PROFESSIONALINTERVIEW
07
医用機器―生化学自動分析装置
医用機器事業部
ME海外事業推進室
海外展開推進グループ
海外展開推進チーム
リーダー
H. T.
MEソリューション
営業本部
東京MEグループ
主務
H. Y.
生化学自動分析装置の販売だけでなく
試薬も含めてサービスを提供する
生化学自動分析装置は、血液や尿などから、糖、コレステロール、タンパクなどの成分を測定し、治療や健康維持に活用される装置だ。日本電子の「BioMajesty™」シリーズは、100種類以上の血中成分の分析を行い、少ない検体量と試薬量で分析できるため、市場のニーズにマッチ、短期間で国内シェアを大きく伸ばした。
ランニングコスト低減でシェア急拡大
日本電子の生化学自動分析装置「BioMajesty™」シリーズは、血液などの検体を希釈するという独自の手法によって、微量の検体と少量の試薬で分析を可能にし、患者の負担軽減や、医療機関・検査センターのランニングコスト低減に役立っている。1996年に販売開始以降、短期間で市場シェアを伸ばした。 海外展開推進チームリーダーのH. T.は、その理由をこう語る。
「医療業界の経営環境が厳しくなる中で、BioMajesty™は、従来の生化学自動分析装置に比べて、試薬量が最大約3分の1程度となるため、ランニングコストを下げ、収益に貢献することで時代のトレンドにマッチしました。1996年頃は処理能力が800テスト/時以上の生化学自動分析装置市場において、国内シェアが5%程度でしたが、その後、右肩上がりで普及し、現在では30%以上あり、国内大手2社を超える勢力となりました。」
国内営業を担当する東京MEグループ主務のH. Y.は、もともと試薬メーカーに勤めていたが、2011年に日本電子に転職した。
「国内市場では、ハードだけを売るビジネスではだんだん通用しなくなってきました。これからは、トータルにサービスを含めて提供する、いわゆる"モノからコトへ"転換する必要があります。当社でも試薬を販売し始めましたが、私はもともと試薬メーカーにいたので、その扱いには慣れています。今後は装置、検査システム、試薬など、まとめてお客様のお役に立てればと思っています。」
海外では自社ブランド販売を強化
海外でも、日本電子の新たな動きが始まっている。海外営業を担当するH. T.はこう語る。「海外ではこれまで生化学自動分析装置をシーメンスにOEM供給するビジネスが主体で、1機種のみ自社ブランドで販売してきたが、近々、上位2機種を発売することを契機に、自社ブランドを大々的に展開していきます。実は、明日からドイツのミュンヘンに赴任するのですが、BioMajesty™ブランドの浸透と拡販がミッションになります。といっても、OEMビジネスをやめるわけではなく、自社ブランドとのバランスを取りながら進めたいと考えています。」 現在、海外では4社の代理店の協力を得て、ビジネスを展開している。H. T.の主な仕事も代理店のサポートだ。
「どうしても装置のトラブルは起きるので、そのときにエンジニアを連れて代理店と一緒にお客様を訪ねます。先日も、エジプトに行ってきました。海外担当になって8年目ですが、だいたい月に1回、1週間程度は海外に飛んでいます。」とH. T.。
仕事の上で一番難しいのは、代理店とのコミュニケーションだとH. T.はいう。ボタンの掛け違いが一旦起きると、どんどんおかしくなることがある。 「相手が本当に言いたいことが何か、を勘違いすると間違った方向に行ってしまいます。先日も、品質上のトラブルが起きたので、私は『ともかくデータをそろえてくれ』とばかり言って、関係を損ねたことがありました。代理店としては、すぐにトラブルに対応してほしかったわけで、ボタンの掛け違いが大きくなってしまいました。」
災害発生時には顧客先に即時出動
顧客との間でも、それは同じことだ。H. Y.は「何も起きなくても訪問し、要望や不満を聞くことが大切。」と語る。
「何か起きたら、1秒でも早く、お客様のところに出掛け、確認する。装置が止まったら分析ができなくなり、お客様にも患者様にも損害を与えてしまいます。それは災害時でも同じです。装置は水平を保っており、地震が起きると、振動で不具合が生じる可能性もあります。」
被災者の治療などにあたる災害拠点病院では、装置の不具合が患者の命にも関わる。そのため、連絡がなくても率先して確認するという。
「2011年の東日本大震災の時も、迅速に修理し、お客様に感謝されたこともあります。」
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震でも、日本電子のサービスマンが、会社からの要請もないのに発生後1時間で出動したという。
提案営業が必要になってくる
仕事の上でのポリシーについて、H. T.は3つ挙げた。
「まず楽しんで仕事をすること。次に誠実、正直さ。いつもお客様、会社、自分のバランスを考え、フェアな対応を心がけています。そして、物事の本質を理解すること。わからないままにしないで聞き、相手を理解すると、自分のことも理解してくれると思っています。」
H. Y.は「誠実さと不満を言わないこと。」だという。
「父も仕事の不満や文句は一切言わない人です。不満を言うと考え方がネガティブになるし、周りや後輩にもいい影響はありません。」
H. T.も「ポジティブに仕事をすることが大切ですね。」と共感する。
「今後、ドイツの現地法人で自社ブランド品の販売など、新たな商流作りをするため、アライアンス先も複雑になって大変ですが、私は楽観的なので、なんとかなると思っています。」
ビジネスがモノからコトへ変化する中で、提案力が必要になる。H. Y.は「日本電子に転職したのも、提案営業をやりたかったため。」と語る。
「検査システムや試薬を扱うようになると、お客様も、生化学分析担当から検査室全体に広がっていくので、いろいろな提案をする機会が増えると思います。販売するだけでなく、お客様にセミナーや勉強会の機会を提供するなど、仕事を通じた関係づくりを深めたいと思っています。もはや、酒宴など、飲みニケーションで仲良くなる時代ではありませんから。」営業スタイルも確実に進化しているようだ。
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