Leica EM ACE900は、凍結させた生物試料や含水試料のフリーズフラクチャー、フリーズエッチング、そして電子ビームコーティングの機能を1台の機器に集約したハイエンドの凍結割断装置です。
電子ビームによる金属の斜め蒸着、それに続く、クライオステージの回転を伴った電子ビームによるカーボンコーティングにより、高分解能なTEMによるレプリカ膜観察およびSEMでのシャドウイング観察に対応できます。
試料及び割断ナイフの搬送用ロードロック、各電子ビーム源用のゲートバルブ機構によって、装置は常に清浄な高真空状態に保たれ、スピーディーに試料作製を行うことができます。
特長
3軸可動のクライオナイフにより正確に割断できます。 また、ナイフはロードロックを介することで、大気開放せずに交換が可能です。
チャンバー内の大型クライオシールド、試料付近にある小型クライオシールドにより、霜などのコンタミネーションから試料を守ります。
電子ビームコーティングは対象となる試料の高分解能な構造観察を可能にします。
テーブルトップの装置のため省スペースで快適な操作が可能です。
タッチスクリーン・インターフェイスを用いており、プログラム可能な全自動の操作で簡単に再現性の高い試料作製ができます。
オプションのEM VCT500 (真空クライオトランスファーシステム) を装備することにより、コンタミネーションフリーなクライオSEM観察のためのシステム構築が実現できます。
EM VCT500を介することで、EM ACE900はSEMだけでなくVCTポートが装備されたEM FC7T、グローブボックス、EPMA、Tof-SIMSなどにリンケージができます。
仕様・オプション
サイズ、ユーティリティ
本体 | (W) 705 × (D) 710 × (H) 640 mm、135 kg |
---|---|
顕微鏡含む | (W) 705 × (D) 926 × (H) 640 mm |
VCT500ドック・シャトル含む | (W) 1,600 × (D) 710 × (H) 640 mm |
防振机 | (W) 820 × (D) 780 × (H) 750 mm |
LN2デュワー (25 L) | φ 400 mm × (H) 800 mm、12 kg |
LN2ポンプ | φ 180 mm × (H) 720 mm |
電源 | 100 / 115 / 230 Vac、50 / 60 Hz |
消費電力 | 待機時:600 W、コーティング中:1 kW |
ベントガス | 窒素 (純度:99.99%以上、0.1 - 0.5 bar) |
真空排気系
本体 | オイルフリー、2ステージダイヤフラムポンプ + 300 / s ターボ分子ポンプ |
---|---|
プレ真空ポンプ | ドライスクロールポンプ |
到達真空度 | 1.5 × 10-7 mbar以下 (冷却時) |
電子ビーム蒸着
フィラメント | タングステンカソード電子ビーム源 |
---|---|
蒸着速度 | カーボン:0.7 nm / s 以下、白金カーボン:0.1 nm / s 以下 |
蒸着角度 | 右蒸着源:0 - 110°、左蒸着源:45 - 155° |
ワーキングディスタンス | 150 mm |
コーティング膜厚制御 | 0.1 nm単位 |
試料保護自動シャッター | 有り |
クライオステージ
ステージ温度 | -185°C ~ 20°C |
---|---|
ステージ加温速度 | 1 - 5°C / min、10°C / min |
傾斜角度 | -65 ~ 45° |
回転速度 | 40 - 150 rpm |
クライオシールド、割断用クライオナイフ
クライオシールド温度 | -185°C |
---|---|
クライオナイフ | 温度:-185°C 切削:手動及び自動 切削速度:1 - 200 mm / s 切削厚:0.2 - 100 µm単位 |
液体窒素デュワー
容量 | 25 L |
---|---|
ホース長 | 80 cm |