Q-バンドマイクロ波ユニット(ES-SQ5)のご紹介-その2-
ER140004
ESR装置(JES-X320またはJES-X330)をベースに、Q‐バンド(34~36 GHz)での測定を行うためのマイクロ波ユニットです。 Q-バンド共振器は、 X-バンド共振器と同様に円筒形TE011モード(試料管外径:2mm)を採用しています。Q-バンドでの測定には、X-バンドでの測定と比較して以下のような特徴があります。
- 同じ測定条件で比較すると信号強度が強い
- 充填率が高い
- g異方性が顕著になる
- 線幅の広い吸収の観測に適する
- 試料が微量で良い
共鳴条件式( hν = gβH0 )から、高周波で検出するほど自由電子の共鳴位置からのシフトが大きくなるので、ESR信号の分離がよくなり、信号が重畳しがちな粉末パターンの解析に有益です。図1は、Mn2+(希釈粉末)と不純物として含まれるCr3+のESR信号を示しています。X-バンドESRではMn2+の信号に重なってなっていたCr3+の信号(図1(A))が、Q-バンドESRでは明瞭に分離していることがわかります(図1(B))。
ES-13060DVT5温度可変装置にES-UTQ3型温度可変アダプタを装着することで、温度変化させることも可能です。ESRスペクトルの詳細な解析に、Q-バンドESRをご検討いただいてはいかがでしょうか。
図2. Mn2+と不純物として含まれるCr3+のESR信号
H0を中央に表示しています。(A)Q-band,(B)X-band