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材料のESR – 半導体 ① -

ER170006

半導体のESR測定で検出される格子欠陥は、素子の発光特性に深く関っています。液体ヘリウム温度可変装置を装着した極低温測定により、格子欠陥のより高感度な検出が可能となります。

固体の物質は抵抗率によって、絶縁体(108 Ω・m 以上)、半導体(10-5~108 Ω・m)、導体(10-5 Ω・m 以下)に分けることができます。一般的に半導体はさらに次のような性質をいくつか持っています。

  • 抵抗率の温度依存性
  • 整流作用
  • 両極性伝導
  • ホール効果
  • 不純物の添加効果
  • 光電的性質
  • 熱電効果

半導体は1種類の元素からなる元素半導体と2種類以上の元素からなる化合物半導体(無機化合物半導体・酸化物半導体・有機半導体など)に分類できます。さらに半導体は不純物を含まない真性半導体と不純物を含む不純物半導体に分類されます。
半導体のESRからは、不純物(格子欠陥)の構造・濃度、そして光・熱・電気応答や劣化を評価することができます。

太陽電池や薄膜トランジスタなどに応用されるアモルファスシリコン(a-Si: amorphous silicon)からダングリングボンド(DB:dangling bond)が検出されます。a-Siはケイ素を主体とする非結晶半導体、DBは原子が共有結合の相手を失い、結合に関与しない電子(不対電子)で占められた結合手を表します。a-Siの発光強度とDB数には相関があり、DB数が多くなると発光強度が減衰することがわかっています[1]。a-Siの製造過程においてDBがどれくらい発生しているか、また、製造されたa-Siが熱や光などの刺激によりDBの生成をともなう劣化がどの程度進行するのかを理解するうえで有益です。
以上のようにESRは物性の改良に向けた指標を与えます。近年では、製造技術の向上によりDBは低濃度となり、室温でのESR検出が難しいため、液体ヘリウム温度可変装置(ES-CT470)等を用いた極低温測定がしばしば行われます。図1は室温から極低温まで冷やした際に観測されたシリコンDBのESR信号です。

シリコンのダングリングボンドによるESR信号

図1.シリコンのダングリングボンドによるESR信号

参考文献

[1]R.A.Street, J.C.Knights, and D.K.Biegelsen (1978):Luminescence studies of plasma-deposited hydrogenated silicon. Physical. Review. B 18, 1880-1891.

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