CPMG観測による29Si 固体NMRスペクトルの高感度測定
NM120012
Carr-Purcell-Meiboom-Gill (CPMG)エコーを用いることにより、29Si NMR の感度を5~10倍程度向上させることができます。T2* 緩和時間がT2’ 緩和時間より大幅に 短いときには、一つの励起パルスから複数のエコーを測定することができます。ここでT2* 緩和時間は見かけの線幅から得られるFIDの寿命であり、T2’はCPMGエコーのもとでのコヒーレンスの寿命です。29SiのT2*は構造の分布のために短いことが多いのに対して、29SiのT2’は数秒あることもあり1H-29Siの異種核間双極子相互作用および29Si-29Siの同種核間相互作用により決まっています。前者は1Hデカップリングにより消去することができ、後者は高速MASで低減されます。このようにして得られたCPMGエコーは足しあわされ、感度向上に寄与します。


JNM-ECA600 with 3.2 mm HXMAS probe at 20 kHz MAS.
Sample: SGT型ゼオライト(Sigma-2)
試料ご提供
Prof. Toshiyuki Yokoi of Tokyo Institute of Technology
参考文献
F.H. Larsen, I. Farnan, Chem. Phys. Lett. 357 (2002) 403-408.
S.S. Hou, F.L. Beyer, K. Schmidt-Rohr, Solid State Nucl. Magn. Reson. 22 (2002) 110-127.
J. W. Wiench, V.S.-Y. Lin, M. Pruski, J. Magn. Reson. 193 (2008) 233-242.