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2D NMRでの高分解能データの必要性

NM180014

13C核の化学シフトは1Hに比べて広範囲に観測され、一般的に分離能の良い測定核種です。
しかし、HSQCやHMBCでは1Dの13C NMR測定に比べるとポイント数が少ない分、低分解能になります。そのため13C核の化学シフト同士が近接する化合物の解析では、2D NMRでもより高分解能の条件で測定する必要があります。
NMRで分離能を示すパラメータとしてデジタル分解能があります。これは観測範囲/ポイント数で計算されるパラメータで数値が小さいほど分解能の良い測定条件であることを示します。
なお本資料では縦軸(13C軸)の分離能を向上させる目的に絞って測定条件等を紹介しています。

観測範囲の縮小

2D NMRを測定する際、予め1D NMRを測定して信号の出る化学シフト範囲を把握しておき、信号の出る範囲のみを観測範囲に設定することでデフォルトの条件で測定するよりも高分解能のデータが得られます。(図1)
観測したい領域が限られている場合は、その領域のみを観測範囲に設定することでより高分解能なスペクトルを得ることができます。しかしその場合、観測範囲外にある相関信号が折り返し信号として観測されるため、スペクトル上に不要な信号が多数検出されてしまいます。(図2)
折り返し信号なく観測範囲を狭めてデジタル分解能を向上させたい場合、着目したい化学シフト領域のみを選択励起(または反転)させることで観測範囲外の折り返し信号のないスペクトルを得ることができます。(図3)

13C band-selective HMBCのパルスプログラム

図4:13C band-selective HMBCのパルスプログラム
図4:13C band-selective HMBCのパルスプログラム
通常のHMBCで使用している180°パルスをselectiveパルスに置き換えたパルスプログラムです。
13Cのselectiveパルスを使用することで励起したい帯域のみの相関を得ることができます。(図4)

ポイント数を増やす

ポイント数(y_points)を増やす場合、例えばポイント数を2倍、4倍と増やしていけば、そのまま分解能は2倍、4倍と向上します。
注意点は測定時間もそのまま2倍、4倍と増えていく点と13CのFIDが短い試料の場合にはFIDの後半はノイズを余分に取り込んでいることになるため、S/Nが低下してしまう点です。
ただし試料量が十分にある場合はNUS(Non-Uniform-Sampling)を使用することで測定時間は短時間に短縮することが可能です。
図7ではポイント数を4倍に設定しデジタル分解能を4倍にしつつ、NUSによりすべてのポイントのうち1/4のみをサンプリングすることで測定にかかる時間はそのままでデジタル分解能は4倍改善しました。
qunineの13C NMRでは147.63ppm, 147.83ppmと非常に狭い範囲に2種類の信号が観測されます。図5のHMBCの条件で相関信号を確認すると、148ppm付近の13Cに合計3本の相関スペクトルがあり、それぞれがどちらの13Cと相関しているのか判別が困難です。
対して図6, 図7とデジタル分解能を改善していくことで判別が容易になります。

図5~図7

NUS(Non-Uniform-Sampling)

NUS法は二次元NMR法における間接観測軸(y軸)のポイントを不均一にサンプリングする手法です。設定したy_pointsから任意の点を間引いてサンプリングするため、NUSを使用しない場合に比べて測定時間を短縮することができます。本発表のように同一の測定時間でより高分解能のデータを得られるように測定条件を設定する使い方も有効です。間引かれたポイントはデータ取得後に再構築を行うことで通常のサンプリング時と同様に 処理、解析できるスペクトルになります。以下は実際に取り込んでいるポイント数を合わせて通常の測定条件時(図8)とNUS25% (図9)で取り込んだ場合のY軸のFIDの模式図になります。実際に取り込んでいるポイント数は同一で測定にかかる時間は変わりませんが、再構築により4倍のポイント数になります。デジタル分解能はポイント数が多いほど向上するため、同じ時間で測定を行った時にデジタル分解能をより向上させることができます。


図8:通常のY軸のFID

図9:NUS+再構築したFID(NUS25%)
・実際のサンプリング点
・再構築
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