2017/04/26

日本電子株式会社(代表取締役社長 栗原 権右衛門)は、名古屋大学客員教授である藤吉好則氏(理学博士)と共同出資で株式会社CeSPIAを設立しました。

設立の背景

近年、新薬開発に活用できる手法の一つと期待されるクライオ電子顕微鏡 注1)を用いたタンパク質の構造解析手法が急速に発展しています。クライオ電子顕微鏡を用いれば、従来の方法では解析が困難であった複雑で大きいタンパク質複合体などでも比較的短期間に構造解析が出来るようになり、これまで構造情報の得られなかった創薬標的に対する新たな情報が得られるようになってきました。それゆえ、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析法が、新薬開発において注目されはじめています。一方で、クライオ電子顕微鏡を用いた高分解能の立体構造解析は、熟練した技術やノウハウが必要とされ、難易度も高いため、新規創薬戦略として活用される段階には至っておりません。
新たに設立した株式会社CeSPIA(呼び方:セスピア)では、名古屋大学の藤吉氏らが開発し発展させてきたクライオ電子顕微鏡を用いた膜タンパク質の構造法に基づくタンパク質の構造解析を行う受託サービスなどを提供します。さらに、当社が藤吉氏と開発した安定的かつ高効率で構造解析を行うことができるクライオ電子顕微鏡を用いることで、タンパク質の高分解能の構造情報を短時間で提供することが可能となります。これにより、利用者は、試料作製、データ収集、構造解析などの困難であったタンパク質の高分解能の立体構造解析に関するサービスを受けることが出来るとともに、クライオ電子顕微鏡を持たない利用者でも受託の形でサービスを利用することが可能となります。それに加え、株式会社CeSPIAでは、ドラッグレスキュー戦略 注2)に基づく、新薬開発に関するコンサルタント業務も行います。これにより、新薬開発効率向上の支援を行います。
当社では、今後も高品質・高効率なクライオ電子顕微鏡を用いたソリューションの開発を進めてまいります。

株式会社CeSPIA概要

設立年月日 2017年4月17日
資本金 2,500万円
住所 〒100-0004 東京都千代田区大手町2-1-1 大手町野村ビル18階(日本電子株式会社内)
TEL 03-6262-5959
FAX 03-6262-3589
英語名 CeSPIA Inc.
代表者 上野清昭(代表取締役社長)
役員 藤吉好則(取締役)、大井泉(取締役)、福島一則(監査役)
出資比率 藤吉好則 61%、日本電子株式会社 39%
事業目的
  • 創薬に関する構造解析の受託およびコンサルテーション
  • 創薬に関する研究、開発
  • 神経疾患等の検査
  • 前各号に付帯する一切の事業

注1)
薄い氷の膜に包埋した無固定・無染色(生)のタンパク質などの構造を原子レベルで観測計測するために試料を冷却して電子顕微鏡像を撮影できる装置。電子線によるタンパク質の損傷を低減するために、試料温度を極低温に(-269°C~-196°C)に保った状態で計測できるようにしている。近年、画像検出カメラの高性能化とコンピュータ解析技術の飛躍的発展により、解析精度とスループットが向上し、利用シーンが急拡大している。

注2)
ドラッグレスキュー戦略とは、藤吉氏が命名した創薬戦略で、強い副作用・不十分な薬効などの理由で開発が中止となった候補化合物に対して、標的分子との結合状態の構造を高分解能で解析することにより、動物及びヒト由来の標的分子に最適の薬理作用を実現し、副作用を低減できる薬物設計を行うことにより、薬として再生する創薬戦略である。クライオ電子顕微鏡法により、従来の手法では解析困難だった候補化合物と標的分子との結合状態に関する詳細な情報が短期間で得られるようになったため、ドラッグレスキュー戦略が現実的な新規創薬戦略になると期待されている。