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昭島の水道水「あきしまの水」はおいしいのか?~日本電子の装置で調べてみた~

日本電子の本社がある昭島市の水道水は、地下70メートルより深い層を流れる深層地下水100%です。
東京都の区市町村で、深層地下水のみを水源としている自治体は昭島市だけです。

深層地下水は、山に降った雨や雪が約30年という長い年月をかけてしみ込んだものです。
水が地層にしみ込む過程において、土壌がフィルターの役割を果たし、不純物を取り除くとともに炭酸やミネラル成分等を溶かしながらしみ込みます。こうして流れてきた深層地下水を利用する昭島の水道は、ミネラルウォーターと変わらないおいしさです。(昭島市HP「地下水100%のおいしい水」より

地下水100%の水はおいしいのでしょうか?

そこで、電子顕微鏡をはじめとするナノテク分野で世界トップレベルの先端装置を開発している日本電子の分析装置で科学的に「あきしまの水」がおいしいのかを調べてみました。

今回使用した装置 : エネルギー分散型蛍光X線分析装置

固体、粉体、液体に含まれる主要元素と微量元素を簡便に測定することができる装置です。この特長を利用して、異物の材質判定、製品や食品に含まれる有害重金属元素のスクリーニングに利用されています。
試料にX線を照射すると、試料に含まれる元素固有のエネルギーを持つX線が発生します。これを蛍光X線と呼びます。
「あきしまの水」を測定して得られた蛍光X線スペクトル (図) を下に示します。ピークのエネルギーから元素種を、X線の強度から濃度を調べることができます。


「あきしまの水」分析結果 採取量:10μL (涙一粒の1/3程度の量)

国内ミネラルウォーターとの比較 (mg/L)

①ミネラル含有量

「あきしまの水」のミネラル含有量を市販されているミネラルウォーターAとBと比較しました。
地下水にはNa (ナトリウム)、Mg (マグネシウム)、Si (ケイ素)、Ca (カルシウム)などのミネラル成分が含まれている傾向があり、「あきしまの水」は市販のミネラルウォーターと比較してもこれらの成分が多く含まれていることがわかりました。

②硬度

水中に溶けているカルシウム、マグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。
「あきしまの水」は硬度100mg/L以下の中硬水です。美味しい水の硬度は10~100mg/Lと言われており(厚生省(現厚生労働省)おいしい水研究会による「おいしい水の要件」(1985 年)より )、あきしまの水は硬度の面からは「おいしい水」と言えます。


mg/L : 水1リットルの中に物質が何ミリグラム含まれているかを示す濃度の単位

日本電子の装置が安全な水の提供に役立っています

ガスクロマトグラフ質量分析計

飲料水としての水には「おいしい」だけではなく「安全性」が求められます。特に有害化学物質は微量であってもヒトの健康に影響をもたらすことから、水道水ついても厳しい検査が行われています。
特に地下水の場合は「揮発性有機化合物」と呼ばれる有害化学物質により汚染されている可能性があることが知られているため、それらの微量化学物資について厳しく検査されています。
ガスクロマトグラフ質量分析計は高感度にそれらの化学物質を検出できることから、水道局の検査センターなど「水の安全性」確認する現場で活躍しています。

走査電子顕微鏡

電子線を試料に照射することで、光学顕微鏡よりも高倍率での観察ができ元素分析まで行うことができます。水に含まれる異物や微生物を調査して、安全な水を届けることに役立っています。

昭島市は蛇口からミネラルウォーターが飲める!

昭島の地下水は地下水特有の豊富なミネラル成分を含んでおり、「おいしい水」だということが分かりました。
蛇口をひねれば市販のミネラルウォーターに負けない「おいしい水」が出てきます。

「あきしまの水」が無料で飲める! 無料給水スポットのご紹介

昭島市は、使い捨てにされるペットボトルなどのプラスチックごみを減らし、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)への理解とおいしい水をアピールするため、JR青梅線の拝島駅、昭島駅、中神駅、東中神駅の駅前4か所にマイボトルに無料で水をくめる給水スポットを設置しています。昭島市公式キャラクターの「ちかっぱー」が目印です。

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