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クロスセクションポリッシャ™ (CROSS SECTION POLISHER™)

クロスセクションポリッシャ™とは

IB-19530CP 断面試料作製装置

クロスセクションポリッシャ™(以下、CPとする)は、走査電子顕微鏡(SEM)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、オージェマイクロプローブ(Auger)のための断面試料作製装置です。

この装置はブロードなAr+イオンビームと遮蔽(しゃへい)板を用いて試料の断面を加工する新しい発想の断面試料作製装置です。これまで経験を必要とした他の手法に比べ、個人差が無く質の良い断面を短時間で得る事ができます。

CPは金属、セラミックス、プラスチック等、様々な材料で断面加工をすることが可能であり、近年、多方面において活用されています。

加工の原理

クロスセクションポリッシャ™(CP)の主な構成要素は、図1-1のCPの模式図で示しているようにArイオン銃と遮蔽板そして試料です。

Arイオン銃はArガスを電離し、Ar+イオン発生させ、電圧を印加することによって一定のエネルギーに加速されたAr+イオンを放出させます。イオン銃から放出されたAr+イオン(イオンは最大で8 kVまで加速することが出来ます。)は、試料内部に進入し、試料の構成原子にエネルギーを与え、構成原子の位置が移動します。この現象はノックオンと呼ばれ、このノックオンが繰り返されることをカスケード衝突と呼びます。この過程の中で試料の構成原子が試料外にはじき出される現象をスパッタリング現象と言います。このスパッタリング現象によって試料は切削されます。

CPでの切削時は試料の直上に遮蔽板とよばれるスパッタリングされにくい材質の板を設置します。断面観察を希望する位置に遮蔽板の端部を置きAr+イオンを試料に照射します。このとき、遮蔽板から突き出した試料部分がスパッタリングされ、遮蔽板端面位置の試料断面が露出されます(図1-2)。 試料を構成する材質に硬い物質、柔らかい物質が混じっている場合はAr+イオンビームの加工レートに差が生じ、加工断面にAr+イオンの入射方向と平行な筋状の凹凸が生じます。その凹凸を軽減するために試料と遮蔽板自体をスイング (日本電子特許 : 4557130号) させています。

図1-1 CPの模式図

図1-1 CPの模式図

図1-2 加工時の模式図

図1-2 加工時の模式図

CP加工の動作原理を動画で見る

ブラウザーは最新の状態でご覧下さい。

応用例・加工の特徴

クロスセクションポリッシャ™(CP)は、ブロードなイオンビームを用いているため、広い領域(500µm以上)で凹凸の少ない加工面が作製できます。

CPにより加工された電子部品の電子プローブマイクロアナライザーによる観察例を下記に示します。反射電子像(図2-1)や元素マッピング像(図2-2)から、約1mm以上にわたる広い領域で、凹凸の少ない良好な加工面が得られていることがわかります。

図2-1 CPによる電子部品の断面(試料:携帯電話の電子部品)

図2-1 CPによる電子部品の断面(試料:携帯電話の電子部品)

図2-2 元素マッピング像の結果

図2-2 元素マッピング像の結果

応用例・試料回転ホルダを使った加工方法

クロスセクションポリッシャ™(CP) は、試料回転ホルダを使用する事でさらに効果的な加工が行えます。

図3-1に試料回転ホルダを用いた加工法の原理を示します。通常の加工方法 (遮蔽板を用いた方法) では、多孔質試料やエッチングレートに差がある複数物質の複合材料の切削を行うと、筋状の凹凸が顕著になる場合があります。このような試料の場合、試料回転ホルダを用いることにより360度方向から試料にAr+イオンビームを照射できるため筋状の凹凸が無い良好な断面が得られます。

図3-1 回転ホルダ

図3-1 回転ホルダ

図3-2に同一試料(試料:シャープペンシルの芯)で標準の遮蔽板による断面加工の例(図左)と試料回転ホルダーを用いた断面の加工例(図右)を示します。両者を比較すると試料回転ホルダを用いて得られた断面の方が筋状の凸凹が無い良好な結果であることがわかります。

図3-2 試料:シャープペンシルの芯

図3-2 試料:シャープペンシルの芯

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