オイル中の抗酸化性成分の測定 ビタミンEラジカルの短時間積算測定
ER130001
近年様々な機能性食用油が販売されています。今回、抗酸化性が高いとされるオリーブ油とアマニ油をESRにて測定し、ビタミンEラジカル(VE・ラジカル)を検出した例を紹介します。
試料に室温で紫外線(UV)を照射しながら短時間掃引で積算しました。10回の連続測定を設定し、2~7回目でUV照射して自動保存モードで取り込みました。測定条件は次の通りです。
Sweep Time:5s, Accumulation:4, Time Const.:0.01s, Magnetic Field:336±5mT, Microwave Power:5mW, Mod Width:0.25mT, Amplitude:2000,
得られたスペクトルを図1,2に示しました。いずれも照射により、g=2.0049を中心とする7本線が観測されました。これは、図3に構造を示したVE・ラジカルの、オルト位の2つのメチル基の水素の核スピンに由来すると解釈されます*。VE・ラジカルは照射とともに生成しますが、照射停止後は速やかに消失したことから、極めて短寿命であると考えられます。
図1 オリーブ油にUV照射時の経時変化
図2 アマニ油にUV照射時の経時変化
図3 VE・の構造
オリーブ油では明瞭なVE・ラジカルが検出されましたが、アマニ油では少量でした。オリーブ油にはVEをはじめとした抗酸化成分が含まれており、比較的酸化劣化しにくいとされています。
一方でアマニ油は、VEの含有量が少なく酸化劣化しやすいことが知られています。ここで観察されたVE・ラジカル量の違いは、こうしたVE量の差を反映している可能性があります。
食用のみならず種々のオイル中の抗酸化成分を、精製することなく簡単に評価できることもESR法のメリットのひとつです。酸化劣化挙動の検討にご活用いただける分析法としてお勧めいたします。
一方でアマニ油は、VEの含有量が少なく酸化劣化しやすいことが知られています。ここで観察されたVE・ラジカル量の違いは、こうしたVE量の差を反映している可能性があります。
食用のみならず種々のオイル中の抗酸化成分を、精製することなく簡単に評価できることもESR法のメリットのひとつです。酸化劣化挙動の検討にご活用いただける分析法としてお勧めいたします。
参考文献
*Sharma, M.K. and Buettner, G.R. Free Radic. Biol. Med. 14 649-653 1993