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JMS-S3000“SpiralTOF”の紹介 ~Bovine Serum Albumin の分析~ [MALDI Application]

MSTips No.166

はじめに

JMS-S3000“SpiralTOF”は、弊社独自のSpiralTOF型イオン光学系を搭載したMALDI-TOFMSである(Fig.1)。弊社の卓越した特許技術 ※1 により、限られた空間内に 17 mのらせん状のイオン軌道を実現した。らせん軌道は、円筒電場の中に 9 枚のマツダプレートを組み込んだ、階層状トロイダル電場 4 組により実現されている。イオン源で加速されたイオンは、4組の階層状トロイダル電場の各階層を順次通過し、検出器まで到達する(Fig.2)。この長い飛行距離により、極めて高い分解能と質量確度を、広い質量範囲で同時に実現する事を可能とした。
しかし、SpiralTOF 光学系においても、飛行中に自発的に開裂してしまう、極めて寿命の短いイオン(例:高分子量のタンパク質、多重にリン酸化されたペプチド、などのプロトン付加分子)が検出できない、という点に関しては、従来からのリフレクトロン型 TOFMS と同様である。MALDI 法の広い応用範囲を考えたとき、このような寿命の短いイオンを確実に検出する手段が必要である。このため、JMS-S3000 には「リニア TOF」オプションが用意されている。
今回は、Spiral モードを用いた分析の一例として、Bovine Serum Albumin(BSA)のトリプシン消化物の分析を、Linear モードを用いた分析の一例として、BSA(インタクト)の分析を紹介する。

測定と結果

Fig.1 JMS-S3000“SpiralTOF”

Fig.2 Ion trajectory of SpiralTOF

測定と結果

BSA トリプシン消化物は Spiral モードで測定した。測定は、SpiralTOF の制御・測定プログラムであるmsTornade Control の自動測定機能を用い、マスキャリブレーションは、外部標準法を用いた。得られた結果をMASCOT PMF 法にて検索を行い、BSA が1 位でヒットして同定される事を確認した。検索に用いた BSA トリプシン消化物(消化前のタンパク質 25 fmol 相当)のマススペクトルを示す (Fig.3)。その際にマッチしたペプチドの質量誤差は、3 ppm(R.M.S.)であった(Fig.4)。
Linearモードを用いて BSA を測定した結果を Fig.5 に示す。BSA の一次構造から予想される m/z の 1 価イオンと 2 価イオンのシグナルが得られる事を確認した。

Fig.3 Mass Spectrum of tBSA (25 fmol) 

 

Fig.4 RMS error of MASCOT search results

まとめ

Spiralモードによる測定では、高い質量確度のデータが得られる。ペプチド混合物の測定によりタンパク質をPMF法で同定する場合には、Peptide tolerance(許容誤差設定)の幅を±10 ppmと狭く設定した上でも、タンパク質の同定が行える。これは、擬陽性が少ない、信頼性の高い同定結果が得られる事を意味する。
また、Linearモードを用いれば分子量の大きなタンパク質などの分子量を容易に決定する事が可能である。

Fig.5 Mass Spectrum of BSA (2.5 pmol) 

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