ダイオキシン分析プログラム「TQ-DioK」について
MSTips No.315
概要
ダイオキシンおよびPCBといったダイオキシン様化合物の分析においては、同じ組成式をもつ数多くの異性体が測定対象となることから、その解析においてピーク同定に特別な知識が必要になる。弊社では、このようなダイオキシン様化合物の特殊な解析に対応するため、ダイオキシン分析プログラム「DioK (ダイオック)」を開発・販売してきた。
今回新たに卓上型のGC/MS用に定量解析ソフトウェアとして搭載されている「Escrime™」をベースに、DioKで培ったダイオキシン様化合物のデータ解析に必要な機能を盛り込んだ新しい定量解析ソフトウェア「TQ-DioK (ティーキューダイオック)」を開発したので紹介する。尚、TQ-DioKは、ベースとなったEscrime™と同様に弊社が販売する卓上型GC/MSである「JMS-Q1500GC」、「JMS-TQ4000GC」の2機種に対応する。

「TQ-DioK」の対応機種
ユーザーインターフェース
TQ-DioKのユーザーインターフェース (UI) は、従来のDioKと異なりマルチペイン構成であり、異なる情報を同時に表示させることが可能である。TQ-DioKのUIをFigure.1に示した。

Figure.1 User Interface of TQ-DioK
UIの右側は、同族体クロマトグラムが表示され、対象の全ての異性体のピークを確認することができる。同族体クロマトグラムは、NativeとInternal Standard (IS) のクロマトグラムの他、アサイン済みのピークから予想された保持時間がCalculated Retention Timeとしてグラフ表示される。これら3つのチャートは、常に同じ時間軸で同期している。クロマトグラムはマウス操作による積分修正が可能であり、ピークアサインについてもCalculated Retention Timeのグラフを対象ピークにドラッグすることで変更することができる (Figure.2)。
UIの左側は、化合物一覧、試料一覧、検量線 (RRF) 表示の3種類の表示を切り替えることが可能である。RRFについては、異性体毎にプロットで表示できる他、各異性体の値および平均値、標準偏差等をリストとして表示することも可能である (Figure.3)。

Figure.2 Explanation about the functions of the homologue chromatogram

Figure.3 Explanation of RRF display
エクスポート機能について
PCBおよびダイオキシンは、対象となる法規制によって算出方法が大きく異なる。TQ-DioKでは、算出方法の異なる様々な法規制に対応するため、エクスポート機能により計算に必要な各種数値が記録されたファイルを生成し、それを利用して定量値を計算する。出力可能なフォーマットは、従来のDioKと互換性のあるDioK形式 (*.xlsx) の他、絶縁油中PCBあるいは低濃度PCBの計算に適したPCB定量形式 (*.txt) が選択でき、定量値の算出にあたっては、弊社が予め用意したマクロあるいはスクリプトを利用して各種法規制に対応した形式で自由度の高いフォーマットに出力することが可能である (→Figure.4)。

Figure.4 Explanation of the export function
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