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NMRによる化学交換の解析

NM190008

化学シフトの異なる2つの信号A, 信号Bが化学交換している場合、化学交換のタイムスケールによってそれぞれ特徴的な挙動を示し、溶液NMR測定によって容易に確認が可能です。信号Aと信号Bの化学シフト差が交換速度よりも大きい場合、NMRのタイムスケールでは遅い交換ということを示し、2つの独立したNMR信号として観測できます。逆に早い交換が起きている際には、NMR信号は1つの平均となる1つの信号として観測されます。遅い交換の際には簡単な NMR測定によって分析が可能です。

Selective Inversion Recovery 法による実験例

Selective Inversion Recovery法では通常は選択反転させた信号のみが強度変化し、それ以外の信号は変化しません。この測定法を用いて互い化学交換している信号の一方を選択反転させます。すると化学交換によりもう一方の信号へ磁化が移りますので、化学交換に関する情報を抽出して両方の信号の磁化の回復を解析することができます(図1、図2、図3)。
さらに上記の実験を信号Bを選択反転させて再測定する、または片方の磁化を飽和させて交換の影響を観察するといった補足実験を行うことでより詳細で正確な情報を得ることができます。

NMRによる化学交換の解析
図1: Selective Inversion Recovery法(double_pulse_shape.jxp)の解析画面
NMRによる化学交換の解析
図2: 信号Aの磁化の回復過程
NMRによる化学交換の解析
図3: 信号Bの磁化の回復過程

これらのデータはリスト化してCurve AnalysisツールやKinetics Analysisツールから容易にtxt, csv, Excelファイルに変換することができサードパーティの解析ソフトでも解析することができます(図4、図5)。
※ Excelは、米国 Microsoft Corporation の、米国、日本およびその他の国における登録商標または商標です。

NMRによる化学交換の解析
図4: Kinetics Analysisツールによるselective inversion recovery法の結果
NMRによる化学交換の解析
図5: python scriptによるEXSY 解析結果

試料: Cu(I)錯体
試料提供: 沖縄科学技術大学院大学(OIST) Julia Khusnutdinova 先生

参考文献: J. Magnetic Resonance. 1977, 27, 137-141.

使用装置: JNM-ECZ600R+ROYALプローブ™ HFX

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