Multiplicity Edited HMBC ~ 13Cの級数による相関信号の判別(Multiplicity Edit) ~
NM070002
HMBCに限らず、相関信号の重なりは信号の由来を不明確にし、解析の障害となることが多々あります。殊にインバース測定においては、化学シフト範囲の広い13Cスペクトルが間接観測軸となります。 間接観測軸は測定時間の制限などによりデジタル分解能が不足しがちであるため、スペクトル解析上の問題となります。位相検波法の利用による2次元スペクトルの高分解能化は、そのような不明確さを解決する上で効果的ですが、それでもなお2次元 NMR は分解能が不足する場合があります (下図中央:混合位相 HMBC-間接観測軸のみ位相検波)。Multiplicity Edited HMBC は、相関信号の由来する13Cの級数により信号の位相を反転させるため、幸いにして重なり合った信号の由来する13Cの級数が異なっていれば、信号がどの13Cに由来する相関信号であるかを明らかにすることができます。

測定装置:JNM-ECA600, H5XAT/FG2プローブ

Multiplicity Edited HMBC測定のパルスダイアグラム
Reference
N.T. Nyberg and O.W. Sørensen, Magn. Reson. Chem., 44, 451 (2006)
A.J. Benie and O.W. Sørensen, Magn. Reson. Chem., 44, 739 (2006)