PROFESSIONALINTERVIEW
04
サービス―受託分析およびWEB立会い分析
フィールドソリューション事業部
サービス企画推進本部 R&D推進部
受託グループ 主務
K. N.
アウトソーシングのニーズに対応
TEMによるWEB立会い分析
近年、工業製品部材の微細化に伴い、より微小スケールでの材料解析が必要になっている。ハイエンドTEM(透過電子顕微鏡)は、ナノレベル領域の可視化や分析で、その要求に応えることができる装置だ。しかしながらユーザーにとっては機器が高額なだけでなく、オペレーターの育成も必要となる。そこで、日本電子ではアウトソーシングのニーズに対応して、ハイエンドTEMを含む電子顕微鏡群を利用した受託分析を進めている。また、最近ではネット通信によるWEB立会い分析サービスの提供も開始した。
ナノレベルの分析が必要
工業製品の微細化が進む現在、材料のナノレベルでの構造・状態は、部材全体に大きな影響を及ぼす要因であり、より詳細な観察・分析が必要となっている。
TEMは、薄片化したサンプルに電子線を照射し、透過した電子線を影絵のように観察する装置だ。特に近年脚光を浴びる収差補正装置を搭載したハイエンドTEMでは、原子レベルでの観察・分析が可能となっている。
TEMの受託分析を担当するK. N.は、「お客様の材料においても、ナノレベルでの解析を求められる機会が増えてきた。」と感じている。新たな材料開発へ繋げるため、ナノレベルでのメカニズム解明が期待されている。とはいえ、ユーザーにとって、ハイエンドTEMを購入することは容易ではない。装置が比較的高価であるだけでなく、それを設置する室内の環境整備や、オペレーターの人材育成も必要となるためだ。
アウトソーシングのニーズが高まる
「守秘性や研究スピードを考えると、身近にアクセスできる装置で、お客様自身がご利用頂くのが良いとは思います。それでも装置の購入コストや、購入後の維持管理、人材育成コストのため、公共施設や民間の受託サービス等、アウトソーシングの利用も増えていると感じています。」
日本電子では、これまでも受託分析サービスを提供してきたが、アウトソーシングニーズの高まりを受け、受託グループを新たに立ち上げ、本格的に取り組み始めた。電子顕微鏡メーカーの受託分析ということもあり、普段、電子顕微鏡に馴染みの薄いお客様からも多くの依頼を頂いている。また、装置・アタッチメント購入前のデータ蓄積としての利用も見られ、様々なニーズに応えている。
日本電子が提供する受託分析の強みは、電子顕微鏡を中心とする装置群から、お客様のニーズに合ったサービスを提供できること。さらに、「環境観察」のような、実験的な内容にも積極的に対応していることだ。
ナノレベルで分析するだけでなく、実際の使用環境下に近い状態で材料の変化を確かめるため、電子顕微鏡内でサンプルを加熱・冷却したり、ガスや液体中で観察する要求も近年高まってきている。「電子顕微鏡を通して観る世界に、私もお客様と共に感動しています。」とK. N.は言う。
Webを用いたTEM立会い観察
さらに、他社がまだあまり手がけていないのが、2016年から始めたインターネットを使った「WEB立会い分析」である。これまでの立会い観察では、日本電子まで出向く必要があったが、WEB立会い分析では、サンプルを事前に送付すれば、自社にいながら観察・分析ができる。
同時に、オペレーターに指示を出したり、ディスカッションもできるので、電子顕微鏡の側で観察するのと同様に、効率的に分析を進めることができる。
また、利用客側に人数の制限はなく、関係者が複数で参加することもあるという。
「WEB立会い分析では、観察しながらお客様側で議論が始まることもあります。一刻を争う開発案件での情報共有に、一役買っているのではないでしょうか。」
立会い分析では、1日の所定時間を自由に使えるとはいえ、安くはない費用がかかるので、「お客様が考察できるような結果を出したいと思っています。」とK. N.は言う。
限られた時間を有効に使うためには、事前の打ち合わせが重要となる。
「技術的に難しい案件では、打ち合わせのため、先方にうかがうこともあります。お客様が求めている課題解決のため、どの順序や内容で観察を進めていくかを話し合い、整理する必要があります。すぐには解決できないような内容であっても、必要な技術を構築し、お客様の悩みを解決できれば我々の価値があると思っています。」
材料や製品開発の最前線を実感
相応の費用はかかるが、日本電子の受託分析はリピート客が多いと言う。
「最近は、観察が難しいサンプルも増えていますが、それは材料・製品開発の最前線にいるお客様の解析ニーズに向き合えているかだと思っています。」 数年先のビジョンとして、K. N.は電子顕微鏡の自動化に少しでも貢献したいと考えている。
「多くのお客様は、装置にサンプルを入れたら、複雑な操作なく目的のデータが得られることを求めておられます。受託分析で直面するお客様の自動化ニーズを装置開発にフィードバックできればいいですね。」
これからの夢としては、「受託分析を通じて、もっとたくさんのお客様に電子顕微鏡を使っていただきたい。」と言う。
「お客様の中には、電子顕微鏡はハードルが高いと感じられる方もおられます。また、装置はあるものの、うまくデータが出ないというケースもあります。まずは我々がお客様の手足となってデータを取得し、徐々に電子顕微鏡の世界に引き込みたいと思っています。」
電子顕微鏡の可能性を利用者とともに見つけていきたい、とK. N.は考えている。
OTHER INTERVIEW
-
タンパク質に代表される
生体分子の構造を解き明かす
クライオ電子顕微鏡の開発EM事業ユニット
EMアプリケーション部
Biologyチーム 主事
主事N. H.EM事業ユニット
EM技術開発部
第1グループ
主事T. K. -
顧客の真のニーズに応えるため
Webデモンストレーションを導入科学・計測機器営業本部
SI販売促進室
Scanning系グループ
主事Y. Y. -
分析機器の"F1マシン"
ハイエンドNMRを誰もが使える
時間貸しサービス開始フィールドソリューション事業部
サービス企画推進本部
企画推進 企画グループ
主事T. I. -
アウトソーシングのニーズに対応
TEMによるWEB立会い分析フィールドソリューション事業部
サービス企画推進本部
R&D推進部 受託グループ
主務K. N. -
半導体検査に不可欠となる
自動化したTEMを新発売EM事業ユニット
EMアプリケーション部
マテリアルグループ
グループ長N. E.EM事業ユニット
EM第2技術開発部
第2グループ 第2チーム
主務S. K. -
もの作りを変える次世代型
3Dプリンターが新生日本電子の
象徴的製品になる3D積層造形プロジェクト
技術グループ
副主査T. S. -
生化学自動分析装置の
販売だけでなく試薬も含めて
サービスを提供する医用機器事業部
ME海外事業推進室
海外展開推進グループ
海外展開推進チーム
リーダーH. T.MEソリューション営業
本部
東京MEグループ
主務H. Y. -
IMS社との一大プロジェクトを
オーストリアで一手に担うSE技術本部 技術開発部
第2グループ 第2チーム
副主査 工学博士
F. T. -
問題が起きたら素直に受け止め
自分が信用できない製品は
外に出さない日本電子山形株式会社
A. S. -
ヨーロッパの市場展開を支える
ドイツ法人の日本人駐在員たちJEOL(Germany)GmbH
Technical Support
Engineer for
Electron Beam
Lithography System
N. F.JEOL(Germany)GmbH
Technical Support
Engineer for NMR
D. N. -
世界の科学発展に貢献する会社を支える最後の関門、「調整」という業務
日本電子山形株式会社
S. A.日本電子山形株式会社
K. K. -
1点ものを作る喜びが、
大きなやりがいにつながる日本電子山形株式会社
T. I. -
海外の営業スタッフを
国内から我々が支援します科学・計測機器営業本部
海外SI営業部 欧州グループ
R. T.