ストロボSEMを組み合わせた装置。SEMの電子プローブを電位測定用プローブとして利用し、試料から放出された二次電子のエネルギー分析を行うことで回路の電圧を測定できる。ストロボ像モード、ストロボ波形モードと組み合わせて、LSIの故障診断や動作テストをより実用的に行えるようにしてある。

  • 電子プローブ

    electron probe

    [目次:装置]

    電子銃から放出され、集束レンズと対物レンズによって縮小されて、試料に照射される細い電子線。電子の探針を意味する。

  • 電子プローブ径

    electron-probe diameter,probe diameter

    [目次:装置]

    電子プローブの直径。電子源の直径、光学系の縮小率、対物レンズの収差などによって決まる。実際の電子プローブ径を測定するには、ナイフエッジ状の試料の上を、電子プローブが横切ったときの、二次電子、透過電子などの信号強度から測定する。しかし、電子プローブが細くなるとこの方法による測定は困難であり、TEMのような拡大・結像系を持つ装置が必要となる。なお、SEMの解像力は電子プローブ径より良い値になる。

  • 電子プローブマイクロアナライザ(電子線マイクロアナライザ)

    EPMA electron probe microanalyzer

    [目次:装置]

    電子を照射したとき試料から放出される特性X線の波長を分光して、照射領域に存在する元素の同定および濃度の分析を行う装置。分析領域は横方向、深さ方向とも数百nm~数µmである。分析機能を重視することから、数基のWDSと、分光条件に合わせるための光学顕微鏡を備えている。電子プローブの走査機能を持っているのでSEM像の取得のほか元素マッピングなどを行うことができるが、SEMと違って試料ステージには傾斜機構、回転機構が無いのが普通である。なお、EDSを取り付けたSEMをEPMAと呼ぶ場合がある。

  • 電子プローブマイクロアナリシス

    EPMA electron probe microanalysis

    [目次:分析]

    電子プローブマイクロアナライザを使った分析法。

  • 電子レンズ

    electron lens

    [目次:装置]

    回転対称な磁界あるいは静電界を利用して、電子に対するレンズ作用を持たせたもの。一般のSEMでは磁界レンズが多く用いられているが、低加速電圧専用のSEMでは静電レンズが用いられる場合がある。また、減速法では、磁界レンズと静電レンズを重畳させた電磁界重畳レンズと呼ばれる対物レンズが使われている。

  • 電磁界重畳レンズ

    magnetic/electrostatic compound lens

    [目次:装置]

    極低加速電圧を得るための減速法では、減速を行うための電極(あるいは試料ステージ)によって形成される静電界が、対物レンズの磁界に重畳された形となるため、電磁界重畳レンズとも呼ばれる。この方法では、収差が改善されるので解像力が上がる。

  • 電離真空計

    ionization gauge

    [目次:装置]

    高電圧を掛けたときの気体の電離を利用して、生成されたイオンの数から圧力を測定する真空計。放電を利用したペニング真空計、熱電子による電離を利用した熱陰極電離真空計があるが、単に電離真空計といった場合、後者を指すことが多い。

  • 電流安定度

    stability of electron-beam current,beam stabilty

    [目次:装置]

    電子線あるいは電子プローブ内を流れる電流の安定度。FE電子銃では、その放出機構が原因で電流安定度が悪く、SEM像や分析データに影響が出る。SEM像に関しては、ノイズキャンセラによる画像演算で見かけ上の変動を取り除けるが、分析の場合はそのような手段が無いため影響が大きい。特に電子線描画を行う際には長時間の安定度が求められるので、熱電子銃やショットキー電子銃が使われる。

  • 透過電子

    transmitted electron

    [目次:理論]

    薄膜試料に電子が入射すると、ほとんどの電子は試料中で吸収されることなく試料を透過して、試料下面から真空中に放出される。これを透過電子と言い、STEMまたはTEMの像信号として利用される。

  • 透過電子顕微鏡

    TEM transmission electron microscope

    [目次:装置]

    薄膜状の試料に電子線を照射し、試料を透過した電子線を結像レンズ系で拡大する電子顕微鏡。可視像にするためには、結像レンズ系の下に置いた蛍光スクリーンで光に変換する。試料を電子が透過する必要があるので、100kV~1000kVに加速された電子線を使う。薄膜試料内部の形態、結晶構造、組成、電子状態などの情報が得られ、分解能は0.1nm~0.2nmである。

  • 透過電子顕微鏡学

    TEM transmission electron microscopy

    [目次:その他]

    透過電子顕微鏡の電子光学系、形像コントラストなどを理論的に扱ったり、透過電子顕微鏡の使い方、試料作製法などを扱う学問。

  • 透過電子顕微鏡法

    TEM transmission electron microscopy

    [目次:観察手法]

    透過電子顕微鏡を使った観察法。

  • 透過波

    transmitted wave

    [目次:理論]

    試料を透過した電子線の内、散乱あるいは回折を起こさずに透過したもの。特に波としての性質を議論するときに使う用語。

  • 凍結割断

    freeze fracturing

    [目次:試料作製]

    細胞や組織の内部を剖出するための方法。脱水後の試料を溶媒や樹脂に浸漬した状態にして液体窒素で凍結し、衝撃を与えて割断する。何に浸漬するかによって、アルコール凍結割断法、DMSO凍結割断法、樹脂凍結割断法などに分類される。高分子試料にも使うことができる。

  • 凍結乾燥

    freeze drying

    [目次:試料作製]

    含水試料を乾燥する方法の一つ。乾燥時の表面張力の影響を最小限に抑えるため、試料を凍結させた後、低温に保ったまま真空排気し、試料中の氷を昇華させる。凍結速度が遅いと試料内部に大きな氷晶ができ、構造が変形してしまうので、急速凍結が必要である。なお、一般的なSEM用の試料は体積があるため急速凍結が難しく、昇華にも時間が掛かるため、水をt-ブチルアルコールなどの有機溶媒に置換し、凍結乾燥する方法が用いられる。

  • 凍結研磨

    freeze polishing

    [目次:試料作製]

    細胞内構造を剖出するための方法。液体窒素中で凍結した試料を、液体窒素で冷却した研磨シート上で研磨することで、平滑な研磨面を出し、その後、低濃度の四酸化オスミウム水溶液に浸漬し、細胞質を溶出させる。

  • 凍結切片法

    freeze sectioning

    [目次:試料作製]

    凍結した試料から薄膜試料の作製を行う方法。高分子材料や生物試料など、室温では加工が困難な柔らかい試料を液体窒素で冷却し、適当な硬さを持たせた後に切削する。切削にはクライオミクロトームを用いる。厚さ数十nm~数mmで切り出しが可能である。SEMにおいては、切削後の断面試料を観察することもある。

  • 凍結置換

    freeze substitution

    [目次:試料作製]

    凍結した生物試料を、冷却したメタノールやアセトン、その他の置換媒体中に浸して試料の脱水・置換を行う方法。同時に、媒体中に溶かしたオスミウムなどの化学固定剤で固定する。微細構造の変形、物質の移動、抽出が少ない。

  • 透視SEM

    see-through SEM

    [目次:観察手法]

    多くの場合SEMは表面形態を観察する目的に使われているが、高加速電圧で内部形態を積極的に見ようとする使い方がある。これを透視SEMと呼ぶことがあり、永瀬らによって提唱された。

  • 特性X線

    characteristic X-ray

    [目次:理論]

    入射電子によって高いエネルギー準位に励起された原子が、低いエネルギー準位に遷移するときに、この準位差にあたる過剰なエネルギーが電磁波として放出されたもの。元素および結合状態に特有のエネルギー分布と強度を持ち、スペクトル上でピークを形成する。

  • 取り出し角

    take-off angle

    [目次:分析]

    試料表面とX線検出器のなす角度。一般のSEMにおいては30~40゜程度であり、この角度が大きくなるとX線の試料中での減衰量が小さくなり、角度が小さくなると減衰量が大きくなる。所定の作動距離以外で分析を行ったり、試料表面が傾いた状態で分析を行うと、取り出し角が初期設定値と異なるため定量分析の精度が悪くなる。

    取り出し角

  • トリミング

    trimming

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで試料の断面を作るときの予備操作。ミクロトームで切削できる断面は小さいので、試料あるいは試料を包埋した樹脂のブロック先端を、予め台形に整形しておく必要がある。この操作をトリミングと言う。

  • 導電処理

    conductive treatment

    [目次:試料作製]

    非導電性試料を観察するための試料前処理。試料表面への金属コーティングが主な手法であるが、生物試料や高分子試料では導電染色といった方法がとられることがある。過多な導電処理は微細構造を変えてしまうので注意が必要である。

  • 導電性テープ

    conductive tape

    [目次:試料作製]

    試料を、試料台あるいは試料ホルダに固定するときに使われる、粘着層に導電性のフィラーを混ぜたテープ。手軽であるが、低加速電圧では若干の帯電を起こす場合があるほか、試料ドリフトが起きやすい、ガス放出が多いなど、注意すべき点もある。銅箔あるいはアルミ箔で片面をカバーしたテープもあるが、これは試料の端をカバーしたり、押さえつけるような使い方をする。

  • 導電性ペースト(導電性接着剤)

    conductive paste

    [目次:試料作製]

    試料を試料台に固定したり、導電性を持たせるために周辺に塗布するときに使うペースト。樹脂中に銀粒子やカーボンブラックをフィラーとして分散したものや、水にコロイド状のグラファイトを分散したものがある。前者は接着力が強く、後者は弱いので目的に合わせて使い分けるのが望ましい。

  • 導電染色

    conductive staining

    [目次:試料作製]

    生物試料の乾燥前の過程で、オスミウムなどの金属を積極的に組織に沈着させ、導電性を帯びさせること。代表的な方法として、タンニン・オスミウム法がある。構造が複雑な場合、コーティングを厚くしても一様な金属膜ができず、帯電を引き起こすことがあるので、生物組織の観察にはコーティングと併用することが多い。

  • ドローアウト試料ステージ

    draw-out stage

    [目次:装置]

    引き出し式の試料ステージ。普及形SEMでは、価格の点から試料交換室を持たず、試料室を大気圧にして試料ステージを引き出し、試料交換を行うものが多い。試料交換に時間が掛かるが、大きな試料を扱えるという利点もある。

  • ドータイト

    Dotite

    [目次:試料作製]

    導電性ペーストの商品名。アクリル系の樹脂をベースとして銀粒子やカーボンブラックを分散してある。

  • ナイフマーク

    knife mark

    [目次:試料作製]

    超ミクロトームで試料を切削するとき、ナイフの刃先に欠けた部分があったり、付着物があると、切削方向に傷が入る。これをナイフマークと言う。

  • 内部起電力

    EMF electromotive force

    [目次:理論]

    p-n接合に電子が入射すると、電子-正孔対が出来るが、空乏層の電界によって電子はn領域へ、正孔はp領域に移動し、p-n接合の両端に電圧が発生する。これを内部起電力と言う。電子線誘起電圧と呼ばれることもある。電子プローブで試料表面を走査したときの内部起電力の変化を可視化したものを内部起電力像(electromotive force image)と言うが、外部に回路を繋いだときの電流を検出しているので、EBIC像と同じ意味である。

  • ナビゲーション

    navigation

    [目次:装置]

    観察済みあるいは分析済みの視野の座標データや倍率を画像と共に記憶しておき、再度その視野に戻りたいときに、画像を選択するだけで自動的に試料移動と倍率設定を行う機能。

  • 軟X線分光器

    SXES soft X-ray emission spectrometer

    [目次:装置]

    試料から発生した軟X線 (0.1~2keVの極めて低エネルギーのX線) 領域の特性X線を、回折格子によって (光をプリズムで分光するように) 分光し、X線検出用に特化されたCCDカメラを使ってスペクトルを得る高エネルギー分解能X線分光器。下図は本分光器の原理を示す。本分光器の特長としては、エネルギー分散型X線分光器と同様に多元素の同時検出が可能、軽元素リチウム (Li) から分析が可能、エネルギー分解能が波長分散型X線分光器に比べて1桁以上高い、検出感度が波長分散型X線分光器より約1桁高い、装置に可動部がなくEDSなみにコンパクト、などが挙げられる。

    SXES

  • 二次電子

    secondary electron,SE

    [目次:理論]

    入射電子(一次電子)の試料内での非弾性散乱によって、試料を構成する原子から励起された電子で、そのエネルギーを50eV以下で定義することが多い。 入射電子による二次電子の励起は、試料の深さとは無関係に起こっているが、二次電子のエネルギーは小さく試料内で散乱されるため、試料の表面に到達できるのは、試料の浅い部分で励起されたものだけである。二次電子が試料表面から飛び出せる深さ(脱出深さ)は金属試料で5~10 nmである。したがって、電子線を試料表面に対して垂直ではなく斜めに入射すると飛び出してくる二次電子は多くなる。 下図(a)に、20 keVの一次電子が試料に入射したときに、試料の表面から放出される電子のエネルギースペクトルを示す。左側の大きなピークが二次電子によるものである。それ以上のエネルギーを持って放出される電子のほとんどは反射電子(後方散乱電子)で、幅広いエネルギー分布を持つ。反射電子の分布の中に見られる小さなピークはオージェ電子によるものである。 試料から放出される二次電子の多くは、入射電子によって照射点近くで直接励起されたもので、SE1と呼ばれる。SE1は入射点近傍の試料の形状(入射点の試料の傾き)や物質の違い(仕事関数)の情報を持っており、二次電子像の形成に用いられる。
    ただし、二次電子には、SE1とは異なる発生要因のものもある。入射電子のエネルギーが大きくなる(加速電圧が高くなる)と、入射電子の拡散領域が大きくなり、入射点から離れた部位に反射された電子によっても二次電子が励起される。この二次電子は、SE2と呼ばれる。また、試料から飛び出した反射電子が対物レンズや検出器などの構造物に当たって二次電子を励起することもある。これはSE3と呼ばれる。SE2とSE3は、二次電子像のバックグラウンドを形成し像のコントラストを下げるSE1、SE2、SE3の発生を図(b)に示す。

    図(a) 一次電子の入射によって試料から放出される電子のエネルギースペクトル (一次電子のエネルギーが20 keVの場合) ⇒

    図(b) SE1、SE2、SE3放出の違い ⇒

    “Secondary electron(s)” mean the excited electrons having an energy being defined to be less than 50 eV among all of the excited electrons, which are generated from the constituent atoms of a specimen by inelastic scattering of the incident electrons (primary electrons) in a specimen.
    Although the secondary electrons are excited irrespective of the depth of the specimen, the electrons which can reach the specimen surface are limited only to those excited near the surface of the specimen because the secondary electrons have small energies and are scattered in the specimen. That is, the escape depth of secondary electrons from the specimen is as small as 5 to 10 nm for most metals. Thus, the secondary electrons are emitted more at an oblique incidence of the incident probe onto the specimen surface than at a perpendicular incidence of the probe.
    Fig. (a) shows an energy spectrum of the emitted electrons from a specimen surface for a primary electron beam of 20 keV. A large peak at the left is due to the secondary electrons, extending to about 50 eV. The electrons with more than 50 eV are backscattered electrons (reflected electrons) existing over a wide energy range. Small peaks seen in the range of backscattered electrons are attributed to the Auger electrons.
    The major part of secondary electrons is excited directly by the incident electrons along the incident electron path and emitted only near the specimen surface. These secondary electrons are called “SE1(s).” SE1 is used to form a secondary electron image, which possesses information on the specimen shape (angle of the specimen surface against the incident electron beam) at the incident electron position and on the work function of the specimen.
    It should be noted that there is another type of secondary electrons. When the incident electron energy is large (accelerating voltage being high), the diffusion region of the incident electrons becomes large. The backscattered electrons (reflected electrons) into a region distant from the incident electron path excite secondary electrons. These secondary electrons are called “SE2(s)”, which form the background of the secondary electron image (formed by SE1), degrading the image contrast. In addition, if the incident electron energy is as large as a few 10 eV, the backscattered electrons coming out from the specimen hit the SEM components (objective lens, detector, etc.) and can excite secondary electrons from the components. Those secondary electrons are called “SE3(s)” and form the background of the secondary electron image or decrease the contrast of the secondary electron image. The generation process of SE1, SE2 and SE3 is shown in Fig. (b).


    Fig.(a) Energy spectrum of electrons emitted from a specimen at a primary electron probe of 20 keV.


    Fig.(b) Generation processes of SE1, SE2 and SE3.

  • 二次電子検出器

    SED secondary electron detector,SE detector

    [目次:装置]

    試料から放出された二次電子を検出するための検出器。最も多く使われているのは、ET検出器を基本としたもので、シンチレータと光電子増倍管で構成されている。対物レンズの形式によって、アウトレンズ検出器とTTL検出器の2種類があるが、二次電子検出器は照明装置に相当するので、SEM像のコントラストはその取り付け位置に大きく依存する。なお最近では、二次電子検出器の前に複数の電極を置き、その電圧を制御することで検出する電子のエネルギーを選択できるものが出てきている。ET検出器のほかマイクロチャンネルプレートを用いたものもあり、それぞれ特徴がある。

    二次電子検出器

  • 二次電子像

    secondary electron image, SE image

    [目次:理論]

    入射電子(一次電子)が試料内で非弾性散乱することによって、試料を構成する原子から励起された二次電子を検出することで作られる像。通常SEM像とは二次電子像のことであり、試料表面の微細な構造を知ることができる。二次電子のエネルギーは数10 eV以下であるため、表面から5 - 10 nmの深さから発生したもののみが真空中へ放出される。そのため、空間分解能が高く、試料の最表面構造に敏感である。ただし、エネルギーが低いので、試料表面の帯電の影響による像の乱れが生じやすい。
    入射電子線に対する試料表面の傾斜角が大きいと、試料表面からの二次電子の放出が大きいので、試料の形状に依存したコントラストがつく。さらに、試料表面の小さな突起やシャープな凹凸の部分からは、二次電子の放出が顕著に増大し、像にさらなる明るいコントラストを形成する。これは、エッジ効果と呼ばれる二次電子像に特有なコントラストで、微細な構造が鮮明に観察できる。
    図(a)に三酸化タングステン結晶の二次電子像を示す。結晶の表面の傾きによって放出される二次電子の量が異なり、結晶の形状を知ることができる。エッジの部分が特に明るくなっており、エッジ効果が確認できる。
    分解能は、加速電圧が15 kVで、0.6nm~3nm程度である。分解能を決める主たる因子は、入射電子のプローブ径である。電子銃にはタングステンやLaB6が用いられるが、より小さなプローブ径を得るには、より光源の小さい電界放出型電子銃が使われる。 鮮明な像を得るには加速電圧を低くすることが有効である。低加速電圧では、入射電子の試料内への拡散が小さく、表面付近で励起された二次電子によって像が作られ、試料表面の微細な構造を鮮明に見ることができる。高加速電圧では、入射電子の拡散領域が大きくなり、入射電子から隔たったところから発生する二次電子の寄与があり、微細な構造は見にくくなる。加速電圧を下げると、対物レンズの収差が大きくなり、プローブ径が大きくなる。しかし、対物レンズの改良により、現在のSEMでは加速電圧5kVでも十分小さなプローブ径が得られている。
    図(b)に、金をコートした濾紙を加速電圧5 kVと30 kVとで観察した二次電子像を示す。加速電圧5 kV では、コントラストが高く、表面構造が鮮明に見えている。加速電圧30 kV では、コントラストが低下し、表面構造の詳細が不鮮明である。

    図(a) 三酸化タングステン結晶の二次電子像  (加速電圧:10 kV)⇒

    図(b) 加速電圧の違いによる二次電子像(同一視野)の比較。⇒
    試料:金コートした濾紙、加速電圧: 5 kV(写真左)、30 kV(写真右)。表面構造の観察には低加速電圧の方が適している。

    “Secondary electron image” means an image formed by detecting secondary electrons which are generated from the constituent atoms excited by inelastic scattering of the incident (primary) electrons in a specimen. An SEM image generally indicates a secondary electron image, and the image reveals fine surface structures (topographic details) of the specimen. Since the energy of the secondary electron is several 10 eV or less, only the electrons generated within 5 to 10 nm from the surface are emitted in vacuum, beyond the specimen. Thus, the secondary electron image provides high spatial-resolution and is very sensitive to the top-surface structure of the specimen. However, since the energy of the secondary electron is low, image blur is likely to arise, caused by a charging on the specimen surface.
    Increasing the specimen tilt angle increases the emission amount of secondary electrons beyond the specimen surface, thus producing contrast depending on the specimen shape. Furthermore, from small protrusions or sharp topographic regions on the specimen, the emission amount of the secondary electrons increases remarkably, leading to further brighter contrast of the image. This contrast is called the edge effect characteristic of the secondary electron image and enables clear observation of the fine surface structure.
    Fig. (a) shows a secondary electron image of crystalline particles of trioxide tungsten. The image reveals the shape of the crystalline particles due to the different emission amount of secondary electrons caused by different inclination of the surfaces of crystalline particles. The edge regions are seen to be particularly bright (edge effect) while the edge effect is confirmed.
    The image resolution is 0.6 nm to 3 nm for an accelerating voltage of an incident electron probe of 15 kV. The main factor that determines the resolution is the diameter of the incident electron probe. W (tungsten) or LaB6 is normally used for the electron source (gun). To obtain a smaller electron-probe diameter, a field emission gun (FEG) that has a smaller electron source is used.
    For observing a clear image, it is effective to decrease the accelerating voltage.  At low accelerating voltages, the diffusion region of the incident electrons into the specimen is small. Thus, the image is formed by secondary electrons excited near the surface, resulting in clear imaging of the fine surface structure of the specimen. However, when the accelerating voltage is lowered, the chromatic aberration of the electron lens increases, leading to the degradation of the resolution. Thus, to use a lens with a small aberration is desirable. To the contrary at high accelerating voltages, the diffusion region of the incident electrons becomes large, and thus, the contribution of the secondary electrons generated in a region distant from the incident electron path becomes large. As a result, the obtained image becomes unclear and the fine surface structure of the specimen is difficult to view. Decreasing the accelerating voltage increases the aberration of the objective lens and the probe diameter becomes large. But in the present SEM, the improvement of the objective lens enables a sufficiently small probe diameter to be obtained even at an accelerating voltage of as low as 5 kV.
    In Fig. (b), two secondary electron images are compared, where a gold-coated filter paper is observed at accelerating voltages of 5 kV and 30 kV, respectively. At a voltage of 5 kV, the image shows high contrast and the surface structure is clearly observed. At a voltage of 30 kV, the image is degraded and the details of the surface structure are unclear.


    Fig. (a) Secondary electron image of crystalline particles of trioxide tungsten, taken at an accelerating voltage of 10 kV.


    Fig. (b) Comparison of secondary electron images (same field of view) of a gold-coated filter paper taken at accelerating voltages of 5 kV (left) and 30 kV (right).
    Low accelerating-voltage is suitable for observation of fine surface structure (topographic details).

  • 二次電子放出率

    secondary yield,secondary electron emission coefficient

    [目次:理論]

    試料に入射する電子(一次電子)の数と、試料から放出される二次電子の数の比δ。実際には、二次電子放出率δは試料に入射する一次電子電流Ipと試料から放出される二次電子電流Isの比Is/Ipとして定義される。二次電子放出比とも呼ばれる。

    二次電子放出率δの試料傾斜角依存性
    二次電子はエネルギーが最大でも数10 eVと小さいため、試料表面から10 nm程度の浅いところからしか放出されない。このことは、試料の入射電子線に対する傾斜角度が大きくなれば、δが増えることを意味する。下図(a)にその概念を示す。ここで、一次電子と一次電子の入射点における法線とのなす角度をθとする。一次電子が試料表面に垂直に入射した場合(θ=0)、最短脱出距離Zで二次電子が一番多く放出される。試料がθ傾斜すると、最短脱出距離は、Z・cosθとなり、θ=0に比べて二次電子が放出し易くなり、δが大きな値となる。したがって、二次電子像では試料表面の形状(傾き)によるコントラストが得られる。

    二次電子放出率δの加速電圧依存性
    δの加速電圧(一次電子のエネルギー)依存性を下図(b)に示す。δは、一次電子のエネルギーが数100 eV程度までは増加し、300~800 eV(物質によって異なる)で最大値δmaxを取る。その後一次電子のエネルギーが大きくなるにしたがい、δは低下する。

    二次電子放出率δの物質依存性
    前述のδの最大値δmaxは、試料を構成する物質の仕事関数(φ)に比例すると報告されている。δの物質依存性が二次電子像のコントラストとして顕著に現われるのは、δmaxが得られる加速電圧のとき、すなわち一次電子のエネルギーが1 keVよりわずかに低いときである。一次電子のエネルギーが高くなると、物質の違いによるδの差が小さくなり、物質の違いによるコントラストは現われにくくなる。 下図(c)に物質ごと(原子番号Z)のδを示す。ここで、δと原子番号との間には簡単な関係はないことが分かる。これは、別記する反射電子放出率の原子番号依存性と大きく異なる点である。

    図(a) 二次電子放出率の傾斜依存性⇒

    図(b) 二次電子放出率の加速電圧依存性⇒

    図(c) 物質ごとの最大二次電子放出率(δmax)⇒

    The ratio (δ) of the number of secondary electrons emitted from a specimen to the number of incident electrons (primary electrons) onto the specimen. The emission ratio (coefficient) δ is defined as Is/Ip, where Is is the electric current of the secondary electrons and Ip is the electric current of the primary electrons.

    • Dependence of δ on the angles of the specimen surface against the incident electron probe
      Since the secondary electron energy is very small to be a few 10 eV even at maximum, the electrons excited only near the surface (approximately 10 nm thick from the surface) are emitted beyond the surface. This indicates that δ increases when the tilt angle of the specimen is large against the specimen surface as is shown in Fig. (a). In Fig. (a), let θ be the angle between the primary electron beam and the normal to the specimen surface at the incident point of the primary electrons: θ=0 for the perpendicular incidence of the primary electrons onto the specimen surface. For the perpendicular incidence, the number of secondary electrons emitted from the specimen becomes the largest at the minimum escape depth Z. When the specimen is tilted by θ, the minimum escape depth becomes small to Z・cosθ. Then, the secondary electron emission increases with increasing θ, compared to the case of θ=0. This means that the secondary electron image provides contrast dependent on tilt of the specimen against the incident beam.
    • Dependence of δ on accelerating voltages
      Fig. (b) shows the dependence of δ on the accelerating voltage of the primary electrons. δ increases with the accelerating voltage until about several 100 eV. That is, δ takes maximum at voltages between 300 to 800 eV (different for constituent materials) and then decreases gradually with increasing the accelerating voltage.
    • Dependence of δ on constituent materials
      δmax is reported to be proportional to the work function (φ) of a constituent material. For an accelerating voltage of the primary electrons with a little lower than 1 keV, at which δmax can be obtained, the secondary electron image shows contrast depending on the constituent materials. When the primary electron energy increases, the difference of δ between the constituent materials becomes small and thus, the image contrast due to the constituent materials decreases. Fig. (c) shows δ for different elements. It is seen that there is no clear relation between δ and the atomic number. This behavior is different from the case of backscattered-electron emission, which shows a strong dependence on the atomic number, described separately.


    Fig. (a) Dependence of secondary electron emission on specimen tilts


    Fig. (b) Dependence of secondary electron emission coefficient on accelerating voltages (δmax is less than 1 for some materials)


    Fig. (c) Maximum secondary electron emission coefficient (δmax) for different elements

  • 入射電圧(入射エネルギー,照射電圧)

    landing voltage,landing energy,incident energy,incident voltage

    [目次:装置]

    試料に入射する電子の電圧すなわちエネルギー。通常のSEMでは加速電圧と同じであるが、減速法の場合、加速電圧と試料ステージに印加された電圧の差、あるいは加速電圧と対物レンズ下方にある減速電極に印加された電圧の差が入射電圧となる。

  • 入射電子

    incident electron

    [目次:理論]

    細く絞られた電子線(電子プローブ)となって試料に入射する電子。一次電子と同義語。

    Finely focused electrons incident onto a specimen. Same meaning as “primary electron.”

  • ネガフィルム

    negative film

    [目次:その他]

    撮影用CRTに表示されたSEM像を記録するための写真フィルム。写真フィルムに記録された画像は被写体とコントラストが逆転することから、こう呼ばれる。これに対して、印画紙に焼き付けたものをポジ(positive)と呼ぶ。

  • ネットワークSEM

    network SEM

    [目次:装置]

    ネットワークに接続して、ネットワーク上の他のパーソナルコンピュータとの間でSEM画像をやりとりしたり、他のパーソナルコンピュータからの操作を可能にしたSEM。

  • 熱電界放出電子銃(TFE電子銃,TF電子銃)

    thermal field-emission electron gun,TFE electron gun,TF electron gun

    [目次:装置]

    陰極を高温に保ったまま、強電界を印加すると起きる熱電界放出現象を利用した電子銃。電界放出電子銃とショットキー電子銃の中間的な電子銃で、陰極の加熱温度は700K程度と、ショットキー電子銃に比べて低い。現在市販のSEMには使われていない。

  • 熱電子銃

    thermionic-emission gun

    [目次:装置]

    熱電子放出を利用した電子銃。陰極としては、タングステンフィラメントが多く用いられるほか、LaB6陰極が用いられる。輝度、エネルギー幅など、電界放出電子銃、ショットキー電子銃などに比べて、性能が劣るところがあるが、プローブ電流量、電流安定度、価格などの点で優れており、汎用形SEM、EPMA、オージェ分析装置などに多く使われている。
    下図に熱電子銃の基本的な構造を示す。陰極から放出された電子は、陽極に印加された高電圧によって所定のエネルギーに加速されるが、その電流量はウェーネルト電極に印加されたバイアス電圧によって制御される。また、陰極、ウェーネルト電極、陽極の3つの電極のレンズ作用によってクロスオーバーが形成される。

    熱電子銃

  • 熱電子放出

    thermionic emission

    [目次:理論]

    金属を高温度で加熱したときに、電子がエネルギー障壁を越えて真空中に放出される現象。放出された電子を熱電子(thermoelectron)といい、そのエネルギーは二次電子より低く、数eVである。

    熱電子放出

  • ノイズキャンセラ

    noise canceller

    [目次:装置]

    FE電子銃では、放出される電子線の電流の変動が大きく、SEM像の明るさが変わったり、像に明暗のすじが入る。この影響を少なくするためには、放出電流の変動を検出して、画像の演算による明るさ変動の除去を行う必要がある。このための検出器および演算回路をノイズキャンセラと言う。

  • 薄膜分析

    thin-film analysis

    [目次:分析]

    元素分析の空間分解能を上げるための一方法。薄膜試料を使うことで試料中での電子の拡散を小さくすることができるので、空間分解能を膜厚あるいはそれ以上にすることが可能である。
    下図は、鉄のバルク試料(左)と100nm厚の薄膜試料(右)に30keVの電子が入射したときの、X線発生領域を比較したモンテカルロシミュレーションの結果である。X線発生領域は、バルク試料の場合約 2μmであるが、薄膜試料の場合は約 50nmと極めて小さな値となる。X線発生領域が小さくなるので計数率は低くなり、検出器には検出効率を上げるための工夫が必要である。定量分析ではクリフ・ロリマー補正が使われるが、精度は低くなる。

    薄膜分析

  • 薄膜レンズ

    thin-film lens

    [目次:装置]

    円孔電極と絶縁物を隔てて薄膜を置き、電極と薄膜の間に電圧を加えられるようにした静電レンズ。薄膜にマイナスの電圧を加えると、凹レンズができ、回転対称な磁界レンズの球面収差を補正することができる。薄膜での電子の吸収やエネルギー損失が問題にならないような高加速電圧のSTEMで有効である。

  • 波高分析器

    PHA pulse height analyzer

    [目次:分析]

    X線検出器の出力パルスの内、設定した電圧範囲に入るものだけを計数する装置。

  • 波長分解能

    wavelength resolution

    [目次:分析]

    WDSを使って分光したときのスペクトル分解能。波長とエネルギーは対応することからエネルギー分解能と同義語である。

  • 波長分散X線分光法

    WDS,WDX wavelength-dispersive X-ray spectrometry

    [目次:分析]

    波長分散形X線分光器を用いた分析法。EDSに比べて、エネルギー分解能が高い、検出感度が高い、などの特長を持つが、複数元素の同時分析ができない、大きなプローブ電流が必要である、などの弱点もある。

  • 波長分散形X線分光器

    WDS,WDX wavelength-dispersive X-ray spectrometer

    [目次:分析]

    結晶によるX線の回折現象を利用して波長スペクトルを得る分光器。EDSに比べて、エネルギー分解能が高い、検出感度が高い、などの特長を持つが、複数元素の同時分析ができない、大きなプローブ電流が必要である、などの弱点もある。
    下図は、分光器の原理を示す模式図である。試料上のX線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器はローランド円と呼ばれる一定の半径の円上を移動し、分光結晶は一定の取り出し角を保ったまま直線上を移動する。分光結晶で回折を起こしたX線は検出器に入射するが、分光結晶の移動に伴ってブラッグ角が変化するので検出されるX線の波長が変化する。

    波長分散分光器

  • 反射電子

    RE,BSE,BE reflected electron,backscattered electron

    [目次:理論]

    入射電子が試料中において散乱する過程で、試料表面から再放出されたもの。エネルギー範囲は、入射電子エネルギーを最高値として極めて広く分布するが、一般的には50eV以上のエネルギーを持つもので、オージェ電子以外は反射電子と考えられている。後方散乱電子あるいは背面散乱電子と呼ばれることがある。

  • 反射電子検出器

    backscattered electron detector,BE detector,BSE detector

    [目次:装置]

    反射電子を検出するための検出器。半導体検出器、シンチレータ、マイクロチャンネルプレートなどが使われるが、検出したい電子のエネルギーが高いため、高電圧を検出器に掛けることはしない。半導体検出器には検出器を分割し、出力を演算することで組成情報と凹凸情報が分離できるようにしたものがある。シンチレータ形の検出器としてはロビンソン検出器と呼ばれるものや、YAG単結晶を使ったものがあり、半導体検出器に比べて応答が速い。

  • 反射電子組成像

    compositional image in BE mode,compositional image in BSE mode

    [目次:理論]

    光軸に関して対称に置いた二つの検出器で反射電子を検出する場合、検出器の出力の和を信号としてSEM像を作ると、凹凸情報を打ち消して組成情報のみを得ることができる。これを組成像または反射電子組成像と言う。
    下図は反射電子組成像を得るための検出器で、出力A+出力Bの信号を用いることで組成コントラストを持った像を得ることができる。なお、出力A-出力Bを信号として像を作ると凹凸像となる。

    反射電子検出器

  • 反射電子放出率

    backscattered electron yield,backscattered electron coefficient,backscatter yield,backscatter coefficient

    [目次:理論]

    入射電子の個数に対する反射電子の個数の比。入射電子の電流をI0、反射電子電流をIbとすると、反射電子放出率ηはη=Ib/I0で与えられる。原子番号が大きくなると反射電子放出率が大きくなるので、これを画像にすることで組成差をコントラストとしたSEM像を得ることができる。

    反射電子放出率

  • 汎用形FESEM

    general purpose FESEM,conventional FESEM

    [目次:装置]

    FE電子銃とアウトレンズ形対物レンズを組み合わせたSEM。FESEMとしては最も歴史が長く、多く用いられている。解像力は数nm、実用的な倍率としては5~10万倍が得られる。

  • 汎用形SEM

    general purpose SEM,conventional SEM

    [目次:装置]

    熱電子銃とアウトレンズ形対物レンズを組み合わせたSEM。SEMとしての歴史は最も長く、最も多く用いられている。解像力は5nm程度、実用的な倍率としては数万倍が得られる。

  • バイアス電圧

    bias voltage

    [目次:装置]

    熱電子銃のウェーネルト電極に掛けるマイナスの電圧。電圧を大きくする(バイアスを深くする)と電子線の放出量は減る代わりにクロスオーバーの径は小さくなり、電圧を小さくする(バイアスを浅くする)と電子線の放出量は増える代わりにクロスオーバーの径は大きくなる。

  • 倍率標準試料

    magnification-standard specimen,magnification-calibration specimen

    [目次:装置]

    一定の大きさあるいはピッチを持った、倍率の基準となる試料。SEMは加速電圧範囲が広く、作動距離も目的に応じて変える必要がある。このため、倍率誤差が大きくなりがちである。倍率精度を上げるためには大きさの基準となる試料を使って一定条件で計測する必要がある。メッシュ、ラテックス球、などがあるが、最近ではリソグラフィー技術を応用した数百nmピッチのパターンが使われるようになり、ISOのトレーサビリティーを満足するものもある。

  • バフ研磨

    buffing

    [目次:試料作製]

    ダイヤモンドあるいは酸化アルミニウムなどのペースト状研磨剤や懸濁液(スラリー)を研磨布にしみ込ませて行う研磨。一般に仕上げ研磨(琢磨)に使われる。

  • 光・電子相関顕微鏡法

    Correlative Light & Electron Microscopy (CLEM)

    [目次:観察手法]

    光学顕微鏡の一種である蛍光顕微鏡を用いて、蛍光標識したタンパク質や組織の位置を特定する。さらに電子顕微鏡を用いて、特定した部分を高い空間分解能で形態観察する方法。蛍光標識したタンパク質や組織の機能と微細な形態の解析ができる。バイオサイエンスで広く用いられる。

  • 引出電圧

    extracting voltage

    [目次:装置]

    電界放出電子銃あるいはショットキー電子銃において、電子を放出させるのに十分な電界をエミッタ表面に作るための電圧。エミッタ先端が鋭いと引出電圧が低くても電子が放出され、先端の曲率半径が100nm程度とすると、引出電圧は3~5kVとなる。フラッシングを繰り返すとエミッタ先端は太くなり、引出電圧は徐々に上昇する。

  • 引出電極

    extracting electrode

    [目次:装置]

    電界放出電子銃およびショットキー電子銃の構成要素の一つ。エミッタに対向して置かれる電極で、エミッタ表面に強電界を作るためのプラスの高電圧(引出電圧)が印加される。下図は電界放出電子銃の基本構造である。

    FE電子銃

  • 被写界深度

    depth of field

    [目次:理論]

    奥行きがある視野において、焦点がずれても像のボケを感じない範囲。SEMの場合は焦点深度と同義語であり、電子プローブの開き角に依存する。

  • 非弾性散乱

    inelastic scattering

    [目次:理論]

    エネルギー損失を伴った電子の散乱現象。この結果として、種々の電子や電磁波を励起したり、熱を発生する。

  • 飛程(電子飛程)

    electron range,range

    [目次:理論]

    試料中に入射した電子が、エネルギーを失って吸収されるまでに侵入する深さ。拡散領域と同義語。

  • 非点隔差

    astigmatic difference

    [目次:理論]

    非点収差があると、光軸上の一点から出た電子線は、ある距離をおいて互いに直交する2本の線状の像を作るが、その線状の像の間の距離を非点隔差と言う。

    非点隔差

  • 非点収差

    astigmatism

    [目次:理論]

    レンズの直交する軸の焦点距離が違う現象。人間の眼で言うと乱視の状態で、レンズの材質の非均一、加工精度、汚れの付着などによって起きる。非点収差があると、光軸上の一点から出た電子線は、ある距離をおいて互いに直交する2本の線状の像を作り、その中間では電子線の断面は楕円や大きさを持った円(最小錯乱円)となる。このため十分細い電子プローブが得られない。

    非点隔差

    下図は実際のSEM像で、非点収差がある状態で焦点を変えるとアンダーフォーカスとオーバーフォーカスで互いに直角方向に流れたような像のボケを生じ、ジャストフォーカスでも充分シャープな像が得られない。
    非点収差

  • 非点補正(非点収差補正)

    astigmatism correction

    [目次:装置]

    非点収差を補正する操作。通常は対物レンズの非点補正を意味する。非点収差を補正するための装置を非点補正装置と言い、レンズの非点収差と直角方向に同じ強さの非点収差を作ることで補正を行う。
    下図は、四極子レンズによる非点補正の原理を説明するもので、緑の矢印は磁力線、青の矢印はローレンツ力を示し、赤の楕円はそれによって変形した電子ビーム断面を意味する。

    非点補正

  • 非点補正装置(スティグマトール,スティグマ,非点収差補正装置)

    stigmator

    [目次:装置]

    非点収差を補正する装置または操作パネル上のつまみの名前。実際の非点補正装置は、2組の四極子レンズを組み合わせた八極子レンズである。
    下図は非点補正装置の基本構造で、2組の四極子レンズを45゜回転させて配置してあり、電流 I1、I2の大きさと比を変えることで補正量と補正方向を変えることができる。

    非点補正装置

  • 非分散形X線分光器

    NDS non-dispersive X-ray spectrometer

    [目次:分析]

    エネルギー分散形X線分光器の古い呼び方。最近は使われなくなった用語である。

  • 氷晶防止剤

    cryoprotectant

    [目次:試料作製]

    含水試料を凍結するときに、組織内に大きな氷晶が出来ないように加える薬剤。SEMの試料作製で用いられる代表的なものはジメチルオキシド(DMSO)である。

  • 表示装置(モニター)

    display,monitor

    [目次:装置]

    SEM像を表示するために用いられる装置。長い間CRTが使われてきたが、最近では17形~21形の液晶ディスプレーが多く用いられている。CRTの場合、残光性のものが使われたが、SEM像をデジタル画像として扱う最近のSEMでは、画像メモリーに記憶されたデータを表示するため、残光性は必要なくなった。

  • 標準試料

    reference specimen,standard specimen

    [目次:装置]

    SEMの倍率や性能を確認するための試料。保存時や観察時に安定であること、コントラストの高いSEM像が得られることなどが要求される。

  • 標準試料

    reference specimen,standard specimen,reference material

    [目次:分析]

    特性X線を用いた定量分析を行うときに用いる、元素濃度がわかっている試料。安定であることのほか、表面が平坦であること、均一な組成を持つこと、などが要求される。

  • 標準マイクロスケール

    Standard Microscale

    [目次:装置]

    倍率基準として作られた標準試料の商品名。シリコン上に作った格子状のパターンで240nm±1nmのピッチを持つ。

  • 標準メゾスケール

    [目次:装置]

    倍率基準として作られた標準試料の商品名。シリコン基板上に作った格子状のパターンで20µm、6µm、2µmの三種類のピッチを持つ。

  • 表面形状コントラスト

    topographic contrast

    [目次:理論]

    表面の形状に起因するコントラスト。二次電子像の場合、二次電子放出率が試料表面に対する電子線の入射角に依存することから、コントラストが生じる。反射電子像の場合は、入射電子線が鏡面反射方向に強い強度を持つことからコントラストを生じる。

  • 表面分析

    surface analysis

    [目次:分析]

    固体表面の形態観察、元素分析、あるいは状態分析を行うこと。SEMの場合、電子プローブを使うので、電子プローブ径あるいは試料中での電子の拡散領域で決まる局所分析となる。

  • 開き角

    aperture angle

    [目次:理論]

    クロスオーバーからレンズを見込んだ角度。対物レンズの場合を例にすると、試料から対物レンズを見込んだ角度を言う。通常は対物レンズ絞りが置かれているので、それを見込んだ角度を意味する。
    下図左の場合、対物レンズ絞りは対物レンズの直下に置かれているが、その半径を r、対物レンズ絞りと試料との距離を zとすると、開き角は α = r/zとなる。右図では、対物レンズ絞りは集束レンズと対物レンズの間に置かれているが、その半径を r、集束レンズによる電子源の像から対物レンズ絞りまでの距離を a、対物レンズまでの距離を b、対物レンズと試料との距離を zとすると、開き角は α = rb/zaとなる。

    開き角

  • ビームシャワー

    beam shower

    [目次:観察手法]

    高倍率で観察しようとする視野を、予め加速電圧を上げたりプローブ電流を増やして低倍率で走査すること。試料汚染防止法の一つ。試料自身が汚染物質を持ち込んだような場合に有効で、その部分を高倍率で観察しても試料汚染を起こさずにデータを得ることができる。試料表面の汚染物質を取り除くという考え方と、表面に薄く付着させることで特定の部分に集まらなくするという考え方がある。

  • ビーム電流

    beam current

    [目次:装置]

    電子線内を流れる電流。時によってエミッション電流を意味する場合もあり、プローブ電流を意味する場合もある。

  • ビームブランキング(ブランキング)

    beam blanking,blanking

    [目次:装置]

    試料に電子線を照射したくないとき、一時的に電子線を遮断すること。実際には、電子銃からは電子線を放出したまま、途中に置いた偏向器で電子線を曲げることで、電子線を遮断する。高速で電子線を遮断するときは静電偏向器を使い、比較的遅い速度で遮断するときは偏向コイルを用いる。

  • ビームロッキング(角度走査,ロッキング)

    beam rocking,rocking,angle scanning

    [目次:装置]

    通常のSEM像を得るには、電子プローブの照射位置を変える、いわゆる位置走査を行うが、それに対して、電子プローブの照射点を試料上の一点に止めたまま、入射角度を変える角度走査のことをビームロッキングと言う。電子チャンネリングパターンを得るときに行う走査方法である。

    ビームロッキング

  • ピラニ真空計(ピラニゲージ)

    Pirani gauge

    [目次:装置]

    真空中で通電加熱された金属線からの放熱量が圧力によって変わり、電気抵抗が変わる現象を利用した真空計。測定可能圧力範囲は大気圧~10-1Paで、SEMで真空排気系の制御に使われる。

  • ファラデーカップ

    Faraday cup,Faraday cage

    [目次:装置]

    プローブ電流を測定するための装置。開口部を孔の開いた板で塞いだ、カップ状の構造にすることで、二次電子がまわりに逃げないようにして、測定精度を上げている。

    ファラデーカップ

  • フラッシング

    flashing

    [目次:装置]

    電界放出電子銃のエミッタを瞬間的に高温にして、エミッタ表面の吸着ガスを放出すると同時に、表面をスムーズにする操作。

  • 振り掛け法

    dusting method for dry powder

    [目次:試料作製]

    乾燥した粉末試料の分散固定法の一つ。脱脂綿を毛羽立たせて粉体試料を含ませて試料台の上で軽くたたいて落としたり、試料台に載せた少量の粉体を綿棒で軽くなでるようにして分散する方法。

  • 物理固定

    physical fixation

    [目次:試料作製]

    生物試料の固定法の一つ。薬品を使って行う化学固定に対して、細胞中の水分を急速凍結させて固定する方法を、物理固定と言う。

  • ブラッグ反射

    Bragg reflection

    [目次:理論]

    結晶に電子線、X線などが入射したとき、結晶面間隔、波長によって決まる特定の方向に反射を起こす現象。結晶面間隔(d)、波長(λ)、入射角(反射角θ)の間には2dsinθ=nλの関係があり、ブラッグ条件式と呼ばれる。

  • ブロードイオンビーム

    BIB broad ion beam

    [目次:試料作製]

    イオン銃から放出されたままの、レンズ系による集束作用を受けない直径数mmのイオンビーム。通常、ペニング形イオン銃を利用して作るが、イオンビームスパッタ装置、イオンミリング装置、クロスセクションポリシャなどの試料作製装置に使われている。集束イオンビーム(FIB)に対比する意味で使われる。

  • 分解能

    resolving power

    [目次:理論]

    SEMを理想的な条件で使ったときに得られる解像力。一般的には空間分解能と同義語で、識別できる2点間の最小距離で定義するが、SEMでは、慣用的に二つの物体の隙間を測定して分解能としている。

  • 分光結晶

    analyzing crystal

    [目次:分析]

    結晶でのX線の回折現象を利用して分光を行うための結晶。WDSに使われるが、広い波長範囲をカバーするためには、結晶面間隔が異なる複数の分光結晶を備える必要がある。

  • 分析FESEM

    analytical FESEM

    [目次:装置]

    単なるSEM像の観察だけでなく、EDS、WDS、EBSDなどの分析機能を備えたFESEM。分析機能を重視することから、ショットキー電子銃を搭載したFESEMをベースにするのが普通である。汎用形の分析SEMに比べて、高い解像力が得られ、高い空間分解能の分析ができる。

  • 分析SEM

    analytical SEM

    [目次:装置]

    単なるSEM像の観察だけでなく、EDS、WDS、EBSDなどの分析機能を備えたSEM。汎用形SEMをベースにした場合は、分析FESEMに比べて、解像力は低く、分析時の空間分解能も低いが、システムは低価格で、手軽に使える。

  • 分析領域(解析領域)

    analysis area,analysis volume

    [目次:分析]

    特性X線、オージェ電子、カソードルミネッセンスなどの分析信号発生領域。EBSDなどでは解析領域という用語が使われる。入射した電子が試料内部で拡散するため、分析領域は電子プローブ径に比べて大きくなるのが普通であるが、分析に使う信号の発生機構も大きく影響する。平面的な領域を意味する場合と分析深さを意味する場合がある。特性X線の場合、平面的な領域、分析深さとも数百nm~数µmであるが、オージェ電子の場合、平面的な領域は数十nm、分析深さは数nmとなる。

    分析領域

  • ブースター法

    boosting method

    [目次:装置]

    解像力を上げるための手段の一つ。電子銃から放出された電子を、一旦より高い電圧に加速してレンズ系を通過させ、最終段の対物レンズ付近で減速する。高いエネルギーで対物レンズを通過するため色収差が小さくなる。基本的には減速法と同じ意味を持つ。

  • プラズマクリーニング

    plasma cleaning

    [目次:試料作製]

    プラズマ中に試料を置き、プラズマの化学作用により、試料表面のカーボン系の汚れを分解・除去し、試料汚染を防止する方法。すでに付着した試料汚染の堆積物も除去することができる。高分子試料などカーボン系の試料の場合は、試料損傷を受ける可能性が高く、注意が必要である。

  • プリセンタードフィラメント

    precentered filament

    [目次:装置]

    製造段階で予め芯出しされたフィラメント。熱電子銃では、フィラメントはウェーネルトに対してセンタリングされていないと、十分明るい電子線を得ることができないが、プリセンタードフィラメントを使うと、ユーザーはフィラメント交換時のセンタリングが不要となる。

  • プローブ電流

    probe current

    [目次:装置]

    試料に照射される電子プローブ内を流れる電流量。照射電流と同じ意味を持つ。観察モードや分析モードによって適した電流量は異なるが、通常の二次電子像観察では10pA程度のプローブ電流が使われる。

  • プローブトラッキング

    probe tracking

    [目次:分析]

    高倍率で元素マッピングを行うようなとき、長時間のデータ収集となるため、電子プローブの照射位置がずれてしまうことがある。これを防ぐために、分析中の照射位置のずれを検出して、そのずれを補正しながらデータ収集を行う機能。

  • ヘアピン形フィラメント

    hairpin filament

    [目次:装置]

    タングステンフィラメントの一般的形状。先端がヘアピンの形をしていることからこう呼ばれるが、単純なV形をしたものもある。

  • 平均原子番号

    mean atomic number

    [目次:理論]

    2種類以上の元素からなる化合物の場合の平均的な原子番号。それぞれの元素の質量濃度に応じて原子番号を按分した値となる。平均原子番号Zavはそれぞれの元素の原子番号をZi、質量濃度をCiとすると、Zav=ΣCiZiで表される。

  • 劈開

    cleavage,cleaving

    [目次:試料作製]

    断面観察をするときの試料作製法の一つ。結晶性試料が特定の結晶面に沿って割れる劈開性を持っているときに利用される。結晶性基板の上に作ったデバイスの断面を作る場合にしばしば使われる方法である。

  • 偏向コイル

    deflection coil,deflector

    [目次:装置]

    電子線を曲げる(偏向する)ためのコイル。同一方向に磁界を発生させる二つのコイルを1組にして、光軸に関して対称に配置してある。さらに、直交する方向にもう1組のコイルを置くことで、2次元的な偏向を行うことができるので、軸合わせやイメージシフトを行うために用いられる。走査コイルも一種の偏向コイルであるが、応答速度が重視されるため、コイルの形状に工夫がされている。

  • ベクター走査

    vector scanning

    [目次:装置]

    電子線描画を行うときに、電子プローブを任意の位置に移動して描画をする方法。ラスター走査と違って、フィールド全体を走査しないので、描画に要する時間が少なくてすむ。

  • ベリリウム膜付き検出器

    beryllium-window detector

    [目次:分析]

    EDS検出器の一種。検出器前にある真空隔壁として7~10µm厚のベリリウムの薄膜が使われている。このため、Naより軽い元素のX線は吸収が大きく、ほとんど検出できない。最も古くから使われてきたEDS検出器である。

  • ベルシェ効果

    Boersh's effect

    [目次:理論]

    電子線の電流密度が高くなると、電子同士のクーロン力により速度(エネルギー)のばらつきが大きくなる現象。色収差が大きくなるので、大きなプローブ電流で低加速電圧観察をするような場合に影響が出る。

  • ベークアウト

    bake out

    [目次:装置]

    電界放出電子銃の電子銃室、超高真空SEMの試料室などの真空を上げるために、壁面や構造物を高温加熱して脱ガスする操作。

  • ペニング真空計(ペニングゲージ)

    Penning gauge

    [目次:装置]

    真空中での放電現象を利用した電離真空計。永久磁石による強磁界中での放電現象(ペニング放電)を利用しているため、ある程度の高真空でも使うことが可能である。測定可能圧力範囲は10-3~1Paである。

  • ペースト法

    pasting method

    [目次:試料作製]

    粉体試料を分散させる方法の一つ。懸濁法では分散しにくい粉体を適当な分散媒と混合し、ペースト状にした後試料台に載せ、分散媒を溶媒で除去する。余分な粉体を除去し、分散媒を十分に洗浄しないと、粉体が積み重なって帯電したり、試料汚染を生じやすい。

  • 方位マッピング

    orientation mapping

    [目次:観察手法]

    EBSDの応用技術の一つ。EBSDでは、方位解析を行いながら電子プローブで試料表面を走査するので、各点の方位情報が順次得られる。これを利用して結晶の方位マップを得る方法である。
    下図はICのボンディングワイヤーのECC像と逆極点図に従って色づけした方位マップである。ECC像では結晶粒に方位の違いがあることがわかるが、方位マップではそれに加えて各結晶粒の具体的な方位を知ることができる。

    方位マップ逆極点図

  • 包埋樹脂

    embedding resin

    [目次:試料作製]

    試料を包埋するときに使う樹脂。超ミクロトームで切片を切ったり、断面を作るときはエポキシ系の樹脂が多く使われるが、金属試料を機械研磨するようなときは、ポリエステル系、フェノール系やアクリル系の樹脂も使われる。

  • 本引き(主排気)

    fine pumping,main pumping

    [目次:装置]

    大気圧から高真空まで、順次真空を上げていく排気システムにおいて、主排気ポンプを使って行う高真空用での排気操作。主排気とも言う。

  • ボックス加工

    box milling

    [目次:試料作製]

    FIBで試料を加工するときの手法。観察用の断面を作るとき、十分な大きさを持った長方形の穴をFIBで掘るが、これをボックス加工と言う。目的は、観察用の電子プローブまたはイオンビームが断面に高角度で入射できるようにするためである。観察方向に沿った傾斜面を作るようにする場合、スロープ加工あるいはステップ加工という場合がある。

    ボックス加工

  • ポラロイドフィルム

    Polaroid film

    [目次:その他]

    ポラロイド社製のインスタントフィルムの商品名。

  • ポリカチオン処理

    polycation treatment

    [目次:試料作製]

    ポリ-L-リジンなどのポリカチオン剤を、スライドガラスに塗布して被膜を作る処理。その上に細胞浮遊液や細菌の懸濁液を滴下すると、静電力で試料がスライドガラスに付着する。微細な生物試料の接着に便利な処理である。

  • ポリスチレンラテックス球

    polystyrene latex sphere

    [目次:装置]

    倍率基準として使われる均一な大きさのポリスチレン粒子。100nm~1µm程度の直径の粒子が倍率の基準として使われる。ラテックスを希釈した懸濁液になっているため、乾燥時に若干変形する可能性があり、また観察時の電子線照射により変形する可能性があるので、倍率基準として使う場合には、注意を要する。また、大きさによって標準偏差の大きいものがあるので、ある程度の個数を測定する必要がある。

  • ポールピース(磁極片)

    pole piece

    [目次:装置]

    磁界レンズの構成要素の一つ。磁界レンズでは、コイルで作られた磁力線を鉄などの透磁率の高い材料で出来た枠(ヨークと言う)に閉じこめ、ヨークの一部に切り欠きを作ることで、高密度に分布した磁力線を空間に漏洩させている。切り欠きの部分をポールピースと呼ぶが、ヨークに比べて高品質の材料を使い、高い精度で加工されている。

    レンズ

  • マイクロウェーブ固定

    microwave fixation

    [目次:試料作製]

    マイクロウェーブ照射を併用した生物試料の化学固定法。化学固定を行う際にマイクロウェーブを照射することで、試料中への固定剤の浸透を早めると同時に、反応を促進させることができ、固定時間を短縮することができる。

  • マイクロカロリメトリー検出器

    microcalorimetry detector

    [目次:分析]

    EDS検出器の一種。極低温に保たれた熱吸収体にX線が入射すると微量の熱を発生するが、X線のエネルギーにより温度上昇が異なるため、これを検出することでX線のエネルギーを測定するEDS検出器で、現在開発段階にある。WDS並のエネルギー分解能を持っているが、計数率と受光面積が極めて小さいので、実用分析に利用するためには、検出立体角を大きくするような工夫が必要である。

  • マイクログリッド

    micro-plastic grid,perforated supporting film

    [目次:試料作製]

    試料支持膜の一種。試料支持膜は出来るだけ薄い方がよいが、薄い試料支持膜を直接メッシュに貼ると、試料が動きやすく、破れることがある。これに対して、数~数十µmの大きさの孔が多数開いた厚い膜をメッシュに貼り、その上に薄い支持膜を貼ると、試料の安定な保持ができる。この中間に使う多数の孔が開いた膜をマイクログリッドと言うが、試料をこの上に直接載せると、孔の部分を利用して空間に試料を保持することもできる。

  • マイクロチャンネルプレート

    MCP micro-channel plate

    [目次:装置]

    電子増幅作用を持つ細孔を2次元的に配列した板状の検出器。二次電子あるいは反射電子の検出に使われるが、二次電子を検出する場合は入射面に高電圧を印加する。光軸に関して対称な位置に置くことができるので、等方的な照明効果が得られる。

  • マイクロマニピュレータ

    micromanipulator

    [目次:装置]

    SEM像を観察しながら試料を操作するための装置。試料を取り除いたり、移動して並べることができる。微細な動きを再現良く行うためには、ピエゾ素子を使ったアクチュエータが用いられる。プローブとししては、金属、ガラスなどのほか、カーボンナノチューブを使ったものが開発されている。

  • 膜厚計

    thickness monitor

    [目次:試料作製]

    真空蒸着やイオンスパッタで試料表面にコーティングをするときに、コーティング膜厚を測定する装置。コーティング装置内に置いた水晶振動子上にコーティング物質が堆積すると、質量が変化するため、水晶振動子の共振周波数がわずかに変化する。この周波数の変化を検出して、膜厚を測定するものである。あくまで質量を測定する装置なので、コーティング膜の密度が変わると膜厚は違ってしまうので注意が必要である。

  • マグネトロンスパッタ装置

    magnetron-sputter coater

    [目次:試料作製]

    イオンスパッタ装置の一種。ターゲット付近に磁石を置くことでペニング放電を起こさせるもので、低い電圧でも高いスパッタ速度を得ることができる。現在市販されている多くのイオンスパッタ装置が、このマグネトロンスパッタ方式を採用している。

    イオンスパッタ装置

  • マッピング

    mapping

    [目次:分析]

    電子プローブを試料上で2次元的に走査し、試料からの情報を取得したり、得られた結果を2次元的に表示すること。元素の2次元的な分布、あるいは結晶方位の2次元的な分布を知るために使われる。

  • 回り込み

    shadow-less deposition due to gas scattering

    [目次:試料作製]

    金属コーティングの際、蒸着粒子あるいはスパッタ粒子が残留ガスとの衝突によって散乱され、影になっているところにもある程度付着する現象。入り組んだ表面構造を持った試料の場合は、回り込みの善し悪しは重要であるが、コーティング膜の質は残留ガスが少ない方が良いので、兼ね合いが難しい。このような場合、回り込みが良いスパッタコーティングであっても、試料の回転傾斜機構やジンバル機構を併用することで、一様なコーティングと膜質を両立させる場合がある。

  • 無コーティング観察(無蒸着観察)

    uncoated observation

    [目次:観察手法]

    非導電性試料をコーティングせずに観察すること。非導電性試料を観察するときは、試料表面に金属を薄くコーティングするのが普通であるが、高倍率ではコーティング粒子が見えてしまったり、表面形態が変わったりすることがあるので、コーティングせずに観察することがある。ただし、帯電が起きないように観察条件を適切に選ぶ必要がある。

  • 明視野像

    bright field image

    [目次:理論]

    STEM像あるいはTEM像の一つ。試料を透過した電子の内、散乱されずに透過した電子、および小さい角度で散乱した電子を検出して作られた像。非晶質試料の場合は(厚さ×密度)積が大きい部分が暗くなり、結晶性試料の場合は回折条件を満足した部分が暗くなる。

    明視野像

  • メッシュ(グリッド)

    supporting grid,specimen grid

    [目次:試料作製]

    STEMあるいはTEM用の試料支持台。直径3.2mm、厚さ20~100µmの銅、金、モリブデン、ニッケルなどの金属板に数百メッシュの格子を作ったもので、薄膜状の試料をこの上に載せて透過する部分を観察する。粉体状の試料の場合は、このメッシュの上に薄い高分子膜を張り、その上に試料を載せる。

  • 免疫SEM法

    immuno-scanning electron microscopy

    [目次:観察手法]

    SEMを使った免疫電子顕微鏡法。コロイド金で標識した抗体を使うことで、抗原の局在を知る方法が一般的である。超薄切片を使った免疫TEM法と違って、細胞表面に分布する抗原の局在を知ることができるのが特長である。観察には反射電子組成像を用いるのが普通である。コロイド金の他フェリチン粒子やラテックス球などを使う場合もある。

  • 面分析

    area analysis

    [目次:分析]

    ある程度広い領域の定性分析、定量分析を行うもので、平均的な値を得るための方法。点分析に対比して使われる用語で、画面内の特定な点を選ぶのではなく、画面内を2次元的に走査しながら分析を行う。なお、元素マッピングを面分析と言う場合がある。

  • モアレパターン

    moiré pattern

    [目次:理論]

    周期性の構造が重なったときに観察される偽の周期性パターン。SEMでは走査線の間隔に近い周期を持つ構造があると、このパターンが観察される。倍率を上げて周期が十分大きくなると見えなくなる。結晶性薄膜のSTEM像やTEM像では、2枚の結晶が重なることで作られたモアレパターンが観察されることがある。
    下図に基本的なモアレパターンの原理を示す。平行モアレは周期の異なる構造が平行に重なったときに起きるものであり、回転モアレは同じ周期を持つ構造がわずかに回転して重なったときに起きるものである。

    モアレパターン

  • モンタージュ

    montage

    [目次:観察手法]

    複数のSEM像をつなぎ、広い領域からの情報を得る手段。SEM像の最低倍率で得られる視野より広い領域全体を、一度に観察するのに有効な手段である。パーソナルコンピュータ制御のモーター駆動ステージを利用して、自動的にモンタージュを行うことも可能で、SEM像の観察だけでなく、広い領域の元素マッピングも可能である。

  • モンテカルロシミュレーション

    Monte Carlo simulation

    [目次:理論]

    乱数を利用して事象を確率的にシミュレーションする方法。SEMでは、試料中での入射電子・後方散乱電子の散乱、特性X線の発生・吸収などのシミュレーションに用いられている。

  • モーター駆動ステージ

    motorized stage

    [目次:装置]

    モーターを使って駆動することで操作性を上げた試料ステージ。さらに、パーソナルコンピュータによる制御を行うことで、指定した座標への移動、画面を中心とした(ユーセントリックな)試料回転、移動量の制限、などを行うことができる。

  • 誘電体分域コントラスト

    ferroelectric domain contrast

    [目次:理論]

    強誘電体試料を二次電子モードで観察したときに得られるもので、結晶内の自発分極によって生じた表面電位がもたらす一種の電位コントラスト。試料が絶縁物であるため、帯電の影響により分域コントラストは不安定で消失しやすく、コントラストの反転などが起きるので、観察条件の選択に注意を要する。

  • ユーセントリック

    eucentric

    [目次:装置]

    試料を傾斜したときに視野が移動しない、傾斜した状態で試料を移動したときにフォーカスが変わらない、試料を回転したときに視野が移動しないといった機能。

  • ユーセントリック試料ステージ

    eucentric specimen stage

    [目次:装置]

    ユーセントリックな機能を持った試料ステージ。試料ステージそのものが位置ずれを生じない構造を持っているものと、パーソナルコンピュータ制御で位置ずれを補正するものがある。

  • 陽極(アノード)

    anode

    [目次:装置]

    電子銃の電極の一つ。陰極に対してプラスの高電圧が印加されていることからこのように呼ばれるが、実際には安全のためアース電位となっている。一般には、電子を加速する電極を意味することが多い。

    熱電子銃

  • 横形分光器

    horizontal spectrometer,inclined spectrometer

    [目次:分析]

    WDSの一種。ローランド円が水平面から30゜程度傾いた状態で配置されているのが特徴である。このため、試料の高さがわずかにずれても分光条件を満たすことから、高さ合わせ用の光学顕微鏡が不要であり手軽に扱えるので、SEMに取り付けられるのはこの形式が多い。

  • 予備排気

    pre-evacuation

    [目次:装置]

    試料交換を行うときに、交換室を粗引きポンプで所定の圧力まで排気すること。予備排気終了後仕切り弁を開けて試料交換を行う。これにより、必要以上に試料室の真空を低下させることなく試料交換を行うことができる。

  • 予備ポート

    service port,access port

    [目次:装置]

    種々の付属装置が取り付けられるように、試料室に設けてある孔。

  • 四極子レンズ

    quadrupole lens

    [目次:装置]

    直交する軸の上に、隣り合った磁極の極性が交互になるように四つの磁極を配置したレンズ。ある軸方向に発散作用、直交する軸方向に集束作用を持たせることができるので、非点補正装置として用いることができる。

    四極子レンズ

  • ヨーク

    yoke

    [目次:装置]

    磁界レンズの構成要素の一つ。磁界レンズでは、コイルで作られた磁力線を、鉄などの透磁率の高い材料で出来た枠(磁路)に閉じこめ、枠の一部に切り欠きを作ることで、高密度に分布した磁力線を空間に漏洩させる。この枠をヨークと言う。

    レンズ

  • ライトガイド(ライトパイプ)

    light guide,light pipe

    [目次:装置]

    二次電子検出器の構成要素の一つ。シンチレータで発光した光を光電子増倍管に導くためのガラスまたはアクリル樹脂で出来たパイプ。

    二次電子検出器

  • ライナーチューブ

    liner tube

    [目次:装置]

    磁界レンズの電子線通路に設けた筒。ライナーチューブを真空隔壁とすることで、レンズコイル、走査コイル、偏向コイル、非点補正装置などガス放出の多い部品を真空外に置くことができるため、鏡筒内の汚れを少なくすることができる。また、ライナーチューブ内に固定絞りを収めることで鏡筒からの取り外しを簡単にし、メンテナンスを楽にしている装置もある。

  • ラスター

    raster

    [目次:装置]

    複数の走査線を並べて作ったパターン。一般的には長方形をしている。走査線そのものを意味する場合もある。

  • ラスター走査

    raster scanning

    [目次:装置]

    電子線描画を行うときに、フィールド全体を電子プローブでラスター状に走査して描画をする方法。ベクター走査と違って時間が掛かるが、描画したパターンの相対的な位置関係が高精度で得られる。

  • ラッピングシート

    lapping sheet

    [目次:試料作製]

    ポリエステルフィルム上に、研磨砥粒を接着剤に混ぜて塗り、硬化させたもの。砥粒としてはアルミナ、ダイヤモンドなどが用いられており、粒度は0.3µm~数十µmである。エメリー紙に比べて高価であるが、フィルムが硬いため、硬い部分と柔らかい部分が混在した試料の研磨には有効である。

  • リカーシブフィルタ(再帰形フィルタ,巡回形フィルタ)

    recursive filter

    [目次:装置]

    SEM像のざらつきを低減するために使われるデジタルフィルタ。高速走査のSEM像を加算して表示するが、過去の画像に対して現在の画像の比重を大きくすることで、ざらつきの少なくなったSEM像を見ながら、視野選択、非点補正、焦点合わせなどの操作を行うことができる。積算回数が多くなるとノイズは少なくなるが、応答速度が遅くなる。

  • リターディング法

    retarding method

    [目次:装置]

    減速法の手法の一つ。試料ステージにマイナスの電圧を掛けることで試料に入射する電子を減速する方法。下図右がリターディング法である。入射電子に対しての減速電界は試料から放出される二次電子に対する加速電界となるため、帯電の影響が少なくなる。

    減速法

  • 立体像

    stereoscopic image

    [目次:観察手法]

    ステレオ観察の結果として、脳で合成されて得られた像。あるいは、ステレオ計測で得られた試料各点の位置情報を使って、パーソナルコンピュータのモニター上に3次元表示された像を言う。

  • リトラクタブル検出器

    retractable detector

    [目次:装置]

    使用するときは試料室中に挿入し、使用しないときは引き込める検出器。代表的なものに、反射電子検出器、EDS検出器などがある。

  • 粒子解析

    particle analysis

    [目次:観察手法]

    SEM像や元素マップから粒子を分離・抽出し、画像解析を行うこと。面積、周囲長、直径などを測定したり、円形度、アスペクト比などを解析し、統計的に処理する。SEM像の場合、明るさを二値化するので、反射電子組成像がよく使われ、EDSの元素マッピング像が使われることもある。試料ステージを併用することで、広範囲の自動測定が可能である。

  • 臨界点乾燥

    critical point drying

    [目次:試料作製]

    含水試料を乾燥する方法の一つ。脱水が終わった試料を液化炭酸ガスと共に圧力容器中に入れて加温する。液化炭酸ガスの臨界圧力、臨界温度を越えると、液化炭酸ガスが瞬間的にガス化するので、徐々に炭酸ガスを排出する。これにより、試料に表面張力を掛けることなく乾燥することができる。脱水後の試料は、一旦酢酸イソアミルで置換した後、液化炭酸ガスで置換するのが普通である。液化炭酸ガスの代わりにドライアイスを用いる方法もある。

  • ルテニウム染色

    ruthenium staining

    [目次:試料作製]

    試料の特定部位にルテニウムを沈着させて、組織を見やすくする方法。高分子試料を四酸化ルテニウムの水溶液に浸漬したり、蒸気雰囲気中に置くことで、ルテニウムを沈着させる。非晶質部分が染まると言われ、観察には組成像を用いる。

  • 冷陰極電界放出電子銃(CFE電子銃)

    cold field-emission electron gun,CFE electron gun

    [目次:装置]

    電界放出電子銃の別名。ショットキー電子銃あるいは熱電界放出電子銃のエミッタが加熱されているのに対して、通常の電界放出電子銃のエミッタは室温で動作することから、こう呼ばれることがある。

  • レシピ

    recipe

    [目次:その他]

    試料あるいは観察目的にあった、加速電圧、作動距離、観察モードなどの条件をまとめたもの。これを呼び出して目的にあった装置条件を設定するのに使われる。

  • レプリカ法

    replica method

    [目次:試料作製]

    試料表面の凹凸をプラスチックなどに転写して観察するための試料作製法。何らかの理由で、試料がそのままSEMの試料室に持ち込めないときに使われる。凹凸が逆転するほか、転写するときの忠実度が問題となる。元々は、TEMで試料表面の凹凸を観察するために考えられた方法である。

  • レンズギャップ

    lens gap

    [目次:装置]

    磁界レンズの磁路に設けられた切り欠き。ヨークとポールピースを流れた磁力線は、この切り欠きから光軸上に漏洩し、レンズ磁場を形成する。

  • 連続X線(白色X線)

    continuous X-ray,white X-ray

    [目次:理論]

    試料に入射した電子が、試料を構成する原子の原子核の電界によって軌道を曲げられたときに、余剰なエネルギーがX線として放出されたもの。エネルギーは、入射電子のエネルギーを最大値として連続的に分布する。白色X線とも呼ばれる。

  • 漏洩磁界

    leakage magnetic field

    [目次:装置]

    磁界レンズの磁気回路を構成するヨーク、ポールピースなど継ぎ目やレンズギャップから漏洩する磁界。レンズ磁界そのものを作る重要な働きをするが、非対称な漏洩磁界は光軸を曲げるような有害な作用をする。

  • ロビンソン検出器

    Robinson detector

    [目次:装置]

    反射電子検出器の一種。先端に開口部を持つテーパー状のシンチレータで出来ており、試料から放出された反射電子がシンチレータを発光させ、ライトガイドを通って光電子倍増管に導かれる構造となっている。半導体検出器を使ったものより応答が速いので、速い走査速度で像の観察ができる。

    ロビンソン検出器

  • ロードカレント

    load current

    [目次:装置]

    加速電圧電源を流れる電流。エミッション電流と加速電圧を発生させるために電源内部を流れる電流を加算したものである。

  • ローランド円

    Rowland circle

    [目次:分析]

    WDSで分光する波長を変える場合には、分光結晶を動かして行うが、この時、X線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器はいつも一定の半径を持つ円の上に乗ったまま動く必要がある。この円をローランド円と言う。

    波長分散分光器

  • ローロスSEM

    low-loss SEM

    [目次:装置]

    試料表面すれすれの浅い角度で電子プローブを入射させ、前方に散乱した電子の内、エネルギーをあまり失っていないlow-loss電子のみを検出すると、高加速電圧であっても試料表面を高解像力で観察することができる。この観察手法をローロスSEMと言う。O.C.Wellsが開発した方法である。

    ローロスSEM

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