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耐熱性樹脂PAIの劣化挙動の評価 –Ⅲ -

ER170005

アプリケーションノートER-170004で、耐熱性樹脂ポリアミドイミド(PAI)の高温劣化評価を行ったところ、樹脂中のラジカル種の変化が観測されました。今回は、本PAIの反復加熱時のラジカル応答性を検討しましたのでご紹介します。

以下のように評価を行いました。
1) 試料: PAI 耐熱温度250°C、3mmロッドを10mmに切断して用いた。
2) 温度可変装置: 400°C-VT
3) 測定温度: 最高温度を250, 275, 300°Cとし、昇温と降温の反復を50°Cごとに変化しながら4回繰り返した。
4) 測定: 温度負荷前後に室温測定を行った。熱負荷測定では、各温度到達後5分に測定を開始した。磁場および信号強度の補正を行うためMn2+マーカーと同時測定を行った。

今回用いたPAIで観測されたラジカル種は、前回と同様でした。
付加温度ごとに得られたスペクトルから総ラジカル量を求め、最高温度別に変化を図1~3に示しました。縦軸は昇温前の総量を100%とした相対量です。昇降温の反復によるラジカル量の変化に差があることが確認されました。

反復加熱時のラジカル量変化(Max250℃)
図1 反復加熱時のラジカル量変化(Max250°C)
反復加熱時のラジカル量変化(Max275℃)
図2 反復加熱時のラジカル量変化(Max275°C)
反復加熱時のラジカル量変化(Max300℃)
図3 反復加熱時のラジカル量変化(Max300°C)

図に示したのは結果の一例ですが、全ての測定で昇温初期から逐次温度依存的なラジカル総量の増加が認められました。
いずれのシリーズでも、昇降温に伴うラジカル総量は概ね増減を繰り返しましたが、最高温度が高いほど反復による増加が顕著でした。更に、50℃まで降温した際のラジカル量に、最高温度と相関した違いが観察されました。耐熱温度である250℃ではラジカルは減少しましたが、より高温の設定では温度依存的に増加しました。これは本樹脂の耐熱温度を裏付けるものと考えられます。

こうした高温でのin-situ測定は、多くの樹脂の評価に有用と思われます。400°C-VTをESRと組み合せたご検討を提案いたします。

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