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SAPPHIRE法によるPure shiftのアーティファクト低減

NM220003

"Pure Shift" は、同種核の広帯域デカップリングの測定手法です。つまり1H NMRスペクトルをJカップリングによる分裂をすべてデカップリングし、シングレット信号として観測することができます。複雑に分裂した信号が重なり合うような試料の純粋な化学シフトの情報を得るのに有効な手法です。本測定では通常数十ms程度のFIDブロックをずらしながら取り込みを行い、最終的にそれらを足し合わせて1つのスペクトルを作成します (図1)。Pure shiftスペクトルではこのFIDブロックの長さの逆数の周期でアーティファクトとしてサイドバンドが発生し、試料によっては解析を困難にさせます (図2)。

図1: Pure shift法の処理

図1: Pure shift法の処理

図2:  Pure shiftスペクトルのサイドバンド

図2: Pure shiftスペクトルのサイドバンド

SAPPHIRE法

このサイドバンドを低減し、きれいなPure shiftスペクトルデータを取得する手法がSAPPHIRE法 (Sideband Averaging by Periodic PHase Incrementation of Residual J Evolution) です。本手法では繋ぎ合わせるFIDブロックの長さをいくつか変えて処理することでサイドバンドの周期を分散させます。Delta V.6.1よりこれらの測定、処理のアルゴリズムが実装されました。
SAPPHIRE法を用いることで大きな信号のサイドバンドに重なってしまう微小信号を確認しやすくなる、1H-1Hのカップリングに隠れた1H-19Fのカップリングが読みやすくなるといったメリットがあります。図3に示す通りSAPPHIRE法により各信号の線形やサイドバンドが改善していることがわかります。

図3: voriconazoleのa) 1H NMR, b) PSYCHE, c) PSYCHE SAPPHIREスペクトル

図3: voriconazoleの a) 1H NMR, b) PSYCHE, c) PSYCHE SAPPHIREスペクトル

参考文献

Chem. Commun. 2017, 53, 10188-10191

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