超高速MAS固体NMRによるリチウム電池正極材の解析
NM140020
NMRはLi原子を直接観測できることから、化学構造や組成の情報を得る手段として、リチウム電池(LIB)の研究開発分野で広く活用されています。
NMRで観測可能なリチウム原子は6Liと7Liの2種類ありますが、感度は7Liの方が30倍以上高く、7Liでの解析が望まれます。しかしながら、リチウム電池の正極材料では7Liは近接する常磁性イオンによって生じるスピニングサイドバンドの影響で通常の回転周波数(~20kHz)では解析が困難でした。
超高速MASプローブにより、スピニングサイドバンドの影響の少ない、高分解能スペクトルが得られるようになりました。充放電処理前後の試料を用いた電池反応メカニズムや劣化挙動解析にも応用が可能です。
超高速MASの特徴
- 試料管径1mm または0.75mm
- 超高速かつ高安定な試料回転により、微量・高感度分析が可能
正極材料のサンプリング

電極シートからのサンプリング

1mm試料管への充填
試料回転周波数依存性

充放電前後のスペクトル変化

謝辞
充放電前後の試料は兵庫県立大学 岡 好浩准教授よりご提供いただきました。