日本語環境で操作できる新設計のユーザーインターフェースを採用し、「誰もが、簡単に、直ぐに使えること」を実現しました。また、カウフマン型エッチングイオンソースやツインアノードを標準装備の上、汎用XPSでありながら高温加熱システムやガスクラスターイオンソース等幅広い拡張性も備えています。
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特長
①短時間で測定可能な広域分析
JPS-9030は分析領域がミリメートルオーダーと試料広域を分析するXPS装置であり、平均値分析を得意とします。試料の偏析、局所的な汚れなどを気にせず試料そのものの情報を取得可能です。
粉末、薄膜、プレート試料等の元素分析、化学結合状態分析の分析に適しています。
〇広域分析の活用例-LIB正極材の元素分析

一見すると均質に見える、LIB正極材ですが分析範囲が狭いと元素分析の結果がばらつく場合があります。
それに対して分析範囲を広げることで局所的な汚れ等の営業を受けずに平均情報を取得することが可能です。
分析範囲を絞って3か所測定
⇒結果のばらつきが大きい

分析範囲を広げて3か所測定
⇒結果のばらつきが小さい

②簡単操作を可能にするソフトウェアSPECSURF
日本語に対応した新開発ソフトウェアSpecSurf Ver.2.0は、リボンインターフェースとタブウィンドウシステムの組み合わせにより、マウスのみによるユーザーフレンドリーな操作環境を提供します。
③幅広い材料を測定可能な装置構成- Mg/AlツインアノードX線源-

JPS-9030は単色化X線源、Mg/AlツインアノードX線源を使用することができます。 Mg/AlツインアノードX線源は試料に照射するX線をMg K線とAl K線で切り替えが可能であり、元素数が多く、光電子ピークとオージェピークが重なってしまうサンプルでも問題なく測定が可能になります。
〇Mg/AlツインアノードX線源の活用例-Fe,Ni含有試料の分析-
XPSスペクトルにおいて光電子ピークとオージェピークのオーバーラップが起きやすい例に繊維金属を複数元素含む試料があります。下はFeとNiを含む試料を測定した例です。Al線源で起きていたピークオーバーラップがMg線源を用いると回避出てきることがわかります。
Al線源による測定⇒ピークオーバーラップ

Mg線源による測定⇒ピークオーバーラップを回避

③幅広い材料を測定可能な装置構成- カウフマン型イオン源-

JPS-9030はArイオン源としてカウフマン型イオン源を搭載しています。大電流が得られるイオン源であり、加速電圧を下げても実用的なエッチングが行えます。これにより試料構造を維持したエッチングを可能にします。
また、JPS-9030ではイオン源を試料準備室に配置しています。 これにより、エッチング飛沫が試料準備室内に限定されるため、超高真空に保たれている分析室を汚染することがありません。
〇カウフマン型イオン源の活用例-EUVリソグラフィ用Mo/Si多層膜ミラー-

JPS-9030は試料鉛直方向から低加速のArイオンを照射することができるため、極薄多層膜の深さ方向分析にお使いいただけます。
以下はEUVリソグラフィ用Mo/Si多層膜ミラーの深さ方向分析結果です。1層10 nm程度の薄膜に対しても層構造をとらえて、界面の急峻性を評価することが可能です。
③幅広い材料を測定可能な装置構成- その他各種アタッチメント-
JPS-9030は各種オプションを取り揃えております。
また、お客様のご要望に合わせたアタッチメントの作製なども行っております。
豊富なオプション
エネルギー分解能を向上させる単色化X線源
ダメージを受けやすい有機物試料に適したArガスクラスターイオンソース
1,000 °C 以上まで加熱可能な赤外線加熱システム
非曝露試料に対応するトランスファーベッセル
等の豊富なオプションを用意し、お客様のあらゆるニーズにお応えします。
XPSでできること
XPSを用いて行える分析(アプリケーション)の一例には以下のようなものがあります。
最表面元素分析
XPSは、試料最表面 (10 nm 以下) での元素分析が可能です。
そのため、見た目で判断しづらい有機汚れも簡単に分析することができます。

汚れていないPET (左) と、<br>表面にシリコーンが付着したPET(右)

PET、シリコーン付着PETのC 1sスペクトル
化学結合状態分析
XPSでは元素分析に加え、化学結合状態分析も可能です。
例えばリチウムイオン電池では電極上に存在するLiが、どのような化合物であるかを評価することができます。

リチウムイオン電池の構造

各種Li化合物のLi 1sスペクトル
深さ方向分析
XPSを用いた深さ方向分析を行うことで、10 nm程度の極薄試料から数μmの厚さを持つ試料まで層構造の評価、界面における化学結合状態の評価が可能になります。

ガラス表面の反射防止膜模式図

反射防止膜の深さ方向分析結果
仕様・オプション
感度(Mg Kα、300 W換算) | 1,000,000 cps以上(Ag 3d5/2の半値幅1.0 eV時) |
---|---|
X線源 | 最大12 kV、50 mA、Mg / Alツインターゲット |
入射レンズ | 3段円筒型静電レンズ |
エネルギーアナライザ | 静電半球型アナライザ |
エネルギー掃引方式 | Constant Analyzer EnergyおよびConstant Retarding Ratio方式 |
検出器 | マルチチャンネルプレート |
エッチングイオン銃 | 高速カウフマン型 |
到達圧力 | 7×10-8 Pa以下 |
ベークアウトシステム | 内部ヒータ組込み、自動制御 |