Perfect echoを利用した従来手法の改善例
NM210007
図1 a) はT2測定等でごく一般的に使用されているspin echo法ですが、こちらは1H-1Hのスピンカップリングを持つ信号においてはJ変調と呼ばれる位相ずれの現象が起きてしまいます。その結果T2測定の信頼性が低下する、信号の解析がしづらくなるといった悪影響が懸念されます。その対策が図1 b) に示すperfect echo法※1です。普段spin echo法を使用しているパルスシーケンスからperfect echo法へ置き換えることで、従来法よりきれいなスペクトルが得られる可能性があります。


図1: a) spin echo法、b) perfect echo法のパルス系列
実際の測定例
T2測定で一般的に用いられているCPMG法と、loop部をperfect echoに置き換えたPROJECT法※2の比較が図2になります。また軽水消去で一般的に用いられているdpfgseタイプのWATERGATE法と、これにperfect echoを組み合わせたWATERGATE PE法※3の比較が図3になります。いずれにおいてもperfect echoの適用により位相の歪みが改善され、きれいな線形を維持していることが確認できます。
PROJECT法はDelta V.6.0から、WATERGATE PE法はDelta V.5.3から標準搭載されています。


図2: α- cyclodextrin + glucose in D2Oの a) CPMGスペクトル、b) PROJECTスペクトル


図3: 2mM sucrose + DSS-d6 in 90% H2O/10% D2Oの a) WATERGATE_dpfgseスペクトル、b)WATERGATE_PEスペクトルの拡大図
- ※1 J. Magn. Reson., 84, 611-615 (1989)
- ※2 Chem. Commun., 48, 811–813 (2012)
- ※3 Chem. Commun., 49, 358-360 (2013)
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