飲料缶内部の結晶粒の観察
IB2019-02
SIM像はSEM像に比べ、各結晶粒の結晶方位に応じたコントラスト(チャンネリングコントラスト)が明瞭に観察できます。
金属試料のSIM像は結晶粒の大きさや形状を捉えるのに有効です。
チャンネリングコントラスト
イオンビームが原子配列の隙間を通して試料の深い位置まで達することをチャンネリング現象と言います。結晶の晶帯軸に沿ってイオンビームを入射すると深くまで侵入し、SIM像は暗くなります。一方、晶帯軸から外れた方向よりイオンを入射すると侵入深さは浅くなり、SIM像は明るくなります。
飲料缶の製造法の一つにしごき加⼯があります。
カップの側壁をしごき加⼯により引延ばして缶胴を成形します。しごき加⼯で作製されたスチール飲料缶を試料として、缶胴内部の結晶粒の状態を観察しました。
しごき加工による缶胴成形

缶胴の内側で、FIB加⼯により断面試料を作製しました。
しごき方向に垂直と平行な2つの断面を同時に観察できるように作製しています。
作製した断面をSIM像で観察すると、チャンネリングコントラストにより、しごき加⼯の方向に結晶粒が引き延ばされている様子が分かります。
FIB加工により作製した断面試料

作製した断面の観察像 (SIM像)
