No-D NMRとNUSを組み合わせたハイスループット測定
NM180016
No-D NMRとは、重水素化溶媒を使用せずに目的試料の1H信号を高分解能で測定する手法です。
そのため合成に使用した反応溶液そのままで測定を行うことが可能で、試料調製の手間や重水素化溶媒のコストを削減することができます。
重水素化されていない溶媒を使用することで巨大な軽溶媒信号が観測されてしまいますが、WET法による溶媒消去をしながら測定することできれいなスペクトルを得ることができます。
一方NMR LOCKが使えないため長時間測定時には化学シフトがだんだんとずれていってしまい、それに伴って積算の間に線幅が広くなってしまいます。そのため測定時間のかかる二次元NMRの測定は一般的にNo-D NMRは扱いづらくなります。
本発表では長時間測定には向かないNo-D NMRでもNUS(Non-Uniform Sampling)を組み合わせて測定時間を短縮することできれいな2D NMRスペクトルを得ることができる例を紹介します。
JEOLのNo-D NMRのオートメーションでは溶媒信号を自動的に検出して溶媒消去をするため、手動で溶媒信号の化学シフトを入力する必要がありません。これは通常の1D測定だけでなく2D測定も同様ですので、複数の2D測定を続けて行う場合でもそれぞれの測定開始直前に溶媒信号の化学シフトを確認し適切な位置に溶媒消去を行ってくれます。また、指定した溶媒信号から化学シフトを自動的に設定しますので、化学シフトを手動で合わせる必要がありません。
図1は通常の1H NMRに溶媒消去を加えることできれいなスペクトルが得られることを示します。図2~4は溶媒消去をしながらNUSを使用して各2D測定を行った結果です。短時間の測定ですが問題なく相関信号が確認できます。

図1: 上段:1H , 下段:No-D 測定時間: 1min
(※は軽溶媒信号)

図2: COSY(NUS25%) 測定時間: 4min

図3: edited HSQC(NUS25%) 測定時間: 15min

図4: HMBC(NUS25%) 測定時間: 9min
試料:5mg rotenone/ acetone
使用装置:JNM-ECZ400S
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