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液体クロマトグラフ質量分析計

液体クロマトグラフ質量分析計とは

JMS-T100LP AccuTOF™ LC-Express

液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)はその名の通り、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計 (MS) を接続した機器で広範な領域で使用されています。

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)が揮発性物質を対象とした分析機器ですが、LC/MSは、揮発性物質から難揮発性物質までを対象とした幅広い分野に適用できる分析機器として、使われはじめています。

近年クロマトグラフ分析はガスクロ(GC)から液クロ(LC)に移行する傾向にあります。この理由は揮発性物質であればGCが使用できますが、難揮発性物質では揮発性を持たせるために誘導化等の化学処理を行わないとGCを用いることができません。一方、LCの場合はこれら誘導化が不必要なこと、および対象試料領域がGCに比して大幅に広いことが上げられます。しかしながらLCの場合は検出器に難点があり試料と特性にあわせて選択する必要があります。しかしMSを検出器として用いることにより、より汎用性高く、同定精度の向上が望めること、また、LCとMSをうまく接続する効果的なインターフェースの出現および性能向上と相まって急速にLC/MSの需要が拡大してきています。

LC/MS インターフェース

1970年代より精力的にLC/MSのインターフェースが研究され、種々の方式が提案され使用されてきました。この中にはLCからの移動相溶液をベルト上に滴下し、加熱し電子イオン化(EI)法にて測定するベルト方式、ガス状に噴霧しEI法にてイオン化する噴霧式、サーモスプレー式と変遷してきました。1980年代後半に入り大気圧イオン化法が出現し、今日では本法がLC/MSインターフェースのスタンダードとして広範に使用されています。LCは大気圧下で液体を移動相として用いられますが、MSは高真空が要求されます。この相容れない性質をうまく組み合わせたインターフェースが大気圧イオン化「API」法です。この方式の中には2種類のイオン化法があり、一つがエレクトロスプレーイオン化「ESI」(Electrospray Ionization) 法で他方が大気圧化学イオン化「APCI」(Atmospheric Pressure Chemical Ionization) 法です。

1)ESI法

移動相溶液をキャピラリーに導入し、このキャピラリーと対抗電極の間に高電圧を印加することによりイオン化を行う手法です。

本法の特徴はイオン化エネルギーが現存するイオン化法中最も小さいことです。これにより生体高分子試料のみならず錯体等配位結合化合物の分子量情報が得られる唯一のイオン化法です。

また、本法を蛋白、ペプチド、核酸に適用した場合多価イオンとして観測できる特徴を有しています。

たとえば分子量10,000の化合物が10価の正イオンとして観測された場合、得られるマススペクトルのm/z値(質量/電荷比)は1,001となります。これら多価イオンのスペクトルは分布をもった特徴のあるスペクトルとして得られ、コンピュータにより正確な分子量が計算されます。

抗体 IgG2b(M.W.約150,000)のESI多価イオンスペクトルと分子量演算結果

2)APCI法

本法は大気圧化学イオン化と言われるとおり、移動相溶媒を化学イオン化の試薬ガスと同等な働きに利用し、プロトン付加分子イオンや移動相溶媒付加イオンを測定する手法で、噴霧液滴をコロナ放電領域に導入しイオン化を行う手法です。対象試料はESIより低極性化合物となります。

また化学イオン化を行うため移動相溶媒濃度が高いことが要求されることから、流量は毎分1ml以上が用いられます。

APCI法による分析例を以下に示しました。対象試料は我々が日常愛用している、緑茶を取り上げました。緑茶には抗菌作用や広範な効能が取りざたされていますカテキン類が多く含まれています。そこで、通常我々が飲用する状態のお茶20μlをLCに注入して測定した結果を以下に示しました。

アミノ酸類、カテキン類、カフェイン、ルチン等が緑茶中に多く含有されていることが、測定結果から容易に判別することができます。

緑茶のAPCI-LC/MS測定例
(EC:epicatechin, EGC:epigallocatechin, ECg:epicathechingallate, EGCg:epigallocathechingallate)

このようにLC/MSは生体高分子からお茶の成分に至るまで、広範な領域の試料を高感度かつ容易に分析することができます。

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